カスティーリャ・レオン地方旅行記(ブログ) 一覧に戻る
9月21日<br /> 窓を開けると冷たい空気がさっと流れ込んできた。7時半、やっと夜が明けたところ。コケコッコー・・・。のどかな田舎の朝である。のんびりと9時過ぎ朝食。バイキングスタイルで、並んだ料理の中に、昨夜のパン粉があった。「ここの名物なのかな」「昨日の残り物だ、きっと」すいかのようなさくさくしたメロンが美味しかった。<br /><br /> 食堂を出て、中庭に降りてみる。上着が欲しいくらい寒い!どこからかピアノの音が流れてくる。行ってみると、鎖のついた巻き上げ式の鉄の門扉がある通路があって、その向こうに古めかしい部屋があり、おばさんが掃除をしている。「ブエノス.ディアス」声をかけて入ってみると、音楽はその向こうの部屋からで、練習用のテープを流しながら、若いお兄さんがピアノを弾いていた。「オラ!」にっこり笑いかけて、弾き続けている。曲はビートルズ・ナンバー。<br /><br /> 通路の壁に、写真が2枚架けてあった。一つは現在のパラドールとしての城、そしてもう一つは修復前の城の姿。かつてモーロ人の城となったり、ナポレオン軍に占領されたり、数々の歴史を経ているという。荒れ果てた城には、モーロ風の塔が2つ写っていた。我々の泊まった部屋は、以前のままの建物と分かって感激。<br /> 10時、チェックアウト。タクシーを頼んでもよかったけれど、下り坂だし、町の中を見たいので、頑張って歩くことにする。<br /><br /> カテドラル前の広場は活気があり、朝市が開かれていた。空き地にいろんなものを並べている。野菜、果物、衣料品etc. ぶどうを買った。楕円形のつるんとしたかぼちゃみたいなのは、今朝食べたスイカ・メロンらしい。美味しそう。<br /><br /> カテドラルに戻り、もう一度ステンドグラスを見ようと、扉を押す。「あっ、ミサをやっている!」今日は土曜日だった。中央の祭壇で祈る人々、そして響き渡るパイプオルガンの音。<br /><br /> 11時半、定刻にマドリッド行きの電車は発車。ホテルに戻って、預けていたスーツケースも無事届いてほっとする。友人たちはこれからプラド美術館へ行くという。私は少しお昼寝タイムにしよう。二人が出かけた後、ベッドに潜り込んだ。ベッドは硬めで具合がよく、1時間余り熟睡。目が覚めたとき、目に入ったのは白いレースとピンクの花柄のカーテン、半分だけ下ろした白いブラインドと、その間から覗いて見える、瀟洒な建物、車の音。ああ、そうだ、ここはマドリッド・・。<br /><br /> 合図のドアのブザーが2回鳴り響いた。ブザーの音は廊下にも響き渡って、押した当人も飛び上がったそうだ。「おかえりなさい!どうだった?」「プラド美術館の側に、NHKのバスが止まっていたわよ!」それに、このホテルの近くに、手ごろな土産屋さんがあるとのこと。さっそく一緒に出かけることにした。<br /><br /> 夕方の5時。日はまだ高く、気温30度。土曜日ということもあってすごい人出。明らかに目つきの悪い連中もあちこちにいて、我々が通るとじーっと目で追う。でも、こっちが意識していれば後をつけてはこない。土産屋は、杖をついた老人とその妻とでやっている小さな店で、可愛い品物が一杯並んでいた。<br /><br /> デパートに足を向けると、そこは更に混雑をきわめている。エスカレーターで上っていくと、いきなり『日本』と書かれた垂れ幕が目に入った。どうやら日本の陶器市をやっているらしかった。うちの台所にでもあるような、安物の小どんぶりやら、奇妙な着物姿の陶器製の博多人形?だの、適当なものも並んでいる。<br /><br /> 7時半過ぎとなり、お腹はぺこぺこ、夕食はチェックしておいたレストランにタクシーで向かう。レストランの住所を控えてなかったので、近くの通りの名前を運転手に告げた。降りたところは、繁華街から外れていて、たたずまいもどこか違う。マドリッドでも古い街、とガイドブックにある。細い路地に黄色い灯が点々と点り、リスボンの町に似ているような・・。何人かの人に聞いて、やっとレストランを見つけた。見るからに歴史が錆び付いたような建物で、入った所は地元の客たちの溜まり場のバール、狭い通路を奥に進んでいくと、レストランの部屋があった。「このお店捜すの、大変だったのよ!」恰幅の良いおじさんが笑う。「簡単だよ、ティルソ・デ・モリーナ広場のすぐそばだ」<br /><br /> お客は1組の子連れの若い夫婦だけ。部屋には闘牛の古い絵などが飾ってある。メニューが来た。まず、魚介のスープ、生ハムとメロン(私)イカのリング揚げにイカ墨煮(友人たち)3人、美味しい、美味しいの連発。イカ墨は苦手と言っていたOさんに「騙されたと思って食べてみて」一口食べた彼女の目がまん丸「美味しい!」<br /><br /> 隣のテーブルはフランス人の家族だった。英語で話をする。パリ郊外のベルサイユに住んでいるとか。可愛い金髪の(友人が褒めると、若いママは自慢げだった)2歳の坊やの名前はルイ。「王様と同じ名前ね!」「ウィ!」<br /><br /> デザートは、とおじさんが聞きに来た。「特製ケーキ、トリハはどう?」それにしてみよう。来たのは、サバラン風のケーキ、カラメル・ソース味。美味しい!おじさんはにっこり頷く。私は聞き返した。「何ていうんだっけ?」「トリハ」うーん、覚えにくいなあ・・。しばらくしておじさんが突然私の前に来て聞いた。「ところで、あのケーキの名は?」不意を突かれてうろたえる。「えーっと、ト・・・」「トリハ!」隣で友人のAさんが叫んだ。「当たり!」彼はちっちっと指を振って、私に言う「ちょっと遅いねえ」レストランは貸しきりみたいに賑やかだった。<br /><br /> 隣のフランス人家族が帰って、我々も席を立った。出口まで来てびっくり、えっ雨が降ってる!しかも土砂降りだ。覚悟を決めて飛び出す。ピカッ、ゴロゴロ・・。シグエンサの続きみたい。広場まで駆けていって、タクシーをつかまえた。やれやれ。ところが、道路はひどい渋滞。前の車がへたで、なかなか左折できない。「行けばいいのに!」我々もイライラ。運転手も頭にきてクラクションを鳴らす。「このまぬけ!」やがて雨も小降りになって、そのうちに止んでしまった。運転手に声をかける。「雨、止んだね」「Si」相変わらず道路は混んでて、彼はぶつくさ言っている。適当な相槌を打てず黙ったままの私に、不審に思ったのか、「スペイン語話すのか?」「ほんの少しね・・」怖そうな顔がちょっとほころんだ。<br /><br /> やっとホテルに着く。時間もかかったが、料金もかかった。渋滞していたから、仕方ないか。明日からは、いよいよ3泊4日の旅が始まる。電車やバスで、北の町レオンまで行くのだ。スーツケースはまた預けて行くので、着替えを詰め込む。暑いのか寒いのか、見当もつかない。<br /><br /><br /><br />

