2006/10/24 - 2006/10/24
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まみさん
2006/10/24(火)第17日目:シギショアラ
シギショアラ着4:40頃
駅前ホテル・シクに飛び入りで部屋をとり(早朝5時頃)、少し仮眠をとった後、旧市街へ
改革派教会(入れず)、ルーマニア正教会、中世武器博物館と歴史博物館と時計塔はどれも入れず、屋根付木造階段、山上教会と墓地散策
楽しみにしていたシギショアラの旧市街散策。
古い街並みがよく保存されているヨーロッパにおいても、ここまで中世の面影が残っているところは珍しかろう、と世界登録にまで登録されている旧市街ですが、町のシンボルの時計塔には入れず、なかなか良いコレクションがそろっているという歴史博物館にも入れず、旧市街の中心のチェタチイ広場(Piata Cetatii)にある大聖堂並みに重要そうな教会にも入れず。
これじゃ時間をもて余しちゃう───と、ちょっと気分はくさくさし、どうせこちらも入れまいと自分に予防線を張り、行くだけ行ってみた山上教会。
なにしろ、’05〜’06年版の「地球の歩き方」では、2005年1月現在は修復中で中は見学できない、とあったので。
今は2006年10月なので状況は変わっているかもしれない、と期待しつつも、屋根付木造階段を昇るという経験さえすれば十分だ、と覚悟して出かけたところ。
山上教会はどうやら修復を終えたらしく、有料でしたが、中に入ることができました。
良かった! 観光の神様は、私を見捨てていなかった!
現金なことに、これを境に、いったん下がっていたシギショアラ観光における私の「運気」が再び好転しました。
それはとりもなおさず、私に散策を楽しみ、改めて周りを見回す余裕がもどってきたことを意味します。
山上教会は、やっとありつけた「中に入れる」観光ハイライトなので、時間をかけてじっくり見学しました。
撮影が禁止なのは残念でしたが、その代わりに、カメラの目ではなく、自分の肉眼のみを頼りに、少しでも記憶に刻みつけようと。
あいにく帰国後数ヶ月もすると、もはや細部は忘れてしまいましたが、どんな気持ちで過ごしたか、という印象はちゃんと残ります。
山上教会では、よく見ると凝っているのに素朴な味わいのある主祭壇や数々の古い壁画、聖画など、ヨーロッパ中にバロック様式の嵐が吹き荒れる前のさらに古い時代の面影を残したドイツらしい教会をゆっくり味わうことができました。
ルーマニアなのに、なぜ、ドイツらしいかって?
そりゃあ、今のシギショアラは、いや、トランシルヴァニア地方は、中世にドイツ人入植者によって建てられた町がベースのところが多いからです。
2つの世界大戦で多大な戦禍を被った本国のドイツよりも、昔のドイツがよく残っているといわれます。
それから、山上教会の前にあった古い墓地。
散策の最中は、さすがに吸血鬼伝説のあるルーマニアの墓だ!などと思いながら雰囲気に浸っていたのですが、実はこれもドイツ人墓地でした。
高台にある旧市街のさらに高いところにある、ドイツ系の山上教会にドイツ人墓地。
当時のシギショアラのドイツ人は、まさしくお山の大将だったのでしょうね。
ルーマニア人を底辺に従えて。
支配しやすくするために、わざとハンガリー人の格下に据えて、上を見るより被支配民族間でいがみあいやすくなるようにし向けて。
複雑なトランシルヴァニア地方の歴史がこんなところでも伺い知ることが出来ました。
現在のシギショアラは、ドイツ人は500人足らずの、ごく少数派だそうです。
「城塞の南側の最高所にそびえる教会は、地元で「山上教会」と呼ばれている、1345年にゴシック様式で建てられたルーテル教会で、教会の前にはドイツ人墓地がある。教会への屋根つき階段(172段)とともに、シギショアラの名所になっている。」
(「旅名人ブックス ルーマニア 伝説と素朴な民衆文化と出会う」(日経BP社)より)
