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眠れない一夜をやり過ごし、チャランダマルツの朝が来た。<br />セルフ式の朝ごはんは、何種類ものパン、ヨーグルト、チーズ、生ハム、果物、牛乳や紅茶、コーヒーというメニュー。<br />どれもおかわりし放題で、朝からすでにお腹いっぱい。<br /><br />ホテルをチェックアウトして表へ出てみると、お祭り当日というのに辺りはひっそりとしている。<br />お祭りといえば何かと騒がしい日本のそれとは、まったく趣が違っていた。<br />行進は1時からなので、それまで同じエンガディンのシュクオールへドライブへ行き、この地方の名物「ヌストルテ」という蜂蜜とナッツのお菓子を買う。<br />お昼ごはんには大きくて分厚い、量り売りのハムを食べた。 <br /><br />シュクオールから帰ってくると、広場はさすがに賑わっていて、カメラを抱えた観光客もチラホラ見える。<br />チャランダマルツはエンガディンの各村々で行われるが、一番さかんなのがこのグアルダだそうだ。<br />村は山の上にそこだけ切り取られたようにある。<br />他と隔離されたようなこの地形が、村の人の結束をより高めるのかもしれない。<br />古くから伝わるお祭りを、村全体でとても大切にしているのを肌で感じる。<br /><br />広場にはお祭りの主役の子ども達が段々、集まり始めていた。<br />男の子女の子それぞれの民族衣装がとても可愛らしい。 <br />男の子は青いスモックのような上着に赤い帽子、女の子 はいかにもチロル風なエプロン付き。<br />それぞれ胸の飾りや刺繍が違うので、家庭でハンドメイドするのだろう。<br />ちなみにM親子はこの男の子用の衣装を持ってきていた。コスプレするつもりか?<br />すんでのところで思いとどまったらしい。ちょっとホッとする私。<br />チャランダマルツで鈴を鳴らすのは男の子と決まっている。<br />絵本「ウルスリのすず」では女の子の様子が描かれていないので、もしかすると昔は男の子だけのお祭りだったのかも・・・。<br />今は男の子の列の後ろをついて歩き、途中で何度も一緒に歌を歌っていた。<br />そうこうするうちに、男の子達が自分の顔より大きなカウベルを肩に担いで村の上の方へと移動しだした。<br />それに合わせて観光客もぞろぞろと上がっていく。<br />いよいよ始まるらしい。あー、ワクワクドキドキ!! <br /><br />最初はホテルのテラスの階段に並び、全員 でチャランダマルツの歌を歌う。<br />それが終わるとベルを肩にかけ、ついに行進が始まる。<br />列はどうやら年功序列らしい。前から歳上順に並んでいる。<br />一番前の子はベルを担がずに、洗濯板を小さくしたようなものに棒を突きさしたような変わった楽器をギリギリ 鳴らしている。<br />この音がこれまたデカイ。<br />でもでもでも!この楽器(?)もきちんと絵本に描かれているのだ!<br />「ああーーー!絵本と一緒だ!絵本と一緒だーーー!!」<br />興奮するMと私。<br />この大きなカウベルをどうやって鳴らすのだろうと思っていたが、体を左右に大きく振って、お腹でベルを持ち上げているのだ。なるほど。<br />上着の内側のお腹の部分にはクッションを入れ、ベルからの衝撃を軽くしている。<br />その仕草がとっても可愛い!可愛すぎる〜〜〜!!<br />列はガゴンガゴンとすごい音を立てながら、村の家々の中に入っていき、出てきてはまた隣の家に入っていくを繰り返す。<br />家の人たちはギリギリ楽器の子が持っている募金箱(?)にわずかなコインを落としたり、お菓子を渡したりする。<br />私達もそれに習ってコイン を入れた。<br />村の広い所へ出るごとに男の子女の子全員で歌を歌い、またベルを肩にかける。<br />小さい子達を年上の子がちゃんと面倒 を見てあげる光景が微笑ましい。<br />井戸のポンプの上に棒を乗せて、その下をくぐって井戸の周りを行進するのも絵本と一緒。<br />目の前に繰り広げられている光景は、まったく絵本の世界そのもだ。<br />この感激を表す言葉が見つからないほどに、胸は高ぶっていた。<br /><br />「あー、いいもの見たーーー!」 <br /><br />と叫ぶのが精一杯。<br />ところがグアルダも過疎化が進み、年々子ども達が減ってきているそうで、昔は30数人ほどもいたらしい男の子が、今年はほぼ半分の14人だった。<br />この先、グアルダのチャランダマルツ も存続が難しい時が来るかもしれない。<br />どうかこの伝統ある素敵なお祭りが廃れることのないようにと、願うばかりだ。<br /><br />お祭りも一息ついて、ついに帰る時間がきてしまった。<br />かなり寂しい。<br />村のはずれにあるお土産屋さんに寄って、ロマンシュ語 の「ウルスリのすず」<br />の絵本を買い、後ろ髪をひかれる思いでこの小さな村を後にした。 <br /><br />グアルダ編、おわり。

