2006/08/06 - 2006/08/15
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huwaさん
8月12日(土)。
起きたら雨でした。
「今日は一日雨みたいですよ~、お気をつけて!」
と宿の人に見送られて出発。
外を眺めてまず感動したのは、
妻有は雨の景色もまた美しい!ということ。
連日のきつーい日射しに疲れた目が、優しい景色にほっと安らぎます。
妻有の植物たちは、強烈な晴天が続いても少しも元気をなくさないのですが、それでも久しぶりの雨は嬉しいみたい。
木々の緑も花々の色も、まるで笑みこぼれるかのように雨を浴びて揺れています。
- 同行者
- 友人
- 交通手段
- JR特急
-
これは風車です。
風が吹くとカラコロカラコロ音が鳴ります。
作家はインドネシア出身の人。
インドネシアの農村にも棚田があって、そこではたくさんのこんな風車がくるくるカラコロ回っているそうです。
なんて楽しい仕掛けなんでしょう。
ダダン・クリスタント「カクラ・クルクル・アット・ツマリ」です。 -
雨の中、棚田のあぜ道を歩いてみます。
風車のカラコロは風に合わせて、鳴ったりやんだり、速くなったり遅くなったり… -
木琴みたいな音ですが、長調でも短調でもない不思議な音階で鳴っていました。
明るいんだけどちょっとだけもの悲しいような音色でした。 -
風が吹くと花々が揺れて、田んぼの稲穂が波のようになびき…。
それに合わせて鳴るカラコロの音を聞きながら、無言ですいぶん長くこの田んぼにたたずみました。 -
パリのセーヌ河畔にあるパレ・ド・トーキョーは、フランス文化省が作った現代アート専門の美術館。
そのパレ・ド・トーキョーがこの芸術祭で展示を行いました。
会場は清田山冬季分校。
ここではすべての作品が「ヘテロトピアへようこそ」という題で発表されています。
写真の作品はジェラル・プティ「ヘテロトピアへようこそ(湖への旅)」。
消えたり現れたりする湖への旅の物語が描かれているらしく、想像をかきたてられます。 -
くっきりした原色と、影のような絵が、いい感じの取り合わせ。
-
意味ありげに積まれたこの紙の束は、実は文字なのです。
作家は外国人ですが、日本語の五十音を、こんな風にモノを積んだ文字に変換してみせました。
たとえば、消しゴムを1個置いたら、それは「あ」。
2個ヨコに並べたら「い」。
2個タテに積んだら「か」。
でもって写真のこれは「よみかき」と書いてあるんです。 -
読み方を覚えたら次々読めて、面白い!
この図書室の窓辺に積まれた子供百科事典は「なにか」。
廊下にダンボールを積んで「かなりの」とか、さりげなく棚の上にホッチキス針の箱で「ますます」とか、外に角材で「まとまる」とか、土の袋を積んで「つまり」とかがありました。
アンジェラ・デタニコ&ラファエル・レイン「ヘテロトピアへようこそ(PIHLA-KANA WORDS)」でした。 -
このあたりのあちこちに設置された竹のブランコ。
やわそうに見えますが、竹は強いので大丈夫。
ちゃんと普段は子供たちが遊んでいるそうです。
こんな田んぼの真ん中で思いっきりブランコをこいだら、もう最高に気分良さそう!
「晴れてたらゼッタイ車を降りて遊ぶのになー」と言いながら、雨なので諦めて写真だけ撮りました。
半田真規「ブランコはブランコでなく」 -
話題作「最後の教室」(クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン)。
ここではえもいわれぬ体験をしました。
旧東川小学校というかなり大きな学校です。
体育館から廊下・階段・最上階の教室に至るまでが、どこにも弛緩のない緊張感で満たされ、統一された大きな作品になっています。
この写真は体育館です。
来客はまずこの広大な薄闇に目を慣らされることから、作品への旅を出発します。
足の下には深々とわらが敷きつめられ、そのふかふかとした感触や、鼻孔いっぱいに広がるわらの匂いなどで、視覚以外の感覚を研ぎ澄まされながら先へ進むのです。 -
暗い廊下に一条の鋭い光が当てられると、
壁に映し出される自分の影法師さえもが、ノスタルジーを喚起する作品の一部になります。
そんな廊下を通ってゆくと、重低音で響きわたる心臓の鼓動が近づいてきて、何が待ち受けているのかとドキドキします。
鼓動は2階の理科室から響いてきていました。
そこには廃校となった今も、理科実験室特有のあの匂いが強く漂い、「記憶」をテーマとするボルタンスキーが、匂いという要素を記憶と結びつけて、逃さず作品に取り込んだことにはっとさせられます。
色は最小限に絞られ、ほとんど黒と白の二色です。
遠ざかる鼓動を聞きながら、廊下の一点に立ったとき、背中に電流が走り抜けました。
「いかにも現代芸術」な空間を、鳥肌が立つほど美しいと感じたのは、初めての経験でした。
舞台照明を専門とするカルマンの演出力によるところも大きいのでしょう。
壁に設置された消火設備の赤いランプまでもが、照明の一部として作品に溶け込んでいました。 -
最上階は白く輝く空間でした。
ロッカーも黒板もはずされ、何もかもが白く覆われ塗られている中に、不思議な残されかたをしていたのが、この「本をひらけばみんな友だち」の貼り紙でした。
もとは色画用紙だったものが、作品に合わせて白く塗りつぶされています。
うっかりすると、貼り紙をはがさないまま壁と一緒に塗ったように見えますが、よくよく見ると、画鋲は塗りつぶされていないのです。
つまり一度はがした色画用紙を、白く塗ってもう一度貼り直してあるのです。
残すものと取り去るものを、いかに厳密に選り分けたかがわかる例でした。
それと気づいてからは、もう一度残されているものは何かを見て歩き、作家の心を揺るがしたこの場所の記憶を、共有しようとすることができました。 -
移動の途中で見た、花に包まれたお家。
-
郵便局を通って届く郵便物には、見えないバーコードが印刷されているのをご存じですか?