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屋根付木造階段(Scara acoperita)
1642年とありました。
時計塔にも歴史博物館にも入れず、がっかりしていたところ、そういえばこの階段も名物だったと思い出しました。
気を取り直して、上ることにしました。
ちなみにこの写真は、いったん少し登りかけて、おお、そうだ、上る前の写真を撮り忘れた!ともう一度戻って撮ったものです。
なんだかんだとこの階段の上でゆっくり時間を過ごしたため、戻ってきたときは曇っていました。しかも、下りはこの階段ではなく、脇の坂道を利用しました。
先に撮っておいて良かったです。 -
屋根付木造階段の中から
見上げて撮りました。
天気が良いので、隙間からでも燦々と日が差し込んでいます。
人影を入れることで、階段の高さを少しでも出すようにしてみました。 -
屋根付木造階段の中から
見下ろして撮りました。
ちょうどよい具合に人影が入るまで待ちました。
あまりに遠すぎると、豆粒になってしまいますからね。
何段あるか数えませんでしたが、本によって微妙に数が違います。
日経BP社の「旅名人ブックス ルーマニア」やLonely Planetでは172段、新潮社の「東欧の郷愁」では175段とありました。
多数決で172段!?
屋根は、1645年に付け足されたものだそうです。 -
屋根付木造階段の出口
外側はこうなっています。 -
山上教会の手前の建物
管理人用の建物でしょうか。
古そうな建物で、なかなか気に入りました。 -
山上教会(Biserica di Deal)
ルター派教会です。
入場料は確か2レウくらいでした(残念ながら、メモ漏れ)。
(2006年10月現在、1レウ=約40円)
この撮影ポイントは、教会の人が教えてくれました。
墓地の方に少し入ると、このようにほぼ全体が撮れます。
実は、この教会の外観はあまりにもあっさりしていて撮ろうかどうか迷ったんですけどね。 -
山上教会のポストカードより
「シャース(Schass)の教会の祭壇」とポストカードの裏には書かれていますが、確かこの祭壇が山上教会の主祭壇として置かれていました。
ドイツ・ゴシック風の古風で贅沢な祭壇です。
もしかしたら、もともとシャースという村にあった教会の祭壇をこちらに移設したのかもしれません。
教会を修復するにあたり、他の教会のものを持ち寄ることはよくあるみたいですから。
上部の天井に壁画が残っているのは分かりますでしょうか。
この山上教会の見どころは古い壁画です。修復されたとはいえ、ところどころ剥げていて完全に残っているものは少なかったが、とても古いフレスコ画で、なかなか味わい深かったです。
ポストカードは1枚1レウでした。
(2006年10月現在、1レウ=約40円) -
山上教会のポストカードより
「ロイスドルフ(Reussdorf)の教会の祭壇」とポストカードの裏には書かれてあります。
これも、もしかしたらロイスドルフという村にあった教会の祭壇をこちらに移設したのかもしれません。
これは主祭壇の位置にあったのではなく、教会を三廊式に分ける柱のところにあった祭壇の一つだと思います。
その他にも、この山上教会には、その柱のところに、それだけで主祭壇にしても遜色ない立派な祭壇がたくさんありました。
たとえばそれが、近隣の村々の閉鎖に追い込まれた教会の主祭壇を集めたのであれば、納得できます。推測にすぎませんが。
この山上教会の見どころは、そのたくさんの立派な祭壇にもあると思います。 -
山上教会の前の墓地
ドラキュラがよみがえりそうな古い墓地
ドイツ人墓地とはいえど、ルーマニアにあるのですし、ルーマニアに入植したドイツ人のものなので、もうルーマニアのお墓といってよいのではないでしょうか。
もっとも、埋葬文化のようなものは、ルーマニアに入植したからといって、故郷の習慣をそのまま持ち込むことはあり得ます。
