2005/11/23 - 2005/11
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高級和牛の会のかいさん
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山を越え、谷を越え、海の近くまで一気に山を下る。
〆は温泉o(^▽^)o
そんな縦走最終日のルートは、滅多に利用されていないらしい尾之間歩道。
そこで待ち受ける最大の関門、鯛之川渡し。
急峻な谷を流れる沢のため、増水時の渡渉で死亡事故が起きている。
宮之浦ポートサイドYHのオーナーや淀川小屋で会ったガイドから、「雨が降ったら絶対に戻るように」と言われていたが―。
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おはようございます。
4:40起床。朝食は五目ごはんと味噌汁。
まだ暗い空には、今朝も星。
天候も問題なし。
無事に下山できそうだ。
出発の準備をしている6:30頃、
小屋の外から激しい雨音が聞こえてきた。
俄か雨は、間も無く止んだ。
一転して天気が心配になる。
が、この雨は一時的なものだろうと判断。
6:50、標高1380mの淀川小屋を出発。
早朝から日帰りで宮之浦岳を目指す登山者達とすれ違う。
淀川登山口への道は、世界遺産登録地域から一旦外に出る。 -
駐車場が整備されている淀川登山口へ。
巨大な森の中から、忽ち現実に戻る。
しかしすぐに尾之間歩道に入り、また独り山を行く。 -
人の気配のない尾之間歩道。
登山道脇の大きな倒木が目を引く。
地形図を見ながら慎重に進む。 -
倒木が道を塞ぐ。
この木は下を潜って進めるのでまだましな方。
この先も、台風による巨大な倒木が其処彼処に。 -
人も通らず、整備しても荒れやすい尾之間歩道。
テープがあるので気をつければ迷う事はなさそう。 -
この倒木、完全に道を塞いでいる。
自分が太いだけでなく、他の木を巻き添えにして倒れているので、道はおろか地形すら判断を迷わせる。
方向と地形を慎重に見極め、あるはずの道を推測して木を乗り越える。 -
この標識も多く設置されている。
植物の生育が早く雨も多く道が荒れやすいこの道にとって重要な標識。 -
乃木尾根から。
白骨のような枯存木が山を覆う。 -
乃木尾根から北の山を眺める。
荒川の谷を挟んで、左から石塚山、花折岳、太忠岳。
太忠岳山頂の天柱石(高さ40mとも50mとも。写真右)も見える。 -
行く手を望む。
鯛ノ川の谷へ下り、正面の鞍部まで上がって、尾之間まで一気に下降。
凡そ標高1250mより上は雲で見えない。 -
乃木尾根から鯛ノ川へ下る。
間近で見上げる枯存木。 -
本日のヤクシカ。
一頭と一人、狭い登山道の上で。
やつは人間の気配を察し、俺は獣の匂いを嗅ぎ取る。 -
太い。
道が全くわからない。
暫く戸惑う。
地形図と方角を見定める。
倒れた木の上を歩いて前進。 -
白谷雲水峡よりも、さらに野性的な樹々と苔。
猿の叫び声も聞こえてくる。 -
谷へ下る。
水も落ちる。
小さな滝を呑気に見物。
呑気に。 -
鯛ノ川渡しへ。
標識のとおりの現場。 -
川幅は10mもない。
水量も多くはない。
今なら難なく渡れる。
だが万が一雨でも降れば、戻るに戻れない。 -
飛石伝いに対岸へ。
川の中程から上流を眺める。
増水すれば、この景色は一変する。
こんな具合に川の真ん中になど立てるはずもないだろう。 -
最後の一踏み。
岩で足を滑らせる。
顎を岩に打ち付け、膝下が水に浸かる。
顎からは血が滲む。
これから先の厄落としが済んだ、と気を取り直す。
…
この先約4時間半の画像はありません。
川を渡り、陰鬱な山道を登り始めて間も無く、
雷鳴のような音が聞こえた。
まさか、と思った。
しばらく登っていたら、また聞こえた。
やはり雷鳴だった。
まさかの、季節外れの、雷雨。
雨だけならまだしも、
よりによって雷雨。
戻るに戻れない、鯛ノ川。
進むにしても、尾之間まで標高差1100mの下り。
ただただ雷雨の通過を待ち、体育座りで独りじっと身を潜めていた1時間。
生きた心地がしない。
雨に打たれ、雷の音を聞きながら思った事。
