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朝6時半、サンジェルベのトラムウェイ・ド・モンブラン(TMB)の駅に向かう。実は、ガイドさんと待ち合わせを駅ですることになっていたのだが、我々の勘違いで国鉄のサンジェルベ駅前にあるTMBの駅に行ってしまったのだ。実は、国鉄サンジェルベ駅前にあるTMBの駅はファィエ駅という。駅の窓口嬢がTMBサンジェルベ駅で待っているガイドさんに連絡をつけてくれたので、我々はともかく始発に乗り、車中でガイドさんと合流することになった。<br /> 列車はファィエ駅を出ると暫く路上を走り、その後いきなりラックレール区間に入って急坂を登り始めた。TMBは始発駅のある標高600m付近を出ると、終点のニデーグル駅のある標高2300m付近までその殆どをラックレールで登る、フランスで最も高いところを走る鉄道である。<br /> サンジェルベ駅で無事ガイドさんと落ち合うことが出来た。彼の名はジャンポール・ミスリエールという。以後、ガイド氏をジャンポールと呼ぶ。この駅で座席はほぼ満員。その殆どが登山客である。<br /> ベルビュー駅で30分の大休止。ルズーシュからロープウェイで上がってきた登山客が次々と乗り込み、列車は超満員である。この中には日本人の老夫婦も見掛けたが、登山用品を装備している。この人たちもモンブランに登ろうというのだろうか。<br /> ベルビュー駅を出ると、最急勾配を列車は登り始める。もはや森林限界を超え、その先にはビオナッセイ氷河が迫る。ドム・ド・グーテの白いピークが目前に迫る。正に壁のように立ちはだかっている。<br /> 列車は車止めもない急勾配の終着駅、ニデーグルに着いた。始発の列車には殆ど観光客は乗っておらず、その大半が登山客である。皆、駅で荷物を整えると、次々と登山道に入っていった。<br /> ニデーグル駅からテートルース小屋までが一般のトレッキングコースと一緒になっている。但し、駅とテートルース小屋の中間地点にある避難小屋(フォレスティエール・デ・ローニュ)を過ぎるとかなりの急登となってくる。この急登の最後、テートルース小屋の前には簡単な氷河横断が控えている。<br /> 我々は、この氷河(テートルース氷河)の前で昼食を済ませ、ここからアンザイレン、ヘルメット着用である。氷河は暑さのためであろうか、かなり融けており、細い筋となって幾筋も流れている。一部にはクレバスに融水が溜まって池が出来ている。<br /> 増築なったテートルース小屋を脇に見て、これから今日の核心部のグラン・クーロワール(大回廊)横断に入る。ここは上部の融雪により、数分おきに落石を起こすことで有名である。ここを抜けるときには、走り抜けないといけないらしい。ヘルメット着用もそのためである。<br /> 落石の最難所を抜けると、パイヨ岩稜の断崖に挑む。これを登り切ると、今日の終着地、グーテ小屋が待っている。<br /> 岩登りのきつさに、足が左右交互に攣り始めた。そんなことはお構いなしにジャンポールはザイルをぐいぐい引っ張る。最後の100mほどはワイヤーが岩壁に打ち込まれており、これを頼って登っていく。<br /> ほうほうの体で小屋(3817m)に到着。切り立った岩壁を登ってきたので、眺めは最高である。小屋の後ろはもはや氷河となっており、明日、小屋を出発するときには最初からクランポン装着である。<br /> 小屋に着くと、ジャンポールが我々に食堂で何でも好きな飲み物を注文しろと言う。それらは全てジャンポールのツケにしておいていいから、というのである。ヤマではガイドは絶対的権威で、ニデーグルまでの列車も山小屋も全てガイドは特別割引料金である。山小屋の予約も、個人の場合は何ヶ月も前に必要だが、ガイドを通すとわずか数日前で取ることができる。<br /> 寝床は一人分の幅が1メートル近くあり、かなりゆったりしている。新館は1階部分が寝床、地階部分がトイレとなっている。ただ、このトイレがとんでもない代物で、床に穴が空いているだけの垂れ流し式である。恐らく、下に位置するビオナッセイ氷河は相当汚染されているはずである。<br /> さて、尾籠な話が先になってしまったが、次は夕食の話を。食事は小屋がかなり混んでいることから3交代制となり、我々は2番目の7時からの食事となった。さすがフランスということか、前菜、メイン、デザートのコースとなっている。前菜のスープは随分薄いな、と思ったが、一緒に出されたクルトンを入れると絶妙の味になった。メインはブッフ・ブルギニョン。が、相当煮込まれているらしく、かなり堅くなっている。付け合わせのご飯のほうがよっぽど美味しかった。最後にはチョコレートムースが配られた。勿論、食事の前には結構なサイズのチーズが配られる。<br /> 我々は高度が高いので、体調維持に必死だが、ジャンポールは平然と赤ワインを頼み、ひとりちびちびやっている。私の友人は軽い頭痛があるようであるが、私には高度障害はいっさい出ていない。それより、先ほどまで攣り続けた足の筋肉の後遺症が明日出ないかどうかのほうが心配であった。<br /> さて、食後にコーヒーを一杯飲み、寝床に戻ったが予想外に室内は暑く寝られない。コーヒーのせいかもしれない。しかも、夜9時過ぎになってトイレに行きたくなり、階下のトイレへと行く。一旦小屋の外に出るのだが、丁度夕日が沈んだところで実に美しい風景であった。<br /> 夜11時になっても暑くて寝られない。しかも部屋中にいろんな人種のイビキが響き渡る。またトイレに行きたくなって、真っ暗な床に下りると誰かにつまずいた。床に寝ている人間もいたのである。小屋を出ると、何と小屋の脇で野宿している人もいる。凍え死にやしないか心配だが、まぁ本人は大丈夫だからそこに寝ているのであろう。

