カスティーリャ・レオン地方旅行記(ブログ) 一覧に戻る
9月24日<br /> 今朝はゆっくり8時に起床。食堂の奥に飾ってある年代物の装飾品、壁に掛けられた鹿の角、絵タイル。日本のどんな素敵なレストランも、このどっしりとした歴史の重さにはかなわない。表面がつるつるでまるでロウ細工のように見える、固くて丸いパンも美味しいし、チーズもいい。<br /><br /> ロビーに古い写真があった。このパラドールが城だった頃の絵もあり、かなり変わった形をしている。奇妙なアラブ風の建物もごちゃまぜに付いていて、端には現存するかたつむりの塔が見える。<br /><br /> チェックアウトをして、また昼過ぎまで荷物を預かってもらう。今日もいい天気。公園の木の下で、木の実を拾った。栗のように見えるけど、ちょっと違う。もって帰ろう。あとで調べたら、トチノミだった。<br /> <br /> 町は静かで、ブティックを覗いたり、ぶらぶら。革のジャケットが下がっている店に入ってみた。店員の女の子が、我々の姿にパニック状態で、恐ろしい早口で喋りながら付きまとう。奥の棚にあったバッグを見せて欲しいと言うと、あれは売り物ではなく・・と言うし、うっかり他の品物に触ろうものなら、「あっ、これ?これはね、ペラペラペラ・・」我々が諦めて店を出ていった後、ホーっとため息をついていたと、後ろを振り返ってみた友人が笑った。<br /><br /> 教会や、町役場らしい古い建物が並ぶマヨール広場に出た。教会は、かなり古いものらしく、入り口の上に彫られているのは、何とも愛嬌のある牛(羊?)の顔。<br /><br /> そろそろお昼、でもまだお腹は空かないけど喉が渇いたので、近くのカフェテリアに入ってみる。お客は誰もいなくて、ちょっと躊躇したけど。暇そうなお兄さんが注文を聞きに来た。「オレンジジュース、3つね」「他に食べるものは?」「いらない。喉が渇いたから・・」わかった、と彼はカウンターへ戻っていった。店の奥に大きなテレビが置いてあって、ドラマをやっている。どうやら彼は、一人で楽しんでいたらしい。カウンターの上には、食べかけの彼のランチが乗っている。我々にジュースと、サービスのトルティージャ(ジャガイモ入りオムレツ)を一皿運ぶと、またテレビに向かって食べ始めた。「なんか、彼のお昼のおすそ分けみたいね」厚焼きのトルティージャを口に入れたとたん、「美味しい!」ジャガイモも卵もふんわり柔らか。<br /><br /> パラドールに戻り、荷物を受け取って、タクシーでバスの駅に向かう。運転手は若いお兄さん。「ベナベンテ、気に入った?」気さくに声をかけてくる。「この町には、古いものはあまり残ってないんだ、パラドールくらいかな」あっという間に到着。「良いご旅行を!」彼は手荷物料金も取らず、すごく安かった。スペインのタクシー料金って、いいかげんみたい。<br /><br /> レオン行きは、3時だった。ひんやりした石のベンチに腰掛けて待つ。冬は冷たいだろうな、などと考えていたら、二人連れの婦人がやってきて、珍しそうにこっちを見ていたが、そのうち一人が話しかけてきた。<br /><br /> 「誰かスペイン語わかる?」「はい、少々・・」やや緊張して答えると、猛スピードのお喋りが始まった。何しろ一方的で、こっちが分かるが分かるまいがお構いなし。父親が商人でサモラで仕事をしてうまくいって・・。そんなことを話しているようだった。自叙伝が一段落したのか、今度は日本人がいかに勤勉で優秀であるか、論じはじめた。<br /><br /> 「あ・・、そうですか」適当に相槌など打つものだから、いっそう彼女の話には熱がこもる。話を時々さえぎっては、仲間たちに説明する。分かる単語で想像する程度の、かなり怪しい通訳だったが、そうでもしなければ、私の頭はパニック状態だったのだ。<br /><br /> やがて、写真を一緒に撮ったりしていると、バスが入ってきた。バスの前にレオンーサモラとある。彼女が書いた住所を見ると、アストゥリアス、ヒホンとある。「電話はこっちが自宅でこっちがお店。この次はきっと訪ねてきてね!」まるで昔からの知り合いみたいに抱き合って、別れを惜しんだ。<br /><br /> バスのトランクに荷物を押し込んで、財布を出しながら運転手に言った。「3枚」後で思えば、これがいけなかったのだ。行き先を告げるのを、この時は慌てていたのでしなかった。座席に座ってどっと疲れを感じる。<br /><br /> バスは発車した。町を抜け、郊外に出る。車内には音楽が流れ、私もだんだん落ち着きを取り戻していった。友人たちが話している。「ここ、昨日も通ったわね」「もう少ししたら、道が分かれるのね、きっと」<br /><br /> 15分くらい過ぎただろうか、「ねえ・・・、この景色、昨日通ったんじゃない?」まさかと笑う。小麦畑が広がるのどかな風景、どこまで行っても変わらない。しかし、「あれ?今の林、昨日あった」「ほら、ここも。確かに昨日見たよ!」「あ、ほら、紫の花が咲いていて・・」もう否定しようがなかった。このバスは一直線にサモラに戻っている。