ホーチミン72時間の旅(4)日帰りツアーで水上マーケットからメコンデルタのクルーズを楽しみ、エレファントフィッシュに舌鼓。

2009/05/30 - 2009/06/03

ホーチミンの格安ツアーは現地のホテルの送迎以外はフリーなので現地の旅行会社をいろいろ比較して「スケッチトラベル」という会社のメコンデルタの1日ツアーを予約しました。ベトナムに行って現地の旅行会社やホテルには「スケッチトラベル」の冊子が置いてあり信頼もありました。コースはホテルに迎えに来てもらって、カイベーの町外れからボートに乗って水上マーケットを訪ねることから始まります。以前は近くに宿泊してマーケットを見に行ったことがあるのですが、ホーチミンを朝早く出てもマーケットに着くころには商いのほとんどが終わっていました。まあ雰囲気は感じられると思いますが。そのままボートはメコンデルタの水路を進み、いろいろなお菓子工場や果物農園を周ります。のんびりした2人だけの個人ツアーなので、ボートの上でも寛げます。ランチはメコンデルタの名物のエレファントフィッシュをいただきましたが、これは以前の旅では食べられなかったので良かったです。食後はボートを降りてマーケットを歩いたり楽しいツアーでした。サイゴニカオダイ教の不思議な寺院のファサードも見る事が出来て満足の行くツアーでした。

エリア ホーチミン(ベトナム)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.5
• グルメ: 5.0
• ショッピング: 4.0
• 交通: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 観光バス
• 航空会社: ANA
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行なし）
• 利用旅行会社: エアトリ

早朝の5時30分にホテルでピックアップされ、カイベーまで2時間30分程かかるとの説明がありました。朝8時過ぎの到着では水上マーケットが終ってるんじゃないかと思います。ホーチミン市内へ向かう反対車線はすごい渋滞でしたが、メコンデルタへ向かう下りはスムーズに流れています。

幾つもの小さい村や町を越えていきますが、その町によって特産品が違うようです。道路沿いでそんなものを売る屋台が見られて面白いです。村を通過するまで延々とアヒルの丸焼きを売っていたり・・・。

日本ではほとんど見掛ける事のない水道タンクもベトナムでは健在です。

ちょうど通勤ラッシュが始まる頃のようでした。交通手段はバイクが多いのですが、路線バスも充実してきているようでした。

共産党のスローガンの看板は以前に比べて減りました。家や塀にも書かれていました文字はほとんど見かけませんでした。

ただインフラ整備はまだまだなようで、いたるところが水浸しでした。まあそんな風景にベトナムらしさを感じるのですが。

カントーの町外れを右折して、3時間弱でカイベーの船着場に到着しました。以前の旅では1泊2日でメコンデルタを旅したので、この辺りは懐かしい風景です。

しばらくしてやって来たこの船に乗って1日クルーズになります。我々2名だけのツアーなのでお客は2名だけです。

この辺りの観光船はみなこのタイプです。

他にお客もいないので先頭に座って景色を眺めます。

妻はもちろん太陽光線が直接当たらない席に座ります。後はガイドさんと船頭さんだけの貸し切りです。

視界を遮蔽するものは無く、久し振りに広い空を見た気分です。

だんだん水上マーケットの場所に近づいているようで、水上の交通量も増えてきました。貨物船だけではなく底引き網を積んだ漁船も行き交います。

これからマーケットに向かう人もいるようなので少し安心します。マーケットは基本的に早朝から取引が始まり、午前8時にはほとんど活気がなくなってしまいます。

水上生活者の家族では小さな女の子も役割があってお手伝いしています。

どこの家も男の子は遊んでいる子が多く、手伝いをしているのは女の子が多いです。これは大人になっても同じようで、ベトナムの女性は働き者です。

渡し舟は買い物を済ませたおばちゃんで一杯です。

その横を米を満載した貨物船が通り過ぎていきます。

大きな貨物船は小回りが利かないし、スピードも落とせないので必然的に小さい舟の方が避けることになります。

水上マーケットに到着に到着しましたが仲買の船だけで小売りの船は一艘もいません。「スケッチトラベル」の案内では日帰りで水上マーケットの見学はこれだけと銘打ったツアーでしたが、他社に無いのが分かりました。ホーチミンを5時30分に出発しても水上マーケットの賑わいを見るのは無理なのです。

