2003/05/14 - 2002/05/27
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buchijoyceさん
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ユルタキャンプ
5月18日(日)
8時食事。クレープに蜂蜜、サワークリーム。お茶、ヨーグルト。
今日はヌクスからアヤズクル湖のちかくのユルタ・キャンプへ。
ただし、この場所は日本の地図には載っていない。
「ドーブラ ウートラ。シボーニァ ハラーショワ パゴーダ」
(おはよう。今日はいい天気ですね)
とスウェタ先生に言う。だいぶ言葉がすらすらと出るようになった。
9時出発。
車はひたすら荒野を南下。ラクダ草の仲間のブッシュが一面に生い茂っている、な〜んにもない広い、広い荒野だ。道幅の広い道路は舗装されている。なんせ車が少ないから、高速道路なみだ。
標識を見るたびに、たどたどしく私が拾い読みする。スウェタが笑って発音を直す。そう、スウェタはウチチューニッツァ(女教師)だから。しかもこの先生、なかなかきびしい。
今日からは運転手はラーヒムだけだ。ラーヒムは40代。背の高い、眉毛がふさふさとした温厚そうな人である。無口なーヒムに話しかける。
「家族は?」
「母と妻と子どもが3人」
「さびしいでしょう?」
「私は大丈夫ですが、子どもたちは可哀想」
「そうだね、私たちより先に出発しているんだからね。でもまだ先がながいね」
ずいぶん走ってスルタンボボという集落に入る。大きなバス停がある。道の脇には塩が白く光っている。しかし、家の周りはどこも緑にかこまれている。スルタンボボとは年寄りの王様という意味だそうだ。そこで即興でお話をつくって話す。
むかし、むかし、年寄りの王様が住んでいました。荒れた、さびしいところだったので、王様は村人に耕して畑をつくるように言いました。しかし村びとは、畠を耕すことをいやがりました。
というのは、この土地の土は固くて、掘るのが大変だったからです。そこで、王様は子どもたちにこの土地を掘ってくれと頼みました。
子どもたちは遊びながら、地面を掘っていきました。すると、どうでしょう。地面を深く掘ったところから、金が出てきました。
子どもたちは大喜び、それを見た大人たちも、金目当てに耕し始めました。金目当てに、大勢の人たちが村におしかけ、村は活気付き、栄えました。
王様はお金持ちになりました。ところが、金目当ての人々が土地という土地を掘り返したので、畑には水がたまり、地面の下からは塩が噴き出し、せっかくの畑が塩の畑になってしまいました。
出てきた金を使い果たすと、人びとは一人去り二人去り、この村を去っていきました。王様もがっかりして、町へ去っていきました。残ったのは塩の荒野だけ。王様はたくさんの掘り出した金をどこかに埋めたそうです。王様の金はどこへ行ってしまったのでしょうか。
スルタンボボでローカルガイドを乗せる。彼女は今夜泊まるユルタのオーナーの娘で、ユルタに客のあるときは手伝いに来るのだそうだ。彼女の説明だと、カラカルパクは1763年まで、ヒヴァ汗国の領地だった。それ以前の歴史はよくわかってないという。1906年にウズベキスタンに併合される。
以前はカラカルパクでは、結婚に関しての決まりがあった。
男は4人の妻が持てる。自分より階級の上の女性と結婚してはならない。女は美しくなくてはならない。年上であってはならない、と。まったくいい気なもんだ!
カラをふたつたずねる。先ずはキジル・カラ。カラとは城のこと。キジルは赤、もう一つの意味はお金持ち。このカラには埋蔵金伝説がある。しかし、このカラを発掘するものには災いがあるという伝えがある。初めて発掘した人が生活用品もみつけたことから、兵士だけでなく、家族も一緒に住んでいたようだと報告している。ただしその後、発掘に携わった人に災いが起こり、伝説は正しかったと恐れられ、放置されている。この土の下には埋蔵金があるとも伝えられているという。おやおや、私の作り話が現実味を帯びてきた。
このカラの城壁には無数の鳥の巣がつくられている。雑草の生い茂る野原を横切って、急斜面をカラまで登ったのは、ひとつには鳥がみたかったからである。
2つ目のカラはトプロク・カラ。ここには紀元前に王様が住んでいたので大きい。ふたつのカラからなっている。
ひとつが王が住んでいたカラ。もうひとつは市民が住んでいた。
ここからは粘土板に記されたアラメイ文字の図書が多数見つかっている。アラメイ文字のことはまったく知らない。壁画も美しいものがあったが、それらはエルミタージュ美術館に保管されている。
