ニューヨークのアール・デコ建築　その5　セントラルパーク　ウェスト

2005/06/01 - 2005/06/07

セントラル・パークの東西両側の通りの公園に面した地域は邸宅や高級アパ-トメントに占められている。東側では邸宅は美術館になっている例が多いが、西側はダコダ・ハウスの完成に続いて次々に高額所得者向けアパートが建設され、その多くはアール・デコに飾られたもので現在もそのまま使用されている。
　セントラルパークから西を見ると双搭の建物がいくつか見られるが、その代表的なものである。
公園の緑の間から眺める建物は別の美しさがある。

なお、訪れる人のために住所を追加しました。

エリア ニューヨーク(アメリカ)

旧ケント・コロンバス・サークル・ガレージ（現ソフィア・アパートメント）（1929〜30年）
Columbus Ave．and 61st St．
当初はガレージとして建設されたもで、外観は写真の通り華やかである。内部は当時の特許による高層ガレージで、一時倉庫として、そして現在の住宅と多様な変化をした。
低層部はエントランスの上部に各種の飾りが集中しているが、縦長のそろばん球形状のモチーフが何度も顔を出す。

旧ケント・コロンバス・サークル・ガレージ
高層部
　白いテラコッタにより装飾は低層部に比べておとなしめである。階段状のセットバック部にはバルコニーのようで木が植えられている。

旧ケント・コロンバス・サークル・ガレージ
正面エントランス

旧ケント・コロンバス・サークル・ガレージ
正面エントランス上部

旧ケント・コロンバス・サークル・ガレージ
側面エントランス

旧ケント・コロンバス・サークル・ガレージ
裏口でも、これだけ飾っている。

センチュリー・アパートメンツ（1931年）
設計：I．S・チヤニン事務所、J・デラマーレ設計
25 Central Park West at 62nd and 63rd St．

コロンブス・サークルから3ブロック目に建つ双頭のビル。直線的な要素が多い。
建設業のチャニンが開発・設計したもの。

センチュリー・アパートメンツ　塔頂部　
　微妙に色が違うレンガで帯が出来ている。縦横のラインは設計会社の本社チャニン・ビル（クライスラー・ビルの斜め前ン）の屋上のバットレスを想わせる。

55 Central Park West　アパートメント　 （1930） 設計：tシュワルツ＆グロス
　
中層の建築物だがジグラッド風のセットバックと飾りと屋上の冠が特徴。映画「ゴーストバスター」の
舞台になりました。思い出してもらえますか。

55 Central Park West　アパートメント　
　セントラルパークの樹木越しに。
ギザギザの縦に長い装飾が全体に使用されている。

55 Central Park West　アパートメント
低層部　人通りが少ないためか好天なのに、どこかかさびしげである。外壁のレンガは低層部が茶色、中層部はやや紫がかかる。縦長ギザギザ模様は、そばで見るとこんな具合。

55 Central Park West　アパートメント
　そばで見上げるとこんな具合。高く見えるが20階建て。
中層部の紫がかったレンガが、高層部では黄色に。

マジェスティック・アパ−トメンツ(1931年）
設計　I・S・チヤニン事務所、J・デラマーレ
115Central Park West at 71st and 72nd St．

前のセンチュリーアパートと同時期に同じ設計事務所で設計されたもの。
イメージが良く似ているが、より縦線を強調している。

マジェスティック・アパ−トメンツ
北棟をクローズアップ。最上階の角をガラスにしているが、当時として新技術であった。

　続いてこの隣はダコダ・アパートだがアール・デコではないのでパス。ジョン・レノンさん、バーンスタインさんゴメンなさい。いずれまた出番はありますよ。

サン・レモ・アパートメンツ（1930年）　
設計　エメリー・ロス
145〜46 CentraI Park West at 74th and 75th St．

上部にはイタリアン・ルネッサンス調の搭を載せた双頭の建物。
美しさではアップタウンではNo１と言われている。
ダスティ・ホフマン、ポール・サイモン、古くはリタ・ヘイワースが住んでいた。

サン・レモ・アパートメンツ
　クローズアップしたが、アール・デコらしさが伝わってこない。
しかしアール・デコとして扱っている例が多数あり。

ところで、ルネッサンス様式の搭の中はナーニか？
・・・
水、そう水道タンクです。

エル・ドラド　（1931年）　設計　エメリー・ロス
300 Central Park West

前のサン･レモと同じ設計者で、双搭のアパートだが、こちらははっきりしたアール・デコ　タイプ。
1階のレストランの壁画が一般には有名。

エル・ドラド　
中層部　ジグザグ模様とその変形が中心

エル・ドラド　
頂搭部のクローズアップ
やはり水タンクが隠されている。

アーズレー・アパート　（1931年）　
設計　エメリー・ロス
320 Central Park West

前2つと同じ設計者だが、まったく異なるタイプである。

アーズレー・アパート　
搭頂部　
　マヤ風のイメージは、センチュリー・アパート、マジェスティック・アパートに近い。

マスター・アパートメント　(1929)
設計　コーベット他
310-312 Riverside Drive

ハドソン川に沿った公園(リバーサイド・パーク)に面し、環境の良さからこちら側も良質の住宅街となっている。
その中でもトップクラスの29階建ての高層アパートである。
角をガラスで処理した例は、この時代では非常に稀な例、先進技術である。

