2011/10/21 - 2011/10/27
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おっちゃんさん
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ワット・ポーと王宮は通りを隔てて、隣り合っていて、ワット・プラケオ(エメラルド寺院)はその王宮の敷地内にあった。
王宮への入口である北門を目指して、王宮の壁沿いの道を歩いていると、西通用門に立つ門衛のすぐそばにいた男が、「止まれ」と言って、近づいてくる。
我々は、てっきり入ってはいけないエリアに足を踏み入れたと思い、足を止めた。
その男はIDカードのようなものを我々に示し、「どこへ行くんだ」と聞く。
「ワット・プラケオです」と答えると、「今日は休みだ」と男は言う。
そんなはずはない。
そう思いながら男を見ると、ここから先は行っても無駄だ、いいところを教えるから地図を見せろ、と相方の持っていた地図を指さす。
そこでやっと僕は王宮周辺に出没する詐欺の話を思い出した。
次の瞬間、地図を開き、男に見せようとしている相方の腕を引っ張り、ノー・サンキューと男にきっぱりと言って歩きだす。
男はなおも、「王宮は休みだ。行っても無駄だ」と言って、追いすがってくる。
あいつは詐欺だ。
相方にそう言うと、そうなの? というように驚いた顔を見せる。
急ぎ足で、彼のそばを離れると、男を無視して歩き続けた。
やっと諦めてくれたらしい。
少しして男のほうを振りかえると、もう新しいカモを捕まえていた。
欧米系のバックパッカーの男女が、地図を開いて、男に見せている。
教えてあげようよ、と相方。
大丈夫、と僕は答える。彼らは騙されない。
バックパッカーはきっと詐欺師をうまくかわすだろう。
我々は王宮入口へと急いだ。
王宮入口の付近では、怪しげな男たちが観光客を呼びとめて、絵を売りつけようとしていた。
日本のキャッチと同じで、一度立ち止まってしまうと、執拗に付きまとわれる。
近づいてきた男に、ノー・サンキューとだけ言うと、王宮のゲートをくぐった。
兵士が中で、入場者の服装をチェックし、着替えるように命じている。
スカートにレギンスの相方もカットオフ・シーンズの僕もNG。
200bahtで衣装を借りるようにいわれた。
入口右手の衣装レンタルの申込受付は長蛇の列で、並ぶのも、200baht払うことも嫌な我々は、ワット・プラケオをパスして、中華街へと向かうことにした。
空を覆っていた雲が少しずつ切れ、青空が広がっていく。
暑い。
ペットボトルの水を飲みながら、王宮の東側にまわりこみ、官庁が建ち並ぶラチャダムン・ナイを歩いた。
ここでも詐欺師が近づいてくる
こんな輩は無視するに限る。
「どこへ行く」「きれいな靴だ」
とにかく、立ち止らせようと必死だ。
タクシーで行ってもよかったのだが、我々は歩いていくことにした。
王宮からジャンクルン通りを15分も歩くと、暑さと疲れでどこかで一休みしたくなる。
お茶するならマクドナルド、と相方は言う。
スターバックスは日本並みの料金で、とても入る気になれない。
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 鉄道 船 タクシー 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
赤いマクドナルドの看板の下で、サワディー・ドナルドが合掌して立っている。
店内は頭がキーンとするほど冷房が効いていた。
「オールド・サイアム」に迷い込んでいたことなどつゆ知らず、そこで我々は体を冷やし、しばしの休息を取った。
店を出て、アンティークな通路を歩いていると、カラオケの歌が大音響で聴こえてくる。
オールド・サイアム中央の催事スペースで、どうやらのど自慢大会がはじまっているようだった。
タキシードを着たインドの青年が歌いあげるインド歌謡が下着と貴金属の間に響き渡る。
そんなオールド・サイアムのゆるい空気の中をしばらく歩きまわるうちに、もう時刻は午後2時を回っていた。
腹ペコだった。
今日のお昼は和成豊魚翅でフカヒレ、と決めていた。
そう考えると、少しだけ元気が出て、気温30℃オーバーのヤワラート通りへと出てゆくふん切りがついた。 -
通りの屋台では、ランチを売り終わった後の虚脱感に包まれたように、おやじがぼーっと虚空を見上げてジュースを飲んでいた。
