2008/03/21 - 2008/03/24
676位(同エリア768件中)
じんさん
この旅行記スケジュールを元に
2008年にマルタへひとり旅をした時の記録。
(2019.05 回顧録として再編集)
マルタ共和国は地中海にある島国で、位置的にはイタリアンブーツの先っちょにある石ころみたいな処。今では語学留学や旅行先としてテレビで取り上げられているのを時折見ることもあるけれど、当時はまだ「ヨーロッパ辺境の一国」という風に感じていた。
ドイツに駐在し始めてまだ1年も経っていなかった頃、週末の楽しみは車や飛行機で世界遺産巡りに出かけ、ヨーロッパについて体験的に学習することだった。そんな駆け出しの世界遺産ハンターとしては、マルタにある文化遺産、ヴァレッタ旧市街、巨石神殿、地下墳墓の3件は、ただ単に件数稼ぎという点だけでなく、それぞれがパワーワードとしてだいぶ突き刺さって来るものがあった。さすがに1泊2日ではこの3件を回りきることはできないだろうし、行って帰ってくるだけでもかなり時間がとられる。いつものような週末旅行では無理だろうから、始めて迎えるイースター休暇の4日間でマルタへ行ってみようと計画した。
イースターの3、4ヶ月前からエアチケットやらホテル探しを開始。エアチケットはなるべく安く。高くても往復400ユーロ以下がいい。で、見つけたのが「行きがドイツからの直行便、帰りが1ストップの経由便」という組み合わせ。行きの便はマルタでの到着時刻が午後2時過ぎとほど良い。一方、帰りの便はマルタを朝方に出発するもので、1日の使い方としては無駄が大きい。3泊4日とは言うけれど、実質的に2日半の自由時間。されど、懐事情もあるのでこの辺で妥協することにした。
問題はマルタ滞在中の計画。当時、マルタに関する情報量が圧倒的に乏しかった。日本を出てくる時にマルタという国名すら知らなかった自分は、当然ガイドブックの用意もなかった。だいぶネット社会になっていた頃だったけれど、それでもマルタに関する情報量は限られたもの。頼りのGoogleMapも何でかマルタだけはほぼ白地図状態。そんな中でのホテル手配、バスやフェリーでの移動計画、地下墳墓見学の予約手配にだいぶ苦労した思いがある。
いよいよフライト当日。搭乗したAir Maltaの機体はアルプス山脈を越え、イタリア半島を縦断した後、シチリア島の上空を通過。ドイツから2時間半かけ、青々とした地中海に浮かぶ島国へとやって来た。最後に機体は大きく右に旋回し、着陸準備へと入った。座っていたのがたまたま右側の窓側席。マルタの島々を空からたっぷりと観察しながら、そこへ降り立つ前から「来てよかったなぁ」という思いがこみ上げた。
空港に到着するとしっかりと入国審査が待ち構えていた。マルタ共和国はこの年の3年ほど前にEUに加盟。かつシェンゲン協定への加盟国でもあったことから、ドイツからやって来た自分はすっかり国内旅行感覚で空港を出られるのかと思っていた。ところが、イミグレでの出口渋滞と入国カードへの記入が求められ、少しまごついた記憶がある。この旅の後でネットで調べたところ、当時、海路で他のシェンゲン協定内の国からやってきた場合は入国審査が廃止されており、空路で入国する場合は2008年の3月末頃に廃止、という話だった。
結局、空港から出て来られたのは午後2時半過ぎ。マルタでの初日と2日目の夜は訳あってヴァレッタからバスで小一時間ほどのブジッパ(=セントポールズベイ)という町にあるホテルに予約を入れていた。ブジッパというところはビーチリゾートで特に有名な史跡名所があるわけでもない。泳ぐのにもまだ時期が早いし。直接ホテルに向かってもすることは無かったので、まずはバレッタを観光することにした。
空港のバス停でヴァレッタ行きのバスを待っていた際に、同じく日本から一人でやって来たと言う旅行者のK氏から声をかけられた。その後、バスの中でもいろいろと話がはずみ、一緒にバレッタ市街を散策することにした。彼が予約していたホテルは自分のとは違ってバレッタ市街のど真ん中。バレッタを観光する上ではバツグンの立地条件。K氏とは空港で出会ったばかりではあったものの、彼の部屋に荷物をおかせてもらうことにして、一緒にバレッタ市街の散策に出かけることにした。なかなか暑い日だったのでこれはものすごく助かった。
バレッタ市街の散策を始めると少し街の様子がおかしいことに気付く。どこの施設も閉館状態なのだ。時間は午後3時を過ぎたばかりで、普通だったら閉館にはまだ早い。街の先端にあるセントエルモの砦の前に立ち、ようやく悟ったことはこの日が「Good Friday」という特別な日であること。それで大概の施設は休みなんだということ。敬虔なカトリック教国であるマルタにとって”復活祭前金曜日(Good Friday)”は、クリスマスや元旦と同じぐらい、いや、ひょっとするとそれ以上に特別な日なのかもしれない。実際、この後には街中を練り歩く典礼の大行列にも遭遇。何も知らずにこの地へ乗り込んだことを少しばかり気恥ずかしく感じながらも、この特別な日をポジティブに楽しむことにした。
