アンダルシア地方旅行記(ブログ) 一覧に戻る
6月3日<br /> 午前中は市内観光。まずカテドラルへ。アルハンブラ宮殿は純粋のアラブ様式だけど、ここセビーリャのは混合形式とか。色彩豊かで、美しい。中庭の、オレンジの木からは、ぽたぽたとオレンジがたくさん落ちている。もったいないと、拾って二つに割ってみたけど、やっぱり腐っていてだめ。ジャスミンの花の香りが漂う小道を行くと、すぐにユダヤ人街に入った。白い建物が並ぶ静かな一角で、かつてはユダヤ人たちが住んでいたとか。<br /><br /> ドン、ドン、という花火の音が近くなった。町の中心部に出たらしい。広場はたいへんな賑わい。これからパレードが始まるらしく、馬に乗った少年や着飾った女性たちがのんびり待っている。回りにはたくさんの観光客。昨日出合った幌馬車の一団も並んでいる。ドン、ドン、と10秒くらいの間隔で、ひっきりなしに花火が上がる。向こうに聳えるのはヒラルダの塔。てっぺんの金色の飾りが、風が吹くと回るとのことだけど、今日は静止したまま。<br /><br /> 大聖堂に入る。入り口に、注意の看板。タンクトップとショートパンツに×印。早速呼び止められたのはアメリカ娘。入り口を入ってすぐ、大きな石像。コロンブスの墓だった。<br /><br /> お祭りの行列を見られるのはいいけど、ものすごい交通渋滞。市内観光もかなり予定が狂ったらしい。白い鳩で有名なマリア・ルイサ公園でバスは止まった。広場に足を1歩踏み入れてびっくり。なるほど、いるいる白い鳩。子供たちの頭や肩に乗って、餌をもらっている。餌売りの男の子だろうか、餌の袋をあけて、少し私の手のひらにぱらぱらとあけてくれた。とたんにバサバサバサ!目の前は真っ白。鳩の大群が襲ってきたのだ。キャ〜!頭や肩、両腕まで鳩が留まり、あっという間に手のひらの餌を食べつくしてもなかなか飛び去らず、ずしりと私の上に乗っかったまま。パニックで、一人でぎゃあぎゃあ騒いでいた。男の子が笑って、面白かったでしょ、もっとあげるよ、と言う。「いい、もうたくさん!」「あげるのに」「ほんとに、もういい!」腕中引っかき傷をつけられてバスに戻った。<br /><br /> 郊外のレストランで昼食、そのあとバスはコルドバに向かう。オリーブ畑の合間にいちだんと鮮やかな黄色いひまわり畑が多くなった。広大な大地にただ、見とれるだけ。<br /><br /> グワダルキビル川の向こうにコルドバの旧市街が見える。外へ出ると強烈な太陽、それに耐えて咲き誇る、ピンクの夾竹桃が、河原のあちこちに。古いローマ橋を渡って、町へ入る。<br /><br /> メスキータ(回教寺院)はすぐ近くだった。門を潜ると、中には等間隔に植えられたオレンジの木々。そして建物の中に足を一歩踏み入れると、たちまち林のように立ち並ぶ赤と白の縞模様の柱に圧倒されてしまった。柱の林は想像を絶する広さで、歩いても歩いても終わりが無いほど。長年かけて増やしていったそうで、年代ごとに、柱の模様が少し違っている。そして、やはり言われているように、中央辺りにでーんとキリスト教の礼拝堂が造られているのは、奇妙だった。柱の林の一部を壊して、後につくられたものとか。<br /><br /> 突然その礼拝堂から、パイプオルガンの音が響きわたった。見ると、7,8人の子供たちを引き連れた男性。びっくりしている我々を、「ほら、今日は日本からお客さんだよ」とか言って、「君が代」を即興で演奏してくれた。ハーモニーは、ややスペイン風。思わぬ歓迎に、大喜びの我々。君が代のサービスの後、彼は「先生」に戻る。子供たちは全員黒いカスタネットを手にしていて、どうやら「リズム教室」らしい。オルガンの伴奏に合わせて、タンタカタカタカとやり出した。こんなすごい場所で、レッスンしているなんて!<br /><br /> 回教寺院を回り終えて、外に出る。道の両側に並ぶ、革製品の店。アラブ風のドレスも売っている。欲しい〜。しかしそんな時間も許されず、一行は白壁の家々の間を歩いていく。このあたりはユダヤ人街。ひっそり静まり返り、美しいパティオが時々見られる。狭い通路をどんどん進んで、一番奥に存在していたのは、花々で飾られた別世界だった。今年のパティオ・コンクールで1位になったとのこと。<br /><br /> バスに乗り込み、ホテルへ。夕食まで1時間あるので、友人たちを誘って、タクシーで町に行ってみることにした。「ポトロ広場まで。」美術館やセルバンテスが泊まった旅籠やなどもある、と聞いていた。ところが、降りた場所は、広場とは程遠い小さなスペースで、どこに美術館があるのやら、さっぱり分からない。相当な町外れらしく、道行く人たちが珍しげに我々を振り返る。道端で工事をしていた男は、ふと顔を上げ、ぎょっとしたように我々を見て、ボーゼンと見送っている。日本人初めて見た、といったところか。<br /><br /> 小さなレストランの前で、中から店の人が飛び出してきて、入れと勧める。メニューが書かれた紙を手渡され、覗いてみると、フルコースでランチ並みの値段。「安い〜」ホテルの食事より、こういう所で食べてみたかった。<br /> びわなど、果物を買い込み、ホテルに戻った。<br />

