20100623カンボジア４：バイヨン

2010/06/22 - 2010/06/26

JTB「マイセレクト　シェムリアップ自由自在　プラス　ハノイ５」

初めての海外一人旅です。
２日目の訪問地４つ目（バンテアイ・スレイ→地雷博物館→タ・プロム）は、いよいよアンコールトムの中枢バイヨン。
ガイドブックで見ていた時には、大きな仏頭が四方に並んだ塔の景色が不気味で、行かなくてもいいかな？とよぎったものです。
ですが、この旅で一番感動した場所になりました。たとえるならば、京都の三十三間堂のような場所でした。
もしもまたカンボジアに行くとしたら、もう一度行きたい場所であり、次は仏像の前でじっと座って、ぼんやりとしばらく時間を過ごしてみたい。

エリア シェムリアップ(カンボジア)

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 15万円 - 20万円
• 航空会社: ベトナム航空

通りすがりのタ・ケウ。
ここも日本人に人気だそうです。
10世紀、ジャヤヴァルマン5世が作りかけた寺院。
時間がないので、車の中から見ただけで通過。

シェムリアップ川にかけられた、アンコールワットと同年代の石橋。
のちに博物館でアンコールワット展を見に行ったときに、もう少し正確な情報を得ました。
スピアン・トモーという名前で、16世紀に造られ、寺院の石材が転用されていることがわかっているそうです。

現在では、この石橋を守るため、川筋をかえたそうです。
橋げたの間から、現在の川の水面が緑色に見えました。

ジャヤヴァルマン7世は、道を作り、橋を造っただけでなく、全国に治療院を102作ったとか。
道中、そんなお話を聞かせてもらいました。
聖武天皇・光明皇后といい、仏教に帰依した王様らしいエピソードだと感じました。

通りすがりの遺跡シリーズです。
これは、トマノン。
12世紀、スールヤヴァルマン2世。
車の中から写真を撮っただけで通過。

通りすがりの遺跡シリーズです。
これは、トマノンの道向かいにある、チャウ・サイ・テボダ。
12世紀、スールヤヴァルマン2世。
こちらも、車の中から写真を撮っただけで通過。

遺跡がいっぱいありすぎー。
ここは奈良か？と思ってみたり。
遺跡が好きな人にとっては、一週間あったって時間が足りないことでしょう。

アンコールトムの勝利の門を通り、いよいよバイヨン入場です。
門そのものは車で通れるのーっ！？という幅でしたが、その中はとにかく大きい。広い。
アンコールトムは城壁都市で、この中にいくつもの遺跡があります。
寺院を作る人たちなど、何万人もの人が住んでいたそうです。
多くの建物は木造だったために残されていませんが、町の姿を想像しながら移動するのは楽しいです。
その中で、バイヨンというのは、ジャヤヴァルマン７世が作った仏教寺院です。

シンハ（獅子）たちが居並ぶ階段を上るのは勇気がいります。
このテラス、王様とか、お坊さんのためじゃないのかなぁ。

猫好きな私には、獅子も好物。
正午が近づき、だいぶお腹もすいてきました。

十字回廊には台座が残されており、昔はここにもいくつもの仏像が飾られていたのでしょうか。
後にヒンドゥー寺院に作り変えられたという経緯もあり、略奪や破壊に何度も見舞われた場所です。

こちらのデヴァターは、少し輪郭が摩耗していました。
１００体ぐらいのデヴァターがいると聞いたのはここかな。
足元や肩に鳥がとまったデヴァターが可愛かったのですが、写真を撮り忘れて残念。

クメールとチャンパとの戦争を描いたレリーフ。
象さんが活き活きとしているこちらの軍は、チャンパのほうです。

左がクメール、右がチャンパ。
前線は騎馬に槍を装備。馬装は頭絡と鞍のみであぶみはついていなかった様子がうかがえます。

中央祠堂に近づくほど、異様と威容を感じます。
四方に仏頭を配した塔は、全部で５４基だそうです。
さすがにこれは破壊もされず、略奪もされなかったようです。

扉を飾る浅いレリーフ。
繰り返しの雪輪模様にあしらわれた二羽の鳥。
見た瞬間、正倉院！！と心の中で叫びました。
テキスタイルだったか、こういう図案があったと思うのです。

神話を彫り込んだ目立つレリーフはもちろんですが、こういう空間を埋めるための地味なレリーフも本当に美しく思いました。

クメールの微笑。
そのアップが勢ぞろい。
ハンサムさんがいっぱいです。

ナーガを踏みしめるガルーダ。
氏族の勢力交代があったんじゃないか？とか、推測したくなるわけですよ。
宗教の勢力交代だけではなく。

それぞれの仏様も、よく見ると顔が違います。
現地では顔ばかり見ていましたが、今になって写真を見ると、冠の模様の細かさに気付きました。

その場では圧倒されちゃったんですよね。
何かを考えると言うより、ただただ感じていました。
今春、京都の三十三間堂に行ったときを思い出しました。
たくさんの微笑に囲まれて、これを作った人たちの祈りと、許しとを感じました。癒しと言ってもいい。
王様がこの場を作った理由は、自分が救われたかっただけではなく、自分の威容を示したかっただけではなく、もっと大きな救済を願う心があったのではないかと思うのです。
いや、思いたい、と言った方が正確か。
気持ちが揺さぶられました。

内部に入るときには、こんな表示がありました。
建築物が壊れやすいため、危険だということです。
別に危険物があるわけじゃないですよ。

このお顔はかなりハンサムさんだと思いました。
人気の撮影ポイントらしく、順番に観光客が並び、ガイドさんがシャッターを切ることが繰り返されていました。
私もソカさんに勧められましたが辞退。

正直なことを言うと、正午を回り、空腹と暑さもあって、ぼーっとしていただけかも。

中央祠堂から外を望みます。

そう言えば、ここだけのことではありませんが、寺院には封じてある門や扉がたまにありました。
作った王様が崩御した後に次の王様が扉を封じたり、参道に続いていない形だけの門があったり。

中央祠堂。
この光と影が印象的でした。
私一人だったら迷子になりそうで、その感覚が今も残っています。