「マレーの風」（２）喧騒のカオサン。

2009/09/22 - 2009/09/29

タイのバンコクを特徴づけるものは幾つかある。その代表的なものは市の西側を流れるチャオプラヤー川両岸に広がる広大な寺院群。バンコクを訪ねる者は、この内の一つか二つの寺院には必ずや立ち寄っているだろう。タイ語で「ワット・プラケオ」と呼ばれる「エメラルド寺院」（王宮寺院）、三嶋由起夫の小説で有名になった「暁の寺」（ワット・アルン）、更には又タイ古式マッサージ発祥の地である「涅槃佛寺」（ワット・ポー）などなど。

それから又バンコクの喧騒と渋滞。タイ人のエネルギーの源はどこにあるのか。元気で活動的で後ろを振り向かない。「マイペンライ」（どうってことないよ。気にしない！）は言葉の上だけでなく、彼等にとってはそれが生活の一部にもなっているのだろう。何と快活で広滑なのだろう。その一部としての喧騒と渋滞。

或いは又人によっては刺激的なタイ料理、「アハーン・タイ」を求めたり、魅惑的なオイルマッサージ、更には「ナイトマーケット」「ウイークエンドマーケット」での買物天国に魅力を感じているかも知れない。

実にバンコクはタイ語で言う「クルンテープ・マハーナコン・パイヤーンノイ」の通りの「天子の都」で、何でもありの都市。旅行者にとっても居心地の良い街かも知れない。

そうした外国からの旅行者が最も多く集まる場所、カオサン。この地区だけで数百を越えるゲストハウスが囲集し、ちょっとした小路、路地に入れば途端にそれらハウスの入り口にぶつかり、且つ碧眼紅毛の外国人が出入りしている。タイ人は彼等のことを「ファラン」と呼ぶが、日本人が彼等に持つ憧憬の念は少なく、かと言って卑下して呼んでいる訳でもない。ありていに言えば、「金を落とす人」、大事な収入源の一つ、位にしか見ていないだろう。

そのカオサン通りは今日も賑やかだ。世界中からの若者、青年男女、老年に至るまでの人々が昼となく夜となくこの通りを歩き、聞き慣れない外国語を耳にし、その間の物売りの嬌声、屋台の掛け声、路上にまで溢れ出ているデスコの轟音、などなど、健全なバンコク人ならそこに足を踏み入れることすら躊躇するような喧騒の巷にあった。

通りを一巡し、この騒音に飲み込まれ、身を委ね、通りに面したテーブルに腰掛け、ビールをラッパ飲みし、右から左、左から右、と絶え間なく流れ続ける人々の流れを見ているだけで、ああ、今日もバンコクへやってきたなあ、と感じ入っているのは僕一人ではないだろう。反対側のビヤホールの外のテーブルに座り、こちら側を見ている二人連れも或いはそうかも知れない。

嘗て新宿歌舞伎町が不夜城とも言われ、今もそうかも知れないが、僕に取っては、この街に来て、ここカオサンの喧騒の中で一時を過ごす、それがここ数年の密かな楽しみともなっている。

エリア バンコク(タイ)

バンコク、スワーナブーム空港はハブ空港で、成田よりも大きく、設備も整っている。

空港ビルからは各方面への長距離バス、バンコク市内へのリムジーンバスなども出ていて、交通は便利だ。

夕方知人と行ったバンコク市内の中華街「ヤワラート」での中華店の内装。先日公開された国宝、狩野永徳の「洛中洛外図屏風」を思わせる細密図である。

店内の様子。

フカヒレスープとかの料理。

同行した知人女性。彼女はチェンマイ出身とのことである。

カオサンの夜の喧騒。

その通りの入り口近くで木の彫り物を売っていたパタヤ出身の芸術家。

彼の彫り物の一つ、カメレオン。

彼から鷲（นกอินทรี ・ノックインシー）か鷹（เยียว・イアオ）の彫り物を１０００バーツで買う。８０ｃｍほどもある大きなもので、日本まで持ち帰るのが大変だった。