アンダルシア地方旅行記(ブログ) 一覧に戻る
6月1日<br /> 寝不足の重い頭。食事の後、少し海まで散歩しようということになった。ホテルを出て、坂道を下ると、浜辺に出た。太陽が降り注ぐ、コスタ・デル・ソル。周りはホテルだらけだし、あまりたいした景色でもない。靴の中に砂が入り込んでじゃりじゃり。地中海に触っておこうと、ざぶんと来た波に手を浸す。冷たい。<br /><br /> バスは出発。ごちゃごちゃとホテルがひしめくトレモリノスを抜け、海沿いの道に出た頃、ほっとした。運転手はぺぺさん。英語は話せないとかで、はじめはみんな馴染めなくて、ぽつんとしていた。<br /><br /> マラガ。大きな都市のよう。高層ビルの陰に、古い建物が見え隠れしている。バスは、街を見下ろす丘に向かった。古い砦がそびえている。昼食はあの建物、パラドールのレストラン。「パラドール」、初めて耳にする響き。古城などを改造した国営のホテルとのこと。泊まってみたい・・。<br /><br /> 砦からは、素晴らしい景色が見渡せる。マラガの町並み、港、そして真っ青な海。あの向こうはアフリカなんだ。物思いに耽っていたら、いつの間にか回りに誰もいなくなっていた。崩れかけた石段を降りて、パラドールに戻る。みんなどこへいっちゃったのかしら。<br /><br /> やがて、がやがやと声がして、みんなが戻ってきた。二階のテラスにテーブルがセットされてある。冷たいトマト・スープ、「ガスパチョ」はとても美味しかった。このレストランは有名とのこと。<br /><br /> バスはアンダルシアの乾いた大地を走る。橋が架かった川もあるけど、水は流れていなかった。岩山の上には、崩れかけた石の見張りの塔が見える。岩山の山腹は、狭い段々畑が作られていて、へりに小石が積み上げられている。道端の断崖は、奇怪な形の岩石がむき出し。ガウディの世界の原点か。時々白い家の集落。洗濯物が干してある、粗末な平屋。ちらりと見える教会の塔は、白いギリシャの教会のよう。<br /><br /> 山道を登って、やがてネルハの町。バスを降りると、強烈な日差しに、あわててサングラスを捜す。ここは鍾乳洞で有名とか。中の空間は、想像以上に広く、中にはステージがあって、夏にはバレエフェスティバルが開かれるそうだ。内部の照明も効果的に使われていて、自然のままの美しさを見せている。日本だったら、すぐ「なんとか岩」と、名札をつけるだろうけど、そういうのは見かけなかった。<br /><br /> バスはグラナダ目指して北上する。あたりの景色はいっそう殺伐として、山々もごつごつと険しい。アペニンの山越えとのこと。谷沿いの山道は、右に左にカーブが続く。谷底には水はない。ピンクの夾竹桃だけが、厳しい環境の中あちこちで群生して頑張っている。山に植えられているのはオリーブの木。小さなトンネルを潜るには、対向車に注意。なにせ、車1台分しか幅が無い。<br /><br /> 大きなカーブを曲がった時、川底に水溜りが出現した。あっちにも、こっちにも。さらに上流に向かって走っていくと、ちょろちょろと細い流れとなってきた。グラナダは近い。<br /><br /> やがて前方に、ひときわ高く聳え立つシエラネバダの山すそに広がる、緑に包まれた美しい町が見えてきた。グラナダ。まるでオアシスのよう。<br /><br /> 町は夕方の活気に溢れていた。旧市街の中のホテルに着いて、車を降りたら、外は猛暑。たまらずロビーの中に飛び込む。じきに夕食と聞いて、私と友人たちは相談する。どうしても町へ出てみたい。夕食はパスする覚悟で、添乗員さんと交渉。すると、レストラン側が、特別に我々3人だけ、夕食を9時にしてくれるとのこと。羨ましそうな他の人たちを後に、町へ飛び出した。<br /><br /> 通りは車も多く、人々でごった返している。古びた建物が並ぶ向こうには、赤茶けた山肌と、白く輝く家々が見え隠れしている。街角には暇そうな馬車が止まっていた。我々は、わずかの自由が嬉しくて、片っ端からお店のショーウィンドウを覗いて歩く。素敵な土産店があって、入ってみた。二人の女の子が、早口でお喋りしていて、見向きもしない。陶器の人形、銀のアクセサリー、天井から下がっているのは、刺繍が施されたフラメンコ用のスカーフ・・。棚の上の、大きなフラメンコ人形の、赤いドレスが素敵。「すみません・・」声をかけたら、彼女たちはやっとお喋りをやめて顔を上げた。<br /><br /> それぞれがお土産の袋を抱えて、大満足でホテルに戻った。料理は、コースの中で自由に選べるとのこと。デザートまでたっぷり楽しんで、10時近く、部屋に引き上げた。<br />

VIVA! エスパーニャ ?

