ナミブ砂漠周辺旅行記(ブログ) 一覧に戻る
夕方セスリエムのベースキャンプを出発し、近くのデューンへと向かった。セスリエムのベースキャンプは砂漠が広がっているとはいうものの、大地は平坦、ところどころに低木が生え、サバンナと砂漠が合さったような景色だが、暫く車を走らせると、草木は少なくなっていき、いよいよデューンが景観に現れ始める頃には、低木は殆ど景色の中から消えてしまった。<br /><br />砂漠というのは平地に広がり、風に任せてさざ波のように起伏がなだらかに形成されているイメージがあったが、ナミブ砂漠は私の固定観念を覆した。デューンとは「砂丘」を意味するが、ナミブ砂漠のデューンは砂丘というよりもそびえ立つ山のようだ。<br /><br />山のような絶対的な存在感、そして我々人間を覆い尽くしてしまうような、迫り来る大波にもデューンを感じる。大波が我々に押し寄せる手前で、魔法にかけられ、まるで時間が止まってしまったようなほど迫力感。圧倒的な大迫力を人々に魅せるその一方で、デューンは大変美しい色で我々を魅了する。杏子色の独特の色彩は夕刻の太陽の光で一層引き出されて赤々とし、風がその美しいキャンパスに素晴らしい模様を描く。これら全てがナミブ砂漠が世界で最も美しい砂漠と言わしめている所以だろう。<br /><br /> 我々の乗った車は一つのデューンの手前で止まった。近くには多くの他のツアー客も既に到着しており、ここが旅行者の中で有名なスポットである事は直ぐわかった。コンダクターは、このデューンに登った場所からの夕暮れの景色は最高に美しいと説明し、彼は夕食を作る為、一度ベースキャンプに戻り、日没後に迎えに来ると我々に伝え、ツアー客だけでデューンへと登ることとなった。<br /><br /> 我々観光客が上るデューンは山脈のように連なるデューンの中では比較的小振りなもの、これ位ならば容易く頂上まで行き着くことができるだろうと誰もが軽い気持ちでいた。しかしナメてかかった我々は小振りなデューンに思わぬしっぺ返しを食らう。こんな小さなデューンなど一気に登り詰めてやろうと、思いっきりよくデューンに一歩を踏み出すと、私の力を込めた一歩はサラサラした砂の中に吸収されていく。そして踏み締めれば踏み締めるほど足元が崩れ、足がズズズっと下ってしまう。3歩進んで1歩下がり、そして前に進む。こんな調子で砂に足を取られ、思うように登ることができない。力を込めて踏み締めれば踏み締める程、足が砂の中に埋まり、そして勾配のある踏み締めた地面は崩れ、足がズリ落ちて行く。<br /><br /> 予想をはるかに超えた体力の消耗、半分も登りきっていないのに、気がつけばゼーゼーと息を切らせる私がそこにいた。我々は6人一斉に登り始めたが、横列はあっという間に隊列と化し、その隊列も瞬く間に途切れてしまった。<br /><br /> 想定外の苦戦を強いられながらやっとの思いで頂上まで登ると、しゃべることも苦しく感じるほど、皆砂の上にヘトヘトと座り込み、持参した水をガブ飲みする。自分で脈打っているのが分かる程心拍数は最高潮、暫く動く事もできなかった。しかし心のなかでは「登ってやった!」と言う達成感に溢れ、最高の気分だ。<br /><br /> 暫くして呼吸も整い、景色を眺めるほどの余裕ができると太陽が傾いた西を見渡した。この時太陽は山脈のように連なるデューンに、今まさに隠れようとしていた。夕日で更に赤さを増した杏子色の波のように起伏に富んだ砂漠が果てしなく続き、その自然の雄大さに心が打たれてしまう。誰も話をしない。唯デューンのからその夕日に映える景色を静かに見渡すだけだ。<br /><br /> 太陽が徐々に沈んで行くと、砂漠がみるみる暗い闇の世界に飲み込まれて行くかのように、真紅に染まった杏子色の砂漠が黒色へと染められていく様子が目に見えてわかる。暗闇が徐々に我々に襲って来るようで、太陽が沈んでいくこの光景が寂しく、そして恐ろしく感じる。そして太陽が地平線に沈んでしまうと、地上の全てが闇に包まれてしまい、もの悲しく、闇への恐怖に心は震える。ところが空を見上げると西の空が真っ赤に染まり、東の方から日本では殆ど見ることのできない南天の星たちが瞬き、夜空を演出し始め、闇の中でも勇気が沸き起こった。西の空も徐々に赤さも冷め、夜空に包まれると、天空にはめめいいっぱいの星たちが散りばめられ、瞬いている。その星たちの中に南十字星の姿もある。砂漠の中には明かりなど全くなく、星達の瞬きしかない。星は手を伸ばせばもう直ぐそこに届きそうなほど近くに感じる。そして漆黒の中、風がデューンの上に紋様を描いている音しか聞こえない。時が経つことも忘れ、デューンから星空と星の光で薄っすらと浮かび上がる景色を見続けた。なんともいえない心地よさを私が感じていた。<br /><br /><br /> 暫くすると、ツアー客の一人が持参したワインをポンッと開けた。そして皆で回し飲みをした。闇が深くなって行く中、夜空を仰ぎながらワインを飲む。夜空とデューンはワインの最高のツマミとなり、ワインの味を最高にまで引き立てた。いつまでも夜空を眺めても飽きなかった。全てを忘れさせてくれる。自然は心や身体を癒してくれることをこの時初めて感じた。この時のワインの味と夜空、そして星達の明かりだけで浮かび上がる雄大なナミブ砂漠を、私は一生忘れることはないだろう。<br /><br /><br /><br /><br />