だから、私がこの墓地を散策しながら、「んんんっ! これぞルーマニアの墓地か!」と思った要素は、ひょっとしたらドイツ人墓地の典型、あるいはザクセン人の古い習慣であって、ルーマニア人とは関係なかったりするかもしれませんが……その場合は、あしからず。
もっとも、そんな大げさなものを発見したわけでもないですけどね。 -
時間がたっぷりあるので、少し墓地を散策することにしました。
なんてったって、ドラキュラ伝説のあるルーマニアですからね。
それに墓地散策は意外に面白いものです。 -
墓地を歩いてすぐに気付きました。
なんと、フタがない墓地が多いのです。
ひょっとしてそれはルーマニアのお墓の特徴でしょうか。
フタがない方が、甦った死者が墓の中から出てきやすいですものね。重いフタを持ち上げる苦労をしなくてすみます。
このお墓もそうです。
フタがなくて盛り土をしてあるところ、ぎっしり植物が生えています。
いかにも年季の入ったお墓です。 -
ちゃんと石棺にフタのあるお墓もありました。
でもツタ植物の絡み具合が、いかにこのお墓が古いか伺えて、なかなかいいかんじです。
墓石もなかなかステキです。 -
少し斜面の高台に登って、墓地を見下ろしてみました。
-
墓地から眺めたシギショアラのふもとの町と美しいトランシルヴァニア地方の景色
-
これも年季の入ったお墓です。
手前の墓など、植物が絨毯みたいに絡んでいて、石棺がすっかり見えなくなっています。 -
石棺の上に降り積もる落ち葉も、また風情があります。
周辺の紅葉もステキです -
墓地の終わりの扉
落ち葉のせいで、地面がくっきりと2色に分かれています。
黄色く色付いた木も、なんと美しいのでしょう。 -
あんまり黄葉が美しいので@
-
教会の方へ戻ります。
またフタのないお墓を見つけました。
でも、墓標を見ると、20世紀初頭のお墓です。意外に新しいです。 -
またまた見つけました、フタがなくて、植物だらけの年季の入ったお墓@
じっと眺めていると、いまにもこの中から死者が飛び出してきそうな錯覚が……。
吸血鬼伝説は、日経BP社の「旅名人ブックス ルーマニア」によると世界中にあり、とりわけギリシャ正教の地域に残る血を吸い蘇る死者の民間伝承に、スラヴの風習が付与されて一人歩きしたものだそうです。
以下に抜粋@
「太古の時代から、人間の生は死との闘いを運命付けられていた。
(中略)
中でも最も恐れた死は、大地をさ迷う未完の死者、つまり死霊や亡霊が、生命の源である血を吸い取るからだと信じられていた。死霊は血を吸うことで、自らの生命をつなぐ。そこから「死者は血を吸うことで、死から蘇る」という信仰が生まれた。
(中略)
ヴァンパイア(吸血鬼)という言葉は、18世紀の半ば頃から使われるようになった。ロシアではヴァンピール(ウピール、オピールとも言う)。ギリシャではヴリュコラカスまたはサルコメフス、ドイツ語ではナハツェール、そしてルーマニアでは、ストリノゴイと呼ばれてきた。いずれも生き血を求めて彷徨う死者の亡霊であり、人間に禍いや死をもたらす点では共通している。やがて吸血鬼という言葉が生まれ、同時に墓を掘り返して死者の首を切り、遺体を焼いて、その灰を墓地に撒くといったスラヴ独特の風俗がそこに付与された。これが西ヨーロッパに伝えられると、吸血鬼の言葉は一人歩きを始め、恐ろしい伝承や習慣に彩られた風土記や悪魔の書がゾロゾロと巷に溢れ出した。その流布に貢献したのが、ブラム・ストーカーなどの作家であった。(後略)」 -
山上教会の裏に残る城壁跡
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この旅行記へのコメント (5)
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- RyuSie(りゅうじ)さん 2007/08/14 22:31:58
- なぜか、これが涼む!
