1986/01/01 - 1986/01/13
207位(同エリア232件中)
アーマさん
いよいよ次に向かうは、期待のアッシジ。旅行前、聖フランチェスコの伝記を借りてきて読んでいた。直前に高熱で寝込んでしまって、本の表紙のサン・フランチェスコの肖像に向かって、「どうか、アッシジに行かせてください」と祈ったので、お礼参りしなければと思っていた。
いくつかの小さな町を通り、湖のそばを走り、やがて夕方4時、アッシジが見えてくる。「ここだけは、ホテルの部屋に鍵もいりません。バスの中の荷物がなくなる心配も、まずいりません。」ガイドさんの話。黄昏時、ひっそりした町の中を通り、丘の方へ向かう。前方にそれが現れた時、感動で言葉が出なかった。霧の中に浮かび上がる家並み、頂上にはどっしりとした寺院。灯が点々と点り、幻想的。
広場でバスを降り、歩いてサン・フランチェスコ寺院に行くことになる。坂道を上っていく。道の脇のあちこちに土産物屋、ここもレースが有名。素敵なレースが飾ってある。途中まで行った所で、ガイドの本間氏が、忘れ物をしたとかで慌てて戻っていった。「まっすぐ行けば分かりますから・・」
まっすぐ進んで、やがて到着。灯りが点った石の回廊を進んでいく。凛とした空気に、身が引き締まる思い。とうとうやってきた。ガイドの本間さんが来て、中へ入ると、ろうそくの明かり・・。観光客は誰もいない。日本人神父さんがいて、話を聞けるとのことだったが、祈祷の時間で会えなかった。内部の照明は、どこもコイン式。壁面はフレスコ画で埋まっている。消えかかっているのもある。どれも聖フランチェスコの生涯を描いたもの。ここへお参りに来た人々がこの片隅で夜を明かし、無造作に描いていったものとか。
一人で部屋をぐるっと回って、とある片隅に来た時、視線を感じて見上げると、そこに、あの見慣れた聖フランチェスコの絵があった・・。まるで見えない力で引き寄せられたみたいで、しばらく動けなかった。
そこから階段を上り、上の礼拝堂へ。キリスト像があった。聖フランチェスコに話しかけたという、古いロマネスクスタイルの十字架。ガラス張りになっていて、ちょっとがっかり。それからフレスコ画が一面に描かれた大きな部屋へ。彼の生涯を描いた、有名な一連の絵。
外はもう暗闇に包まれ、冷え冷えとした夜の大気のなか、澄んだ鐘の音が町を渡っていく。今日は遅いので、明朝サンタ・キアラ修道院に案内すると、ガイドさんが言った。坂道を下って、丘の中腹あたりが今夜のホテル、フォンテベッラ。質素で清潔な部屋、実にアッシジらしい。白い壁にベッドカバーのグリーンが引き立つ。部屋の隅にたった一つ窓がある。開けてみると、町の灯がちらちらと眼下に広がっていて、昼間見たらすごい眺めに違いない。
夕食はホテル内のレストラン。階下へ降りて、案内されたのは石造りの部屋。なかなか素敵。風邪がいっこうに良くならず、薬もないし、何も食べたくなかったけど、少しつついてみる。我々のテーブルに一緒になったのは、ヴェネチアで楽しく騒いで以来のO氏。その後なぜか一人でいるのが多く、あまり他の人とも話をしてなかったみたい。「いやー、実は風邪を引いちゃって・・。」
向こうで笑い声があがった。2歳のりんちゃんが、隣の部屋のテーブルへ一人で遊びに行っている。修学旅行らしい、小学生くらいの少年たち20名ほどの一団で、付き添いの女の先生が数名。みんな笑いながらりんちゃんを歓迎、しきりに何か話しかけている。りんちゃんは自慢のチェンジマンのおもちゃをみんなに見せている様子。小さいながら、りっぱに国際親善に一役かっている。女の先生たちもにこにこしてカメラのシャッターを切っていた。
頂いた風邪薬を飲んで、ほっとしていたら、急に気分が悪くなり、慌てて部屋に戻る。薬が合わないんだ、きっと・・。そのままばったりベッドに倒れこみ、めまいで口もきけなくて、しばらくそのまま唸っていた。夜半過ぎ、そろそろと起きてみる。良くなっているようだ。やれやれ。
1月9日
7時15分モーニングコール。具合のほうは大丈夫。起きて真っ先に窓を開ける。まだ夜が明けきってないけれど、見晴らしが良くて、期待通りの景色。朝食の部屋へ。そうだ、ミルクを1杯飲もう。でも、冷たいミルクはやめたほうがいいと、徳田さんに言われた。「ここのミルクはあまり質が良くなくて、お腹こわしたりします。」では、ホット・ミルク。なるほど、スキム・ミルクのような味で美味しくない。でも、カップにたっぷりついで飲むと、ぐんぐん体力が沸いてくるような気がする。
サンタキアラ修道院へ。外はまた小雨。坂道を上っていく。何か、妙な気がしていたけど、やっと分かった。この坂道は「コンクリート舗装」なのだ。石畳に慣れていたので、どうしてここだけ・・、と口に出そうとして、気がついた。道の両端にちらりと本来の石畳が顔を覗かせている。おそらく訪れる人々が多く、磨り減ってしまったからだろう。
10分ほどで到着。礼拝堂らしき部屋で説明を聞いた後、「さあ、それではサンタキアラの遺体にご案内いたしましょう。」びっくりした。彼女が尼僧になった時に切り落とした金髪の巻き毛は保管されているとは聞いていたけれど、遺体が保存されているとは知らなかった。興奮でどきどきしながら地下へ。ガラスの棺の中、花で飾られた黒衣のミイラ。その横顔は整っていて、かなりの美女だったに違いない。
ホテルへ戻り、出発、広場に待っていたバスに乗り込み、一路ローマへ。
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