どうしよう・・。3人とも、がっくりするより可笑しくて、笑いが止まらない。きっとレオン発サモラ行きだったんだ。Oさんが、隣に座っている女の子に向かって、前方を指差して「レオン?」と聞いたら妙な顔をし、「サモラ?」と聞いたら事情を察して、にかっと笑って「Si!」<br />と答えたとのこと。とにかくサモラまで行くしかない。「いいじゃない、今までが順調だったから、一つくらいドジやったって・・」<br /><br /> 見慣れたサモラの町に到着。「やだ、ちゃんとサモラ行きになってる!」降りたバスの正面の行き先を見たOさんが叫んだ。あーあ。<br /><br /> 午後5時、今度こそレオン行きの切符を手に、再びバスに乗り込む。時報と共に、ガラガラとゲートが開いた。出発。これで3度目の道を、まずは昨日と同じベナベンテ目指してバスは走る。「この道なら、もう目をつぶっていたって運転できる!」と友人たち。さすがに景色も見飽きたし、3人ともコックリ、コックリやって、あっという間にベナベンテ着。ここで乗換えだった。<br /><br /> 今度のバスは、座席も硬く、ひどく乗り心地が悪い。それに乗客たちはみんな運転手と顔なじみらしく、なんだか「村のバス」といった雰囲気になってきた。ベナベンテの町を出ると、文字通りの田舎をバスは走る。道路はセンターラインもない、まるで農道。時々トラクターなどを避けながら、1本道をひたすらレオンを目指す。<br /><br /> 時々前方に赤レンガ色の集落が現れ、何の合図も無いのに心得たようにバスはスピードを落とし、バス停らしきものも見当たらない村の入り口で乗客を一人ずつ降ろしていく。そこには必ず何人かの人たちがバスを待っていて、別れを惜しむ光景と、お帰りなさいと家族を迎える光景が繰り広げられ、のどかな風景と相まって見ていて飽きなかった。<br /><br /> 午後7時レオン着。町外れのガソリンスタンドみたいな所がバス・ステーション。どっちへ行ったらいいのか見当もつかず、たまたま走ってきたタクシーを捕まえて、パラドールに向かう。タクシーは橋を渡って町中へ入った。想像以上に都会のようだ。やがて写真で見たとおりの威圧的な建物が見えてきた。<br /><br /> ここのパラドールは「ホテル・サン・マルコス」タクシーが玄関に横付けされると、ドアマンが飛んできて開けてくれ、ポーターが手際よく荷物を運んでくれる。さすが5つ星。ロビーに一歩踏み入れたとたん、その豪華さに圧倒された。とうとう最後の1枚になった薄っぺらい予約の紙を取り出すと、フロントに向かって差し出した。<br /><br /> 部屋はシックなサーモンピンク色の織物のベッドカバーやカーテンで、さすが一流ホテルの風格。でも建物自体が新しく、チェックインが遅かったから、由緒ある部屋ではなさそう。まだ7時過ぎで、夕食にはちょっと早く、それぞれが持参してきた日本の食品を片付けることにした。豪華なパラドールの部屋の片隅で栗ぜんざいとお茶をすすり、梅干をしゃぶるのは絵にならないなあと思いながら、久しぶりの日本の味を楽しんだ。<br /><br /> レストランは、食前酒を楽しむバールの奥にあって、お客はみんな正装。精一杯おしゃれしてきたつもりだった我々は、内心「しまった・・」ウェイターは我々を一目見るなり、奥の隅の「末席」に案内した。隣のテーブルには眼鏡をかけた髭面の若い男性が一人で食事をしている。彼が末席なのは分かるけど・・。不満げに顔を見合わせたけど、仕方ないか。<br /><br /> 我々が選んだメニューは、チキンと野菜の煮込み、サケのシードル酒煮、マスのグリルなど。しかし味はどれも大雑把でたいしたことない。<br /> 隣で一人食べていた男が席を立った。見るとテーブルの上に部屋のキーを忘れている。ウェイターも知らん振り、後を追っていこうともしない。しばらくして彼が慌てふためいて戻ってきた。末席はサービスも悪い。<br /><br /> やがて空いたそのテーブルに、カップルの男女が案内されてきた。女性はブロンドで真っ赤な胸の開いたドレスにスカーフ姿。香水をぷんぷんさせている。どうみても商売女。だから末席に案内されても文句も言わずに座ったのね。<br /><br /> 我々も席を立ち、広いロビーなど見て回った。古めかしい家具調度品で飾られている。大きなシャンデリアが下がり、分厚い絨毯が敷いてある階段を上がって、中庭を囲むように回廊が見えたので、ガラスのドアを押して出てみた。<br /><br /> そこは別世界だった。中世のたたずまいそのままに、苔むした石の彫刻が、柔らかな灯りの中に浮かび上がっている。静かに雨が落ちていた。聖地サンティアーゴ・デ・コンポステーラを目指す多くの巡礼の人々も、この回廊でたたずみ、旅の疲れを癒したのだろうか。<br /><br /> 部屋に戻った。明日は午前中町を歩き回って、夕方マドリッドに戻る。そろそろ旅は終わり。このままずうっと北部のアストゥリアスまで行けたらどんなにいいだろう・・。<br /><br /><br /><br /><br /><br /><br />