スイスに住む友人を訪ねて・絵本の村 グアルダ編 その2

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2003/02/29 - 2003/03/01

143位(同エリア186件中)

4

8

さかこ

さかこさん

眠れない一夜をやり過ごし、チャランダマルツの朝が来た。
セルフ式の朝ごはんは、何種類ものパン、ヨーグルト、チーズ、生ハム、果物、牛乳や紅茶、コーヒーというメニュー。
どれもおかわりし放題で、朝からすでにお腹いっぱい。

ホテルをチェックアウトして表へ出てみると、お祭り当日というのに辺りはひっそりとしている。
お祭りといえば何かと騒がしい日本のそれとは、まったく趣が違っていた。
行進は1時からなので、それまで同じエンガディンのシュクオールへドライブへ行き、この地方の名物「ヌストルテ」という蜂蜜とナッツのお菓子を買う。
お昼ごはんには大きくて分厚い、量り売りのハムを食べた。

シュクオールから帰ってくると、広場はさすがに賑わっていて、カメラを抱えた観光客もチラホラ見える。
チャランダマルツはエンガディンの各村々で行われるが、一番さかんなのがこのグアルダだそうだ。
村は山の上にそこだけ切り取られたようにある。
他と隔離されたようなこの地形が、村の人の結束をより高めるのかもしれない。
古くから伝わるお祭りを、村全体でとても大切にしているのを肌で感じる。

広場にはお祭りの主役の子ども達が段々、集まり始めていた。
男の子女の子それぞれの民族衣装がとても可愛らしい。
男の子は青いスモックのような上着に赤い帽子、女の子 はいかにもチロル風なエプロン付き。
それぞれ胸の飾りや刺繍が違うので、家庭でハンドメイドするのだろう。
ちなみにM親子はこの男の子用の衣装を持ってきていた。コスプレするつもりか?
すんでのところで思いとどまったらしい。ちょっとホッとする私。
チャランダマルツで鈴を鳴らすのは男の子と決まっている。
絵本「ウルスリのすず」では女の子の様子が描かれていないので、もしかすると昔は男の子だけのお祭りだったのかも・・・。
今は男の子の列の後ろをついて歩き、途中で何度も一緒に歌を歌っていた。
そうこうするうちに、男の子達が自分の顔より大きなカウベルを肩に担いで村の上の方へと移動しだした。
それに合わせて観光客もぞろぞろと上がっていく。
いよいよ始まるらしい。あー、ワクワクドキドキ!!

最初はホテルのテラスの階段に並び、全員 でチャランダマルツの歌を歌う。
それが終わるとベルを肩にかけ、ついに行進が始まる。
列はどうやら年功序列らしい。前から歳上順に並んでいる。
一番前の子はベルを担がずに、洗濯板を小さくしたようなものに棒を突きさしたような変わった楽器をギリギリ 鳴らしている。
この音がこれまたデカイ。
でもでもでも!この楽器(?)もきちんと絵本に描かれているのだ!
「ああーーー!絵本と一緒だ!絵本と一緒だーーー!!」
興奮するMと私。
この大きなカウベルをどうやって鳴らすのだろうと思っていたが、体を左右に大きく振って、お腹でベルを持ち上げているのだ。なるほど。
上着の内側のお腹の部分にはクッションを入れ、ベルからの衝撃を軽くしている。
その仕草がとっても可愛い!可愛すぎる〜〜〜!!
列はガゴンガゴンとすごい音を立てながら、村の家々の中に入っていき、出てきてはまた隣の家に入っていくを繰り返す。
家の人たちはギリギリ楽器の子が持っている募金箱(?)にわずかなコインを落としたり、お菓子を渡したりする。
私達もそれに習ってコイン を入れた。
村の広い所へ出るごとに男の子女の子全員で歌を歌い、またベルを肩にかける。
小さい子達を年上の子がちゃんと面倒 を見てあげる光景が微笑ましい。
井戸のポンプの上に棒を乗せて、その下をくぐって井戸の周りを行進するのも絵本と一緒。
目の前に繰り広げられている光景は、まったく絵本の世界そのもだ。
この感激を表す言葉が見つからないほどに、胸は高ぶっていた。

「あー、いいもの見たーーー!」

と叫ぶのが精一杯。
ところがグアルダも過疎化が進み、年々子ども達が減ってきているそうで、昔は30数人ほどもいたらしい男の子が、今年はほぼ半分の14人だった。
この先、グアルダのチャランダマルツ も存続が難しい時が来るかもしれない。
どうかこの伝統ある素敵なお祭りが廃れることのないようにと、願うばかりだ。

お祭りも一息ついて、ついに帰る時間がきてしまった。
かなり寂しい。
村のはずれにあるお土産屋さんに寄って、ロマンシュ語 の「ウルスリのすず」
の絵本を買い、後ろ髪をひかれる思いでこの小さな村を後にした。

