ユングフラウ周辺旅行記(ブログ) 一覧に戻る
6月1日<br />パンとコーヒーの朝食。Wさん夫妻は、昨日やはり近くのスーパーで買ったヨーグルトを取り出し、私たちにも分けてくださった。いちご味のピンクのヨーグルト、美味しかった。<br /><br /> ユングフラウ目指して出発。昨日と同じ、口ひげをつけたひょうきんなガイドさん。さかんに駄洒落を飛ばし、我々は苦笑する。まあ、楽しく、バスはのどかなスイスの丘を走る。なだらかな牧草地帯には、ところどころこんもりした小山があって、必ずてっぺんに1本の木が植えてある。大きく枝を伸ばした木もあれば、植えたばかりの小さな木もある。「この地方の風習で、子供が生まれるとその子と同じ名前をつけた木を植え、やがてその子が成人するとその木の周りは彼のものとなる、いわば遺産相続ですね。」<br /><br /> ルツェルンの町。忙しいツァーのこと、たぶんゆっくりできないんだろうと思っていたら、案の定サーっと素通り。ガイドブックで目にした橋や家並みを、あっという間に通り過ぎる。やがてバスはぐんぐん山のほうへ上っていき、湖に出た。サルネン湖。高台でやっと小休止。<br /><br /> 前方に真っ白いアルプスの山々が顔を覗かせる。きりりとしたアイガー、優しいユングフラウ、その中間にお坊さんのメンヒ。二人の邪魔をしているって。しばらくしてブリエンツ、湖畔の町にバスは止まる。オルゴールや木彫り製品が並ぶ土産店でお買い物タイム。<br />通りに出ると、パッパー、ブーブーと賑やかな音が近づいてくる。クラシック・カーのパレードだ。いろんな年代物の車がとことことのん気に走りすぎる。みんな手を振っている、車の中の人も、見物人も。<br /><br /> 出発。昨日雪崩があって予定のルートが変更とのこと。グリンデルワルトに向かう。ひょうきんガイドがスイス民謡を歌いだした。「♪ヨロロイ、ヨロロイ、ホー」パチパチパチ。調子が出てきた彼は、我々に歌唱指導。面白がって大きな声で歌う。なんとか覚えた頃、彼は原曲のカセットテープを流した。似ても似つかぬ、すさまじいヨーデルの効いた難しい曲だった。♪ヨロヨロヨロ・・・<br /><br /> やがてあたりはぐっと牧歌的になって、グリンデルワルト。いよいよここから登山電車に乗る。可愛らしいテーブルカー。ごとんごとん、上へ上へと登っていくにつれて、後方には素晴らしい緑のパノラマが展開する。電車はさらに右に左にカーブしながら登っていく。左右には黄色や白の花が一面に咲き、まるで絨毯のよう。窓を開けると大気は花の香りに満ちていた。からんころんとカウベルの音が響く。<br /><br /> さらに高度が上がると、たちまち緑は姿を消して、ごつごつした黒い岩が顔を出す。あちこちには雪の塊。雪崩除けに作られた木製のトンネルを潜る。上部は既に崩れ落ちた雪を被っている。そしてシャイデック駅。レストランに案内され、昼食。広い窓から、真っ白な山々が見渡せる。メニューはスパゲッティみたいなヌードルをお皿に取り、その上にトマト・シチューのようなものをかけて食べる料理。<br /><br /> 外に出てみる。どこからかアルペンホルンの音。小高い所に土産物屋があって、その前で老人が吹いていた。行ってみると、帽子に付ける羽飾りなど並べてあった。<br /><br /> また電車に乗り込む。「これから空気は薄くなり、気圧も下がります。気分の悪くなった方は申し出てください。