2011/10/21 - 2011/10/27
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おっちゃんさん
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ル・ボリューを出るなり、相方が「ずいぶん高かったね」と少々納得のいかない顔で言う。
食事の料金の高い安いの物差しは、支払った金額の絶対量だけではない。
支払った額以上の料理・サービスでもてなしてくれたなら、結果的に「安かった」という評価になるはずである。
相方の、ル・ボリューに対する評価・満足度はその一言に見事に表現されていた。
アソーク駅に向かいながら、そういえばこのへんにもマッサージの有名店「ヘルスランド」があったことを思い出した。
ちょっと寄っていこうか、と相方に訊いてみると、まだ時間的に早いんじゃない? という返事が返ってきた。
夕食はバーン・カニタと決めているだけで、ほかはなにも予定を入れていない。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 鉄道 船 タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
駅に向かうついでに少しだけ遠回りをして、ヘルスランドを覗いてみることにした。
コロニアル風のファサードが美しい建物だった。
その前にある広々とした駐車場は高級車によって、半分以上埋めつくされている。
午後の早い時間に、これだけの客がもうやってきている。
それはこのお店の評判の良さを証明していた。
鉄柵越しに、遠目でそんな様子を眺めながら、「ターミナル21」へと向かった。
「ターミナル21」は10月11日にオープンしたばかりのせいか、バンコクの若者たちでいっぱいだった。
グランドフロアにいくつもできた人だかりのひとつに割って入ると、その中には見覚えのあるキャラクターが鎮座していた。
トニートニー・チョッパー! 彼はここバンコクでも人気者らしく、若者たちはその前でポーズをきめ、うれしそうに写真におさまっていく。 -
「ターミナル21」のオープニングのイベント「ワンピース」は日本の若者を熱狂させるだけでなく、この国の若者にも強く支持されているようだった。
こんなふうに日本のカルチャーが深く根をはっているのを見るのはとてもうれしく、誇らしい。
日本も経済大国に息切れを感じるようなら、このへんで「文化大国」へと生まれ変わってはどうだろう。
日本のアニメーションや音楽には、それだけの力がある。
韓国が映画や音楽を世界戦略の中核として位置づけ、文化の波及効果を経済に転換させて成功させたように、日本もそろそろその手法を学ぶべきだ。
「ワンピース」のフィギュアに群がる若者たちを見ながら、そんなことをついかんがえてしまった。 -
どうやら「ターミナル21」は世界の都市とアクセスする21世紀のターミナル、がコンセプトらしい。
-
特に面白かったのは東京のフロアで、相撲取りが柱に向かってぶつかっていたり、日暮里・池袋といった山手線の駅名が唐突にディスプレイされていたり、四文字熟語の提灯が飾られていたり、とテーマパークさながらの面白い趣向が凝らされていた。
-
タイの人々の目には、東京はこんなふうに映っている、ということがよくわかって面白い。
「サイアム・パラゴン」のようにグローバル・ブランドのショップはほとんどなく、若者が自らの手で立ち上げたようなドメスティックなブランドが軒を連ねている。
ショッピングというより、観光して歩くうちに1、2時間は瞬く間に過ぎた。
そういえば歩き疲れた。 -
先ほど覗いて来た「ヘルスランド」で休憩かたがたマッサージを受けることで、我々の話はまとまり、とりあえず向かうことにした。
受付で、予約していない、と告げると少し待ってくれという。
ウェイティング・ルームのほうを振り返ると、座席のほとんどはほぼ埋まっていた。
そこで、欧米系、日本人、韓国人、中国人たちが、ソファやカウチに腰掛けて施術の順番を待っている。
エントリー・シートのようなものに記入を終えて渡すと、
「30〜40分でご用意します。お呼びするまでそちらでお待ちください」
と受付嬢は有無をいわせぬ、毅然とした態度で言う。
人間とは現金な生き物で、もう少しで休めると思うと、少し前まで感じてさえいなかった疲れが全身をめぐり、また来ますと言って、ふたたび外へと出てゆく元気はとても出ない。
呼び出されて立っていった先客のあとに無事に腰掛けると、僕は1分もしないうちに眠りこんでしまった。
相方にドンと叩かれて、飛び起きたときには、マッサージの用意ができたという。
時計を見ると、30分が経過していた。
施術の部屋はライトを落として暗くしてあり、静かな音楽が低く流れている。
今日はフット・マッサージだけにした。(1時間250baht)
ふかふかのリクライニング・ソファに横たわり、熱いおしぼりで足を拭かれているうちに、また睡魔が襲ってくる。
台湾や香港で受けた、飛び上がりそうなほど激痛の走るフット・マッサージの記憶がよみがえり、からだが知らず知らずのうちに身構えている。
来るぞ来るぞ、と身構えるものの激痛はやってこない。
肩すかしをくらったような感じだけれど、ソフトすぎてまるで効いていないというわけでもない。
イタ気持ちいいレベルで、ゆっくりもみほぐされていく。