初めてのパラドール巡り ? シグエンサ~マドリッド

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1991/09/18 - 1991/09/27

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2

アーマ

アーマさん

9月21日
 窓を開けると冷たい空気がさっと流れ込んできた。7時半、やっと夜が明けたところ。コケコッコー・・・。のどかな田舎の朝である。のんびりと9時過ぎ朝食。バイキングスタイルで、並んだ料理の中に、昨夜のパン粉があった。「ここの名物なのかな」「昨日の残り物だ、きっと」すいかのようなさくさくしたメロンが美味しかった。

 食堂を出て、中庭に降りてみる。上着が欲しいくらい寒い!どこからかピアノの音が流れてくる。行ってみると、鎖のついた巻き上げ式の鉄の門扉がある通路があって、その向こうに古めかしい部屋があり、おばさんが掃除をしている。「ブエノス.ディアス」声をかけて入ってみると、音楽はその向こうの部屋からで、練習用のテープを流しながら、若いお兄さんがピアノを弾いていた。「オラ!」にっこり笑いかけて、弾き続けている。曲はビートルズ・ナンバー。

 通路の壁に、写真が2枚架けてあった。一つは現在のパラドールとしての城、そしてもう一つは修復前の城の姿。かつてモーロ人の城となったり、ナポレオン軍に占領されたり、数々の歴史を経ているという。荒れ果てた城には、モーロ風の塔が2つ写っていた。我々の泊まった部屋は、以前のままの建物と分かって感激。
 10時、チェックアウト。タクシーを頼んでもよかったけれど、下り坂だし、町の中を見たいので、頑張って歩くことにする。

 カテドラル前の広場は活気があり、朝市が開かれていた。空き地にいろんなものを並べている。野菜、果物、衣料品etc. ぶどうを買った。楕円形のつるんとしたかぼちゃみたいなのは、今朝食べたスイカ・メロンらしい。美味しそう。

 カテドラルに戻り、もう一度ステンドグラスを見ようと、扉を押す。「あっ、ミサをやっている!」今日は土曜日だった。中央の祭壇で祈る人々、そして響き渡るパイプオルガンの音。

 11時半、定刻にマドリッド行きの電車は発車。ホテルに戻って、預けていたスーツケースも無事届いてほっとする。友人たちはこれからプラド美術館へ行くという。私は少しお昼寝タイムにしよう。二人が出かけた後、ベッドに潜り込んだ。ベッドは硬めで具合がよく、1時間余り熟睡。目が覚めたとき、目に入ったのは白いレースとピンクの花柄のカーテン、半分だけ下ろした白いブラインドと、その間から覗いて見える、瀟洒な建物、車の音。ああ、そうだ、ここはマドリッド・・。