K氏と夕食を一緒に食べた後、K氏の部屋から荷物を引き上げてバスでブジッパへと向かった。(K氏とはこの後、マルタ滞在中に二度三度再会することになる。マルタとはそんな狭い島国なのだ。)ブジッパまでは海岸沿いのルートで行くと45分ほど。ブジッパのバス停に着いた頃にはすっかり暗くなっていたのだけれど、記憶を頼りに予約していたホテル「Crown Hotel」を目指して歩き始めた。ところが、自分がイメージしていた場所にそのホテルはなく、マンションが建っているのみ。あちこちの店で道を尋ねながらブジッパの夜を彷徨い歩くこと1時間、ようやく予約したホテルへとたどり着いた。そもそも予約サイトの地図が間違ってていい加減だったり、自分なりに場所を調べた結果も間違っていたのが要因だった。ちなみにこのホテル、1泊35ユーロで朝食付き、という安さのみが売り。滞在2日目はマルタ島の北端の港からゴゾ島へ渡ろうと考えていたので、できるだけ近い町のホテルに予約しておこうと考えていたのだけれど、それ以外はほとんど良いところが無かった。チェックアウトの際には支払いに使ったクレジットカードの裏面に記載されているセキュリティコードまで問われたり。こんなことはこれまでに行った世界中のどのホテルやレストランでも聞かれたことがない。もちろん頑なに断ったのでその後も何も起きはしなかったし、本当に怪しいところだったかどうかは判らないけれど、今はもうこのホテルは潰れてしまっているのは確かなようだ。
こんな感じで始まったマルタ3泊4日の一人旅。2日目はゴゾ島への日帰りツアー、3日目はタルシーンの地下墳墓見学とブルーグロット(青の洞窟)などを巡っていく。
表紙写真:
イースターのお祭り中のヴァレッタ旧市街
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 2.0
- グルメ
- 2.5
- 交通
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス 船 ヒッチハイク 徒歩 バイク 飛行機
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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登場便エア・マルタの機内食。
メニューはハムとポテトとツナサラダをメインに、パンが2つとチーズとバター、それとクッキー。ヨーロッパの2時間クラスのフライトのサービスとしてはなかなか上出来な内容。 -
イタリア・シチリア島のパレルモ上空にさしかかる。眼下に見える空港はその郊外のPunta Raisi?空港と思われる。飛行機はここからあと30分するかしないかでマルタ上空へ。
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空港からバスに乗って首都バレッタ市街の外れにあるバスロータリーへ。乗車時間は約30分ほど。電車や地下鉄の走っていないマルタにおいてはこのバスロータリーが中央駅に相当する。ここからマルタ島内の各方面へのバスが発着。ロータリーの中には今は無き「マルタバス」カラーのバスがたくさん。バスの型式は様々だったけれど、みんな同じカラーリング。見た目の雰囲気が猫バスっぽいということから日本人観光客にも人気があった。ちなみに通貨は既にユーロが正式導入されていてマルタデザインの硬貨も出回っていたが、マルタ国内では旧マルタ通貨からの移行後間もなかったため、バス代は3.11ユーロだとか1セント単位で非常に細かいものだった。
メイン バス ターミナル 駅
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バックをK氏のホテルに置かせてもらい、バレッタ市街の散策開始。まず通りかかったのが考古学博物館。早速入ろうとしたところ、入口の横に立っていたおっさんが「明日の朝9時に来なされ」と。まだ3時過ぎたばかりだとう言うのに見学できないらしい。
国立考古学博物館 博物館・美術館・ギャラリー
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続いて聖ヨハネ聖堂。ここにも入れなかった。
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騎士団長の館付近。隣の建物と繋がるアーチ状の通路があり、好みの雰囲気の街並み。ただ、中央に写る車は実はゴミ収集車、というのは言わなければわからないこと。
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騎士団長の館。言わずもがな、ここもお休み。
騎士団長の宮殿(ステイトルーム) 城・宮殿
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バレッタ市街の街並み。石畳の真っ直ぐな道がヴァレッタ市街を格子状に貫く。
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聖エルモの砦。入り口はクローズしてる。
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聖エルモの砦のお堀。当然のようにここにも入れず…。
聖エルモ砦 建造物
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バレッタの北側を回ってみることに。
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バレッタ市街の街並み、その2。起伏はあるけど、どの道も街をスパっと割ったように続く。
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バレッタ市街の街並み、その3。
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鐘楼。
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バレッタ市街の街並み、その4。