私は初めて知りました。
それは特殊インクで印字され、約72時間で消えてしまうそうです。
そこで、床一面にずらっとハガキを並べてブラックライトで照らし、赤く輝くバーコードの列をアートとして鑑賞しよう、というのが「はがきプロジェクト」(竹内美紀子)。
この作品を維持するためには、つねに新しいハガキが郵便局から届き続けなければなりません。
だからこの上鰕池の22戸の人々は、集落を離れていったかつての住民たちに「ハガキを送ってください」と呼びかけました。
ここを訪れた人も1枚ずつこの場でハガキを書いて出すことを求められます。
「ハガキが返ってきますように」
そんな願いを込めて、この古い農作業小屋は「上鰕池こだま堂」と名付けられ、集落の人々の手で看板も作られました。
看板は彫り跡も真新しい新品だったのですけれど、都会から来た美大生が、こんな風に古びて見えるように加工してしまったのだそうです。
なるほど、確かにこの方がいいですね!(笑) -
この郵便受けもいい味出してるなあ、と思って撮影していたら、
「それ昨日僕が作ったんですよ」と声がかかりました。やはり都会から来た美大生風のスタッフです。
「えっ? 昨日作ったようには見えませんけど!」って驚いたら、
「近所のおじさんがそのへんの戸をはずして持ってきてくれたんで、それで作ったんです」って。
「ええ〜っ? 戸がなくなったら困るんじゃないんですか?」
「これもう使わねえからいいんだ使え、って言って持ってきてくれたんで」
古びているほうがいい、という趣旨を地元の人も理解してくれたんですね(笑)。
あ。ところでもちろん私もハガキを書いて出しました。
「ふるさとをテーマに」ということだったので、「ふるさとはいつも夏休み」と書いて、スイカと風鈴と金魚の絵を描きました。
72時間、バーコード光ったかな。 -
緑の中に鮮やかに赤く見えているのは、スー・ペドレーの「はぜ」という作品。
はぜというのは収穫した稲を干すための柵。
そこに赤いタペストリーが掛け渡してあるのです。 -
素材は作家の住むオーストラリアのウール。
そこに刺繍されているのは、作家がこの地域に来て見たものをデザインし、地元の人たちが刺した図柄です。
ここでも作家と地元の人々との交流があったのでしょうねー。 -
「森の学校キョロロ」に到着。
遅めのお昼をいただきました。
夏野菜たっぷり。
その日の畑で取れたものを使うので、具は毎日変わるんだそうです。
素材が新鮮だとカレーもおいしい! -
食後はキョロロの畑を散策。
スイカだあ! -
そしてとうがらしです!
ところで、いつのまにか雨はすっかり上がって、太陽が輝きだしています。
今日は一日雨って誰が言ったの!
その言葉を信じて帽子を置いてきてしまって、まぶしい〜! 日焼けする〜! -
池を渡る遊歩道は、「松之山に住み込む」というプロジェクトを展開している川俣正さんの作品。
池はモリアオ池と名づけられています。 -
このかわいらしい茅葺き小屋も。
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「森の学校キョロロ」の中では昆虫の巨大写真の展覧会が行われていました。
それも芸術祭の展示の一つなのですが、わざわざ昆虫を拡大して見たくない私はご遠慮させていただきました…(笑)。
この写真は野外に一枚だけ出張していた昆虫写真のパネル。 -
山百合がたくさん咲いていました。
-
さて、ここで友人とはいったんお別れ。
一人旅に戻って、芸術祭のシャトルバスが来るのを待ちます。
このシャトルバス、1時間に約1本のペースで来るのですが、それを「いやあ、本数が多くて助かるなあ」と感じるようになっていました(笑)。
徒歩客のために、できればもっといろんな方面に出して欲しいなあ、と思っていたのですが、乗ってみるとガラガラで、「あちゃー、この調子だと3年後にはこのシャトルバスもないかも…」とブルーになりました。
写真はそのシャトルバスを待つ間に散策した、美人林というブナの林です。
ブナ林って、木もきれいだけど、木の下生えの草も美しいんですね。
きらきらする木洩れ日を楽しみながら、しばらく森林浴しました。
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