- 見事な黄葉ですねぇ。
時期的にはやはり10月下旬ですか...
リタイア後じゃないと旅できない
時期だナァ、かなり残念!?
当地の夏祭り、ねぶたが終わるともう
秋ですよ何て地元の人に言われてましたが、
ここに来て連日、猛暑!暑いのなんのって。
涼を求めて彷徨ってました。
↑「旅行記の編集サボって」が抜けてますよ!
来週から2年振りでドロミテに行って来ますが、
7月上旬でも峠は雪が舞うところ、一気に冬を
体験なんてことにはならないといいのですが。
やっぱり、いつかは黄葉の欧州を旅したい
RyuSieでした!
- まみさん からの返信 2007/08/15 08:13:42
- RE: なぜか、これが涼む!
- RyuSieさん、こんにちは。書き込みありがとうございます。
来週からドロミテですか。わあ、涼めそうですね。
私は昔はイタリアをわりとあちこち旅行したのですが、あのあたりは行ってないんですよ。
涼を求めて「彷徨って」いたのなら私よりマシかもしれません。
週末、昼間はぐったりと昼寝をしていました。
夜になって少しは涼しくなったあとムックリ起きて活動を始める……夜型というよりドラキュラ型?!
旅行記は10月下旬です。
ここ数年いつも7月に旅行に出かけるのですが、この年は仕事の都合で10月にずらしました。
紅葉はこのようにすばらしかったです。
言われてみると、お墓の写真とあわせて、夏に見直すのも、涼しげでいいかもしれませんね。
現在このあいだの7月のルーマニア旅行(再訪)の旅行記をアップしはじめました。
先月のルーマニアは猛暑とのことで日本でもニュースになったということですが。。。この湿気と息苦しさを考えると、あの猛暑のルーマニアの方がまだマシだったという気がしてなりません。
日陰に入れば救われましたから。
日本は冷房に入らないと救われないですね。。。
-
- パパスさん 2007/03/07 08:22:47
- お邪魔いたします。
- まみさん、おはようございます。
今日は少しだけ時間が有ったのでお邪魔しました。
何処も彼処も入れなかったらモチベーション下がりますよね。
でも山上教会に入れて本当に良かったですね。
この屋根付き木造階段、凄く趣きがあって素敵ですね!
下から見上げた時の写真では気が付かなかったのですが、上からの写真だと階段の幅が広いのですね。
そして教会の写真も素敵ですが、管理人の家の方がパパス的には好みです(笑)
またドラキュラが出てきそうなお墓も、映画の1シーンを見ている様で気に入りました。
でも一人で墓地の散策はまみさんにお任せ致します。(爆)
パパス。
- まみさん からの返信 2007/03/09 22:11:46
- RE: お邪魔いたします。
- パパスさん、こんにちは。書き込みありがとうございます。
私もあの教会よりは、管理人さんの家の方が味があると思いました@
教会は中はなかなか良かったのですが、外側はシンプル。
どこか面白い形をしているとは思いましたけどね。
お墓散策、パパスさんは苦手ですか?
私は霊感ないので、ぜんぜんビビッとくることはないです@@
ルーマニアではあともう一回、プラショフでもお墓散策をしまーす。
ちょっと最近、お花の写真のアップもまた開始したので、ペースが落ちていますが、あともう少し。
フタのない棺桶はそこにもたくさんありました。
盛り土しかしないお墓は世界のどこかにあるかもしれないけれど、ちゃんとした棺桶なのにフタの部分がないということで、結構、カルチャーショックてでした@@
- まみさん からの返信 2007/03/09 22:45:28
- RE: お邪魔いたします。
- 追伸。
屋根付き階段は、シギショアラの名物ですねっ!
のぼった上には、山上教会だけでなく、学校のようなものもありました@
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