グアルダ編、おわり。

  • ホテルの朝ごはん。<br />ヨーグルトがとても美味しかった。

    ホテルの朝ごはん。
    ヨーグルトがとても美味しかった。

  • 段々広場に集まってくる子ども達や観光客。

    段々広場に集まってくる子ども達や観光客。

  • いよいよ始まった「チャランダマルツ」。<br />ベルの音がものすごい。

    いよいよ始まった「チャランダマルツ」。
    ベルの音がものすごい。

  • 行列の後ろを着いていく女の子達。<br />衣装が可愛い。

    行列の後ろを着いていく女の子達。
    衣装が可愛い。

  • チビッコ達も一生懸命。

    チビッコ達も一生懸命。

  • 絵本と同じシーン。<br />感激。

    絵本と同じシーン。
    感激。

  • 村のはずれにあるお土産屋さん。<br />ウルスリ関係のグッズが多い。

    村のはずれにあるお土産屋さん。
    ウルスリ関係のグッズが多い。

  • 日本語とロマンシュ語の「ウルスリのすず」絵本。<br /><br />※ ウルスリのすず/岩波書店

    日本語とロマンシュ語の「ウルスリのすず」絵本。

    ※ ウルスリのすず/岩波書店

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この旅行記へのコメント (4)

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  • チビケイさん 2005/06/11 20:25:36
    お祭りの子供達が活き活きしてて(*'ー'*)ノ~~ 誇らしげなのが素敵ですね!
    さかこさん(*'ー'*)ノ~~ こんばんわ♪

    今日はお祭りに参加させて頂きました(o^∇^o)ノ

    ‘グアルダ’と言うのですか(*^。^*)
    お写真見てると本当に絵本のようです。

    それから思いついたのがアメリカの感謝祭(・・?
    あのカボチャのお祭りを思い出しました。
    ベルを鳴らすところは違いますが
    子供達が各家を回ってお菓子を貰うあの習慣と少し違うけれど
    日本にはない楽しいお祭りです(#^.^#)

    小さな子供達が皆自分のやる事に誇りを持ってて
    この頃からすでに自立心を持つ準備をしているみたいでイイナァ(*^m^*)

    さかこさん、とても充実した滞在で羨ましいです♪(⌒ー⌒)o∠★:゚*'

    初めての旅で色んな経験が出来たんですね♪
    来年もまた旅行してみたくなったのでは(^_-)

    今世界で色んな事が起きていますが
    どこの国の子供達も今をしっかり生きていて欲しいです♪

    まだまだUPするものが残っているのではと
    楽しみしていますm(__)m

    マットルケンネェ〜タノシミニシトウケンネェ〜←博多弁のつもり(^^ゞ

    さかこ

    さかこさん からの返信 2005/06/12 15:51:24
    RE: お祭りの子供達が活き活きしてて(*\'ー\'*)ノ~~ 誇らしげなのが素敵ですね!
    >チビケイさん

    グアルダというのは地名なんですよ。
    お祭りは「チャランダマルツ」と言います。
    特に狙ったわけではないんですが、偶然にも出発の時期がこのチャランダマルツと重なり、まるで引き寄せられるようにグアルダ村に居る自分が本当に夢のようでした。
    これぞ「ご縁」というものだと思います。

    こんな風に伝統あるお祭りを大切に思う気持ちって、本当に温かいものを感じます。
    日本の伝統あるお祭りは、格式高いものとか、大人だけが参加するものとかで、あまり子どもの出番がないのが残念ですね。
    このチャランダマルツや、チビケイさんがご覧になったアメリカの感謝祭(?)のように、もっと子どもに自主性を持たせてあげられるようなお祭り、日本にもあっていいのになって思いますよね〜。
    きっと良い情操教育になるだろうになぁ。

    スイス滞在はたった3週間だったんですが、スケジュールはぎっしりでした。
    このあと、スイス国内の旅行記が2編、寄り道のヨーロッパ編が2編の予定です。

    がんばるけん、また見に来てくださいね〜。
    待っとーとですよ〜!!^0^
  • kioさん 2005/05/22 21:32:04
    スイス旅行の白眉
    第四弾 ついにアップですね。
    ハッパかけの今朝のメールが効いたか?(・_・?)ハテ

    伝統的な子供のお祭りも少子化の波には勝てず
    存続の危機になりつつあるんですね。
    祭りの存在が村の活性化と求心力とならん為に
    お祭りを運営する人達も必死な思いなんでしょうね。

    ここそこに様々な国の様々な伝統文化、ありて・・

    さかこ

    さかこさん からの返信 2005/05/24 18:56:19
    RE: スイス旅行の白眉
    >kioさん

     私の場合、写真の選択にupのスピードが左右されちゃうよ〜。
     テキストはコピペだから写真さえ出来たら残りもすぐにup出来るんだけどね〜。
     ところで「今朝のメール」ってなに!?
     来てないっ、来てない〜〜〜っ。
     私が送ったメッセージは届いてるんだよね!?

     「チャランダマルツ」は絵本が書かれる前から続いてるんだもんね。
     この年、ちょうどカリジェの生誕100年記念だったから、最低でも100年は続いてるってことです。
     そんな伝統のある行事は、なんであっても廃れさせちゃいけないよね。
     なんとか存続も方向で頑張って欲しいものです。
     

     

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