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6月10日、ポーランドに初めて入国しワルシャワとクラクフを訪れた。サンクトペテルブルクからカリーニングラードまではロシア航空、ここでワルシャワ行きのポーランド航空に乗り継いだ。カリーニングラードも含めて、この周辺は歴史の悲劇に見舞われた地域であり、特にアウシュヴィッツなどを訪れるには、日本人として不謹慎な行動を取らないよう気を引き締めて行動しようと思う。<br /><br />ポーランド人、またはポーランド出身のアメリカ人の知り合いは多いが、これまでポーランドを訪れる機会はなかった。3日間という限られた日程の中で、アウシュヴィッツとビルケナウ強制収容所、クラクフの旧市街、ヴィエリチカ岩塩採取所およびワルシャワ旧市街の世界遺産4ヶ所に優先順位をつけて巡ることにした。<br /><br />ポーランドの窓口は、フレデリック・ショパンの名を冠するワルシャワ国際空港だ。近代的な明るい空港で、好印象だ。6月1日に空港アクセス鉄道が開通したばかりで、真っ赤なスマートな電車が空港ターミナル駅に停車している。料金は3.6ズウォティ(約90円)と安い。最新車両で内部も広々として気持ちがよい。荷物や自転車を置くスペースも十分ある。まだ利用者は少ないようで、ガラガラだった。<br /><br />まずはワルシャワ中央駅を降りて周りを散策する。うわさに聞くスターリン・ゴシック様式の文化科学宮殿(高さ234m)が周囲を威圧する。しかしその周辺にはガラス貼りの近代建築が相次いで建設されており、明らかに浮いている。1952年にスターリンからの贈り物として建設されたこの宮殿がポーランド人にとって有難くない存在であることは容易に想像できる。「ソヴィエトの建てたワルシャワの墓石」といわれるのも無理からぬことだ。同様の現象はプラハやキエフでも目撃した。<br /><br />中央駅の周辺はこれくらいにして、駅の窓口に行ってクラクフ行き急行のチケットを購入、駅で英語併記の時刻表を見つけて、希望の列車をマークし窓口で見せた。予想通り英語は通じないが、十分意図は通じてにこやかだ。チケットを受け取った後、急ぎ足で世界遺産の旧市街に向かう。<br /><br />まずは聖アンナ教会と旧王宮を眺めて、旧市街の中心の市場広場に到着、伝統的なポーランドのレストラン、カフェ、商店が並ぶ。通りを囲むように、中世の建造物である城壁、城楼(バルバカン)および聖ヨハネ大聖堂などが並ぶ。<br /><br />ワルシャワの旧市街は13世紀に建設を開始、1429年には市庁舎が建設される。19世紀のワルシャワの急速な成長の時期、旧市街は、商業および行政の重要な中心としての地位を失うが、第1次世界大戦後ポーランドが独立を得て、1918年にワルシャワ王宮は再びポーランド大統領や首相の執務地になった。1930年代後半には、かつての栄光を復元しようとし、城楼と旧市街は部分的に修復された。しかし、間もなく第2次世界大戦が勃発する。<br /><br />ナチスのポーランド侵攻の間、旧市街地区はドイツ空軍によって破壊される。ドイツ空軍は街の王宮地区および歴史的ランドマークを標的に絞った。第2次世界大戦の後、廃墟と化した旧市街は再びポーランド人自身によって厳密に再建された。もともとの建物に使用された煉瓦はできるだけ再利用された。1971年まで爆破後の廃墟のままの姿であった王宮は再建が開始され、大戦中は疎開されていた美術品や装飾が再び配置され、1970年後半に国立博物館の一部や祭典会場として使われるようになった。<br /><br />現在の旧市街は、戦争の面影を感じさせない昔ながらの佇まいを持つ。翌日訪れたクラクフの旧市街は幸いにして戦災を受けず、建設当時の姿が保存されているが、少なくともワルシャワ旧市街の外観はクラクフのそれと遜色ない。ワルシャワ市民の執念と誇りに感銘を受ける。<br /><br />ワルシャワにはショパン、コペルニクス、キュリー夫人などのゆかりの家や博物館が数々存在するが、これらは次回のお楽しみとして、ワルシャワ中央駅からクラクフ行きの列車に乗る。最近ヨーロッパでもあまり見ることができなくなった昔懐かしいコンパートメント客車だ。この車中でのポーランド人、フィンランド人との楽しい会話は別の旅行記に記すことにする。

ポーランドの世界遺産No.1:瓦礫の山から復元されたワルシャワの旧市街(改訂版)

22いいね!

