アンダルシア地方旅行記(ブログ) 一覧に戻る
 前方に険しい山々、雲が低く覆っている。ごつごつした山越えとなり、やがてロンダの町に入った。バスを降りると土砂降りの雨、慌ててレストランに飛び込んだ。ロンダは昔山賊の隠れ場所だったというけれど、まさにその山賊料理にどぎもを抜かれる。豪快な肉の塊り、500グラムはあっただろうか、それに付け合せのじゃがいものでっかいこと!ホイルに包み、半分に割ってバターがかけてある。そのおいもにフォークがぐさっと刺さってて、それらが使い古した木製のお皿に乗って出てきた。ステーキのほうは殆ど手をつけなかったけれど、おいもの美味しさにはびっくり。中までホクホクしててとっても美味しい。野菜サラダも豪快な大皿で出てきて、久しぶりの生野菜をもりもり頂いた。<br /><br /> 食後に消化剤を飲もうと、テーブルの上の、ミネラル・ウォーターの入った壷を取り上げ、グラスに注ぐ。薬と一緒に飲み干した水は、なぜかまずくてかすかに妙な味がして・・・。あっと気がついた。氷が溶けたんだ。氷はミネラル・ウォーターで作ってはいない。(その夜から、下痢が続いて参った。)<br /><br /> レストランを出る頃になっても雨足は一向に衰えてなかった。ロンダは深い峡谷の上にまたがっている。橋からの眺めは想像以上にすごかった。断崖となっていて、下までどのくらいあるのだろうか、怖くて覗けない。覗こうとすると、川底からすごい風が吹き上げていて、傘が飛ばされそうになってよろめいた。橋の向こう側から見ると、家々が建っている岩盤は、その軒下ぎりぎりのところから、恐ろしい巨大なつめで引き裂いたような深い亀裂となって、谷底に落ち込んでいる。特に転落防止の柵もなく、人々は気にせず暮らしているようだ。<br /><br /> コートも靴も、ずぶ濡れになって、やっとの思いでバスに戻る。これからミハスに寄って、それからトレモリノス。もうどこにも寄らずに、早くホテルで休みたい。バスはすごい山道を突っ走る。殆ど木も生えていないごつごつした岩山からは、所々雨水が滝のように流れ落ちていた。霧が深く、視界もほとんどきかない。運転手は勘で走らせているように見えた・・・。<br /><br /> 「さあ、地中海が見えましたよ、すごく荒れていますね・・。このお天気がもう1週間以上、ずーっと続いているんですって。」添乗員さんの声に、身を起こすと、いつのまにかコスタ・デル・ソルづたいに走っていた。真っ黒い海、白波が荒れ狂っていて、ぞっとするような景色に、私はまた目を閉じてしまった。<br /><br /> 運転手と添乗員さんが言い争っている。どうやら、ミハスに寄らずに来てしまったらしい。ミハスに行くなんて、聞いていないと言い張る運転手に、うそだ、ちゃんと会社にスケジュールが行っているはずなんだから、とぶつぶつ言う添乗員さん。既に日は暮れてあたりは薄暗く、運転手は、もうミハスにバスを戻す気はさらさらないらしい。しばらく無言でいた彼女、やがてマイクを取り出し、予定変更を伝える。明日の朝ミハスに行くとのこと。ほっとする。<br /><br /> ホテル着。すぐ前が海で、夏だったら良さそう。広いロビーは閑散としている。部屋で休んでいたら、だんだん具合が悪くなってきて、やっぱり水にあたったと思った。夕食は食べず、休んでいることにする。こんな嵐の中、せめて明るくしたいとライトをつけたら、あちこちがつかない。添乗員さんに電話をかけてきてもらった。後で修理頼んでくれるとのこと。<br /><br /> 窓は海に面していて、強い風雨が吹きつけ、ガタガタと音を立てるし、隙間風が入ってきて寒い。時々雷も鳴っているようで、荒れ狂う真っ黒な海がぴかっと照らし出される。部屋の電気も時々フッと消えかかるし、ラジオさえ電波が途切れるしで、生きた心地がしないとはこの事。<br /><br /> ドアにノックの音。「誰?」細く開けると、「今晩は、セニョーラ」ジーンズ姿の若い男。修理の人かなとは思ったが、気味が悪いのでじろりと見て「NO」と言ってばたんとドアを閉めた。彼は困ったようにもじもじと立っていたようで、「お休みなさい、セニョーラ」とつぶやいて立ち去った。後で添乗員さんに「修理の人来ましたか?」と聞かれ、しまった・・。「それが、実は・・」彼女がもう一度フロントに頼んでくれたが、修理人はついに現れなかった。<br />

光と影のイベリアを行く ?