3つのカラは運河でつながれていた。それは単なる用水路で運搬の用に使われていたわけではないそうだ。かつてはアムダリアがこの地を流れていたが、アムダリアの流れが離れてしまったこともあって、人々はこの地を離れていった。その後モンゴルの襲撃で住民は皆殺しにされてしまった。
3つ目はアヤズ・カラ。アヤズとは「寒い」の意。
しかし、「寒い」は関係なく、単にアヤズという后の名からつけられたものだそうだ。またまたすぐお話ができる。その后は絶世の美女だったけど、とても冷たい人でした・・
スウェタがいう。
「Mamasanのお話、私は前からあったものと思っちゃう」
「いいじゃない、お話なんてそんなものだからね。
聞く人は知らないんだから、今度お客さんに話してやったら」
めずらしく前方に山が見える。その山並みはカラクウ山脈。カラは黒、クウは山。高さ473m、長さ40km。KOLAは黒、KALAは城。日本語では同じくカラ。途中の町はエリクカラと呼ばれていて、エリクとは50、要するに50もの小さなカラがあるということだ。その昔、この辺りには金属業の人たちが多く、財産を守るために小さなカラを自前でつくった。だからカラが多いのだそうだ。外観だけだが家々のつくりはきれいだ。
ユルタ・キャンプに着く。
キャンプからは小高い丘の上にあるアヤズ・カラが良く見える。
ユルタは6つ。ユルタはモンゴルではゲル、円形の遊牧民の移動用住居だ。別棟にはトイレもシャワーもある。
この地は高いので、この水は下からくみ上げてくるのだそうだ。
ことおろそかに水は使えない、といいながら使っている。
ユルタの反対側は草原。ラクダが数頭草をはんでいる。下の方にはアヤズクル湖が青く見える。車が数台止まっていて、アメリカ人たちが家族連れで来ていたが、アヤズクル湖に遊びに来て寄っただけ。宿泊客は私たちだけだ。
ユルタの外面は数センチもある厚い羊毛のフェルトで覆われている。ユルタの中は絨毯が敷詰められ、更に細長いふとんが並び、クッションもおいてある。一方の下のフェルトを上げてあるので、風通しがよく快い。
まずは食事をする。食べている私たちの上をツバメがにぎやかに出入りしている。昼寝をする。
4時半からラクダに乗る。ひとこぶラクダだ。こぶのうえに鞍が平らにおいてあり、またがって、紐に捕まって乗る。
ラクダは客を乗せるのがいやらしく、ぶーぶー言っていうことをきかない。生意気な奴!ラクダが立ち上がるときが怖い。のけぞるようにしてなんとかクリア。
Hさんが乗ったラクダは立ち上がったと思ったら、いきなり座ってしまった。オーナーがいくら引っ張っても、蹴飛ばしても動かない。ラクダの調教はお兄さんの係りらしく、彼が引っ張ると立ち上がった。オーナーとお兄さんに綱を引かれて、荒野を歩く。
高さはあるし、背中の幅が広いので乗り心地は馬の方がいい。
ユルタの方に向きを変えると、現金なものでラクダはおとなしく歩き始めた。ラクダも頭は良いらしい。
地面の上をトカゲが跳ぶように走り、あっというまに砂にもぐりこむ。
ラクダを下り、休憩していると、外でにぎやかな声。
私たちがラクダに乗っているのを見たアメリカ人達が、よほどたのしく見えたらしく、自分たちも乗って写真を撮っているのである。
夕食は今度は隣のユルタで。
ペリメニ(ロシア語)のスープ。ここではチュチュワラ(耳)というそうだ。牛肉の串焼き、サラダ。ウォッカがサービスで出された。このウォッカは甘い。ここのパンは薄い平たいパンだ。ここのも美味しい。
ウォッカを飲んでいるうちに、夕日が沈み始めたのでカメラを持って飛び出していく。空気の関係か真っ赤な光のない大きな太陽が沈むのではなく、朝日と同じような太陽が光りながら沈んでいく。
「朝日と同じじゃ、つまらないよ〜」太陽に向かって文句を言っている。
8時から民族音楽の演奏が始まり、ピンクの衣装をつけた踊り子が来て踊りだした。私たちにも踊れというので、いっしょになって踊っている。踊り子の前歯は金歯だらけ。金歯はステータスシンボルとか。
外のバルコニーに布団をしいてもらい、星を眺めている。
天空に北斗七星。なかなか西の空が暗くならないので、他の星が認識できない。春の星座はどちらかというと地味。北斗七星、獅子座の鎌、おとめ座のスピカ・・
地平線近くにカシオペアが見える。
ツバメがユルタに泊まりに来ている。ツバメと同宿なんて、うふふだ。ただし、上から落ちてくるものはある。
虫除けを焚いてくれたが、蚊はたくさんいる。殺虫剤のしみこんだティッシュを貰ったので、手、首、顔、耳と出ているところをみんな拭いた。皮膚は大丈夫だろうか。
夜中に目を覚まして、星を見に外をのぞいた。星はよく見えたけれど、天の川は認識できなかった。どう流れているかは知ってはいるけど。雨期明けで、まだ空は澄んでいないのだろう。
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