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1987/05/30 - 1987/06/05

505位(同エリア528件中)

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6

アーマ

アーマさん

6月1日
 寝不足の重い頭。食事の後、少し海まで散歩しようということになった。ホテルを出て、坂道を下ると、浜辺に出た。太陽が降り注ぐ、コスタ・デル・ソル。周りはホテルだらけだし、あまりたいした景色でもない。靴の中に砂が入り込んでじゃりじゃり。地中海に触っておこうと、ざぶんと来た波に手を浸す。冷たい。

 バスは出発。ごちゃごちゃとホテルがひしめくトレモリノスを抜け、海沿いの道に出た頃、ほっとした。運転手はぺぺさん。英語は話せないとかで、はじめはみんな馴染めなくて、ぽつんとしていた。

 マラガ。大きな都市のよう。高層ビルの陰に、古い建物が見え隠れしている。バスは、街を見下ろす丘に向かった。古い砦がそびえている。昼食はあの建物、パラドールのレストラン。「パラドール」、初めて耳にする響き。古城などを改造した国営のホテルとのこと。泊まってみたい・・。

 砦からは、素晴らしい景色が見渡せる。マラガの町並み、港、そして真っ青な海。あの向こうはアフリカなんだ。物思いに耽っていたら、いつの間にか回りに誰もいなくなっていた。崩れかけた石段を降りて、パラドールに戻る。みんなどこへいっちゃったのかしら。

 やがて、がやがやと声がして、みんなが戻ってきた。二階のテラスにテーブルがセットされてある。冷たいトマト・スープ、「ガスパチョ」はとても美味しかった。このレストランは有名とのこと。

 バスはアンダルシアの乾いた大地を走る。橋が架かった川もあるけど、水は流れていなかった。岩山の上には、崩れかけた石の見張りの塔が見える。岩山の山腹は、狭い段々畑が作られていて、へりに小石が積み上げられている。道端の断崖は、奇怪な形の岩石がむき出し。ガウディの世界の原点か。時々白い家の集落。洗濯物が干してある、粗末な平屋。ちらりと見える教会の塔は、白いギリシャの教会のよう。

 山道を登って、やがてネルハの町。バスを降りると、強烈な日差しに、あわててサングラスを捜す。ここは鍾乳洞で有名とか。中の空間は、想像以上に広く、中にはステージがあって、夏にはバレエフェスティバルが開かれるそうだ。内部の照明も効果的に使われていて、自然のままの美しさを見せている。日本だったら、すぐ「なんとか岩」と、名札をつけるだろうけど、そういうのは見かけなかった。

 バスはグラナダ目指して北上する。あたりの景色はいっそう殺伐として、山々もごつごつと険しい。アペニンの山越えとのこと。谷沿いの山道は、右に左にカーブが続く。谷底には水はない。ピンクの夾竹桃だけが、厳しい環境の中あちこちで群生して頑張っている。山に植えられているのはオリーブの木。小さなトンネルを潜るには、対向車に注意。なにせ、車1台分しか幅が無い。

 大きなカーブを曲がった時、川底に水溜りが出現した。あっちにも、こっちにも。さらに上流に向かって走っていくと、ちょろちょろと細い流れとなってきた。グラナダは近い。

 やがて前方に、ひときわ高く聳え立つシエラネバダの山すそに広がる、緑に包まれた美しい町が見えてきた。グラナダ。まるでオアシスのよう。

 町は夕方の活気に溢れていた。旧市街の中のホテルに着いて、車を降りたら、外は猛暑。たまらずロビーの中に飛び込む。じきに夕食と聞いて、私と友人たちは相談する。どうしても町へ出てみたい。夕食はパスする覚悟で、添乗員さんと交渉。すると、レストラン側が、特別に我々3人だけ、夕食を9時にしてくれるとのこと。羨ましそうな他の人たちを後に、町へ飛び出した。

 通りは車も多く、人々でごった返している。古びた建物が並ぶ向こうには、赤茶けた山肌と、白く輝く家々が見え隠れしている。街角には暇そうな馬車が止まっていた。我々は、わずかの自由が嬉しくて、片っ端からお店のショーウィンドウを覗いて歩く。素敵な土産店があって、入ってみた。二人の女の子が、早口でお喋りしていて、見向きもしない。陶器の人形、銀のアクセサリー、天井から下がっているのは、刺繍が施されたフラメンコ用のスカーフ・・。棚の上の、大きなフラメンコ人形の、赤いドレスが素敵。「すみません・・」声をかけたら、彼女たちはやっとお喋りをやめて顔を上げた。

 それぞれがお土産の袋を抱えて、大満足でホテルに戻った。料理は、コースの中で自由に選べるとのこと。デザートまでたっぷり楽しんで、10時近く、部屋に引き上げた。

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  • マラガの国営のホテル、パラドール<br /> 質素な建物だったが、内部はアンダルシアの雰囲気たっぷり。いつかまた訪れたい所。

    マラガの国営のホテル、パラドール
     質素な建物だったが、内部はアンダルシアの雰囲気たっぷり。いつかまた訪れたい所。

  • マラガ<br /> 要塞跡 ここからの眺めは最高

    マラガ
     要塞跡 ここからの眺めは最高

  • マラガ<br /> 要塞にて

    マラガ
     要塞にて

  • アンダルシアの海岸<br /> 観光地でない素顔は、とても興味深い<br /> 小高い丘の上には必ず見張りの塔が立っている

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     小高い丘の上には必ず見張りの塔が立っている

  • グラナダへの山越えの道は険しかった<br /> ピンカーブが乾いた山道をつないでいる<br /> 厳しい自然の中、夾竹桃だけが力強く咲いている

    グラナダへの山越えの道は険しかった
     ピンカーブが乾いた山道をつないでいる
     厳しい自然の中、夾竹桃だけが力強く咲いている

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