2012/06/11 - 2012/06/12
167位(同エリア937件中)
ハンクさん
ワルシャワからクラクフまではポーランド国鉄の急行で約3時間、最近はヨーロッパでもあまり見られなくなったコンパートメント車両だった。学生時代に、バックパッカーとしてユーレイルパスを携えて中央ヨーロッパを巡ったころに戻ったような気がした。コンパートメントではクラクフの大学で学ぶポーランド人の学生2人とフィンランド人の母娘の2人旅と乗り合わせた。私がロシアから来た、と言うと驚いていたが、日本贔屓の両国だけに日本についての質問が相次いだ。ポーランドやフィンランドの経済や就職難など、またヨーロッパ統合の将来や、ユーロ導入(ポーランドは未だ未定)について興味深い会話を交わしたりした。
クラクフに到着したのは夜10時過ぎ、白夜のサンクトペテルブルクからやってきたため、夜が暗いことを意外に感じてしまう。この日はクラクフ中央駅に近いワルシャワホテルに宿泊、翌朝発のヴィエリチカ岩塩採掘所、アウシュヴィッツ/ビルケナウ強制収容所のツアーを予約した。翌朝は7時の朝食を急ぎ済ませ、徒歩圏にあるクラクフ旧市街を散策した。ポーランドの京都といわれるだけあって、ワルシャワの旧市街よりもさらに古く、中世の佇まいを色濃く残している。フロリアンスカ門をくぐって旧市街に入ると、まさに中世にタイムスリップしたような気分になる。
クラクフの人口は約75万人、ワルシャワ、ウッチに次ぐ第3の都市である。旧市街は幸い戦災を免れ、建設以来の姿をとどめている。例として旧王宮であるヴァヴェル城や聖マリア教会、織物会館などがあり、また築700年のアパートが代々手入れされて現代でもそのままアパートとして使われているという。
広場にある聖マリア教会の塔の上からは、毎時ちょうどにラッパが吹き鳴らされる。これは中世のタタール軍が襲撃してきた時、ラッパ吹きが危険を知らせるためラッパを吹いている最中に、敵軍に矢で射殺された。この命を懸けて町を守ったラッパ吹きに敬意を払って、今でも演奏されているそうだ。
クラクフは、ポーランド王国の成立以前の8世紀に成立、その後首都機能がポズナンからクラクフに移ってからはポーランド最大の都市として発展したが、13世紀にモンゴルの襲撃で破壊された。その後市街地は復興、14世紀よりクラクフは最地盛期を迎え、ポーランド最古のクラクフ大学が創設され、織物取引所、聖マリア教会などが建設された。そして西欧での迫害を逃れてやってきた何万人ものユダヤ人移住を受け入れた。16世紀より徐々に王国の中心はワルシャワへと移行していき、17世紀初頭にはついにクラクフからワルシャワへ遷都された。
17世紀以降、三十年戦争などによりクラクフは荒廃し、18世紀後半のポーランド分割によって国家自体が消滅し、クラクフはオーストリアに併合される。第一次世界大戦を経てポーランドが独立を果たしポーランド領となるが、第二次世界大戦に突入しドイツ軍に占領され、大戦終了後はソ連の支配を受ける。そしてソ連崩壊後に町は昔の賑わいを取り戻す。
この町で特筆すべきは、現在でも多くのシナゴーグがみられるように、中世よりユダヤ人コミュニティーが存在したことである。映画「シンドラーのリスト」の題材となったオスカー・シンドラーが経営していた工場は、クラクフ・ゲットーのユダヤ人を労働者として雇っていた。ヒットラーが、アウシュヴィッツ強制収容所をクラクフの近く建設したのも故なきことではない。今日でも、毎年7月初旬に大規模なユダヤ文化祭り「シャローム」が開催され、アメリカやイスラエルなど、ポーランドから移住していったユダヤ教徒もやってきて様々な催しを繰り広げる。
この後、ヴィエリチカ岩塩採取所を見たあと、いよいよアウシュヴィッツ強制収容所へ向かう。私の神経が耐えうる光景なのか、緊張が高まる。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.5
- 交通
- 5.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 5万円 - 10万円
- 交通手段
- 鉄道 観光バス タクシー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- LOTポーランド航空
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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クラクフ中央駅に到着した急行列車
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早朝のクラクフ中央駅
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クラクフ中央駅に隣接するモダンなショッピングセンター、ガレリア
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クラクフ駅前のトラム
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フロリアンスカ門横の市民公園
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ポーランドでよく見かける光景、2人連れの警察官が浮浪者風の人に問いかける
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マテイキ広場
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バルバカン(城楼)はワルシャワとクラクフのみに現存する
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フロリアンスカ門の全景
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フロリアンスカ門を抜けると中世にタイムスリップするようだ
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フロリアンスカ門の横の城壁
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中世にタイムスリップしたような街並み
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中世にタイムスリップしたような街並み
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聖マリア教会のファサード、毎時ちょうどにラッパの音が聴こえてくる
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織物会館
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織物会館前のアダム・ミツキエヴィッチ像
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さりげない町のオブジェ
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聖十字架教会
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旧市街によく似合うラヴェンダーの花
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スウォヴァツキ劇場のファサード
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スウォヴァツキ劇場の近くの花壇
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龍の洞窟の前で龍の像で記念撮影する子供達
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龍の像は時々このように火を噴く
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「日本美術・技術センター“マンガ”館」、日本の美術品や骨董品の収集家であったフェリクス・"マンガ"・ヤシェンスの7,0000点におよぶ日本美術コレクションが展示されている
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「日本美術・技術センター“マンガ”館」、館名の「マンガ」の由来は葛飾北斎の北斎漫画で、建物の設計は磯崎新
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ヴィスワ川とヴァヴェル城
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旧王宮であるヴァヴェル城
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ヴァヴェル城を見学する子供達の一行
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ヴァヴェル城の模型を見る子供達
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旧王宮であるヴァヴェル城の中庭
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ヴァヴェル城大聖堂のファサード
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ヨハネ・パウロ2世の像
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ヴァヴェル城大聖堂のステンドグラス
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ヴァヴェル城大聖堂の聖壇
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この旅行記へのコメント (1)
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- hirootaniさん 2012/06/27 00:33:00
- クラクフはポーランドの中でも、最も美しい街ですね
- ハンクさん、こんにちは。
クラクフに行かれたのですね。私もベルギーに駐在していた折、3連休を利用してクラクフと会うシィウビッツに行きました。アウシュビッツはとても気持ちが重くなりましたが、クラクフはポーランドの京都といった感じで、趣があり、また雰囲気も明るくてとてもすばらしい街だと思いました。
またいつかいけるといいと思っています。
hirootani
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