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バレッタ市街の街並み、その5。
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海岸沿いの道を歩き続けたところ。
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少し日が陰ってきた。
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サボテンがいっぱい。マルタではそう珍しくはない光景で、ブロックを積み重ねた垣根にところどころサボテンが茂ってる、というのが郊外では結構定番。
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ヴァレッタはユネスコの世界文化遺産に登録されている。
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赤い電話BOXと赤いポスト。こういうところはイギリスっぽい。マルタは一時的にイギリス領になっていたことがある。
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散策中に、突如人垣に遭遇。なんだ?なんだ?
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全然見えないので、カメラ掲げてブラインド望遠撮影。
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やっと何か撮れた。
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通りを回ったら、ちゃんと見られる場所に出てきた。
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復活祭前の金曜日、敬虔なカトリック教国であるマルタでは年に一度の重大な典礼の真っ最中だった。
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アッパーバラッカ庭園からのスリーシティーズの眺め。
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ブォォォォォォーっと汽笛。
街に不釣り合いな超巨大なクルーズ船。
こんなでっかい船でも入れる港だったのか!? -
巨大なクルーズ船とスリーシティーズ。でかい、でかすぎる。
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クルーズ船が向かう先。
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出航するクルーズ船。出られるのか?
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アッパーバラッカ庭園。そろそろ日が沈む。日程の関係でヴァレッタの観光はこれで最初で最後。
アッパーバラッカガーデン 広場・公園
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K氏と共にホテル近くのレストランで夕食。イースターのせいもあるだろうが、ヴァレッタ市街には意外に開いているレストランが少なかった。この日の夕食はローカル食材としてウサギ肉を食べた記憶がある。マルタでは畜産が少なく、ウサギ以外の肉は輸入が多い。
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夕食を終えた後も典礼はまだまだ続いていて、その様子を街灯が更に神秘的に魅せていた。
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この後はバスで45分かけ、予約したホテルのあるマルタ島北側のブジッパ(=セントポールズベイ)へ。ホテルが見つからず迷った話は冒頭の通り。夜10時を過ぎてからホテルにチェックインしてそのまま就寝。
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この旅行記へのコメント (2)
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- kazさん 2008/04/01 21:59:43
- Kです
- どうも、K氏です。
こちらこそ夕食まで付き合っていただきありがとうございました。荷物置いてもらったホテル(カスティーユホテル)は、見ての通り古め、狭めでしたけど、一応バスタブがあって湯船に浸かれました。最上階のレストラン(朝食場所)からの眺めも良く国内某予約サイトで一泊4,200円(時期により価格は変わるでしょうが)なら悪くなかったと思いました。旅行記続き楽しみにしております。
- じんさん からの返信 2008/04/02 04:52:56
- RE: Kです
- こんにちわ。その節はお世話になりました。
私は今回、いろいろな都合で朝早く出なければならないパターンが多く、ホテルでの朝食は初日の1回しか取りませんでしたが、そのホテルの朝食は味も景色も最悪でした、、、。2日目、外で買った温かいパンとかの方が美味しかったです(^^;
また後で3日目、4日目、時間見てアップしていきますので宜しくどうぞ!!
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