みんな一仕事終わってお休み中です。

スケッチトラベルの日本語ガイドはここまで連れてくれば仕事が終わったと考えているようで、説明も案内もしないで新聞ばかり読んでいます。

商売は終わっていますが、地元に帰る前の準備が残っているようでした。

以前は午前6時前からボートに乗ってマーケットを見学したので、8時過ぎではこんなものなのでしょう。事前にスケッチトラベルにも確認したのですが…。

まあポジティブに考え、周囲の人たちの姿を写真に撮りました。今回の旅は72時間で何が出来るかがテーマなので、メコンデルタで1泊という考えはありませんでした。

見渡す限り取引が終わった安ど感を感じます。

飲み物を売る船だけが行き交いながら商売を続けています。

絵になる風景はいくらでもありますが、水上マーケットの熱気や迫力を妻に見せたかったので残念ではありました。

巨大な尖塔を持ったカトリック教会が見えてきました。周囲の風景と釣り合わないような、場違いな感じがします。

周囲は見渡す限りのバラックのような建物が続きます。

そんな不思議な景色の大運河を帆先に目玉の描かれた貨物船がやってきます。

船の大きさと積み荷の大きさもアンバランスで、小学生の子供でももう少し上手に絵が描けそうです。

メコンデルタでは船が交通の要なので、水上のガソリンスタンドも見掛けます。ガソリンはリッター70円くらいでした。収入から考えると決して安くはありません。

ヴェネツィアのムラーノ島を思い出しました。

マリア様はこの尖塔の上からどんな時代の流れをご覧になってきたのでしょうか・・・。

しばらくクルーズを楽しんだ後はいくつかの工場見学に移ります。

船を下りての最初の見学はせんべい工場でした。工場と呼んでよいのか意見が分かれると思います。日本でもよく見かける型で焼くごませんべいですが、バナナのスライスしたものを焼いた方が美味しかったです。

おばさんが手際よく作業を進めていきます。これを近所で売り歩くのか、1日どれくらいの収入になるのでしょうか。

せんべい屋の隣はポン菓子工場で、燃料は米の殻ですので完全なリサイクルです。他にもココナッツの殻を乾燥させて燃料にしているようです。

ココナッツの実のスライスと黒砂糖を火にかけていきます。

10分程でトロトロの飴状になります。

そこへ炒った米を入れます。

手際よくかき混ぜていきます。

ここからは時間の勝負なので、2人で4本のヘラを使ってリズミカルに絡ませていきます。

なにか楽器でも演奏しているようにも見えます。

全部混ざったところで釜から板に移します。

大体どんな工程なのか見当がつきますね。

柔らかいうちに木枠の中に広げていきます。

ここも2人掛かりで手際よく進めます。

ここからは道路の舗装と同じような作業です。手で伸ばしてローラーで平らにして、定規と包丁でカットして出来上がりです。

どう見ても舗装道路を作っているようです。

違うのはここからで、木枠に設けられた筋に沿って切り分けていきます。

20分ほどで「雷おこし」の出来上がりです。

続いては焼けた鍋に砂をひいて熱していきます。

砂が十分に焼けたところで次の作業に入ります。

もみ殻が付いたままの米を混ぜ込むと途端にポンポンという音がしてきます。

爆ぜた米と籾殻と砂を篩（ふるい）にかけて選別します。砂は鍋に、籾殻は燃料になるので無駄はありません。

あっという間の作業で綺麗に分けられました。

香ばしい香りがしていました。もう1軒の飴工場を見学するはずでしたが、そのまま船に乗ったので別の場所なのだと思っていましたが、結局予定に入っていながら見学はありませんでした。帰国後にスケッチトラベルに問い合わせると「ガイドは船に乗る前に1か所見学が出来なくなったと伝えたと言っています。ただ、その時にバイクが通りかかったので聞こえなかったかもしれません。」って？ガイドも適当でしたが日本人の担当者も適当でした。

ノンラーを被った女性の姿が絵になります。こんなのどかな風景の中をゆっくり進みます。

渡し船を待つ人たちはたくさんの荷物を携えています。

どこの家も川に向かって出入り口が設けられています。

そんな家の鼻先を巨大な貨物船が通り過ぎてゆきます。

洗濯物は日除けにもなり、プライバシー確保のためのシェードにもなるようです。

川辺で必ず見掛けるのが棺屋さんです。以前の旅でも見掛けました。売り買いした後は船で運ぶので河辺での商売が便利なのだと思います。

水上マーケットの見学はこれだけで終わりました。竹竿の上に扱う野菜を吊るした仲買船の姿やそれに群がる小売りの小船の姿は見る事が出来ませんでした。

次の果樹園に行くまでしばらく日光浴を楽しみました。

支流に入ると川岸の雰囲気が変わってきます。

支流を行き交う船は見掛けません。

以前の旅ではファングラオー通りのTROPIC TOURという会社の1泊2日15ドルというツアーでしたが、こんな細い水路を手漕ぎ舟で分け入ったりして面白かった記憶があります。