2012/06/10 - 2012/06/12

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ハンク

ハンクさん

6月10日、ポーランドに初めて入国しワルシャワとクラクフを訪れた。サンクトペテルブルクからカリーニングラードまではロシア航空、ここでワルシャワ行きのポーランド航空に乗り継いだ。カリーニングラードも含めて、この周辺は歴史の悲劇に見舞われた地域であり、特にアウシュヴィッツなどを訪れるには、日本人として不謹慎な行動を取らないよう気を引き締めて行動しようと思う。

ポーランド人、またはポーランド出身のアメリカ人の知り合いは多いが、これまでポーランドを訪れる機会はなかった。3日間という限られた日程の中で、アウシュヴィッツとビルケナウ強制収容所、クラクフの旧市街、ヴィエリチカ岩塩採取所およびワルシャワ旧市街の世界遺産4ヶ所に優先順位をつけて巡ることにした。

ポーランドの窓口は、フレデリック・ショパンの名を冠するワルシャワ国際空港だ。近代的な明るい空港で、好印象だ。6月1日に空港アクセス鉄道が開通したばかりで、真っ赤なスマートな電車が空港ターミナル駅に停車している。料金は3.6ズウォティ(約90円)と安い。最新車両で内部も広々として気持ちがよい。荷物や自転車を置くスペースも十分ある。まだ利用者は少ないようで、ガラガラだった。

まずはワルシャワ中央駅を降りて周りを散策する。うわさに聞くスターリン・ゴシック様式の文化科学宮殿(高さ234m)が周囲を威圧する。しかしその周辺にはガラス貼りの近代建築が相次いで建設されており、明らかに浮いている。1952年にスターリンからの贈り物として建設されたこの宮殿がポーランド人にとって有難くない存在であることは容易に想像できる。「ソヴィエトの建てたワルシャワの墓石」といわれるのも無理からぬことだ。同様の現象はプラハやキエフでも目撃した。

中央駅の周辺はこれくらいにして、駅の窓口に行ってクラクフ行き急行のチケットを購入、駅で英語併記の時刻表を見つけて、希望の列車をマークし窓口で見せた。予想通り英語は通じないが、十分意図は通じてにこやかだ。チケットを受け取った後、急ぎ足で世界遺産の旧市街に向かう。

まずは聖アンナ教会と旧王宮を眺めて、旧市街の中心の市場広場に到着、伝統的なポーランドのレストラン、カフェ、商店が並ぶ。通りを囲むように、中世の建造物である城壁、城楼(バルバカン)および聖ヨハネ大聖堂などが並ぶ。

ワルシャワの旧市街は13世紀に建設を開始、1429年には市庁舎が建設される。19世紀のワルシャワの急速な成長の時期、旧市街は、商業および行政の重要な中心としての地位を失うが、第1次世界大戦後ポーランドが独立を得て、1918年にワルシャワ王宮は再びポーランド大統領や首相の執務地になった。1930年代後半には、かつての栄光を復元しようとし、城楼と旧市街は部分的に修復された。しかし、間もなく第2次世界大戦が勃発する。

ナチスのポーランド侵攻の間、旧市街地区はドイツ空軍によって破壊される。ドイツ空軍は街の王宮地区および歴史的ランドマークを標的に絞った。第2次世界大戦の後、廃墟と化した旧市街は再びポーランド人自身によって厳密に再建された。もともとの建物に使用された煉瓦はできるだけ再利用された。1971年まで爆破後の廃墟のままの姿であった王宮は再建が開始され、大戦中は疎開されていた美術品や装飾が再び配置され、1970年後半に国立博物館の一部や祭典会場として使われるようになった。

現在の旧市街は、戦争の面影を感じさせない昔ながらの佇まいを持つ。翌日訪れたクラクフの旧市街は幸いにして戦災を受けず、建設当時の姿が保存されているが、少なくともワルシャワ旧市街の外観はクラクフのそれと遜色ない。ワルシャワ市民の執念と誇りに感銘を受ける。

ワルシャワにはショパン、コペルニクス、キュリー夫人などのゆかりの家や博物館が数々存在するが、これらは次回のお楽しみとして、ワルシャワ中央駅からクラクフ行きの列車に乗る。最近ヨーロッパでもあまり見ることができなくなった昔懐かしいコンパートメント客車だ。この車中でのポーランド人、フィンランド人との楽しい会話は別の旅行記に記すことにする。

旅行の満足度
5.0
観光
5.0
ホテル
4.0
グルメ
4.0
ショッピング
4.0
交通
5.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
10万円 - 15万円
交通手段
鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
航空会社
LOTポーランド航空
旅行の手配内容
個別手配

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  • ポーランドの窓口は、フレデリック・ショパンの名を冠するワルシャワ国際空港。近代的な明るい空港で、好印象だ

