列車で巡るオーストリア--グラーツ編

2012/06/04 - 2012/06/20

オーストリア鉄道パスを利用し、街と自然の中を歩くをテーマにして、１７日間かけてオーストリア国内を巡りました。コースは下記。ウィーン４泊→グラーツ往復→ザンクト・ペルテン→メルク２泊→ヴァッハウ渓谷クルーズ→クレムス→デュルンシュタイン→ザルツブルク３泊→ザルツカンマーグート→ハルシュタット２泊→インスブルック４泊→リヒテンシュタイン→フェルトキルヒ往復→ハル・イン・チロル。この旅行記ではグラーツ編を掲載します。
グラーツは、人口24万人あまりでウィーンに次ぐオーストリア第二の都市。旧市街と郊外にあるエッゲンベルク城は世界遺産に登録されています。
表紙の写真はグラーツのシンボル、時計塔

エリア グラーツ(オーストリア)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス 徒歩

ウィーン４日目(６月７日)、列車でグラーツに日帰り旅行します。
オーストリアはヨーロッパの中央部に位置する小さな国ですが、アルプスの山々、美しい街並みなど魅力に溢れた中世の都市が点在しております。今回は自然豊かなチロル地方の山歩きと中世の街歩きをテーマにして、オーストリア国内を巡ることにしており、ユーレイル・オーストリアパスを予め日本でネット購入しました。１か月内に６日有効、１等で２２８ユーロ、手数料や送料込みで２６０００円。　
パスの下に示すリストは、このパスを実際に使用して旅行した列車詳細です。普通に買えば、約５００ユーロ以上となりますので、結果として充分元はとったことになります。

ウィーン・マイドリング駅にてオーストリアパスのヴァリデーションをしてもらい、７時２分発グラーツ行きの特急列車に乗り込みます。１等の車内です。朝早いためか乗客は数人しかいません。
　
　グラーツへの日帰り旅行は、美しい中世の街歩きと、セメリンク鉄道という世界遺産に指定されたアルプス越えの区間を列車で通過することが目的です

ウィーンを出てしばらくは草原地帯を走ります。車内のモニタを見ているとこの特急列車、時速２００Km近くでとばしています

ウィーンを出てから３０分ほどして列車は山岳地帯に入り、世界遺産のセメリンク鉄道を通過します。カーブしながらこんな美しいアーチ橋を何度も通ります。窓ガラスにカメラを付けて撮影しましたが・・・う〜ん、こんな写真しかとれません

車窓からは険しい山並みが見えます。建設期間は１８４８年から１８５４年、当時としては相当な難工事だったのでしょう。その軌道が現在も現役として使われているというのも驚きです。この区間はさすがに列車はスピードを落として通過します

列車はウィーンから２．５時間ほどでグラーツに到着します。

グラーツ駅のキオスクで路面電車の２４時間フリーカルテ(4.2ユーロ)を購入します。
　
駅前通りを渡り右折してから突き当たる通りの停留所から路面電車で旧市街まで来ます。ムーア川ごし奥に時計塔が見えます

早速、川沿いに街歩きを始めます

教会の塔の脇道を抜けて街の中心のハウプト広場に向かいます

まだ１０時と早いのか人通りのない小道を歩きます

壁の装飾が美しい街並みに出てきました

人の少ない街並みを想像して街の中心広場に来ましたところ、突然大勢の人々の静かな集会に出会います。青空の下での教会ミサが行われているのです。オーストリアでは、約７割の人々がローマ・カトリックに属しているそうで敬謙なクリスチャンが多いみたいですね

広場には、皇帝レオポルト２世の子で、街の産業と文化の発展させたヨハン大公の像が建っています。ヨハン大公は、平民の娘と結婚し、皇位継承権を放棄したことでも市民の敬愛を集めています

広場から時計塔が建っているシュロスベルク(城山)に通じている小道を歩きます

上り坂となっていて狭い路地ですが中世の雰囲気に満ちています

王宮に通じている広場です。王宮は後で行くこととし、まずはシュロスベルク(城山)を目指します

この坂を上ります。フリーカルテを持っているので、城山にはエレベータまたはケーブルカーでも利用できるのですが、ここはあえて歩いて上ることにします

城山への途中にある地図です。説明によれば、紀元前３世紀にはここに砦が設けられていたとか、歴史ある城山なのです

しっかりとしたこの坂道を上ります

１５分ほどで山頂に到着です。ここからグラーツの旧市街を眺めます

時計塔です。ただ今の時間１１時２０分、長針が時間を示しています

時計塔や旧市街を下に見ながら更に城山を上ります

牢獄、砲台そして格納庫として使われていたシュタルバスタイと呼ばれる建物です

シュタルバスタイから見るグラーツ旧市街

かって要塞の装甲室や牢獄として使用されていたカゼマッテン。現在はコンサート等のイベント会場に利用されています

こちらは城壁の一部

こちらは鐘楼。城山の上を一通り散策します。かっての難攻不落の城塞もナポレオン軍の攻撃により破壊されてしまった様です

歩きまわったので少し汗をかきました。ムーア川沿いに広がるグラーツの旧市街が眺められるレストランにて、この風景を目に焼き付けながら昼食をとります

城山から階段のあるこの坂道を下ります

旧市街の風景や山肌に咲く花等、そして鳥のさえずりを聞きながらこの階段を下り、１０分程で麓に着きます。階段登り口の奥にエレベータの入口と城山の裏山に抜けるトンネル入口が並んでいます