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1987/05/30 - 1987/06/05

505位(同エリア528件中)

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15

アーマ

アーマさん

6月3日
 午前中は市内観光。まずカテドラルへ。アルハンブラ宮殿は純粋のアラブ様式だけど、ここセビーリャのは混合形式とか。色彩豊かで、美しい。中庭の、オレンジの木からは、ぽたぽたとオレンジがたくさん落ちている。もったいないと、拾って二つに割ってみたけど、やっぱり腐っていてだめ。ジャスミンの花の香りが漂う小道を行くと、すぐにユダヤ人街に入った。白い建物が並ぶ静かな一角で、かつてはユダヤ人たちが住んでいたとか。

 ドン、ドン、という花火の音が近くなった。町の中心部に出たらしい。広場はたいへんな賑わい。これからパレードが始まるらしく、馬に乗った少年や着飾った女性たちがのんびり待っている。回りにはたくさんの観光客。昨日出合った幌馬車の一団も並んでいる。ドン、ドン、と10秒くらいの間隔で、ひっきりなしに花火が上がる。向こうに聳えるのはヒラルダの塔。てっぺんの金色の飾りが、風が吹くと回るとのことだけど、今日は静止したまま。

 大聖堂に入る。入り口に、注意の看板。タンクトップとショートパンツに×印。早速呼び止められたのはアメリカ娘。入り口を入ってすぐ、大きな石像。コロンブスの墓だった。

 お祭りの行列を見られるのはいいけど、ものすごい交通渋滞。市内観光もかなり予定が狂ったらしい。白い鳩で有名なマリア・ルイサ公園でバスは止まった。広場に足を1歩踏み入れてびっくり。なるほど、いるいる白い鳩。子供たちの頭や肩に乗って、餌をもらっている。餌売りの男の子だろうか、餌の袋をあけて、少し私の手のひらにぱらぱらとあけてくれた。とたんにバサバサバサ!目の前は真っ白。鳩の大群が襲ってきたのだ。キャ〜!頭や肩、両腕まで鳩が留まり、あっという間に手のひらの餌を食べつくしてもなかなか飛び去らず、ずしりと私の上に乗っかったまま。パニックで、一人でぎゃあぎゃあ騒いでいた。男の子が笑って、面白かったでしょ、もっとあげるよ、と言う。「いい、もうたくさん!」「あげるのに」「ほんとに、もういい!」腕中引っかき傷をつけられてバスに戻った。

 郊外のレストランで昼食、そのあとバスはコルドバに向かう。オリーブ畑の合間にいちだんと鮮やかな黄色いひまわり畑が多くなった。広大な大地にただ、見とれるだけ。

 グワダルキビル川の向こうにコルドバの旧市街が見える。外へ出ると強烈な太陽、それに耐えて咲き誇る、ピンクの夾竹桃が、河原のあちこちに。古いローマ橋を渡って、町へ入る。