マスター・アパートメント
高層階　セットバックの繰り返しされている。

マスター・アパートメント

エントランス　１階にはギャラリーが入っている。
上部のガラスの装飾くらいで、目立つものはない。

315 Riverside Drive アパートメント(1930年)
設計　Boak & Paris
マスター・アパートメントの隣の無名ビル
ごらんのように、全体にアール・デコ調の装飾有り。
コンドミニアムの広告では、3寝室・2浴室で売価は227万ドル、管理費1846ドル/月

315 Riverside Drive
(マスター・アパートメントの隣の無名ビル)
エントランス
お隣よりも、こちらの方がいかにもアール・デコらしい。そして華やか。

315 riverside drive
不動産屋の広告
この住居は豪華なバスルームが売りだとの事。

窓からは公園も緑の先にハドソン川が見えます。

315 Riverside drive
不動産屋の広告
リビングルーム　グランドピアノから判断すると横幅をつめた写真のようだ。
実物はこの倍以上の広さでしょう。

この旅行記へのコメント （7）

• nytokyoさん 2012/04/24 12:17:09

  参考になりました

  初めまして！
  
  今年の秋にNYを再訪するのでググったところヒットしました。
  NYでは超有名な建物以外、あまり気を付けた事がないので
  次回はよく見てみます。
  
  更新の予定はないのでしょうか。

  真@tokyoさん からの返信 2012/05/21 06:53:45

  RE: 参考になりました

  nytokyoさん
  訪問ありがとうございます。
  また、返事が遅れ失礼しました。
  
  NYには退職後3回ばかり行きましたが建物見物だけしてきました。
  資料、写真は沢山ありすぎて、帰って迷ってしまい新しい旅行記アップが滞っています。
  なんとかご期待に沿いたいと思いますのでよろしくお願いします。
  
  
  > 初めまして！
  >
  > 今年の秋にNYを再訪するのでググったところヒットしました。
  > NYでは超有名な建物以外、あまり気を付けた事がないので
  > 次回はよく見てみます。
  >
  > 更新の予定はないのでしょうか。

• odysseyさん 2007/05/07 11:16:56

  旅行記、勉強になります！

  こんにちは。
  真さんの旅行記、見ごたえありますねー！
  写真きれいだし、説明が詳しくて勉強になります。
  今度から、ビルは頂上と玄関をしっかり見てみますね。新たな発見ができそう。
  ダビンチコードツアーも面白かったです。
  これからもどんどん旅行記アップをお願いします。
  楽しみにしています。
  ではでは。

  真@tokyoさん からの返信 2007/05/07 19:05:44

  RE: 旅行記、勉強になります！

  oodysseyさん
  励ましの言葉ありがとうございます。
  
  >今度から、ビルは頂上と玄関をしっかり見てみますね。
  交通にはご注意を。
  
  本当は、内部にも入りエレベーターホールなど玄関部分を見ると更に楽しみが増します。守衛さんと話ができると撮影も許されることが多いです。
  特に女性の場合は。
  
  では

  odysseyさん からの返信 2007/05/10 09:56:39

  RE: 旅行記、勉強になります！

  はい。交通に気をつけて見ますね。
  
  ご丁寧にご返信、ありがとうございました！
  楽しみにしているので、これからも旅行記アップしてくださいね。
  それでは。
  

• けーしちょーさん 2006/05/16 21:42:48

  モチロン♪

  こんばんわ〜。
  
  アパートメント、とは言っても、
  日本でいうところの高級マンション、なのでしょうか？
  楽しいですね。
  これで、家賃と間取りが付いていれば
  立派な賃貸情報旅行記になっちゃいそう（・∀・）
  
  こちらは死後のアパートメントの編集を続けております。
  
  リクエストに応えていただきまして、
  ありがとうございました。

  真@tokyoさん からの返信 2006/05/18 01:31:24

  RE: モチロン♪

  けーしちょーさん
  ようこそ
  
  ここにあるのは、数百万ドルの物件ばかりです。億ションです。
  お金だけでなく、居住者組合の厳重な審査に合格しなければならず、人品・家柄・骨柄秀でた方が条件ですから簡単には手に入りません。日本の某超大手電気会社(カタカナ名)の国際派の社長さんでも、審査に合格するのに数年かかったと物の本に書いてありました。
  
  最後の227万ドルの物件は、間取り図は無いので不動産案内での写真を追加しました。浴室だけでも我が家の面積か？　まさか。でも、もしかすると・・
  
  ゴールドバスターズの建物やロケ地はこちらに出ています。
  http://hometown.aol.com/nygbtour1/shandor.html
  ここは、マニアの交流の場です。
  http://archive.ghostbusters.net/