初めてのパラドール巡り ? ベナベンテ~レオン

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1991/09/18 - 1991/09/27

184位(同エリア201件中)

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10

アーマ

アーマさん

9月24日
 今朝はゆっくり8時に起床。食堂の奥に飾ってある年代物の装飾品、壁に掛けられた鹿の角、絵タイル。日本のどんな素敵なレストランも、このどっしりとした歴史の重さにはかなわない。表面がつるつるでまるでロウ細工のように見える、固くて丸いパンも美味しいし、チーズもいい。

 ロビーに古い写真があった。このパラドールが城だった頃の絵もあり、かなり変わった形をしている。奇妙なアラブ風の建物もごちゃまぜに付いていて、端には現存するかたつむりの塔が見える。

 チェックアウトをして、また昼過ぎまで荷物を預かってもらう。今日もいい天気。公園の木の下で、木の実を拾った。栗のように見えるけど、ちょっと違う。もって帰ろう。あとで調べたら、トチノミだった。
 
 町は静かで、ブティックを覗いたり、ぶらぶら。革のジャケットが下がっている店に入ってみた。店員の女の子が、我々の姿にパニック状態で、恐ろしい早口で喋りながら付きまとう。奥の棚にあったバッグを見せて欲しいと言うと、あれは売り物ではなく・・と言うし、うっかり他の品物に触ろうものなら、「あっ、これ?これはね、ペラペラペラ・・」我々が諦めて店を出ていった後、ホーっとため息をついていたと、後ろを振り返ってみた友人が笑った。

 教会や、町役場らしい古い建物が並ぶマヨール広場に出た。教会は、かなり古いものらしく、入り口の上に彫られているのは、何とも愛嬌のある牛(羊?)の顔。

 そろそろお昼、でもまだお腹は空かないけど喉が渇いたので、近くのカフェテリアに入ってみる。お客は誰もいなくて、ちょっと躊躇したけど。暇そうなお兄さんが注文を聞きに来た。「オレンジジュース、3つね」「他に食べるものは?」「いらない。喉が渇いたから・・」わかった、と彼はカウンターへ戻っていった。店の奥に大きなテレビが置いてあって、ドラマをやっている。どうやら彼は、一人で楽しんでいたらしい。カウンターの上には、食べかけの彼のランチが乗っている。我々にジュースと、サービスのトルティージャ(ジャガイモ入りオムレツ)を一皿運ぶと、またテレビに向かって食べ始めた。「なんか、彼のお昼のおすそ分けみたいね」厚焼きのトルティージャを口に入れたとたん、「美味しい!」ジャガイモも卵もふんわり柔らか。

