1970/06/20 - 1970/06/20
11740位(同エリア16401件中)
片瀬貴文さん
シテ名物に「シテめし」がある。
シテの中央に堂々とそびえる国際館の学生食堂で、毎日昼夕出される食事のことである。
食べ物の国だけあって、オールドゥーヴルからデザートまで5皿もついていて、パンは食べ放題。それでいて安いときている。
しかしビフテキの肉の固さは天下一品だ。
鋸歯のナイフで力一杯体重をかけて、金属製の皿を傷つけても肉は切れない。
この牛肉は、一生働きづめに働いた雄牛の、最後のご奉公姿と言う。
おそらく世界中どこに行ってもお目にかかれない、ありがたい経験。
もちろん口に入れても噛み切れないので、うまく飲み込めなければ口から出すことに相成る。
おなかをすかせた若者にとり、これはまことに恨めしいことである。
フラスコ入りの水道水は無料だが、下痢が怖いので、別料金で飲み物を買うのが普通である。
一番安いビールが0.2フラン(14円)、次いでミネラルウォーターとワインが0.3フラン(21円)、ミルクは0.4フラン(28円)と一番高い。
つい一番安いビールを選ぶものだから、午後の居眠りの原因となる。
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