2012/02/16 - 2012/02/16
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belleduneさん
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黒田記念室の並びにあるのが、国際子ども図書館です。公道から見ると、ガラスのエントランスと曲線の通路がまるでヨーロッパに居るかのような錯覚に陥ります。
1906年に建設開始された旧帝国図書館庁舎だった建物を、2000年に一部改修中のまま、開館した日本初の児童書専門の国立図書館です。旧帝国図書館は1908年竣工の第1期は、鉄筋補強煉瓦造り、1929年竣工の第2期は、鉄筋コンクリートとなっています。
安藤忠雄建築研究所と日建設計が設計を行い、鴻池組が施工し、2002年に全面開館となりました。
外装、内装とも、旧館をそのまま残すようにし、補修、復元を施しています。室内も床を本来の床板より10cm程パネルで底上げし、その空間に空調ダクト、照明ケーブル等を通しています。
公道のある側と反対の西側壁面にガラスのカーテンウォ−ルを設計し、旧西側外壁に張り出すような箱型建造物を増築しています。
鉾型の増築部分は階段や回廊が狭かった旧館の外側に大型のラウンジを付け足しています。エレベーターや空調などの近代設備を歴史的建造物を傷つけることなく設置しています。更に、東西を貫くガラスボックス建造物を張り出して、公道側の東にエントランス、中庭側の西にカフェテラスを新設しています。
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公道に面したガラスのエントランス。
屋根にある避雷針は、当初の素材の鋳鉄をアルミに代えて造りなおしたものです。
耐震補強工事として「免震レトロフィット工法」を採用し、既存の建物を地盤面から切り離して、地震による揺れの影響を三分の一から五分の一に低減するものです。
地下一階部分の壁を撤去して、そこに免震装置(積層ゴムアイソレーターと鉛ダンバー
を設置してあります。 -
旧帝国図書館の見事な建造物を保存して、新にガラスを取り入れた設計は一目見て安藤忠雄氏の設計だなと思わせます。
ヴェツィアのプンタ・デラ・ドガーナの煉瓦の壁が頭に浮かんできます。17世紀から19世紀の古い煉瓦を使用しているので、全然異なる種類の煉瓦ですが、こちらの方は、明治初期の白薬掛け煉瓦の色がクリームがかっていて、好きです。 -
今日は携帯の8メガカメラで撮っているので、広角レンズで撮れば良かったです。もう一度撮りなおしてアップします。
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元は木製サッシでしたが、図書館の空調条件に合わないため、複層ガラスを嵌めたアルミサッシに置き換えられました。
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メダリオンという装飾部分
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地下1階、地上3階で、当初は中庭を囲む「口」の字に設計され、南側正面に2階までの大階段がある、古典主義様式の建築でした。設計は久留正道の下で、真水英夫が担当しました。明治33年3月に東側ブロック全3期のうちの第1期工事として、着工しましたが、その後予算が追加できなかったため、建設の規模を縮小して、6年後の明治39年3月に竣工し、開館しました。
削られたのは、南に面する大閲覧室の一部で、ここは地下だけが建設され、地上部は大階段から北側だけが建設されました。
結局、当初の全体計画は実現されませんでした。 -
明治初期の建築構造は、鉄骨補強煉瓦造りで、赤煉瓦をセメントモルタルで接着して積んだ壁と、床を受ける鉄骨の梁が建物を支えていました。
赤煉瓦は表面には見えず、建物の東側と北側の外壁に「白丁場石」と呼ばれた白い安山岩の一種とベージュの「ゴマ掛け煉瓦」が、西側の中庭側の外壁は白丁場石と「白薬掛け煉瓦」が、構造体の赤煉瓦壁と一体になるように積まれて居ます。煉瓦の積み方は、東側と北側がフランス積み(正しくはフランドル積み)ですが、西側はイギリス積みです。 -
フランドル積みは富岡製紙場などもそうですが、優雅に見えます。
イギリス積みは合理的で、構造上地震にも強いため、明治20年以降はこれが主流になっていきました。横浜の赤煉瓦倉庫は、イギリス積みから派生したオランダ積みです。
この他に、アメリカ積み、ドイツ積み(小口積み)などがあります。詳しくはネットで検索して、図を見たほうが分かりやすいと思います。 -
玄関を入ったところに模型があります。これはエントランス側です。
屋根は、明治期、昭和期共に天然スレート葺きで、棟と軒の部分は、銅版を加工して造られています。屋根を支える子屋組は、明治期が木造のトラストですが、昭和期は鉄骨のトラスです。
石と煉瓦の技術が成熟した明治後期から、近代的な技術が普及し始めた昭和初期に掛けての技術的な変化の過程がこの建造物の各所に残されており、歴史的価値の一つとなっています。 -
西側の中庭部分の1階にガラスのカフェテリアが見えます。
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建物北側に取り付けられたガラス面が見えます。
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1階の西側外壁部分の周りに回廊があります。
昭和初期に増築された南側部分の構造は、鉄筋コンクリートの柱と梁で、現在の技術と基本的に同しだそうです。
表面に釉薬を掛けた「白薬掛け煉瓦」と白丁場石の既存の外壁を見ることが出来ます。 -
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西側の回廊のガラス壁面
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エレベーターで3階の回廊へきました。
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階段付近は天井が低くなっていますが、回廊を見たところ。
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回廊のガラス壁面から下を見ています。
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中庭方面
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1階のカフェテリアが少し見えます。
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3階の本のミュージアム(旧普通閲覧室)内は撮影禁止なので、写真はありませんが、漆喰仕上げの壁、天井は漆喰装飾が当初の形で復元されていました。
何度も改修されて、何層にもペンキが塗られていた箇所も全てペンキなどは剥がされて、丁寧に漆喰職人によって完璧に仕上げられました。
天井の3つのシャンデリアは、写真と既存の大階段のものを参考にして復元したものだそうです。
写真の3階のミュージアムの扉は、欅材で出来た創建当初のものです。 -
廊下の天井部分です。
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3階の大階段部分です。
明治期のインテリアの中で、最もダイナミックな空間で、1階の床から天井まで約20mの吹き抜け部分を鋳鉄製の手摺りが付いた階段が造られています。階段全体も鉄製で、裏側にはフローリング材が張ってあります。
手摺りの高さが現代の基準に合わないため、この改修で、ガラス製の手摺りを外側に造られています。 -
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3階から1階の吹き抜け部分を見たところです。
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3階のホールは撮影ができました。丸くカーブした柔らかい天井、復元されたシャンデリア、天井に合わせてカーブした大窓などまた来たい場所です。
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3階の北側にあるバルコニニー部分に取り付けられたガラス壁面。
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ガラス越しに旧館の北側外壁を近くで見ることが出来ます。
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バルコニーのガラスの天井部分
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3階のバルコニー部分の扉枠
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3階から2階へ下りる大階段辺り
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2階の旧館外壁
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2階の第二資料室(旧貴賓室)も内部は撮影禁止でしたが、漆喰で仕上げた4本の柱があり、内部の鉄骨の柱と梁に対火被覆を施すために、漆喰部分を一度撤去しましたが、柱部分の下地には竹を編んだ「竹木舞(たけこまい)」が使用されていて、柱の微妙な膨らみが表現されています。
柱を取り巻く立体的な装飾は、石膏の型に漆喰を詰め込み、硬化する前に型抜きして張り付けるという工法が使われています。 -
2階から1階へ下りる大階段
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