 メスキータ(回教寺院)はすぐ近くだった。門を潜ると、中には等間隔に植えられたオレンジの木々。そして建物の中に足を一歩踏み入れると、たちまち林のように立ち並ぶ赤と白の縞模様の柱に圧倒されてしまった。柱の林は想像を絶する広さで、歩いても歩いても終わりが無いほど。長年かけて増やしていったそうで、年代ごとに、柱の模様が少し違っている。そして、やはり言われているように、中央辺りにでーんとキリスト教の礼拝堂が造られているのは、奇妙だった。柱の林の一部を壊して、後につくられたものとか。

 突然その礼拝堂から、パイプオルガンの音が響きわたった。見ると、7,8人の子供たちを引き連れた男性。びっくりしている我々を、「ほら、今日は日本からお客さんだよ」とか言って、「君が代」を即興で演奏してくれた。ハーモニーは、ややスペイン風。思わぬ歓迎に、大喜びの我々。君が代のサービスの後、彼は「先生」に戻る。子供たちは全員黒いカスタネットを手にしていて、どうやら「リズム教室」らしい。オルガンの伴奏に合わせて、タンタカタカタカとやり出した。こんなすごい場所で、レッスンしているなんて!

 回教寺院を回り終えて、外に出る。道の両側に並ぶ、革製品の店。アラブ風のドレスも売っている。欲しい〜。しかしそんな時間も許されず、一行は白壁の家々の間を歩いていく。このあたりはユダヤ人街。ひっそり静まり返り、美しいパティオが時々見られる。狭い通路をどんどん進んで、一番奥に存在していたのは、花々で飾られた別世界だった。今年のパティオ・コンクールで1位になったとのこと。

 バスに乗り込み、ホテルへ。夕食まで1時間あるので、友人たちを誘って、タクシーで町に行ってみることにした。「ポトロ広場まで。」美術館やセルバンテスが泊まった旅籠やなどもある、と聞いていた。ところが、降りた場所は、広場とは程遠い小さなスペースで、どこに美術館があるのやら、さっぱり分からない。相当な町外れらしく、道行く人たちが珍しげに我々を振り返る。道端で工事をしていた男は、ふと顔を上げ、ぎょっとしたように我々を見て、ボーゼンと見送っている。日本人初めて見た、といったところか。

 小さなレストランの前で、中から店の人が飛び出してきて、入れと勧める。メニューが書かれた紙を手渡され、覗いてみると、フルコースでランチ並みの値段。「安い〜」ホテルの食事より、こういう所で食べてみたかった。
 びわなど、果物を買い込み、ホテルに戻った。

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  • アルカサル

    アルカサル

  • セビーリャ<br /> 小道を行く

    セビーリャ
     小道を行く

  • お祭りで、着飾った人々がどんどん集まってくる

    お祭りで、着飾った人々がどんどん集まってくる

  • おねえさん、素敵!

    おねえさん、素敵!

  • セビーリャ<br /> パレードが始まるらしい

    セビーリャ
     パレードが始まるらしい

  • セビーリャ<br /> マリア・ルイサ公園。白い鳩で有名とか。

    セビーリャ
     マリア・ルイサ公園。白い鳩で有名とか。

  • セビーリャ<br /> マリア・ルイサ公園。餌売りの少年。この後、私の手のひらに餌を少し分けてくれて・・・。

    セビーリャ
     マリア・ルイサ公園。餌売りの少年。この後、私の手のひらに餌を少し分けてくれて・・・。

  • セビーリャ<br /> スペイン広場にて。ロバ君、おとなしいじゃない。

    セビーリャ
     スペイン広場にて。ロバ君、おとなしいじゃない。

  • コルドバの町が見える

    コルドバの町が見える

  • コルドバ<br /> メスキータ。柱の林の奥に、イスラムの祈りの場所があった。

    コルドバ
     メスキータ。柱の林の奥に、イスラムの祈りの場所があった。

  • コルドバ<br /> メスキータの中の、パイプオルガンに向かう先生と、生徒たち。

    コルドバ
     メスキータの中の、パイプオルガンに向かう先生と、生徒たち。

  • コルドバ<br /> メスキータの中でリズム教室が始まった

    コルドバ
     メスキータの中でリズム教室が始まった

  • コルドバ<br /> 革製品の店が並ぶ通り

    コルドバ
     革製品の店が並ぶ通り

  • アラブ風のドレス、いいなあ

    アラブ風のドレス、いいなあ

  • コルドバ<br /> 今年のパティオ・コンクールで1番になった所<br /> 

    コルドバ
     今年のパティオ・コンクールで1番になった所
     

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