 パラドールに戻り、荷物を受け取って、タクシーでバスの駅に向かう。運転手は若いお兄さん。「ベナベンテ、気に入った?」気さくに声をかけてくる。「この町には、古いものはあまり残ってないんだ、パラドールくらいかな」あっという間に到着。「良いご旅行を!」彼は手荷物料金も取らず、すごく安かった。スペインのタクシー料金って、いいかげんみたい。

 レオン行きは、3時だった。ひんやりした石のベンチに腰掛けて待つ。冬は冷たいだろうな、などと考えていたら、二人連れの婦人がやってきて、珍しそうにこっちを見ていたが、そのうち一人が話しかけてきた。

 「誰かスペイン語わかる?」「はい、少々・・」やや緊張して答えると、猛スピードのお喋りが始まった。何しろ一方的で、こっちが分かるが分かるまいがお構いなし。父親が商人でサモラで仕事をしてうまくいって・・。そんなことを話しているようだった。自叙伝が一段落したのか、今度は日本人がいかに勤勉で優秀であるか、論じはじめた。

 「あ・・、そうですか」適当に相槌など打つものだから、いっそう彼女の話には熱がこもる。話を時々さえぎっては、仲間たちに説明する。分かる単語で想像する程度の、かなり怪しい通訳だったが、そうでもしなければ、私の頭はパニック状態だったのだ。

 やがて、写真を一緒に撮ったりしていると、バスが入ってきた。バスの前にレオンーサモラとある。彼女が書いた住所を見ると、アストゥリアス、ヒホンとある。「電話はこっちが自宅でこっちがお店。この次はきっと訪ねてきてね!」まるで昔からの知り合いみたいに抱き合って、別れを惜しんだ。

 バスのトランクに荷物を押し込んで、財布を出しながら運転手に言った。「3枚」後で思えば、これがいけなかったのだ。行き先を告げるのを、この時は慌てていたのでしなかった。座席に座ってどっと疲れを感じる。

 バスは発車した。町を抜け、郊外に出る。車内には音楽が流れ、私もだんだん落ち着きを取り戻していった。友人たちが話している。「ここ、昨日も通ったわね」「もう少ししたら、道が分かれるのね、きっと」

 15分くらい過ぎただろうか、「ねえ・・・、この景色、昨日通ったんじゃない?」まさかと笑う。小麦畑が広がるのどかな風景、どこまで行っても変わらない。しかし、「あれ?今の林、昨日あった」「ほら、ここも。確かに昨日見たよ!」「あ、ほら、紫の花が咲いていて・・」もう否定しようがなかった。このバスは一直線にサモラに戻っている。どうしよう・・。3人とも、がっくりするより可笑しくて、笑いが止まらない。きっとレオン発サモラ行きだったんだ。Oさんが、隣に座っている女の子に向かって、前方を指差して「レオン?」と聞いたら妙な顔をし、「サモラ?」と聞いたら事情を察して、にかっと笑って「Si!」
と答えたとのこと。とにかくサモラまで行くしかない。「いいじゃない、今までが順調だったから、一つくらいドジやったって・・」

 見慣れたサモラの町に到着。「やだ、ちゃんとサモラ行きになってる!」降りたバスの正面の行き先を見たOさんが叫んだ。あーあ。

 午後5時、今度こそレオン行きの切符を手に、再びバスに乗り込む。時報と共に、ガラガラとゲートが開いた。出発。これで3度目の道を、まずは昨日と同じベナベンテ目指してバスは走る。「この道なら、もう目をつぶっていたって運転できる!」と友人たち。さすがに景色も見飽きたし、3人ともコックリ、コックリやって、あっという間にベナベンテ着。ここで乗換えだった。

 今度のバスは、座席も硬く、ひどく乗り心地が悪い。それに乗客たちはみんな運転手と顔なじみらしく、なんだか「村のバス」といった雰囲気になってきた。ベナベンテの町を出ると、文字通りの田舎をバスは走る。道路はセンターラインもない、まるで農道。時々トラクターなどを避けながら、1本道をひたすらレオンを目指す。

 時々前方に赤レンガ色の集落が現れ、何の合図も無いのに心得たようにバスはスピードを落とし、バス停らしきものも見当たらない村の入り口で乗客を一人ずつ降ろしていく。そこには必ず何人かの人たちがバスを待っていて、別れを惜しむ光景と、お帰りなさいと家族を迎える光景が繰り広げられ、のどかな風景と相まって見ていて飽きなかった。