1軒の果物農家のお宅を訪問しました。この辺りでは有名な古いお屋敷の残った果樹園だそうです。

庭のそこかしこにジャックフルーツやドリアンなどがたわわに実っています。

見上げると巨大な果実が下がっているのでちょっと怖いです。

スターフルーツの黄色い実もたくさん生っています。

これは台湾の屋台でよく見かける蓮霧が木に生っているのは初めて見ました。

レッドバナナは普通のバナナの3倍くらいの値段で取引されるそうです。

美味しそうなドリアンの実です。

物すごいトゲトゲ感です。

こちらはグアバ。

小さな水路には蓮が咲き乱れています。

こんな泥水の中から美しい姿を現すのが不思議です。

これまで旅してきた東南アジア各地で見た蓮の花のことを思い出します。

色づいて食べ頃のようです。

こんな不思議な造形は人間には考え付かないでしょうね。

レッドジンジャーがきれいに咲いていました。個人的にはこの花を見るとバリ島を思い出します。

妻の顔が小さく見えます。

果樹園を散策した後はフルーツの試食があります。冷たく冷やしたマンゴスチンはとても美味しかったです。

ジャックフルーツも完熟していて美味しかったです。

混んアたくさんのフルーツを出していただき、食べ切れなかったものは持ち帰りました。

とても美しいお屋敷で、近年にかなり修復されているようでした。家の造りはニャー・ルォン（柱の家）というベトナム南部独特の建築様式です。建物内部の柱は梁はピンカドという花梨に似た硬くて丈夫な木材が使われています。

先祖代々の仏壇はとても立派でした。この家の子供たちは独立して海外で生活されているそうで、年配のご夫婦が農園を管理されていました。

ベトナムっぽいコンクリートのベンチが置かれてました。この建物はベトナム南部特有の柱格子の外壁で覆われています。材質は雨に強い沙羅双樹を使用しています。

表からは中を覗き見ることは出来ませんが、建物の中からは表の景色が良く見えます。また風通しが良く日陰になる内部では快適に過ごせます。

ゲストルームもあって宿泊も出来るそうで、フランス人観光客が多いとのことでした。

再びボートに乗って次の観光に移ります。

また細い水路を進んでいきます。

木製の簡単な橋が架かっています。この上をノンラーを被った人が自転車で通らないかとカメラを構えましたが、空振りに終わりました。

水路の脇には道路も平行しているので地元の生活も垣間見られます。

チャンパの遺跡か仏塔かと思ったらレンガ工場の窯でした。水路の左右にいくつも見られました。

内部は巨大なドームになっていて、煉瓦を並べているのを見たことがあります。だんだん前の旅の記憶が蘇ってきました。

少し大きな水路に出ると貨物船が姿を現します。

おばさんが東屋の修理をしていますが、基礎のコンクリートが歪んでしまっています。

メコンデルタの小舟は立ち漕ぎで、2本の櫓を交差させて漕ぐのがお約束です。

渡し舟を待つ人を眺めながらカンザーとヴィンロンの間の水路を進みます。

水浴びしていた子供が手を振ってくれました。

子供の頃の自分に似ているのでちょっと驚きました。

大きな貨物船が行き交う川に出まいた。この日一番の大きな船に出くわしました。

たくさんの荷物と人を乗せた船は中距離の町を結んでいるようです。

どことどこを結んでいるのかは観光客には知る由もありません。

気持ち良い風が船の中を通っていきます。

視界が開けて空が広いです。東京では見ることの出来ない空の広さです。

どこへ向かっているのかは全く分からなくなりました。

トンレサップ湖から流れてきた巨大な布袋草の中に小屋が浮かんでいます。

ここは水上の喫茶店でした。

周辺にはニッパヤシの林が続きます。　
赤錆〔あかさび〕の水のおもてに
ニッパ椰子が茂る。
満々と漲〔みなぎ〕る水は、
天とおなじくらゐ
高い。
むしむしした白雲の映る
ゆるい水襞〔みなひだ〕から出て、
ニッパはかるく
爪弾〔つまはじ〕きしあふ。
こころのまつすぐな
ニッパよ。
漂泊の友よ。
なみだにぬれた
新鮮な睫毛〔まつげ〕よ。
なげやりなニッパを、櫂〔かい〕が
おしわけてすすむ。
そんな金子光晴の詩を思い出します。