駆け出したり、叫んだりしないでください。高山病の特徴としては、忘れっぽくなる、生あくびが出る、頭痛がしてきて・・。」なんだか恐ろしくなってきた。電車は40分くらいいくつものトンネルを出たり入ったり、みんなおとなしく一生懸命息を吸う。途中、2ヶ所の駅に止まる。降りて、そーっと歩いてみる。ガラス窓から下界が覗けた。ぞ~っとするほどの絶壁。足元が吸い込まれそう。はるかはるか下は、白い雪が消えていって、緑の野原に続いている。頭上からは時折ぱらぱらと雪のかけらが降り、下へと消えていく。<br /><br /> カランカランと電車の出る合図。あせらず、走らず、みんなゆっくり歩いて戻る。再びトンネル。素掘りの、ごつごつした硬そうな岩面。そしてユングフラウ到着。資料館を見て、それからエレベーターで展望台へ。ものすごい風と雪が全身を打つ。頂上は吹雪だった。視界はほとんどきかない。その時、一緒に展望台に立った男の人が、軍歌を大声で歌いだした。思わず顔をしかめた私だったけど、きっとこれは彼の長年の夢だったに違いない。彼はすさまじい風雪の中で、いつまでも歌い続けていた。風に乗って、はるか下の里まで届いただろうか。<br /><br /> カラン、カラン、カラン。下りの電車の出発の合図。気がつくと、足取りもいつもと変わらず、息苦しさも忘れている。このトンネルは造られて71年が経ったそうだ。添乗員さんが「この中に71歳の方いますか?え?おばあちゃん?71歳!?では記念にどうぞ。」手渡したのは石のかけら。ユングフラウの岩石だった。「次に、お若い方・・。このグループですね、はいどうぞ。」ラッキー!青みを帯びた、硬く冷たい石。片麻岩とのこと。<br /><br /> 電車は急勾配の斜面を下っていく。トンネルから出てほっとして見ると、遠くの氷河で雪崩発生。真っ白い雪煙があがる。シャイデック駅で電車を乗り換え、ふもとへと下る。後方を見やればアイガーの絶壁がものすごい迫力で視界をさえぎっている。突然山から雷鳴が響いてきた。まるで山が唸ったかのようだった。周囲のごつごつした岩から、やがて再び緑が出現して、お花畑へと変わっていき、またのどかなカウベルの音。<br /><br /> グリンデルワルト着。バスに乗り込み、夕刻チューリッヒ湖畔のレストランへ。ユングフラウ登山に参加しなかった5,6人がすでにテーブルについて待っていた。ところが、1名が迷子になってしまったと言う。どこに行ったのか、誰も知らないとのこと。添乗員さんたちは、食事も取らずに飛び出した。大変なお仕事だなあ。行方不明になったのは男の人らしい。みんな心配したけれど、どうすることも出来ない。<br /> <br /> スープが運ばれてくる。テーブルはテラスに並べられて、湖から涼しい風が吹いてくる。柳の種だろうか、ふわふわした、たんぽぽの綿みたいのが、あたり一面に舞っている。食事のメニューはトマト・スープ、カツレツ、デザートはシャーベットとアイスクリーム。食後その辺を散歩してみる。西洋しゃくなげの花がいっぱい咲いていた。<br /> <br /> チューリッヒ駅。行方不明だった人も無事見つかったとか。今夜は夜行列車でパリに向かう。ふと仲間の一人のほうを見たら、男が近寄って何か言ってる。彼女が持っていたカメラを見せて欲しい様子、危ない、危ない。男は諦めて離れていった。<br /><br /> ようやく列車が入ってくる。 <br /><br />