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1989/11/23 - 1989/12/03

567位(同エリア590件中)

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2

アーマ

アーマさん

 前方に険しい山々、雲が低く覆っている。ごつごつした山越えとなり、やがてロンダの町に入った。バスを降りると土砂降りの雨、慌ててレストランに飛び込んだ。ロンダは昔山賊の隠れ場所だったというけれど、まさにその山賊料理にどぎもを抜かれる。豪快な肉の塊り、500グラムはあっただろうか、それに付け合せのじゃがいものでっかいこと!ホイルに包み、半分に割ってバターがかけてある。そのおいもにフォークがぐさっと刺さってて、それらが使い古した木製のお皿に乗って出てきた。ステーキのほうは殆ど手をつけなかったけれど、おいもの美味しさにはびっくり。中までホクホクしててとっても美味しい。野菜サラダも豪快な大皿で出てきて、久しぶりの生野菜をもりもり頂いた。

 食後に消化剤を飲もうと、テーブルの上の、ミネラル・ウォーターの入った壷を取り上げ、グラスに注ぐ。薬と一緒に飲み干した水は、なぜかまずくてかすかに妙な味がして・・・。あっと気がついた。氷が溶けたんだ。氷はミネラル・ウォーターで作ってはいない。(その夜から、下痢が続いて参った。)

 レストランを出る頃になっても雨足は一向に衰えてなかった。ロンダは深い峡谷の上にまたがっている。橋からの眺めは想像以上にすごかった。断崖となっていて、下までどのくらいあるのだろうか、怖くて覗けない。覗こうとすると、川底からすごい風が吹き上げていて、傘が飛ばされそうになってよろめいた。橋の向こう側から見ると、家々が建っている岩盤は、その軒下ぎりぎりのところから、恐ろしい巨大なつめで引き裂いたような深い亀裂となって、谷底に落ち込んでいる。特に転落防止の柵もなく、人々は気にせず暮らしているようだ。

 コートも靴も、ずぶ濡れになって、やっとの思いでバスに戻る。これからミハスに寄って、それからトレモリノス。もうどこにも寄らずに、早くホテルで休みたい。バスはすごい山道を突っ走る。殆ど木も生えていないごつごつした岩山からは、所々雨水が滝のように流れ落ちていた。霧が深く、視界もほとんどきかない。運転手は勘で走らせているように見えた・・・。

 「さあ、地中海が見えましたよ、すごく荒れていますね・・。このお天気がもう1週間以上、ずーっと続いているんですって。」添乗員さんの声に、身を起こすと、いつのまにかコスタ・デル・ソルづたいに走っていた。真っ黒い海、白波が荒れ狂っていて、ぞっとするような景色に、私はまた目を閉じてしまった。

 運転手と添乗員さんが言い争っている。どうやら、ミハスに寄らずに来てしまったらしい。ミハスに行くなんて、聞いていないと言い張る運転手に、うそだ、ちゃんと会社にスケジュールが行っているはずなんだから、とぶつぶつ言う添乗員さん。既に日は暮れてあたりは薄暗く、運転手は、もうミハスにバスを戻す気はさらさらないらしい。しばらく無言でいた彼女、やがてマイクを取り出し、予定変更を伝える。明日の朝ミハスに行くとのこと。ほっとする。

 ホテル着。すぐ前が海で、夏だったら良さそう。広いロビーは閑散としている。部屋で休んでいたら、だんだん具合が悪くなってきて、やっぱり水にあたったと思った。夕食は食べず、休んでいることにする。こんな嵐の中、せめて明るくしたいとライトをつけたら、あちこちがつかない。添乗員さんに電話をかけてきてもらった。後で修理頼んでくれるとのこと。

 窓は海に面していて、強い風雨が吹きつけ、ガタガタと音を立てるし、隙間風が入ってきて寒い。時々雷も鳴っているようで、荒れ狂う真っ黒な海がぴかっと照らし出される。部屋の電気も時々フッと消えかかるし、ラジオさえ電波が途切れるしで、生きた心地がしないとはこの事。

 ドアにノックの音。「誰?」細く開けると、「今晩は、セニョーラ」ジーンズ姿の若い男。修理の人かなとは思ったが、気味が悪いのでじろりと見て「NO」と言ってばたんとドアを閉めた。彼は困ったようにもじもじと立っていたようで、「お休みなさい、セニョーラ」とつぶやいて立ち去った。後で添乗員さんに「修理の人来ましたか?」と聞かれ、しまった・・。「それが、実は・・」彼女がもう一度フロントに頼んでくれたが、修理人はついに現れなかった。

  • ロンダ<br /> 家々の軒下は深い峡谷 転落防止の柵もない

    ロンダ
     家々の軒下は深い峡谷 転落防止の柵もない

  • ロンダ<br /> 

    ロンダ
     

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