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11月28日<br /> 朝食のテーブルについた時だった。「あれっ、カメラが無い・・・」慌てて部屋に戻って捜したが、見当たらない。バスに積まれる直前のトランクに飛びついて、中をかき回す。ない・・・。だんだんパニックになってくる。最後にカメラを見たのは、あの売店!飛んでいったけど、まだ閉まっていた。フロントでは、売店の女の子がじきに来ると言っている。「カメラを失くしたって?」運転手のゴンザレスさんが声をかけてきた。「マラガで?」「No」えーと・・、やっと単語が頭に浮かぶ。「昨日、ここで写真撮った」「ホテルで?じゃ、間違いなくここにあるよ」しかし、売店にもどこにも無く、これ以上ツァーの一行に迷惑をかけられないので、諦めることにした。<br /><br /> バスは出発。落ち着きを取り戻した私は、ぼんやりとこれからは写真なしの旅になるなあと思った。カメラを失くした事より、中に入っていたフィルムが惜しかった。自信作がたっぷり入っていたので。「はい、これ」Mさんが、ナプキンに包んだパンとゆで卵を手渡してくれた。そういえば、まだ朝食を食べてなかった。今日も雨雲にすっぽり包まれたグラナダを後に、コルドバに向かう。<br /><br /> やがてコルドバ。川べりで記念写真撮影。雨は落ちてなかったけど、曇り空。夏にはピンクの花を一杯つけて河原を彩っていた夾竹桃も、今はただの木。アルカサルの入り口で、オカリナ売りの若い男が、見事なオカリナを吹いてみせる。澄んだ音色が、石畳の路地に響いていた。<br /><br /> カメラが無いというのは妙なもので、後で写真でゆっくり見ることはできないから、よく脳裏に焼き付けなければならない。でも、写真を撮らなくていいというのは、結構気が楽。柱の林の中、ゆっくり見ながら進んでいく。柱は1本ごと長さが違い、あるものは丸い石の基盤の上に乗り、またあるものは長すぎて、床を掘り下げて埋め込んである。<br /><br /> レストランで昼食の後、トレドを目指して出発。320Kmをひた走る。横になって、体を休めることにした。やがて、「そろそろラ・マンチャです。風車が見えてきますよ」遠くの丘の上に4基ほどの風車が見え隠れしていたが、やがてそれも見えなくなった。もう4時過ぎ、バスはまっしぐらに走っている。<br /><br /> しばらく前から、マドリッドまで何キロ、と書かれた標識が目に付くようになっていた。また標識が現れる。直進はマドリッド、左はトレドへ。ひたすら北へ向かっていたバスは、そこで向きを変えた。道端の家々の造りはスペイン中部地方のそれで、白いアンダルシアは遠くなってしまったと思う。あたりはたそがれてだいぶ薄暗い。<br /><br /> と、その時だった、左手前方の丘の上に風車群が姿を現したのは。町の名が道端にあった。コンスエグラ。丘を回りこむようにしてバスは近づいていく。7基くらいあっただろうか、夜の帳に飲み込まれる直前の薄明かりの中に浮かび上がる風車たち。<br /><br /> コンスエグラの町が遠ざかると、あたりは完全に闇に包まれた。灯りひとつない大地を、しばらく走ると、前方に町の灯が見えてきた。地図で見ると、モラ・デ・トレド、とある。バスがやっと通れるくらいの狭い道の両側に軒を並べた家並みは、風情があって美しい。バルから明りが洩れ、憩う人々の姿もちらりと見え、この町で降りてみたい誘惑にかられた。バスは走りぬけ、あっという間に再び闇の中。<br /><br /> ついにトレド着。ホテルは出来たてほやほやの、ピカピカホテル。ロビーはすべて鏡とガラス張りで、なんとなく落ち着かない。Mさんが、「このカメラ使っていいわよ」と、貸してくださった。いつも2つ持ち歩いているとのこと。お陰でまた写真が撮れることになった。明日の午後はいよいよマドリッド。<br /><br /><br />