どうやら目的地に到着したようです。そろそろお腹が減ってきていました。

ボートによるメコンデルタクルーズはここで終わりです。川辺のレストランで昼食です。

まずはカニ身がたくさん入ったトロミのあるスープ。今朝は何も食べていないので胃がホッとして美味しいです。

冷たいビールで喉を潤してご機嫌になりました。

タイガービールのマーク入りドレスを着たウエイトレスさんがサービスしてくれます。

続いて揚げ春巻きが出てきました。皮はベトナムの網目状なのでサクサクです。

そしてメインはミトーの名物であるエレファントフィッシュです。2人用なので小さいですが美味しかったです。これに豚肉ご飯が続きます。

名前の由来は「象の耳の様に大きな魚」という意味です。形が崩れないように立ててサービスされます。

そしてお姉さんが取り分けてくれます。

カリカリのうろことサクサクに揚がった身を取って、野菜と一緒に春巻き仕立てにしてくれます。

残った身は妻が取り分けてくれました。川魚ですが骨までカリカリに揚げてあるので臭みなどはありません。

眼に来たときは1泊2日で15ドルの格安ツアーだったので、ミトーに来ていながら食べる事が出来なかった料理です。これで思い残すことはありません。

食後は市場見学ですがライスペーパー工場とココナッツキャンディー工場の見学は知らないうちに割愛されていました。これは帰国後にスケッチトラベルにクレームを入れましたが、ノラクラ言い訳を聞かされました。

市場に入ってもガイドさんは何の説明もしてくれません。まあ勝手知ったベトナムなので説明は必要ありませんが。

綺麗に並べられた豆やお米を並べた乾物屋さん。商品の並べ方がきれいです。

乾したカレイやダシじゃこのような小魚が並んでいます。ほとんどが海の魚のようでした。川魚ではダシが出ない気がします。

ベトナムのパイナップルは小さいけれど味が濃厚で美味しいです。

昼過ぎでまり活気はあまりありませんが、その分ゆっくり見学できます。

昔はホーチミン市内にもこんな市場がいくつかありましたが、現在は見掛けることは無くなりました。

午後の気だるい空気が漂っています。

元気なのはアヒルの雛だけでした。

生まれたばかりの雛が寒そうに震えていました。

こんな風に紙袋で売られるのでしょうか？

これだけの数がいるとピヨピヨと騒がしかったです。

チェーというベトナム善哉のお店です。

リヤカーの上には大きなたらいが吊られ、炭が入っていて上の網ではバナナやバナナの葉で包んだ何かを焼いていました。

こちらのおばさんは白エビのようなものと小魚を売っています。大きなたらい2枚だけの商売ですが、1日でどれくらいの売り上げになるのでしょう。

隣のおばさんはアヒルを売っているので賑やかですし、1羽売れればある程度のもうけもあるのではないでしょうか。

エレファントフィッシュの仲間のような魚も売っていました。

生きたままの小魚はどんな料理になるのでしょう。ただ、食べるところは少なさそうです。

メコンデルタと言えば蟹ですよね。

ドラゴンフルーツはここでも人気です。

メコン川のデルタ地域ですが海からの食材もたくさん売られています。エビやイカはベトナムの人も好物です。

このカニはとても美味しいです。帰国前にホーチミン市内の有名店へ食べに行きました。

籾のついたままのお米も売られていました。

これはお供えですが、ニンニクがきれいにおしゃれしています。

普通の家のようですが、道教の祠堂になっていました。

万屋（よろずや）という言葉が似合いそうなお店です。でも観光客には縁のないお店でもあります。

ベトナムにXe Lam(セ・ラム)という乗り物があります。セは車の意味でラムはランブレッタの意味で、Lambrettaはスクーターを製造していたイタリアのメーカーです。ハンモックを渡して運転手はお昼寝中です。

郊外ではたまに見かけますが、ホーチミン市内は乗り入れ禁止になったそうです。

かなり古いラ・セムで何度も色を塗り直しているのが分かります。ハンドルと前輪の雰囲気は完全にスクーターです。マーケット巡りで観光は終わりホーチミンに戻ります。

帰路のロードサイドにあったカオダイ教の寺院です。メコンデルタ周辺の町ではよく見かける寺院です。

カオダイとはベトナム道教の最高神玉皇上帝のことで、教会堂の祭壇中央や寺院の表で信者を見下ろすように設置される目玉はカオダイの神の目です。これは「天眼」と呼ばれ「宇宙の原理」「宇宙の至上神」の象徴し、この目玉はカオダイ教のシンボルマークでもあります。

キリスト教のカトリックの側面が見られる一方で、古来からの精霊崇拝の要素も取り入れられています。孔子や老子、釈迦や観音菩薩、キリストやムハンマド、さらには李白や太上老君（老子）、ソクラテスやトルストイ、ヴィクトル・ユーゴーなどを聖人や使徒として仰ぎます。

いくつかの見学地を飛ばしたので予定より早い時間にホーチミンに戻る事が出来ました。水上マーケットは終わった頃に到着するし、スケッチトラベルのこのツアーはお勧めできないですね。日本語ガイド付きですが説明も無いので意味なかったです。新カフェの英語のツアーを予約していけばよかったと後悔。まあ全体的には楽しかったので良しとします。