スイス~オランダ? ユングフラウ登山列車

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1983/05/29 - 1983/06/07

677位(同エリア728件中)

3

12

アーマ

アーマさん

6月1日
パンとコーヒーの朝食。Wさん夫妻は、昨日やはり近くのスーパーで買ったヨーグルトを取り出し、私たちにも分けてくださった。いちご味のピンクのヨーグルト、美味しかった。

 ユングフラウ目指して出発。昨日と同じ、口ひげをつけたひょうきんなガイドさん。さかんに駄洒落を飛ばし、我々は苦笑する。まあ、楽しく、バスはのどかなスイスの丘を走る。なだらかな牧草地帯には、ところどころこんもりした小山があって、必ずてっぺんに1本の木が植えてある。大きく枝を伸ばした木もあれば、植えたばかりの小さな木もある。「この地方の風習で、子供が生まれるとその子と同じ名前をつけた木を植え、やがてその子が成人するとその木の周りは彼のものとなる、いわば遺産相続ですね。」

 ルツェルンの町。忙しいツァーのこと、たぶんゆっくりできないんだろうと思っていたら、案の定サーっと素通り。ガイドブックで目にした橋や家並みを、あっという間に通り過ぎる。やがてバスはぐんぐん山のほうへ上っていき、湖に出た。サルネン湖。高台でやっと小休止。

 前方に真っ白いアルプスの山々が顔を覗かせる。きりりとしたアイガー、優しいユングフラウ、その中間にお坊さんのメンヒ。二人の邪魔をしているって。しばらくしてブリエンツ、湖畔の町にバスは止まる。オルゴールや木彫り製品が並ぶ土産店でお買い物タイム。
通りに出ると、パッパー、ブーブーと賑やかな音が近づいてくる。クラシック・カーのパレードだ。いろんな年代物の車がとことことのん気に走りすぎる。みんな手を振っている、車の中の人も、見物人も。

 出発。昨日雪崩があって予定のルートが変更とのこと。グリンデルワルトに向かう。ひょうきんガイドがスイス民謡を歌いだした。「♪ヨロロイ、ヨロロイ、ホー」パチパチパチ。調子が出てきた彼は、我々に歌唱指導。面白がって大きな声で歌う。なんとか覚えた頃、彼は原曲のカセットテープを流した。似ても似つかぬ、すさまじいヨーデルの効いた難しい曲だった。♪ヨロヨロヨロ・・・

 やがてあたりはぐっと牧歌的になって、グリンデルワルト。いよいよここから登山電車に乗る。可愛らしいテーブルカー。ごとんごとん、上へ上へと登っていくにつれて、後方には素晴らしい緑のパノラマが展開する。電車はさらに右に左にカーブしながら登っていく。左右には黄色や白の花が一面に咲き、まるで絨毯のよう。窓を開けると大気は花の香りに満ちていた。からんころんとカウベルの音が響く。

 さらに高度が上がると、たちまち緑は姿を消して、ごつごつした黒い岩が顔を出す。あちこちには雪の塊。雪崩除けに作られた木製のトンネルを潜る。上部は既に崩れ落ちた雪を被っている。そしてシャイデック駅。レストランに案内され、昼食。広い窓から、真っ白な山々が見渡せる。メニューはスパゲッティみたいなヌードルをお皿に取り、その上にトマト・シチューのようなものをかけて食べる料理。

 外に出てみる。どこからかアルペンホルンの音。小高い所に土産物屋があって、その前で老人が吹いていた。行ってみると、帽子に付ける羽飾りなど並べてあった。

 また電車に乗り込む。「これから空気は薄くなり、気圧も下がります。気分の悪くなった方は申し出てください。駆け出したり、叫んだりしないでください。高山病の特徴としては、忘れっぽくなる、生あくびが出る、頭痛がしてきて・・。」なんだか恐ろしくなってきた。電車は40分くらいいくつものトンネルを出たり入ったり、みんなおとなしく一生懸命息を吸う。途中、2ヶ所の駅に止まる。降りて、そーっと歩いてみる。ガラス窓から下界が覗けた。ぞ~っとするほどの絶壁。足元が吸い込まれそう。はるかはるか下は、白い雪が消えていって、緑の野原に続いている。頭上からは時折ぱらぱらと雪のかけらが降り、下へと消えていく。

 カランカランと電車の出る合図。あせらず、走らず、みんなゆっくり歩いて戻る。再びトンネル。素掘りの、ごつごつした硬そうな岩面。そしてユングフラウ到着。資料館を見て、それからエレベーターで展望台へ。ものすごい風と雪が全身を打つ。頂上は吹雪だった。視界はほとんどきかない。その時、一緒に展望台に立った男の人が、軍歌を大声で歌いだした。思わず顔をしかめた私だったけど、きっとこれは彼の長年の夢だったに違いない。彼はすさまじい風雪の中で、いつまでも歌い続けていた。風に乗って、はるか下の里まで届いただろうか。