光と影のイベリアを行く ? コルドバ、そしてトレドへ

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1989/11/23 - 1989/12/03

22779位(同エリア23756件中)

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アーマ

アーマさん

11月28日
 朝食のテーブルについた時だった。「あれっ、カメラが無い・・・」慌てて部屋に戻って捜したが、見当たらない。バスに積まれる直前のトランクに飛びついて、中をかき回す。ない・・・。だんだんパニックになってくる。最後にカメラを見たのは、あの売店!飛んでいったけど、まだ閉まっていた。フロントでは、売店の女の子がじきに来ると言っている。「カメラを失くしたって?」運転手のゴンザレスさんが声をかけてきた。「マラガで?」「No」えーと・・、やっと単語が頭に浮かぶ。「昨日、ここで写真撮った」「ホテルで?じゃ、間違いなくここにあるよ」しかし、売店にもどこにも無く、これ以上ツァーの一行に迷惑をかけられないので、諦めることにした。

 バスは出発。落ち着きを取り戻した私は、ぼんやりとこれからは写真なしの旅になるなあと思った。カメラを失くした事より、中に入っていたフィルムが惜しかった。自信作がたっぷり入っていたので。「はい、これ」Mさんが、ナプキンに包んだパンとゆで卵を手渡してくれた。そういえば、まだ朝食を食べてなかった。今日も雨雲にすっぽり包まれたグラナダを後に、コルドバに向かう。

 やがてコルドバ。川べりで記念写真撮影。雨は落ちてなかったけど、曇り空。夏にはピンクの花を一杯つけて河原を彩っていた夾竹桃も、今はただの木。アルカサルの入り口で、オカリナ売りの若い男が、見事なオカリナを吹いてみせる。澄んだ音色が、石畳の路地に響いていた。

 カメラが無いというのは妙なもので、後で写真でゆっくり見ることはできないから、よく脳裏に焼き付けなければならない。でも、写真を撮らなくていいというのは、結構気が楽。柱の林の中、ゆっくり見ながら進んでいく。柱は1本ごと長さが違い、あるものは丸い石の基盤の上に乗り、またあるものは長すぎて、床を掘り下げて埋め込んである。

 レストランで昼食の後、トレドを目指して出発。320Kmをひた走る。横になって、体を休めることにした。やがて、「そろそろラ・マンチャです。風車が見えてきますよ」遠くの丘の上に4基ほどの風車が見え隠れしていたが、やがてそれも見えなくなった。もう4時過ぎ、バスはまっしぐらに走っている。

 しばらく前から、マドリッドまで何キロ、と書かれた標識が目に付くようになっていた。また標識が現れる。直進はマドリッド、左はトレドへ。ひたすら北へ向かっていたバスは、そこで向きを変えた。道端の家々の造りはスペイン中部地方のそれで、白いアンダルシアは遠くなってしまったと思う。あたりはたそがれてだいぶ薄暗い。

 と、その時だった、左手前方の丘の上に風車群が姿を現したのは。町の名が道端にあった。コンスエグラ。丘を回りこむようにしてバスは近づいていく。7基くらいあっただろうか、夜の帳に飲み込まれる直前の薄明かりの中に浮かび上がる風車たち。

 コンスエグラの町が遠ざかると、あたりは完全に闇に包まれた。灯りひとつない大地を、しばらく走ると、前方に町の灯が見えてきた。地図で見ると、モラ・デ・トレド、とある。バスがやっと通れるくらいの狭い道の両側に軒を並べた家並みは、風情があって美しい。バルから明りが洩れ、憩う人々の姿もちらりと見え、この町で降りてみたい誘惑にかられた。バスは走りぬけ、あっという間に再び闇の中。

 ついにトレド着。ホテルは出来たてほやほやの、ピカピカホテル。ロビーはすべて鏡とガラス張りで、なんとなく落ち着かない。Mさんが、「このカメラ使っていいわよ」と、貸してくださった。いつも2つ持ち歩いているとのこと。お陰でまた写真が撮れることになった。明日の午後はいよいよマドリッド。


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