再び旧市街に戻ります。王宮前の広場

王宮と通りを隔てて建っている教会

その隣にある１４３８年創建のゴシツク様式の教会

市庁舎前のハウプト広場に通じている通り。建物にアーチが設けられていて、その中を通りが抜けている・・中世の街です

王宮の中庭。正面の緑に囲まれた階段室に二重のらせん階段があります

階段室に入って二重のらせん階段を上ってみます。王宮の中で１４９９年に造られて唯一現存するものですが、はっきり言って上り下りし難い階段でした

ハウプト広場に戻ります。青空ミサが終了したので、人々が居なくなった様です。

ハウプト広場から１番の路面電車で約３０分、停留所から徒歩で５分,エッゲンベルク城に来ます。路面電車で降りる停留所が分からないので、乗客の方にガイドブックを見せて教えてもらいました。ここは大阪城屏風絵が見られるというので、どうしても来たかった場所です

城の３階から見た中庭

城内部のガイドツアー(アルテ・ギャラリーとの共通券１１ユーロ)に参加します。客は私を含めて３名、ドイツ語と英語で丁寧に説明してくれます

エッゲンベルク城は、１６２５年創建でエッゲンベルク候の権勢と人文主義的な世界観を象徴する壮大な城館です。豪華な装飾が施された２４の部屋が原型のまま残されています

壁面に陶器が並ぶ部屋

一番華やかで広い惑星の間。エッゲンベルク侯爵家の歴史と数学、天文学等を組合せた多数の絵画モチーフで一大絵巻が展開されています

絵画の間

こちらも壁面一杯に絵画が飾られた間

目玉の日本の間。８曲で構成されていた屏風絵を８つに分離し、壁面に装飾として施されています。こんな形で使われていたとは何ということでしょう

どうして８つに分離してしまったのでしょうか?・・ガイド嬢に質問しました。私が日本人なのか困った顔をして、多分国民性、センスが違うのでしょうネ・・とのことでした

これが豊臣秀吉統世下の大阪城でしょうか

こちらは淀屋橋付近なんでしょうか。経済的に繁栄している商人の生活が絵から伝わってきます。日本から遠いこの地で、豊臣時代の屏風絵を見て日本の文化を誇りに思った次第です

アルテ・ギャラリーに行きます。城内の２２の部屋に中世から１８世紀末の５００年のヨーロッパ美術史を飾る名画が展示されています。これは、クラナッハ「パリスの審判」

こちらはブリューゲルの「謝肉祭と四旬節の喧嘩」、これ以外にもブリューゲルの作品が多数展示されています。
ここのギャラリーはあまり紹介されていないためか、お客さんがほとんど居なく、落ち着いて見ごたえのある名画を鑑賞することが出来ました。絵画鑑賞がお好きな方にはお勧めです

城内から眺めたバラが花盛りの城の庭園です。城を出た後この庭園を散策します
　

エッゲンベルク城から再び１番の路面電車で市内に戻ります。グラーツからは、１時間に１本ウィーン行きの特急が出ており、１７時２５分発のウィーン行き特急で、帰りもセメリンク鉄道通過を楽しみながら戻ります。
　グラーツ滞在約８時間、ウィーンから充分楽しめたグラーツへの日帰り旅行でした
　グラーツ編　おわり

この旅行記へのコメント （2）

• はなさん 2012/06/27 12:22:00

  うわうわ、うわ！

  なんという贅沢な旅！
  うらやましさを通り過ぎて嫉妬さえ覚えます。
  
  できることなら透明人間にでもなって付いて回りたかったぐらいです。
  これをお一人で回られるなんてほんと勿体ない。
  
  あ〜、どうしてもっと英語を勉強しておかなかったんだろうとまたまた悔やまれました。
  
  しばらく音沙汰がないのでどうされているかなと思ってたら、あらまぁ〜こんなすばらしい旅を！ゆ、ゆるせん！！って感じです(笑）
  
  今回は特に美術作品がすばらしいですねぇ。いいなぁ。
  私もそんなに詳しくないですがブリューゲルは好きです。なぜか。
  
  ウィーンでしかも地元の人だってあんまりいないような場所で知り合いに遭うなんてすごい偶然ですねぇ。
  まだまだ続きがあるのですね。楽しみにしています。
  
  あの、全く関係ないですが、なかなかこのサイトに繋がらないのであちこちいじってる最中に6月30日で終了にするなんて表示が出たのですが、あれはなんのことかご存じでしょうか。
  このサイトが終了するってことじゃないですよね？
  もしご存じでしたら教えてください。
  

  youさん からの返信 2012/06/27 22:43:39

  RE: うわうわ、うわ！

  はなさん
  御無沙汰しております。早速のコメント有難うございます。海外への旅は行けるうちに行く・・・を信条としておりますものですから、貧乏暇なし状態ですが、思い立ったので出かけました。オーストリアは以前から山歩きをしてみたいと思っていたものですから・・。お陰さまで今回の旅は天気にまずまず恵まれて、素晴らしい景色のもとで幾度かトレッキングを楽しみました。ヨーロッパアルプスは本当にスケールが違いますね。確かに一人で眺めるには勿体ないような絶景ばかりでした。後続の旅行記・・ぼちぼちアップします。お楽しみにしてくださいまし。
  
  　はなさん　モンゴルは行かれましたか?
  youもいずれ行きたいのですが、はなさんの旅行記を楽しみにしています。
  
  　ところで、このサイトが終了する???　　それはないでしょう
  サイトリニューアルで、投稿機能等が一時停止になることは予定されているようですが。