ソススフレイ2泊3日−03ワインを飲んで砂漠に酔う

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2004/04/15 - 2004/04/30

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worldspan

worldspanさん

夕方セスリエムのベースキャンプを出発し、近くのデューンへと向かった。セスリエムのベースキャンプは砂漠が広がっているとはいうものの、大地は平坦、ところどころに低木が生え、サバンナと砂漠が合さったような景色だが、暫く車を走らせると、草木は少なくなっていき、いよいよデューンが景観に現れ始める頃には、低木は殆ど景色の中から消えてしまった。

砂漠というのは平地に広がり、風に任せてさざ波のように起伏がなだらかに形成されているイメージがあったが、ナミブ砂漠は私の固定観念を覆した。デューンとは「砂丘」を意味するが、ナミブ砂漠のデューンは砂丘というよりもそびえ立つ山のようだ。

山のような絶対的な存在感、そして我々人間を覆い尽くしてしまうような、迫り来る大波にもデューンを感じる。大波が我々に押し寄せる手前で、魔法にかけられ、まるで時間が止まってしまったようなほど迫力感。圧倒的な大迫力を人々に魅せるその一方で、デューンは大変美しい色で我々を魅了する。杏子色の独特の色彩は夕刻の太陽の光で一層引き出されて赤々とし、風がその美しいキャンパスに素晴らしい模様を描く。これら全てがナミブ砂漠が世界で最も美しい砂漠と言わしめている所以だろう。

 我々の乗った車は一つのデューンの手前で止まった。近くには多くの他のツアー客も既に到着しており、ここが旅行者の中で有名なスポットである事は直ぐわかった。コンダクターは、このデューンに登った場所からの夕暮れの景色は最高に美しいと説明し、彼は夕食を作る為、一度ベースキャンプに戻り、日没後に迎えに来ると我々に伝え、ツアー客だけでデューンへと登ることとなった。

 我々観光客が上るデューンは山脈のように連なるデューンの中では比較的小振りなもの、これ位ならば容易く頂上まで行き着くことができるだろうと誰もが軽い気持ちでいた。しかしナメてかかった我々は小振りなデューンに思わぬしっぺ返しを食らう。こんな小さなデューンなど一気に登り詰めてやろうと、思いっきりよくデューンに一歩を踏み出すと、私の力を込めた一歩はサラサラした砂の中に吸収されていく。そして踏み締めれば踏み締めるほど足元が崩れ、足がズズズっと下ってしまう。3歩進んで1歩下がり、そして前に進む。こんな調子で砂に足を取られ、思うように登ることができない。力を込めて踏み締めれば踏み締める程、足が砂の中に埋まり、そして勾配のある踏み締めた地面は崩れ、足がズリ落ちて行く。

 予想をはるかに超えた体力の消耗、半分も登りきっていないのに、気がつけばゼーゼーと息を切らせる私がそこにいた。我々は6人一斉に登り始めたが、横列はあっという間に隊列と化し、その隊列も瞬く間に途切れてしまった。