警戒心が解けると、あとはただ眠りの世界へと落ちてゆくだけだった。
マッサージを終えて、立ち上がると、からだが軽くなっている。
これがマッサージの魔力というものだろう。
いま終わったばかりなのに、すぐにマッサージが受けたくなってしまう。
100bahtのチップを渡し、外に出るとまだ陽は落ちていなかった。
バーン・カニタの予約は19時していた。 -
ターミナル21に戻り、軽くなったからだでフロアを上に行ったり、下に行ったり。
ターミナルを冠しているだけあって、国際線ターミナルのイメージをさりげなく配してある。
かなり時間をかけて見ているはずなのに、なかなかすべてを見つくすことができない。
いったいどれくらいの店舗が入っているかわからないけれど、個性豊かな小さなショップには、バンコクの「現在」が詰まっていることは確かなようだった。 -
そろそろバーン・カニタへ向かわなければならない時間になっていた。
まだ空腹にはなっていない。
相方も僕も、バンコクで取る食事の中で、一番期待していたのは、実はバーン・カニタだった。
そのバーン・カニタへと向かうソイ23は、少し場末の匂いの漂う通りだった。
マサージ店や食堂が点々とあり、その前で腕組みした男たち女たちが、道往く人を品定めするように見ている。
街灯が少ないせいか通りはうす暗く、相方は僕の腕をぎゅっとつかんだまま、恐る恐るついてくる。
危険なエリアとはいえないまでも、女性の一人歩きはあまり勧められない。
バーン・カニタの電飾看板が遠くに見え、その明りを目指して進むうちに、イルミネーションで飾りつけた美しい庭がふっと目に飛び込んでくる。
バーン・カニタは広い庭に囲まれたタイ伝統様式の瀟洒な一軒家である。 -
さて、なにを食べよう。
メニューをなめまわすように見ながら、あれこれ考えるうちに注文を絞りこめずにいると、相方が「さつまあげみたいのを食べたい」と言い出す。
トートマンクン、と口に出して言うと、あとは簡単に決まった。
グリーンカレーとスチームライス、エビのソムタム、トムヤムクン、締めのデザートにカオニャオ・マムアンを頼んだ。 -
一皿目は、グリーンカレー。
無造作に頬張ると、ココナッツミルクの甘みが香り、じんわりと辛さが追いかけてくる。
噂ほどではない、とビールをひと口飲むと、突然口の中が発火する。
口を半開きにして、はーはーと息をしていると、相方が唐辛子を食べたでしょ? と言う。
そんな気もする。あの赤いカケラは唐辛子だったのかもしれない。
顔の毛穴が開き、汗がみるみる出てくる。
にもかかわらず、二口目を早くも欲してしまう。
辛さがあとを引く、とはこういうことをいうのだろう。
辛さとは、煎じつめると、痛みなのだという。
痛みが喜びに変わるという、倒錯にこそ「辛さ」の本質があるのではないか。
そんなことを思いながら、慎重に唐辛子を排除して、二口目を口に運んだ。
辛すぎないほうが、やはり美味い。
倒錯は、僕にはまだ早すぎるようだ。 -
二皿目はエビのソムタム。
しゃきしゃきとしたパパイヤの歯触りが心地よい。
ライムの香りが涼しく、その酸味が爽やかだった。
日本のなますにどことなく似ているけれど、南国ならではのサラダである。 -
三皿目はトムヤムクン。
こんなマイルドなトムヤムクンがあるのか。
それがひと口含んだ印象だった。
酸味の角が取れ、エビのうま味がよく出ている。 -
四皿目はトートマンクン。
揚げたてをスイートチリのような甘いソースにつけて食べた。
確かにエビのすり身のさつま揚げなのだが、ナンプラーのせいか、甘いソースのせいなのか、日本のさつま揚げとは別物である。
エビが安く手に入ったら、家で作ってみよう。そんな気にさせる一品である。 -
そしてデザート、カオニャオ・マムアン。
実をいうと、僕にはこれが一番美味しかった。
蒸したもち米に、甘いココナッツミルクをかけ、マンゴーを添えてある。
甘いものには普段興味はないのだが、記憶の奥にある郷愁の琴線にでも触れたのだろう。
素朴でどこか懐かしいタイのおふくろの味といったところだろうか。
料理に加えて、ビール3本を飲み、税・サービスが付いて、会計は締めて3000bahtと少し、といったところだった。
決して安くはない。
昔々、日比谷にチェンマイというタイ料理店があった。いまはもう店を畳んでしまったらしい。
出来のよい日と悪い日が極端な店だった。
東京でも、まだタイ料理は珍しい時代だった。
そこで、ヤムウンセンを知り、ヤムヌア(牛肉サラダ)の美味しさに目覚めた。
以来、新宿バンタイ、京橋ワンタイ、六本木バンコク、恵比寿マイタイと渡り歩き、タイ料理に耽溺していくきっかけとなった店である。
もう20数年も昔の話である。
それが我がタイ料理体験の原点である。
そのメートル原器を超えているか否か、がタイ料理の評価の軸になる。
バーン・カニタはその意味で、普通に美味しい店だといっていいだろう。
だが、残念なことにそこから1mmも超えてはいなかった。
タクシーを呼んでもらい、ホテルへと帰った。
メーターは80bahtだったが、20bahtのチップを乗せ100baht払って、車を降りた。
振り返ると、運転手は合掌して、微笑んでいる。
1日の締めくくりに、ふさわしい微笑みだった。(洪水の前に―10/25バンコクその⑩ガイトーン・プラトゥーナムに続く)
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