モンブランに登る(その3)

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2003/07/30 - 2003/08/06

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覇王樹

覇王樹さん

朝6時半、サンジェルベのトラムウェイ・ド・モンブラン(TMB)の駅に向かう。実は、ガイドさんと待ち合わせを駅ですることになっていたのだが、我々の勘違いで国鉄のサンジェルベ駅前にあるTMBの駅に行ってしまったのだ。実は、国鉄サンジェルベ駅前にあるTMBの駅はファィエ駅という。駅の窓口嬢がTMBサンジェルベ駅で待っているガイドさんに連絡をつけてくれたので、我々はともかく始発に乗り、車中でガイドさんと合流することになった。
 列車はファィエ駅を出ると暫く路上を走り、その後いきなりラックレール区間に入って急坂を登り始めた。TMBは始発駅のある標高600m付近を出ると、終点のニデーグル駅のある標高2300m付近までその殆どをラックレールで登る、フランスで最も高いところを走る鉄道である。
 サンジェルベ駅で無事ガイドさんと落ち合うことが出来た。彼の名はジャンポール・ミスリエールという。以後、ガイド氏をジャンポールと呼ぶ。この駅で座席はほぼ満員。その殆どが登山客である。
 ベルビュー駅で30分の大休止。ルズーシュからロープウェイで上がってきた登山客が次々と乗り込み、列車は超満員である。この中には日本人の老夫婦も見掛けたが、登山用品を装備している。この人たちもモンブランに登ろうというのだろうか。
 ベルビュー駅を出ると、最急勾配を列車は登り始める。もはや森林限界を超え、その先にはビオナッセイ氷河が迫る。ドム・ド・グーテの白いピークが目前に迫る。正に壁のように立ちはだかっている。
 列車は車止めもない急勾配の終着駅、ニデーグルに着いた。始発の列車には殆ど観光客は乗っておらず、その大半が登山客である。皆、駅で荷物を整えると、次々と登山道に入っていった。
 ニデーグル駅からテートルース小屋までが一般のトレッキングコースと一緒になっている。但し、駅とテートルース小屋の中間地点にある避難小屋(フォレスティエール・デ・ローニュ)を過ぎるとかなりの急登となってくる。この急登の最後、テートルース小屋の前には簡単な氷河横断が控えている。
 我々は、この氷河(テートルース氷河)の前で昼食を済ませ、ここからアンザイレン、ヘルメット着用である。氷河は暑さのためであろうか、かなり融けており、細い筋となって幾筋も流れている。一部にはクレバスに融水が溜まって池が出来ている。
 増築なったテートルース小屋を脇に見て、これから今日の核心部のグラン・クーロワール(大回廊)横断に入る。ここは上部の融雪により、数分おきに落石を起こすことで有名である。ここを抜けるときには、走り抜けないといけないらしい。ヘルメット着用もそのためである。
 落石の最難所を抜けると、パイヨ岩稜の断崖に挑む。これを登り切ると、今日の終着地、グーテ小屋が待っている。
 岩登りのきつさに、足が左右交互に攣り始めた。そんなことはお構いなしにジャンポールはザイルをぐいぐい引っ張る。最後の100mほどはワイヤーが岩壁に打ち込まれており、これを頼って登っていく。
 ほうほうの体で小屋(3817m)に到着。切り立った岩壁を登ってきたので、眺めは最高である。小屋の後ろはもはや氷河となっており、明日、小屋を出発するときには最初からクランポン装着である。
 小屋に着くと、ジャンポールが我々に食堂で何でも好きな飲み物を注文しろと言う。それらは全てジャンポールのツケにしておいていいから、というのである。ヤマではガイドは絶対的権威で、ニデーグルまでの列車も山小屋も全てガイドは特別割引料金である。山小屋の予約も、個人の場合は何ヶ月も前に必要だが、ガイドを通すとわずか数日前で取ることができる。
 寝床は一人分の幅が1メートル近くあり、かなりゆったりしている。新館は1階部分が寝床、地階部分がトイレとなっている。ただ、このトイレがとんでもない代物で、床に穴が空いているだけの垂れ流し式である。恐らく、下に位置するビオナッセイ氷河は相当汚染されているはずである。
 さて、尾籠な話が先になってしまったが、次は夕食の話を。食事は小屋がかなり混んでいることから3交代制となり、我々は2番目の7時からの食事となった。さすがフランスということか、前菜、メイン、デザートのコースとなっている。前菜のスープは随分薄いな、と思ったが、一緒に出されたクルトンを入れると絶妙の味になった。メインはブッフ・ブルギニョン。が、相当煮込まれているらしく、かなり堅くなっている。付け合わせのご飯のほうがよっぽど美味しかった。最後にはチョコレートムースが配られた。勿論、食事の前には結構なサイズのチーズが配られる。
 我々は高度が高いので、体調維持に必死だが、ジャンポールは平然と赤ワインを頼み、ひとりちびちびやっている。私の友人は軽い頭痛があるようであるが、私には高度障害はいっさい出ていない。それより、先ほどまで攣り続けた足の筋肉の後遺症が明日出ないかどうかのほうが心配であった。
 さて、食後にコーヒーを一杯飲み、寝床に戻ったが予想外に室内は暑く寝られない。コーヒーのせいかもしれない。しかも、夜9時過ぎになってトイレに行きたくなり、階下のトイレへと行く。一旦小屋の外に出るのだが、丁度夕日が沈んだところで実に美しい風景であった。
 夜11時になっても暑くて寝られない。しかも部屋中にいろんな人種のイビキが響き渡る。またトイレに行きたくなって、真っ暗な床に下りると誰かにつまずいた。床に寝ている人間もいたのである。小屋を出ると、何と小屋の脇で野宿している人もいる。凍え死にやしないか心配だが、まぁ本人は大丈夫だからそこに寝ているのであろう。

