お得！アラビアンパスでエミレーツ航空のファーストクラス

2006/12/28 - 2007/01/28

2006年12月、中東湾岸諸国を周遊したわけだが、湾岸諸国では国境を越えるような鉄道が走っているわけでもなく、バスで広大なアラビア半島を駆け抜けるにはサラリーマンにはとても時間がない。効率よく周遊するためにはどのようにすればよいのだろうか・・・。時間のない我々のような者の強い見方がある−エミレーツ航空（ＥＫ）のアラビアンパスだ。

　アラビアンパスを利用すれば06年12月、ドバイからオマーンのマスカットまでＹクラスで５０US$、ドバイからイエメンのサナアまで僅か１２０US$と、UAEのシャルジャーをベースにする格安航空会社エア・アラビアよりも安い場合がある。

　アラビアンパスは格安で中東を縦横無尽に移動できるメリットだけではない。何とアラビアンパスで破格にビジネスクラスやファーストクラスを利用できるのだ。エミレーツ航空（ＥＫ）のファーストクラスとラウンジは世界的に大変評価されており、アラビアンパス範囲内でカイロやベイルート、サナアと少し遠めの場所に行くのであれば、ファーストクラスへのアップグレードは十分価値がある。因みに今回私はドバイからサナアまでファーストクラスを２４０US$で利用した。普通では有り得ぬ金額でだ。

　ドバイからサナアへ向かう前日、私はオマーンのマスカットからアラビアンパスを利用し、ドバイに昼過ぎに到着した。ドバイからサナアへ向かうエミレーツ航空は翌日午前7時10分発、時間は十分すぎる位ある。その為、午後はドバイ市内を散策し、夜頃合を見計らって空港に戻ってきた。
　
　夜 20時前、空港に戻ってチェックインを済ませ、向かった先はＥＫのファーストクラス・ラウンジ。　ラウンジに入ると、受付でラウンジチケットを渡し、中へと進む。ラウンジではインターネット、シャワーが完備されているのは当然だが、革張りのソファーに座ると包み込むように柔らかく心地良かった。そして落ち着くライトアップは視覚的に、噴水の水の音が聴覚から心を安らぎを与えてくれる。身体が疲れていれば、二階に上がるとマッサージチェアーが身体を解してくれる。何と快適な空間なのだろうか！　

　ラウンジ内には勿論軽食も用意されている。否、軽食と言うにはメニューも豊富過ぎるほどある。スープ、主菜、サラダ、そしてデザート・・・、何処かのバイキングにでも来たのではないかと思うほど種類も豊富で、しかも美味しい。勿論アルコールも豊富に取り揃えられている。

　そして今回のように、フライトまでの時間がある場合、スタッフに言えば個室ベッドも用意される。個室は数に限りがあるため、夜遅くラウンジに入ると満室になってしまい、利用できない場合もあるので注意が必要だ。

　個室には、写真のようなベッド(何と150cmくらい長さのある抱きつき枕までも！）、シャワー、トイレ、ズボンプレッサー、テレビも完備、ビジネスホテル並みの設備が整えられ、快適に眠ることができる。アラビアンパスでサナアなど、早朝便を利用する場合、夕方から20時くらいまでに空港に入れば、ラウンジで夕食もとることもできれば、シャワーを浴びることもでき、そして個室を利用すれば安ホテルよりも更に快適な時間を過ごす事もできる。それだけでもアラビアンパスでファーストクラスを利用する価値は十分だ。

　注意することと言えば前述した通り、個室の数は限りがあるので、早めにラウンジに入ることと、朝食を食べ過ぎないことか。朝食を食べ過ぎるとファーストクラスで飲めや食らえの料理が待っているのだから。

　翌朝ラウンジを後にした私は搭乗口に移動した。そして6時25分、優先搭乗が始まった。ブリッジを渡り、ファーストクラスの入口から飛行機に搭乗すると、CAは笑顔で迎えてくれ、席まで案内してくれた。そして席に着くと直ぐにウェルカムドリンクでもてなしをうける。ファーストクラスは12席あるが、今回利用客は僅かに4名、ファーストクラスの担当のCAは4名、ほぼマンツーマンでの対応だ。

　7時10分、ドバイを離れ、一路サナアへ向けて出発した。2時間50分の短時間フライトだが、座席間隔は広く、そしてフットレスが水平になるため、足が大変楽だ。ヘッドフォンもエコノミークラスとは比較にならないほど柔らかく、耳当たりの良いもので、機内のエンターテイメントはエコノミークラス同様に500チャンネルではあるが、エンタメのプログラム表は金色のケースに入っており、エコノミーとの格差を見せ付けられた。

　水平飛行になると、朝食が配膳される。カートで先ず運ばれてきたのが、フルーツの盛り合わせとパン6種類、そしてヨーグルト。もちろん好きなものを選ぶことができる。そしてパンを食べ終えても、これでもか、とどんどんパンが運ばれてくる。

