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久しぶりに京都を訪れて、御所、二条城、北野天満宮と紅葉を見て歩きました。<br />地図で北野天満宮の近くに「平野神社」を見つけたので訪ねましたが驚きました。表紙にあげた鳥居には「平野皇大神」とあります。旧官幣大社で正一位と神格は高いのに、なんとカマドの神様も一緒でした。<br />以下、神社の由来記などからの受け売りです。<br /><br />もともと平城宮の後宮の中にあった神社だそうで、平安遷都の794年に神社としては唯一社、天皇家と一緒に京都に移ってきた神社でした。現在でも、なんと宮中に「平野御竈神」が祀られているそうです。<br />当時は御所とほぼ同じく1.5キロ四方の広い境内であったが、金閣寺などに削られ、西大路の拡幅に削られて現在は 180メートル四方になってしまっています。昔は御所と同格だったのかも知れません。<br /><br />ご祭神は<br />今木皇大神(イマキノスメオオカミ)今来に通じ渡来人の神という説もある。<br />久度大神 (クドオオカミ)竈の神=生活の神。古開大神 (フルアキオオカミ)邪気払いの神=平安の神<br />比売大神 (ヒメノオオカミ)女性の神=生産の神<br />これらの四柱をまとめて「平野皇大神」と称するが、「皇大神」と言えるのは五社しかないそうです。<br /><br />沿革は古く、782年の続日本記に「今木大神に従四位を授ける」とありますが、864年には今木皇大神が正一位、久度大神、古開大神が正三位、比売大神が従四位と格が急上昇して、927年の延喜式では全国で唯一の皇太子が祭りを執り行う神社となっていて、明治四年には官幣大社となったそうです。<br /><br />野次馬として見ると、782年から864年までの約80年間に、これらの神様を昇格させるべき何かの出来事があったのだと推察します。<br />時代的には、藤原北家の良房が840年代に参議から右大臣まで昇って、851年正二位、857年に太政大臣従一位に急上昇して、858年に孫の清和天皇を9才で即位させて、後の藤原家の繁栄の基礎を築いたことと符合しています。<br />いずれにせよ、藤原北家や皇室と極めて親密な神社ですが、「今木神は百済王である」とする説も江戸時代にはあったそうです。「今、来た」ということなのでしょう。<br /><br />社殿はきわめて見事で、特徴があります。<br />「平野造り」あるいは「比翼春日造り」と呼ばれる二殿一体の本殿が、南北に二棟つらなり、南殿は1625年、北殿は1632年の建立である。東向きに並んだ社殿には、北から今木皇大神、久度大神、古開大神、比売大神の順に祀られている。つまり主祭神の社は後から完成した北殿です。<br />参道の末社の最後のところには土着の(先住の)クニツカミの猿田彦神社がありました。<br />以上、神社の由来記などからまとめてみましたが、天皇家と親密で神格も高い神様なのに、あまり聞きなれない名前の神様たちです。<br /><br />私が小さいときには神棚に祀られている天照皇大神だけでなく、井戸の神様、便所の神様、竈の神様など、いたるところに神様がいました。<br />素人考えですが、天皇家の先祖のようなアマツ神ではなく、先住民のクニツ神でもない、原始宗教にちかいと思われるカマドの神様たちが、最高の神格を授けられて宮中にも祀られていることに、驚きと親しみを感じました。<br /><br />現在は桜が有名で、数百本の桜が神苑に植えられています。花の季節にはさぞ見事だろうと思います。<br /><br />

平野神社:京都ってお寺だけじゃないんですね!

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2010/11/27 - 2010/11/29

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ANZdrifter

ANZdrifterさん

久しぶりに京都を訪れて、御所、二条城、北野天満宮と紅葉を見て歩きました。
地図で北野天満宮の近くに「平野神社」を見つけたので訪ねましたが驚きました。表紙にあげた鳥居には「平野皇大神」とあります。旧官幣大社で正一位と神格は高いのに、なんとカマドの神様も一緒でした。
以下、神社の由来記などからの受け売りです。

もともと平城宮の後宮の中にあった神社だそうで、平安遷都の794年に神社としては唯一社、天皇家と一緒に京都に移ってきた神社でした。現在でも、なんと宮中に「平野御竈神」が祀られているそうです。
当時は御所とほぼ同じく1.5キロ四方の広い境内であったが、金閣寺などに削られ、西大路の拡幅に削られて現在は 180メートル四方になってしまっています。昔は御所と同格だったのかも知れません。

