世界遺産ゼメリング鉄道を走る【04】「オーストリー人は高負担ながら生活に満足している」

2010/08/05 - 2010/08/05

2010年8月5日

最近改装されたばかりと思われる新しい「ウィーン・マイドリング駅」のプラットホームには、ローマ・テルミニ駅から着いたばかりの、寝台特急が停まっていた。

淡いブルーと黒を基調とする、そのスマートな塗装色を見ていると、旅に来た実感が胸に満ちて来る。


定刻より3分ほど遅れて、グラーツ・ハウプトバーンホフ行きの特急列車が、静かに入って来た。

一等車は、一室6人のコンパートで、私は現地の人らしい中年の男性が一人座っている部屋を選んだ。

久しぶりのヨーロッパ旅行で、早い機会に現地の人の誰かと、話してみたいと思っていたからである。

私は「ＯＫ？」と彼の許可を取り、部屋に入った。


彼が窓際の進行方向の座席に座っていたのに対し、私は対角線の座席に座った。

しばらくお互いに、様子を探り合う。

スーツにノーネクタイ、白地に赤い模様入りのスニーカースタイルに、私から先ず問いかけてみた。

「観光旅行ですか？」

すると「いや、仕事なのです」と答えて来る。


聞くところ、彼はガンの専門医で、今からグラーツに打合せらしい。

あちこちから要請が多くて、多忙のためなかなか休みが取れないと言っている。


私は一番聞きたい質問に、ズバリ踏み込んでみた。

「この国の人は、幸福なのでしょうか？」

すると彼は真面目になって「もちろんですとも、福祉も教育もバッチリで、皆満足していますよ」と答えた。


私は少し驚きながら「本当ですか？」と問い正せば、「税金はとても高いのですが」と、少し謙虚さを見せる。

「所得税は52％、その上に付加価値税が20％・・・。」

所得税の52％はやや高過ぎるように思えるが、彼が実際に払っている各種直接税の合計額と理解する。


㊟所得格差におけるオーストリーのジニ係数は0.26前後と、ＯＥＣＤ30カ国のうち4位の少なさである。（日本は0.32ほどで20位辺り）


写真は「ソフィーさんのマイページ」（訪問54カ国、文章1,590件　写真6,770枚）、にあります。
http://4travel.jp/traveler/katase/

スイスの写真が美しい「片瀬貴文さんのマイページ」（文章625件　写真2,400枚）
http://4travel.jp/traveler/takafumi/

ブログの作成日順に並んでいる、文章主体の「片瀬貴文の記録」（文章1,650件）
http://blog.alc.co.jp/d/2001114

（片瀬貴文）

エリア ウィーン(オーストリア)

• 旅行の満足度: 4.5
• 交通: 4.5

イタリアの寝台車
塗色や字体に洗練を見る

私の乗る
グラーツ・ハウプト・バーンホフ行き特急車

車内販売

最初に停車した
ニュー・ウィーン中央駅

ニュー・ウィーン中央駅

車窓風景
ウィーンを出発した列車は
しばらく平坦な田園風景を走る

列車はやがて山にかかる

車窓には
教会などの風景が

車窓から見える田舎の村が
美しい

列車の行き先に高い山が見えて来る
ゼメリング鉄道は
これを越えるのだろう

行き先にレンガのアーチが見えて来る
ゼメリング鉄道が始まった

線路は次第に高度を増す
この辺り山岳リゾートのようだ

ゼメリング鉄道には
このようなアーチ橋がたくさんある
こうしたデザインは環境への配慮が評価され
世界遺産指定の一根拠にもなったようだ

屋根や白壁の美しさに
思わずシャッターを切る

世界遺産となった鉄道の
駅広告には神経を使っただろう

環境に配慮した
駅名表示

グラーツ地域の
近郊輸送用電車