 想定外の苦戦を強いられながらやっとの思いで頂上まで登ると、しゃべることも苦しく感じるほど、皆砂の上にヘトヘトと座り込み、持参した水をガブ飲みする。自分で脈打っているのが分かる程心拍数は最高潮、暫く動く事もできなかった。しかし心のなかでは「登ってやった!」と言う達成感に溢れ、最高の気分だ。

 暫くして呼吸も整い、景色を眺めるほどの余裕ができると太陽が傾いた西を見渡した。この時太陽は山脈のように連なるデューンに、今まさに隠れようとしていた。夕日で更に赤さを増した杏子色の波のように起伏に富んだ砂漠が果てしなく続き、その自然の雄大さに心が打たれてしまう。誰も話をしない。唯デューンのからその夕日に映える景色を静かに見渡すだけだ。

 太陽が徐々に沈んで行くと、砂漠がみるみる暗い闇の世界に飲み込まれて行くかのように、真紅に染まった杏子色の砂漠が黒色へと染められていく様子が目に見えてわかる。暗闇が徐々に我々に襲って来るようで、太陽が沈んでいくこの光景が寂しく、そして恐ろしく感じる。そして太陽が地平線に沈んでしまうと、地上の全てが闇に包まれてしまい、もの悲しく、闇への恐怖に心は震える。ところが空を見上げると西の空が真っ赤に染まり、東の方から日本では殆ど見ることのできない南天の星たちが瞬き、夜空を演出し始め、闇の中でも勇気が沸き起こった。西の空も徐々に赤さも冷め、夜空に包まれると、天空にはめめいいっぱいの星たちが散りばめられ、瞬いている。その星たちの中に南十字星の姿もある。砂漠の中には明かりなど全くなく、星達の瞬きしかない。星は手を伸ばせばもう直ぐそこに届きそうなほど近くに感じる。そして漆黒の中、風がデューンの上に紋様を描いている音しか聞こえない。時が経つことも忘れ、デューンから星空と星の光で薄っすらと浮かび上がる景色を見続けた。なんともいえない心地よさを私が感じていた。


 暫くすると、ツアー客の一人が持参したワインをポンッと開けた。そして皆で回し飲みをした。闇が深くなって行く中、夜空を仰ぎながらワインを飲む。夜空とデューンはワインの最高のツマミとなり、ワインの味を最高にまで引き立てた。いつまでも夜空を眺めても飽きなかった。全てを忘れさせてくれる。自然は心や身体を癒してくれることをこの時初めて感じた。この時のワインの味と夜空、そして星達の明かりだけで浮かび上がる雄大なナミブ砂漠を、私は一生忘れることはないだろう。




同行者
一人旅
交通手段
高速・路線バス
航空会社
マレーシア航空
  • デューンは砂の山のようになっています。そこからの眺めは最高です。夕日が砂漠に沈む姿には自然の雄大さを感じます。我々一行は、この沈み行く太陽を見ながら、デューンの上に座り、ワインを飲みながら心ゆくまで楽しみました。<br /><br />

    デューンは砂の山のようになっています。そこからの眺めは最高です。夕日が砂漠に沈む姿には自然の雄大さを感じます。我々一行は、この沈み行く太陽を見ながら、デューンの上に座り、ワインを飲みながら心ゆくまで楽しみました。

  • 南十字星。今までも南の星が見える所には行ったことがありましたが、生憎曇り空で星を見ることができませんでした。今回初めて、しかも砂漠で南天を見ることができ感動しました。念願の南十字星でした。写真はカメラのレンズ80mmでこの星空ですが、肉眼でも十分楽しめます。<br />右下の赤く明るいものがエータカリーナ星雲。真ん中下が南十字星。その左にはケンタウルス座のα星<br /><br /><br />

    南十字星。今までも南の星が見える所には行ったことがありましたが、生憎曇り空で星を見ることができませんでした。今回初めて、しかも砂漠で南天を見ることができ感動しました。念願の南十字星でした。写真はカメラのレンズ80mmでこの星空ですが、肉眼でも十分楽しめます。
    右下の赤く明るいものがエータカリーナ星雲。真ん中下が南十字星。その左にはケンタウルス座のα星


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