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JR浦和駅の南西、約500m(さいたま市浦和区岸町3-17-23)にある調神社には、狛犬ならぬ狛ウサギがいます。<br />本殿は安政年間の建立ですが、1733年に建立された小型ながら見事な旧本殿は総ヒノキ造りで、調神社の隣の稲荷社に転用されているので必見です。<br /><br />律令制の「租庸調」により伊勢神宮に納める貢物の調をあつめる倉庫があった場所のようで、武蔵の国からの貢物の搬入・搬出にじゃまになるので鳥居がありません。これがこの神社の第一の特徴です。<br /><br />第二の特徴は調(ツキ)神社の名前です。調神社と書いて地元では「ツキノミヤジンジャ」と呼んででいます。そして中世に「調」と「月」が同じ読みなので月待信仰と結びついて、ウサギを神の使いとするようになったそうですが、それで神社の入り口に「狛ウサギ」が子ウサギを抱いて座っています。かわいいので睨みをきかす境界神の迫力はありません。<br />さらに、「ツキノミヤ」から「ツキの宮」となって、繁栄・成功を祈る対象にもなっています。<br /><br />ご祭神は天照皇大神、豊宇気姫命、スサノオノ命の三柱で、いずれも税金を取り立てる側のアマツカミです。この地が東国経営の貢物・税金の集積場所だったのでしょう。<br />訪れたときは七五三の季節で、拝殿には着飾った子供と家族が入っていました。<br />現在の本殿は安政年間の建立ですが、それまでの本殿は1733年に建てられた一間社流造りで、現在は稲荷社に転用され、調神社の隣の赤い鳥居を潜り抜けたところにあり、正面の破風の上部にもウサギが彫られています。<br />小さい社なので簡単に一回りできるのですが、社殿の両側の廊下?の突き当たりにも透かし彫りでウサギがいます。欄間からのぞくと顔が見えますが、外側から見たのではウサギの丸い尻しか見えません。<br /><br />古い記録と構造が一致しているので古い建築物と解るらしいのですが、風雨にさらされていて良いのかと心配になるような見事な建築です。<br />調神社を訪れたら、元来の本殿だったこの稲荷社を拝観されることをお薦めします。<br /><br /><br />

狛犬ならぬ「狛ウサギ」がいる調(ツキノミヤ)神社

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2010/11/09 - 2010/11/09

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ANZdrifter

ANZdrifterさん

JR浦和駅の南西、約500m(さいたま市浦和区岸町3-17-23)にある調神社には、狛犬ならぬ狛ウサギがいます。
本殿は安政年間の建立ですが、1733年に建立された小型ながら見事な旧本殿は総ヒノキ造りで、調神社の隣の稲荷社に転用されているので必見です。

律令制の「租庸調」により伊勢神宮に納める貢物の調をあつめる倉庫があった場所のようで、武蔵の国からの貢物の搬入・搬出にじゃまになるので鳥居がありません。これがこの神社の第一の特徴です。

第二の特徴は調(ツキ)神社の名前です。調神社と書いて地元では「ツキノミヤジンジャ」と呼んででいます。そして中世に「調」と「月」が同じ読みなので月待信仰と結びついて、ウサギを神の使いとするようになったそうですが、それで神社の入り口に「狛ウサギ」が子ウサギを抱いて座っています。かわいいので睨みをきかす境界神の迫力はありません。
さらに、「ツキノミヤ」から「ツキの宮」となって、繁栄・成功を祈る対象にもなっています。

ご祭神は天照皇大神、豊宇気姫命、スサノオノ命の三柱で、いずれも税金を取り立てる側のアマツカミです。この地が東国経営の貢物・税金の集積場所だったのでしょう。
訪れたときは七五三の季節で、拝殿には着飾った子供と家族が入っていました。
現在の本殿は安政年間の建立ですが、それまでの本殿は1733年に建てられた一間社流造りで、現在は稲荷社に転用され、調神社の隣の赤い鳥居を潜り抜けたところにあり、正面の破風の上部にもウサギが彫られています。
小さい社なので簡単に一回りできるのですが、社殿の両側の廊下?の突き当たりにも透かし彫りでウサギがいます。欄間からのぞくと顔が見えますが、外側から見たのではウサギの丸い尻しか見えません。