 午後7時レオン着。町外れのガソリンスタンドみたいな所がバス・ステーション。どっちへ行ったらいいのか見当もつかず、たまたま走ってきたタクシーを捕まえて、パラドールに向かう。タクシーは橋を渡って町中へ入った。想像以上に都会のようだ。やがて写真で見たとおりの威圧的な建物が見えてきた。

 ここのパラドールは「ホテル・サン・マルコス」タクシーが玄関に横付けされると、ドアマンが飛んできて開けてくれ、ポーターが手際よく荷物を運んでくれる。さすが5つ星。ロビーに一歩踏み入れたとたん、その豪華さに圧倒された。とうとう最後の1枚になった薄っぺらい予約の紙を取り出すと、フロントに向かって差し出した。

 部屋はシックなサーモンピンク色の織物のベッドカバーやカーテンで、さすが一流ホテルの風格。でも建物自体が新しく、チェックインが遅かったから、由緒ある部屋ではなさそう。まだ7時過ぎで、夕食にはちょっと早く、それぞれが持参してきた日本の食品を片付けることにした。豪華なパラドールの部屋の片隅で栗ぜんざいとお茶をすすり、梅干をしゃぶるのは絵にならないなあと思いながら、久しぶりの日本の味を楽しんだ。

 レストランは、食前酒を楽しむバールの奥にあって、お客はみんな正装。精一杯おしゃれしてきたつもりだった我々は、内心「しまった・・」ウェイターは我々を一目見るなり、奥の隅の「末席」に案内した。隣のテーブルには眼鏡をかけた髭面の若い男性が一人で食事をしている。彼が末席なのは分かるけど・・。不満げに顔を見合わせたけど、仕方ないか。

 我々が選んだメニューは、チキンと野菜の煮込み、サケのシードル酒煮、マスのグリルなど。しかし味はどれも大雑把でたいしたことない。
 隣で一人食べていた男が席を立った。見るとテーブルの上に部屋のキーを忘れている。ウェイターも知らん振り、後を追っていこうともしない。しばらくして彼が慌てふためいて戻ってきた。末席はサービスも悪い。

 やがて空いたそのテーブルに、カップルの男女が案内されてきた。女性はブロンドで真っ赤な胸の開いたドレスにスカーフ姿。香水をぷんぷんさせている。どうみても商売女。だから末席に案内されても文句も言わずに座ったのね。

 我々も席を立ち、広いロビーなど見て回った。古めかしい家具調度品で飾られている。大きなシャンデリアが下がり、分厚い絨毯が敷いてある階段を上がって、中庭を囲むように回廊が見えたので、ガラスのドアを押して出てみた。

 そこは別世界だった。中世のたたずまいそのままに、苔むした石の彫刻が、柔らかな灯りの中に浮かび上がっている。静かに雨が落ちていた。聖地サンティアーゴ・デ・コンポステーラを目指す多くの巡礼の人々も、この回廊でたたずみ、旅の疲れを癒したのだろうか。

 部屋に戻った。明日は午前中町を歩き回って、夕方マドリッドに戻る。そろそろ旅は終わり。このままずうっと北部のアストゥリアスまで行けたらどんなにいいだろう・・。






  • ベナベンテのパラドール<br /> 朝の食堂

    ベナベンテのパラドール
     朝の食堂

  • ベナベンテのパラドール<br /> テーブル・セッティングもなかなかお洒落

    ベナベンテのパラドール
     テーブル・セッティングもなかなかお洒落

  • ベナベンテ<br /> マヨール広場

    ベナベンテ
     マヨール広場

  • ベナベンテ<br /> 教会入り口の、愛嬌ある彫り物

    ベナベンテ
     教会入り口の、愛嬌ある彫り物

  • レオンへ向かう道<br /> バスから降りた乗客と、出迎えの女の子

    レオンへ向かう道
     バスから降りた乗客と、出迎えの女の子

  • レオンのパラドールの部屋<br /> 残念ながら、歴史ある旧館ではなかった

    レオンのパラドールの部屋
     残念ながら、歴史ある旧館ではなかった

  • レオンのパラドール<br /> この奥がレストラン

    レオンのパラドール
     この奥がレストラン

  • レオンのパラドール<br /> 夜の回廊

    レオンのパラドール
     夜の回廊

  • レオンのパラドール<br /> 回廊の片隅にて

    レオンのパラドール
     回廊の片隅にて

  • レオンのパラドール<br /> 優雅なサロン ふかふかの絨毯が敷き詰められた階段を上がって・・

    レオンのパラドール
     優雅なサロン ふかふかの絨毯が敷き詰められた階段を上がって・・

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