親不孝な人生だったと。
屋久杉のように子孫を残していくことが自然の摂理なのに―。
子孫を残すことで一発逆転の親孝行ができたのに―。
そんな事を思った。 -
鳥の囀り声が聞こえる―。
雷は、去ったようだ。
雨も穏やかになってきた。
じっと耐えたこの1時間。
雷雨のどさくさで、腕時計をどこかに落としていた。
20分近くかけて登った道を、鯛ノ川渡し付近まで下って時計を探す。
見付からない。
諦めて戻り出したところで見付かった。
雷雨に見舞われ、腕時計を落とし。
早く進みたい。
時間を取り戻したい。
落ち着きたい。
小降りになった雨の下、再び世界遺産登録地域を通過、
まずは割石岳・鈴岳の鞍部を越える。
ここから1100mの下り。
幾つもの沢を横切り、雨に濡れた苔や岩や倒れた草木に足を滑らせ、
何度も足首を捻り、呻き、叫ぶ。
体力が消耗していく。下っていく体を支えきれない。
そしてまた足首を捻り、呻き、叫ぶ。
長い下りがまだ終わらないのかと焦る。
そしてまた足首を捻り、呻き、叫ぶ。
雷雨のなか耐えるのも修行…。
焦りながらひたすら下るのも修行…。
でも限界。
雨は既に上がっている。
木々の間から東屋が見えた。
鯛ノ川渡しから蛇之口滝分岐へ。
予定より1時間半遅れて歩いた4時間半。 -
下ってきた道を東屋から振り返る。
遥か稜線の針葉樹林帯から広葉樹林帯や雨に濡れた苔の中を下る、島津藩政時代からの歴史ある道。
とはいえ、そんな変化を楽しむ余裕などはなかったが。
蛇之口滝に行ってみる。
やはり道は荒れており、しかも雨で沢が増水している。
引き返す。 -
蛇之口滝分岐から最終地点・尾之間温泉へ。
「蛇之口滝ハイキングコース」とはいえ、
傾斜が緩いわけでもなく、足元が濡れて滑る上にアップダウンもあるので、なかなか調子を取り戻せない。
耐えて歩く。
道の脇に花が咲いているのが、せめてもの慰み。 -
山がはっきりと見える。
雲も上がり、天候も回復してきている。
平静さが戻ってきた。 -
海が見えた。
3時のラジオ体操の音楽が聞こえてきた。
終わりは近い。 -
土質も植生も変わり、これまでとは打って変って南の島の明るい雰囲気。
気分も明るくなる。
かつての開墾の痕跡が見られ、人里に近付いていることを感じる。 -
ビロウやガジュマルの林を行く。
散策するカップルとすれ違った。
お互いに、対照的な恰好だと思ったに違いない。
約7時間半ぶりに自分以外の人間を見た。 -
突然民家が見えた。
そこは尾之間の集落。 -
民家の裏手にある登山口。
この様子からは、標高1200mまで一気に登る登山道を想像はできない。
ともかく、無事に下山。 -
登山口のすぐ横の尾之間温泉。
休む間もなく下ってきたため、
温泉に入る前に遅い昼食をとる。
(約10時間前に戻したフリーズドライの赤飯)
温泉の湯はヌルヌルしている。
地元のお年寄りから幼児まで、集落の社交場といった和やかな雰囲気。
飯を食い、汗も流し、ようやく一息つけた。
大きな天候の崩れのなかった1日目、2日目と比べ、
3日目は、天候も登山道も、変化が大きかった。 -
尾之間温泉からバス停に向かう。
モッチョム岳が大きく聳えていた。
尾之間からは、陽の姿のモッチョム岳。 -
11月も下旬なのに、鮮やかな花が咲く。
その向こうには、雲を纏った割石岳、耳岳、モッチョム岳。 -
日の傾く空に、バスを待つ。
尾之間歩道の方を見る。
雨の中、向こうの稜線を越えて手前の谷へと下りてきた。
島を南から北へ、最高峰・宮之浦岳を越えて海辺まで。
三日間の縦走が、終わった。
尾之間から平内へ。
屋久島最後の夜は、屋久島YH。
うまい飯を食い、ホステラー達とダベって夜を過ごす。
布団で眠る。身体が重い。
見上げた未明の夜空に、裸眼でも北極星が見えた。
【縦走3日目の行動記録】
淀川小屋6:50→淀川登山口7:20
淀川登山口7:29→乃木尾根乗越8:31
乃木尾根乗越8:38→鯛ノ川出合9:15
鯛ノ川出合9:20→割石岳・鈴岳乗越11:29
割石岳・鈴岳乗越11:29→蛇之口滝分岐13:54
蛇之口滝分岐14:10→尾之間温泉15:17
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