古い記録と構造が一致しているので古い建築物と解るらしいのですが、風雨にさらされていて良いのかと心配になるような見事な建築です。
調神社を訪れたら、元来の本殿だったこの稲荷社を拝観されることをお薦めします。


交通手段
JRローカル
旅行の手配内容
個別手配
  • 現在の社殿。

    現在の社殿。

  • 由緒が書いてありました。<br /><br />延喜式内の歴史が古い社です。

    由緒が書いてありました。

    延喜式内の歴史が古い社です。

  • 現在の社殿の彫刻。拝殿です。

    現在の社殿の彫刻。拝殿です。

  • これが稲荷社。安政年間まではこれが本殿でした。<br />1733年の建立で、小さいけれど見事な総ケヤキ造りの社です。

    これが稲荷社。安政年間まではこれが本殿でした。
    1733年の建立で、小さいけれど見事な総ケヤキ造りの社です。

  • 由緒が書いてありました。<br /><br />「つきじんじゃ」と振り仮名がありますが 地元では「つきのみや神社」と呼んでいて、アパートで「つきのみや荘」というのもありました。

    由緒が書いてありました。

    「つきじんじゃ」と振り仮名がありますが 地元では「つきのみや神社」と呼んでいて、アパートで「つきのみや荘」というのもありました。

  • 稲荷社正面の天井部分にあるウサギ。

    稲荷社正面の天井部分にあるウサギ。

  • 旧本殿の両側にある透かし彫りのウサギ。

    旧本殿の両側にある透かし彫りのウサギ。

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この旅行記へのコメント (3)

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  • marsyさん 2010/12/20 09:35:56
    はじめまして
    ANZdrifterさんおはようございます、そしてはじめまして。
    「狛ウサギ」のいる調神社旅行記拝見いたしました。
    この調神社はウサギ神社として有名ですよね。
    私も年賀状用の写真を撮りに、滋賀の大津にある三尾神社へ行ってきました(さすがに埼玉までは出かけられない)。
    京都の岡崎神社というのもウサギで結構有名なようで、この調神社をはじめ卯年の来年の初詣はさぞ賑わうでしょうね。

    では失礼いたします。「狛ウサギ」の調神社旅行記に“ポチッ”とな。

    ANZdrifter

    ANZdrifterさん からの返信 2010/12/24 16:46:21
    RE: どうぞよろしく
    MARSYさん こんにちは

    ご訪問と書き込み ありがとうございます。
    留守にしておりましたので レスポンスが遅れました。

    ウサギに関係する神社がいくつもあることまでは 思い及びませんでした。
    今後 少し気をつけなければ と思います。

    私の興味は もともと日本に住んでいた人たちの神様(クニツカミ)なのか、それとも後から日本に乗り込んできた支配者たちの神様(アマツカミ)なのか、という点です。
    これにからんで、留守にしている間に思いついたことを 少し書き足しておきました。

    > 私も年賀状用の写真を撮りに、滋賀の大津にある三尾神社へ行ってきました(さすがに埼玉までは出かけられない)。
    > 京都の岡崎神社というのもウサギで結構有名なようで、この調神社をはじめ卯年の来年の初詣はさぞ賑わうでしょうね。

    近畿地方の神様はアマツカミがほとんどのようですね。
    それでも来年、神様が暇になったころには 岡崎神社を訪ねてみようか などと思いました。

    まずは 御礼言上まで

    ANZdrifter

    ANZdrifter

    ANZdrifterさん からの返信 2010/12/27 17:15:37
    RE: 因幡の白兎を忘れていました
    因幡の白兎を祀った「白兎(はくと)神社」が鳥取市にあるのを忘れていました。神格は村社で 高くはありませんが歴史がある神社です。

    外国からワニ族を利用して日本に渡ってきた一族で、鳥取・兵庫方面に住み着いて、後から来たアマテラスやスサノヲなどのアマツカミと友好関係を結んだ一族の神社です。ウイキペディアで詳しいと思います。

    なお、ワニ族の後裔と思われる「和仁」という苗字は、富山・飛騨方面に多くみられます。
    遅ればせながらご連絡します。

    ANZdrifter

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