  • トラムウェイ・ド・モンブラン。朝の便は登山者、昼の便は観光客を運ぶ。日本ではなぜか紹介される機会が少ない鉄道だが、体験乗車はぜひすべき。

    トラムウェイ・ド・モンブラン。朝の便は登山者、昼の便は観光客を運ぶ。日本ではなぜか紹介される機会が少ない鉄道だが、体験乗車はぜひすべき。

  • テート・ルース氷河。表面には氷河が溶けて流れている筋が無数に走っている。この氷河、100年以上前に大崩壊を起こし、サンジェルベの町を全滅させている。

    テート・ルース氷河。表面には氷河が溶けて流れている筋が無数に走っている。この氷河、100年以上前に大崩壊を起こし、サンジェルベの町を全滅させている。

  • テート・ルースのトレッキングコースからエギュイ・ド・ビオナッセイを望む。ここらまでは誰でも入れるコース。

    テート・ルースのトレッキングコースからエギュイ・ド・ビオナッセイを望む。ここらまでは誰でも入れるコース。

  • エギュイ・ド・ビオナッセイ。比較的難易度の高い4000m峰。

    エギュイ・ド・ビオナッセイ。比較的難易度の高い4000m峰。

  • 本日の最難関、グラン・クーロワール(大回廊)。落石常習地帯。横断には慎重さと瞬発力が要求される。

    本日の最難関、グラン・クーロワール(大回廊)。落石常習地帯。横断には慎重さと瞬発力が要求される。

  • これは大変、パイヨ岩稜。これをよじ登らねば小屋にはたどり着けない。

    これは大変、パイヨ岩稜。これをよじ登らねば小屋にはたどり着けない。

  • パイヨ岩稜の頂点に建つ金属製のグーテ小屋。エギュイ・グーテの直下に建つ。すでに富士山より標高は高い。

    パイヨ岩稜の頂点に建つ金属製のグーテ小屋。エギュイ・グーテの直下に建つ。すでに富士山より標高は高い。

  • 小屋内部。噂で伝えられるほど狭くはない。

    小屋内部。噂で伝えられるほど狭くはない。

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