地図によれば、和成豊魚翅はこのあたりのはずだと、あたりを見渡してみたが、それらしい店はない。
もう一度来た道を引き返し、店名を確認しながら歩くと、てっきりテイクアウトの店だと思い通り過ぎていた店が、なんと和成豊魚翅だった。
店先では料理人が中華鍋を振っていて、店頭の大きなショーケースの中には、ローストしたダックやチャーシューが吊るされている。フカヒレの名店と聞いていたせいで、それなりの店構えを勝手に想像し、うっかり見落としていたのだ。
午後3時になっていたせいか、中に入ると客もまばらだった。
混雑を避けてゆっくり食事をしたいのなら、2時以降の入店も狙い目かもしれない。
店内は香港あたりでよく見かけるごく普通の広東料理店の風情だった。
高級店のしつらえではないが、そのぶん安心感がある。
横浜中華街でも、こういう店のほうが高級店より、よほどうまかったりする。
フカヒレ・スープは小300bahtで十分だということを知っていたので、メニューを指さし、スモール、OK? そう念を押して注文した。
大好物のカキの卵炒め、炒飯、そして相方の強力プッシュ、エッグタルトを頼んだ。
ビアシンを飲みながら待っていると、10分ほどでふつふつと煮えたフカヒレがテーブルに置かれる。
フカヒレを食べるのは何年振りだろう。4、5年ぶりかもしれないな、などと思いながらスープをひとすくいした。
美味い。 -
フカヒレの繊維はかなり溶け始めているとはいえ、スープにはしっかりとしたうま味がある。
熱々をすすりながら、フカヒレは清湯(シャンタン)で食わせる、という話を思い出した。
清湯は脂身を取り除いた豚・鶏のミンチをたっぷりと使い、スープが濁らないよう、90度くらいでゆっくりと煮出す。
フカヒレの名店「福臨門」のように、干しアワビなどを使って、清湯を取るような特別な店もある(当然、エクスペンシブである)。
つまりフカヒレの味は、清湯にあるというわけだ。
和成豊がどんな清湯を使っているかはもちろん知らないけれど、絶品、極上とまではいわないが、十分に美味い。
ボリュームも、2人で食べてちょうどよい。
この値段なら(円換算しての話)、食べて損のない味である。
カキの卵炒めは、想像していたものとはかなり違って、表面がかなりクリスピーな仕上がりだった。
水溶き片栗粉を多めに使うとこうなる。
天津丼(飯)の卵を形よくまとめたいとき、このテクニックが使える。
ま、横浜中華街「山東」のふわとろのほうが個人的には好みだけれど…。 -
最後に食べたエッグタルトは生地もサクッとしていて、意外と美味しかった。
中華街に行くのなら、行って損のない店だと思う。
ここでもやはり、我々は限界を超えて食べすぎてしまった。
あとは適当に店を冷やかしながら、フアラムポーン駅に向かうことにした。
せっかく中華街に来たのだから、烏龍茶を買おうと話になり、和成豊の向かい側にあるお茶専門店に入った。
凍頂烏龍茶がほしかったが、どう伝えればよいのかわからない。
烏龍茶はどれも大きなガラス瓶に入れられ、棚に並んでいる。
烏龍茶がほしい、というと店の女性が瓶のひとつに手をかけて、キロ1500bahtだという。
運のいいことに彼女が勧めてくれたのは、粒状に丸まった凍頂烏龍茶で、100グラム150baht分だけ買い求めた。
こういうときは、いっぺんにたくさん買わない。あのときもっと買っておけばよかった、くらいがちょうどよい。美味しければ、また来た時の楽しみが増える。 -
あと少しでフアラムポーン駅というワット・トライミットに近づいたとき、あたり一帯の冠水がはじまっていた。(10月23日午後4時現在)
ついに洪水が、バンコク中心部へと到達した。
こうなることは、時間の問題だとわかってはいても、あと3日ある旅程を無事おくれるのか不安をおぼえた。
МRT(地下鉄)は動いているのか。
そんなことを考えながら、フアラムポーン駅へ向かった。
地下鉄は無事だった。ひとつの出入口を除き、シャッターを下ろし、土嚢が積んである。
それ以外は、通常と変わらない運行をしているようだった。
我々はシーロムに出て、それからサイアムへと向かうことにした。
1日を終えてしまうには、まだ惜しい時間だった。
「サイアム・パラゴン」なら、時間つぶしにもってこいのような気がした。(洪水の前に―10/24バンコクその⑧ル・ボリュー)
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