　そして主菜は10種類位の中から選択。目玉焼きや、卵焼き、チキンカツレツ、野菜炒め等種類も豊富でどれも美味しい。またワインは10種類の中から選択できる。凡そ3時間と言う短いフライトでありながら、これだけの機内食が出るのには驚くばかりだ。

　日本から中東を周遊するのであれば断然アラビアンパス、そしてサナア等2時間30分を超えるフライトであれば、ファーストクラスを利用することをお勧めする。またサナアにいくのであれば、エミレーツの日本からサナアまでの通しのチケットを購入するのではなく、ドバイまでのチケットを購入し、そしてドバイ・サナア間はアラビアンパスで発券すれば、それだけでも日本・サナアを通しで購入するよりも安い場合もあるし、ドバイ・サナアをアラビアンパスによりファーストクラスにアップグレードできる。

　Ｙクラスが１２０ＵＳ＄に対し、Ｆクラスが２４０ＵＳ＄、果たして価格だけの価値があるものなのか？　こう考えてみたらどうだろうか？　ドバイでストップオーバーし、ドバイを観光後、4つ星ホテルに泊まれば１００ＵＳ＄はする。それに夕食をとれば１0US$から20US$と想定しよう。更に翌朝便であれば、ホテルを早朝に出発せねばならず、大変忙しい朝となり、朝食をとることもままならない。
　
　つまりホテル代と夕食代でファーストクラスへのアップグレード料金の元が取れる計算になる。何故ならＦクラスを利用すればラウンジの個室に宿泊でき、ラウンジ内でビールやワインを飲め、食事も取れるのだから。更に空港内で宿泊しているのだから。そして早朝便であれば、搭乗の３０分前にラウンジを後にしても十分すぎるくらい時間がある。つまり２４０ＵＳ＄で元以上にとることができる。

　アラビアンパスでのファーストクラスへのアップグレードがどれほどお得なのかお分かりいただけただろうか？　日本から中東を周遊するのであれば断然アラビアンパス、そして2時間30分を超えるフライトであれば、ファーストクラスを利用することをお勧めする。是非サナアへ行かれる方はこのアラビアンパスでのファーストクラスの利用を試して欲しい。

エリア ドバイ(アラブ首長国連邦)

• 交通手段: 高速・路線バス タクシー
• 航空会社: エミレーツ航空

ご存知、エミレーツ航空のベースとなっているドバイ・シェイクラシード空港。空港のエキゾティックな雰囲気は大好きです。更に床にカーペットが引かれているため、老若男女昼夜を問わず床に転がって寝ている人がいます(確かに寝心地は良いです）。

エミレーツ航空のファーストクラスのラウンジ。ラウンジの利用者は殆どおらず、ほぼ独占状態

誰もいない・・・。しかし早朝になると欧州便や中東諸国への便が多いせいか、多くの人がいました。

ラウンジの寝室。セミダブルなので二人で寝るのには少し狭いですが、ズボンプレッサー、シャワー・トイレも完備しており、ホテルに宿泊しているのと何ら変わりません。

ドバイ〜サナア間のファーストクラス。3時間弱のショートレンジのフライトながらこの快適な空間の広さには驚きました。

レッグレストを伸ばした上体。足が水平になりほぼ寝転がった状態になるので、身体が本当に楽チン！

朝食の為、先ずは前菜でフルーツとヨーグルト、パンが配られます。勿論どれもお変わり自由！

主菜も10種類くらいの中から好きなものを好きなだけ選ぶことができます。

どれも最高の味でした。

この旅行記へのコメント （6）

• るるーさん 2007/07/21 13:21:12

  ファーストクラスのフライト

  はじめまして。
  
  shijoさんとその前に見た旅アルバムとで、立て続けに、ファーストクラスの旅を拝見してしまいました。
  やっぱりゆとりの快適さですね。
  時間やお金に一定の枠を設定している旅人なれば、どうしても移動はエコノミーのディスカウントチケットでとなりますが、頭を使えばお買い得なファーストの旅も組めるんですね。
  
  中東は一度は訪れたい地です。参考になります。

  るるーさん からの返信 2007/07/21 14:48:12

  追伸

  キルギス盗難車犯人と20時間乗合タクシーの旅、とても驚きました。
  自分だったらどうしただろうか、状況を正しく理解して判断できただろうか。そもそもキルギスでは、何語を話すのだろうかとか、疑問と興味と好奇心と感情移入の恐怖で、大変興味深い内容でした。

  るるーさん からの返信 2007/07/21 15:29:54

  追追伸

  ＞、「乗車する日本人にあなた方が手を出したら、大きな国際問題に発展します。まして誘拐や殺害ともなれば、ロシア内だけの問題ではなくなり、日本はもちろんアメリカも動きます。そうなればチェチェンの独立は日本やアメリカに潰される事になるでしょう。チェチェンは彼に手を出すことで終わりを迎える。貴方の態度次第です。」
  
  
  ここの下りを読んで、泣けてきてしまいました。
  担当の女性車掌さんたちの影のネゴシエーション、日本国民であったことの悲運と幸運。経済的優位な国の国民である所から来る略奪のターゲットたり得る不運は、国際的な同盟関係によってまた保護された幸運。
  