 カラン、カラン、カラン。下りの電車の出発の合図。気がつくと、足取りもいつもと変わらず、息苦しさも忘れている。このトンネルは造られて71年が経ったそうだ。添乗員さんが「この中に71歳の方いますか?え?おばあちゃん?71歳!?では記念にどうぞ。」手渡したのは石のかけら。ユングフラウの岩石だった。「次に、お若い方・・。このグループですね、はいどうぞ。」ラッキー!青みを帯びた、硬く冷たい石。片麻岩とのこと。

 電車は急勾配の斜面を下っていく。トンネルから出てほっとして見ると、遠くの氷河で雪崩発生。真っ白い雪煙があがる。シャイデック駅で電車を乗り換え、ふもとへと下る。後方を見やればアイガーの絶壁がものすごい迫力で視界をさえぎっている。突然山から雷鳴が響いてきた。まるで山が唸ったかのようだった。周囲のごつごつした岩から、やがて再び緑が出現して、お花畑へと変わっていき、またのどかなカウベルの音。

 グリンデルワルト着。バスに乗り込み、夕刻チューリッヒ湖畔のレストランへ。ユングフラウ登山に参加しなかった5,6人がすでにテーブルについて待っていた。ところが、1名が迷子になってしまったと言う。どこに行ったのか、誰も知らないとのこと。添乗員さんたちは、食事も取らずに飛び出した。大変なお仕事だなあ。行方不明になったのは男の人らしい。みんな心配したけれど、どうすることも出来ない。
 
 スープが運ばれてくる。テーブルはテラスに並べられて、湖から涼しい風が吹いてくる。柳の種だろうか、ふわふわした、たんぽぽの綿みたいのが、あたり一面に舞っている。食事のメニューはトマト・スープ、カツレツ、デザートはシャーベットとアイスクリーム。食後その辺を散歩してみる。西洋しゃくなげの花がいっぱい咲いていた。
 
 チューリッヒ駅。行方不明だった人も無事見つかったとか。今夜は夜行列車でパリに向かう。ふと仲間の一人のほうを見たら、男が近寄って何か言ってる。彼女が持っていたカメラを見せて欲しい様子、危ない、危ない。男は諦めて離れていった。

 ようやく列車が入ってくる。 

  • アルプスの白い山が見えてくる

    アルプスの白い山が見えてくる

  • クラシック・カーのパレード

    クラシック・カーのパレード

  • クラシック・カーのパレード 2

    クラシック・カーのパレード 2

  • 滝が出現

    滝が出現

  • グリンデルワルト。絵のような美しい景色でした。

    グリンデルワルト。絵のような美しい景色でした。

  • この電車で登ります。

    この電車で登ります。

  • 白と黄色の花が散りばめられた絨毯のよう。

    白と黄色の花が散りばめられた絨毯のよう。

  • のどかです。

    のどかです。

  • クライネ・シャイデックで降りて、これからお昼です。

    クライネ・シャイデックで降りて、これからお昼です。

  • 下りの電車の車窓から

    下りの電車の車窓から

  • まさにスイス!

    まさにスイス!

  • 下りの車窓から2

    下りの車窓から2

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この旅行記へのコメント (3)

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  • とらいもんさん 2005/10/02 19:21:40
    5月のシャイデック!
    アーマさんへ
    こんばんは、22年前のご旅行でしたか?それにしても、きめ細かな旅行記は、とても参考になりました。
    私は、6月の下旬に出かけてますので、雪のシャイデックに驚いてます。もっとも7年前、吹雪のため草原でなくシャイデックの駅の犬走りで昼食を食べたことがあります。
    お写真、優しく撮れてますね!
    私のもご覧下さい。
    スイスお宅の爺様より
  • とらいもんさん 2005/10/02 07:43:52
    旅行記
    アーマさん
    タップリのレポート!これから出かけますので、夕方拝読させていただきます。
    いままでの、レポートばっかしのつまらないのが多かったのですが、あなたのは、読みたくなります。
    では、しつれい
    スイスお宅の爺様より

    アーマ

    アーマさん からの返信 2005/10/02 10:43:22
    RE: 有難うございます
    なにぶんに昔の旅行ですので、あまりお役に立たないかもしれませんが、これからお出かけになるんですか、いいですね。
    多分、山の美しさとあの感動だけは永遠に変わらないと思いますので、たっぷり楽しんできてください。ご報告お待ちしています。

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