2012/02/03 - 2012/02/03
163位(同エリア306件中)
滝山氏照さん
JR熊谷駅前広場に鎧兜に身を包んだ銅像は源平合戦等で武勇を挙げた熊谷二郎直実(くまがい・じろう・なおざね)で晩年に出家して草庵を開いたとされる熊谷寺(ゆうこくじ、埼玉県熊谷市仲町)を散歩しました。
熊谷氏は平氏を祖とする系譜で北条時政(ほうじょう・ときまさ)と親戚関係があるともいわれています。あるいは熊谷郷に在地する武蔵七党の一派である私市党(きさいとう)に属する豪族であるともいわれておりますが出自は定かではありません。
源氏との関わりは直実の祖父である盛方(もりかた)が源義家(みなもとの・よしいえ)に従って武名を高めた平安時代中期頃と思われます。
直実自身も若かりし頃頼朝の父である義朝(よしとも)に従事しましたが平治の乱で義朝敗死した為、郷里に戻り他の豪族と同様に平氏支配下のもと、本領を護るべく、京都警護の奉公を果たす為上洛し一定期間滞在しその役務を果たす立場に身をおきます。
1180年源頼朝が平家に反旗を翻し石橋山で挙兵しますが、平氏の支配下にあった直実は討伐軍大将である大庭景親(おおば・かげちか)に属し頼朝に敵対します。 再挙した頼朝が下総から武蔵に入部を機に頼朝の下に参陣、再度源氏の御家人となります。
御家人となった直実は持前の武勇を発揮し、常陸佐竹氏討伐にて頼朝から賞賛を得て一度失った熊谷郷を回復、地頭職に安堵されるに至ります。
源平合戦では義経に随行し、一の谷では同行の平山季重(ひらやま・よししげ)と一番乗りを争った事などは有名な話です。
後年直実は意外にも出家します。背景が何だったかは判然としませんが、一の谷合戦にて息子と同輩の平敦盛(たいらの・あつもり)をやむなく討たねばならなかった事を強く感じていたことも動機の一つだったと思われます。
あるいは鶴岡八幡宮での流鏑馬(やぶさめ)開催時に直実が射手のかわりに的立役(まとたてやく)を命ぜられ、これに異議を唱え命令に従わなかったとして所領一部没収を受け頼朝への不満を抱いたり、加えて以前から久下権守直光(くげごんのかみなおみつ)との所領に関する訴訟について頼朝の面前で両者対決の場面で武勇高い直実はしきりと質問をする頼朝に不得手な弁明ができず、対決途中に嫌気が差し自ら退出し行方を眩ましたことが背景にあったのかもしれません。
直実の突如の退席に驚いた頼朝はもしやの遁世を思い留まらせる為御家人を使って直実を探します。御家人の命を受けた下人たちが街道にて見張っていた所、既に法体になっている直実を見つけ頼朝の命を伝えるも直実の出家の意思は固い事を認めたうえで上洛しようとする気持ちを翻させると、直実は理解を示しますが幕府には戻らず、熊谷郷に引き籠ります。
出家した直実は法名を「連生」(れんしょう)と称しその後上洛し法然上人の門徒となって念仏修行に励みます。建久6年(1195)関東に赴いた連生坊は出家後初めて頼朝に会いますがもはや頼朝との接点はなく鎌倉滞在も受入れず故郷熊谷郷に向かいます。
熊谷郷滞在の連生坊は再び上洛後高野山にて修行しますが法然上人の流罪を聞き京都に移動、承元2年(1208)京都東山の草庵にて68歳で往生を遂げます。
一騎当千の鎌倉御家人として熊谷直実はあまりにも有名な武士で、まさしく東国の武士(もののふ)を代表するような人物です。
然しながら数々の武勲を立てながらも幕府体制が整うにつれて、直実は自らの役割を果たす機会が少なくなった事もあり、加えて最も信頼している頼朝にも失望し刹那的に先々を悲観して出家を決したのかも知れません。
JR熊谷駅前の武士熊谷直実としての鎧兜の銅像姿と故郷の熊谷寺創設の連生坊の姿を見ますと一人の人間が二つの人生を歩むその姿は自分にとっては極めて強烈な印象を与えてくれます。
- 交通手段
- JRローカル 徒歩
-
熊谷氏館跡(熊谷寺)
熊谷氏館跡地は従前の敷地は不明ですが、今では熊谷寺(ゆうこくじ)というお寺となっています。
当寺の参拝日時は厳しく、墓参シーズン以外の日曜日9時ー16時事前予約者にのみ参拝可能だそうです。 -
扁額
山名は「蓮生山」(れんしょうざん)で出家した直実の法名が起源となっています。 -
熊谷寺境内
通りから境内を望みます。境内には直実とその子直家(なおいえ)及び夫人の三基の宝塔があるそうですが門の外からは確認不可能です。 -
熊谷寺境内
樹木があり広い境内と思われます。 -
イチオシ
熊谷二郎直実銅像
JR熊谷駅北口前に鎧兜を身にまとい乗馬した雄姿の直実が迎えてくれます。 -
銅像裏面
台座裏面には「熊谷之次郎直實」と刻印されています。 -
JR熊谷駅ビルと直実像
まさしく直実は市のシンボルとして扱われています。新幹線停車駅でもあってか大規模なビルの前面に堂々と佇んでいます。
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