  日本人のパスポートを持っていることは、私にとっては大抵の場合幸運なことで、それによる強いプロテクト感を持っていますが、shijoさんのような切迫した状況ならば、より深い感慨があったことと思います。
  
  ネットでもチェチェン関連の斬首動画が過去に出回っていますね。shijoさんの旅の記録は、度肝を抜かれることばかりです。私の度も友人名と二人の個人旅行の場合がほとんどですが、完全なる民主主義国家のみなので、こんなにハードな体験をいくつも読ませていただくと、甘い気持ちが吹き飛びます。

  worldspanさん からの返信 2007/07/22 09:47:41

  RE: ファーストクラスのフライト

  るるーさん、こんにちは。
  
  私はまだまだ貧乏ですので！？、まともにＦクラスなんて搭乗できないので、貯まったマイルでアップグレードしたり、アラビアンパスを利用することで、安くアップグレードするしか術がありません(苦笑）。
  アップグレードと言えば、ノースウェスト航空のマイルでマレーシア航空のビジネスクラスはお得です。僅か３万マイルでビジネスクラスで東南アジアにいけますので、お勧めです。
  ではでは
  

  worldspanさん からの返信 2007/07/22 10:01:47

  RE: 追伸

  キルギスの盗難車の件ですが、実は文章にはしていませんが、ホテルに行く前にやばそうなところに連れて行かされたんですよ。
  　
  　｢先にこの車を売ってくるから、先ずそこに寄らせてくれ｣と言われて、バックパックがあるので車から飛び降りることもできず、ブラックマーケットに連れて行かされたんですよ。廃材置き場のような場所に何故か車が１５台くらい並んだ不気味な場所。。そこで銃を持ったロシア人が出てくるやら、ホンマどうなるかと思いましたけど、何も襲われることもなく別なオンボロ車でホテルまで送られました。このまま拉致されたら間違いなく、行方不明になっていましたＴ０Ｔ。
  
  キルギスでは英語は全く通じませんので、共通の外国語と言えばロシア語になります。と言っても私は殆どしゃべることができません(涙）。唯旧ソ連をずっと旅をしていると、相手が大体何を意図してしゃべっているのかわかってくるんですよ、不思議なことに。因みにキルギス語はカザフ語やウズベク語、トルコ語に近いアジア系言語でロシア語とは無縁ですが、国民の殆どがロシア語を流暢に話すことができます。また学のある中央アジアの人はイラン系のタジク語を含めた中央アジア五ヶ国語や、ペルシャ語、トルコ語、ウイグル語、英語、ロシア語を話すことができます。１０ヶ国語も理解できるなんて日本人からすれば夢物語ですよね！。因みに私、広島弁、山口弁、博多弁、大阪弁ならわかります(苦笑）。。向こうは大陸なのでまぁその程度の差だと思いますけどね。。。
  ではでは

  worldspanさん からの返信 2007/07/22 10:31:49

  RE: 追追伸　チェチェン

  私の場合は３つの幸運がありました。
  ?車掌や英語が理解できるウクライナ人に巡り合え、危険を顧みず、私を守ってくれた。
  ?チェチェン人たちも逆上しなかった
  ?時代
  
  ?に関しては余り触れていませんでしたが、この鉄道は私が乗車し多数か月後に運休停止になってしまいましたが、もしこの時イラク戦争で日本がアメリカよりの態度を示していたら、私も命はなかったかもしれません。基本的にイスラムの人は日本人に悪い印象はないんですよ。私が訪れた時には未だ中東では戦争がなかったので、それだけでもぜんぜん違っていたと思います。
  現在チェチェンに外国人が入れないのは勿論、私が入国したルート、アゼルバイジャンからダゲスタン共和国(ロシア連邦の一共和国）もＣＩＳ圏を除く外国人は往来できなくなりました。
  
  因みに私がちょっと危ない目にあったベスト１０は・・・、
  ?チェチェン列車ジャック
  ?ポーランドで列車強盗
  ?モスクワでゲイに腕をつかまれ、公衆トイレに引きづり込まれかける
  ?サンクトペテルブルク、トイレでゲイに待ち伏せされ、あわやレイプされかける
  ?モルドバの国境で拘束(税関違反と不法入国で）
  ?ロシア、お金すられてほぼ文無しに(チェチェン通過後）
  ?サンクトペテルブルク、公衆トイレで再びゲイに遭遇。。。
  ?モスクワ滞在中直ぐそばの地下鉄駅でテロ発生
  ?バムで滞在２０日後に大地震発生
  ?ウクライナで麻薬中毒者に間違えられ拘束
  
  ベスト１０のうち８つが旧ソ連っていうところが如何に自分が旧ソ連の旅の経験が足りていなかったかがわかります（笑）。それにしてもゲイに3回もロシアで襲われたときには血の気が引きました←私、昔は細かったのでゲイにモテモテでしたTT.