 合図のドアのブザーが2回鳴り響いた。ブザーの音は廊下にも響き渡って、押した当人も飛び上がったそうだ。「おかえりなさい!どうだった?」「プラド美術館の側に、NHKのバスが止まっていたわよ!」それに、このホテルの近くに、手ごろな土産屋さんがあるとのこと。さっそく一緒に出かけることにした。

 夕方の5時。日はまだ高く、気温30度。土曜日ということもあってすごい人出。明らかに目つきの悪い連中もあちこちにいて、我々が通るとじーっと目で追う。でも、こっちが意識していれば後をつけてはこない。土産屋は、杖をついた老人とその妻とでやっている小さな店で、可愛い品物が一杯並んでいた。

 デパートに足を向けると、そこは更に混雑をきわめている。エスカレーターで上っていくと、いきなり『日本』と書かれた垂れ幕が目に入った。どうやら日本の陶器市をやっているらしかった。うちの台所にでもあるような、安物の小どんぶりやら、奇妙な着物姿の陶器製の博多人形?だの、適当なものも並んでいる。

 7時半過ぎとなり、お腹はぺこぺこ、夕食はチェックしておいたレストランにタクシーで向かう。レストランの住所を控えてなかったので、近くの通りの名前を運転手に告げた。降りたところは、繁華街から外れていて、たたずまいもどこか違う。マドリッドでも古い街、とガイドブックにある。細い路地に黄色い灯が点々と点り、リスボンの町に似ているような・・。何人かの人に聞いて、やっとレストランを見つけた。見るからに歴史が錆び付いたような建物で、入った所は地元の客たちの溜まり場のバール、狭い通路を奥に進んでいくと、レストランの部屋があった。「このお店捜すの、大変だったのよ!」恰幅の良いおじさんが笑う。「簡単だよ、ティルソ・デ・モリーナ広場のすぐそばだ」

 お客は1組の子連れの若い夫婦だけ。部屋には闘牛の古い絵などが飾ってある。メニューが来た。まず、魚介のスープ、生ハムとメロン(私)イカのリング揚げにイカ墨煮(友人たち)3人、美味しい、美味しいの連発。イカ墨は苦手と言っていたOさんに「騙されたと思って食べてみて」一口食べた彼女の目がまん丸「美味しい!」

 隣のテーブルはフランス人の家族だった。英語で話をする。パリ郊外のベルサイユに住んでいるとか。可愛い金髪の(友人が褒めると、若いママは自慢げだった)2歳の坊やの名前はルイ。「王様と同じ名前ね!」「ウィ!」

 デザートは、とおじさんが聞きに来た。「特製ケーキ、トリハはどう?」それにしてみよう。来たのは、サバラン風のケーキ、カラメル・ソース味。美味しい!おじさんはにっこり頷く。私は聞き返した。「何ていうんだっけ?」「トリハ」うーん、覚えにくいなあ・・。しばらくしておじさんが突然私の前に来て聞いた。「ところで、あのケーキの名は?」不意を突かれてうろたえる。「えーっと、ト・・・」「トリハ!」隣で友人のAさんが叫んだ。「当たり!」彼はちっちっと指を振って、私に言う「ちょっと遅いねえ」レストランは貸しきりみたいに賑やかだった。

 隣のフランス人家族が帰って、我々も席を立った。出口まで来てびっくり、えっ雨が降ってる!しかも土砂降りだ。覚悟を決めて飛び出す。ピカッ、ゴロゴロ・・。シグエンサの続きみたい。広場まで駆けていって、タクシーをつかまえた。やれやれ。ところが、道路はひどい渋滞。前の車がへたで、なかなか左折できない。「行けばいいのに!」我々もイライラ。運転手も頭にきてクラクションを鳴らす。「このまぬけ!」やがて雨も小降りになって、そのうちに止んでしまった。運転手に声をかける。「雨、止んだね」「Si」相変わらず道路は混んでて、彼はぶつくさ言っている。適当な相槌を打てず黙ったままの私に、不審に思ったのか、「スペイン語話すのか?」「ほんの少しね・・」怖そうな顔がちょっとほころんだ。

 やっとホテルに着く。時間もかかったが、料金もかかった。渋滞していたから、仕方ないか。明日からは、いよいよ3泊4日の旅が始まる。電車やバスで、北の町レオンまで行くのだ。スーツケースはまた預けて行くので、着替えを詰め込む。暑いのか寒いのか、見当もつかない。



  • シグエンサ城<br /> 

    シグエンサ城
     

  • カテドラル近くの広場<br /> 右端におしゃべりしている人たち、その傍らに大きなムクイヌが。思わす駆け寄って・・。

    カテドラル近くの広場
     右端におしゃべりしている人たち、その傍らに大きなムクイヌが。思わす駆け寄って・・。

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