    ポーランドの窓口は、フレデリック・ショパンの名を冠するワルシャワ国際空港。近代的な明るい空港で、好印象だ

  • フレデリック・ショパン、ワルシャワ国際空港のターミナルビル

    フレデリック・ショパン、ワルシャワ国際空港のターミナルビル

  • 6月1日に開通したばかりの空港アクセス鉄道、真っ赤なスマートな電車。料金は3.6ズウォティ(約90円)と安い。最新車両で内部も広々として気持ちがよい。

    6月1日に開通したばかりの空港アクセス鉄道、真っ赤なスマートな電車。料金は3.6ズウォティ(約90円)と安い。最新車両で内部も広々として気持ちがよい。

  • ワルシャワ中央駅の近代的な外観

    ワルシャワ中央駅の近代的な外観

  • ワルシャワ中央駅の近代的な外観、バスターミナルを併設する

    ワルシャワ中央駅の近代的な外観、バスターミナルを併設する

  • ワルシャワ中央駅の内部、プラットホームは地下にあり列車は見えない

    ワルシャワ中央駅の内部、プラットホームは地下にあり列車は見えない

  • スターリン・ゴシック様式の文化科学宮殿(高さ234m)が周囲を威圧する。1952年にスターリンからの贈り物として建設されたこの宮殿がポーランド人にとって有難くない存在であることは容易に想像できる

    スターリン・ゴシック様式の文化科学宮殿(高さ234m)が周囲を威圧する。1952年にスターリンからの贈り物として建設されたこの宮殿がポーランド人にとって有難くない存在であることは容易に想像できる

  • 文化科学宮殿の周辺にはガラス貼りの近代建築が相次いで建設されており、明らかに浮いている

    文化科学宮殿の周辺にはガラス貼りの近代建築が相次いで建設されており、明らかに浮いている

  • 近代的なガラス張りのショッピングセンター

    近代的なガラス張りのショッピングセンター

  • 近代的なガラス張りのショッピングセンターの内部

    近代的なガラス張りのショッピングセンターの内部

  • ワルシャワ中央駅周辺の近代建築

    ワルシャワ中央駅周辺の近代建築

  • 中央駅の周辺の伝統的な街並み

    中央駅の周辺の伝統的な街並み

  • 新鋭の低床低騒音トラム

    新鋭の低床低騒音トラム

  • 中央駅の横のハードロックカフェ

    中央駅の横のハードロックカフェ

  • ノヴォテルホテルはヨーロッパカップの宣伝

    ノヴォテルホテルはヨーロッパカップの宣伝

  • 旧王宮、第2次世界大戦で破壊されたが、完全に復元された

    旧王宮、第2次世界大戦で破壊されたが、完全に復元された

  • 旧王宮に面する伝統的建築

    旧王宮に面する伝統的建築

  • ジクムント3世の碑

    ジクムント3世の碑

  • 伝統的なポーランドのレストラン、カフェ、商店が並ぶ旧市街

    伝統的なポーランドのレストラン、カフェ、商店が並ぶ旧市街

  • 旧市街の街並み

    旧市街の街並み

  • 旧市街の街並み

    旧市街の街並み

  • 洗礼者ヨハネ大聖堂のファサード

    洗礼者ヨハネ大聖堂のファサード

  • 洗礼者ヨハネ大聖堂

    洗礼者ヨハネ大聖堂

  • 旧市街の市場広場には伝統的なポーランドのレストラン、カフェ、商店が並ぶ

    旧市街の市場広場には伝統的なポーランドのレストラン、カフェ、商店が並ぶ

  • 旧市街の市場広場で馬に水を与える御者

    イチオシ

    旧市街の市場広場で馬に水を与える御者

  • 旧市街の市場広場の伝統的な街並み

    旧市街の市場広場の伝統的な街並み

  • 旧市街の市場広場の人魚の像

    旧市街の市場広場の人魚の像

  • 旧市街の市場広場の人魚の像

    旧市街の市場広場の人魚の像

  • 花に溢れる旧市街の市場広場

    イチオシ

    花に溢れる旧市街の市場広場

  • 旧市街の街並み

    旧市街の街並み

  • 中世の建造物である城壁、城楼(バルバカン)

    中世の建造物である城壁、城楼(バルバカン)

  • 中世の建造物である城壁、城楼(バルバカン)

    中世の建造物である城壁、城楼(バルバカン)

  • 旧市街を行く馬車

    旧市街を行く馬車

  • 旧市街の市場広場には伝統的な街並み

    旧市街の市場広場には伝統的な街並み

  • 旧市街の市場広場には伝統的な街並み

    旧市街の市場広場には伝統的な街並み

  • 旧市街の市場広場には伝統的な街並み

    旧市街の市場広場には伝統的な街並み

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