ご祭神は
今木皇大神(イマキノスメオオカミ)今来に通じ渡来人の神という説もある。
久度大神 (クドオオカミ)竈の神=生活の神。古開大神 (フルアキオオカミ)邪気払いの神=平安の神
比売大神 (ヒメノオオカミ)女性の神=生産の神
これらの四柱をまとめて「平野皇大神」と称するが、「皇大神」と言えるのは五社しかないそうです。

沿革は古く、782年の続日本記に「今木大神に従四位を授ける」とありますが、864年には今木皇大神が正一位、久度大神、古開大神が正三位、比売大神が従四位と格が急上昇して、927年の延喜式では全国で唯一の皇太子が祭りを執り行う神社となっていて、明治四年には官幣大社となったそうです。

野次馬として見ると、782年から864年までの約80年間に、これらの神様を昇格させるべき何かの出来事があったのだと推察します。
時代的には、藤原北家の良房が840年代に参議から右大臣まで昇って、851年正二位、857年に太政大臣従一位に急上昇して、858年に孫の清和天皇を9才で即位させて、後の藤原家の繁栄の基礎を築いたことと符合しています。
いずれにせよ、藤原北家や皇室と極めて親密な神社ですが、「今木神は百済王である」とする説も江戸時代にはあったそうです。「今、来た」ということなのでしょう。

社殿はきわめて見事で、特徴があります。
「平野造り」あるいは「比翼春日造り」と呼ばれる二殿一体の本殿が、南北に二棟つらなり、南殿は1625年、北殿は1632年の建立である。東向きに並んだ社殿には、北から今木皇大神、久度大神、古開大神、比売大神の順に祀られている。つまり主祭神の社は後から完成した北殿です。
参道の末社の最後のところには土着の(先住の)クニツカミの猿田彦神社がありました。
以上、神社の由来記などからまとめてみましたが、天皇家と親密で神格も高い神様なのに、あまり聞きなれない名前の神様たちです。

私が小さいときには神棚に祀られている天照皇大神だけでなく、井戸の神様、便所の神様、竈の神様など、いたるところに神様がいました。
素人考えですが、天皇家の先祖のようなアマツ神ではなく、先住民のクニツ神でもない、原始宗教にちかいと思われるカマドの神様たちが、最高の神格を授けられて宮中にも祀られていることに、驚きと親しみを感じました。

現在は桜が有名で、数百本の桜が神苑に植えられています。花の季節にはさぞ見事だろうと思います。

同行者
カップル・夫婦(シニア)
交通手段
新幹線
旅行の手配内容
個別手配

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  • 御所の 蛤御門のちかくの紅葉です。

    御所の 蛤御門のちかくの紅葉です。

  • 二条城の天守閣跡から眺めました。<br /><br />黄色のイチョウと褐色のメタセコイアが見事でした。

    二条城の天守閣跡から眺めました。

    黄色のイチョウと褐色のメタセコイアが見事でした。

  • これからは「平野皇大神」の写真です。<br /><br />表紙にあげた鳥居からだんだん奥に入ります。これは門。

    これからは「平野皇大神」の写真です。

    表紙にあげた鳥居からだんだん奥に入ります。これは門。

  • 門を過ぎて最初の建物。舞台?

    門を過ぎて最初の建物。舞台?

  • 上の建物の角には「菊の紋」がついている。<br /><br />この神社の紋章は、たしか二重の桜だった。正式の名称は知りませんが。

    上の建物の角には「菊の紋」がついている。

    この神社の紋章は、たしか二重の桜だった。正式の名称は知りませんが。

  • 舞台?から比翼春日造りの本殿を見る。<br /><br />一番右、つまり最北の社に「今木皇大神」が祀られているので、主祭神が一番北に鎮座していることになる。

    舞台?から比翼春日造りの本殿を見る。

    一番右、つまり最北の社に「今木皇大神」が祀られているので、主祭神が一番北に鎮座していることになる。

  • 賽銭箱からすぐ先の拝殿の天井。

    賽銭箱からすぐ先の拝殿の天井。

  • 定石どおり右近の橘が植えられている。左近の桜はしだれ桜だった。

    定石どおり右近の橘が植えられている。左近の桜はしだれ桜だった。

  • 橘の実は 3センチたらずの小さいミカンだった。

    橘の実は 3センチたらずの小さいミカンだった。

  • 現在は桜が名物です。

    現在は桜が名物です。

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