国内最大の木造・多宝塔(国宝)などの建造物とあわせて歴史を学び楽しめました!
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- 旅行時期:2021/11(約4年前)
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by hiroさん(男性)
岩出・紀の川 クチコミ:8件
『根來寺』は、現在の和歌山県北部の岩出市に位置する山号を「一乗山」、院号を「大伝法院」と称する「新義真言宗」の総本山であり「大日如来」・「金剛薩埵」・「尊勝仏頂」の三尊を本尊として祀る寺院です。
『根來寺』の開創については、平安時代・後期の1132年(長承元年)に「空海」上人(諡号:弘法大使)が平安時代・初期の816年(弘仁7年)に真言密教の聖地となる修禅の道場として開山した高野山において「空海」上人以来の学僧さらに真言宗中興の祖といわれ諡号を「興教大師(こうぎょうだいし)」と称する「新義真言宗」の始祖でもある「覚鑁(かくばん)」上人が高野山に建立した「大伝法院」が始まりとされています。
「覚鑁」上人については、1095年(嘉保2年)に肥前国藤津荘(現在:佐賀県鹿島市)で誕生したとされ、13歳のときに京都「仁和寺」で出家得度し仏門に入り、17歳の頃から本格的な真言密教の修行を始め、1114年(永久2年)に「東大寺 戒壇院」で受戒し正式な僧侶として「覚鑁」の名前を授かるとともに高野山に登っています。
1132年(長承元年)になると高野山「大伝法院」座主に「覚鑁」上人が就任、さらに1134年(長承3年)には「金剛峯寺」座主も兼ねるようになったことで、周囲の嫉妬などから不和・対立を招く結果となり、高野山内部での紛争に発展することを避けるため、1140年(保延6年)に「覚鑁」上人が自ら身を引き高野山を離山しています。
離山後の「覚鑁」上人の新たな活動の場となったのが現在の『根來寺』がある場所であり、かつてあった草庵を新たに「豊福寺」として建立したほかに学問所となる「円明寺」および居住の場となる「密厳院」などを建立していますが、1143年(康治2年)に「円明寺」で49年間の生涯を閉じており、現在の『根來寺』境内にある「奥の院」霊廟に埋葬されています。
また、鎌倉幕府・第3代将軍「源 実朝」の時代である1205年(元久2年)頃になると現在の『根來寺』の名称が成立したとされ、高野山「大伝法院」については十三堂塔が建立されるまでに発展していましたが、鎌倉幕府・第4代将軍「藤原頼経」の時代である1242年(仁治3年)に焼失、鎌倉幕府・第7代将軍「惟康親王」の時代である1288年(正応元年)頃に「頼瑜(らいゆ)」僧正により高野山「大伝法院」の教学の拠点が『根來寺』に移されることで「新義真言宗」の教学の基礎が『根來寺』に築かれています。
さらに室町時代・後期の『根來寺』は、僧侶を育てる学山として寺領:72万石、堂舎・伽藍:2,700余におよび数千人の僧侶を有するまで発展し、戦国時代には「根來衆」と呼ばれる僧兵を擁することで戦国大名と肩を並べるほどの勢力を誇るようになっています。
しかし、桃山時代になると「羽柴秀吉」が豊臣の姓を賜り関白となる年の1585年(天正13年)に「羽柴秀吉」軍による紀州攻めが実施され、ほぼ無抵抗状態で『根來寺』が「羽柴秀吉」軍に制圧されましたが、その日の夜に詳細不明の出火により『根來寺』境内の「大伝法堂」・「大塔」・「大師堂」など一部の建造物を残したものの根來一山の殆どの施設が焼失しています。
その後の『根來寺』は、しばらくの期間にわたり復興が許されず衰微していましたが、江戸時代になると「紀州徳川家」の祖となる紀伊和歌山藩・初代藩主「徳川頼宣」の外護などにより徐々に復興し、現存する建造物では室町時代・前期となる1391年(明徳2年)に建立の「弘法大師・空海像」を安置している「大師堂」が1941年(昭和16年)に国の重要文化財に指定、国内最大の木造・多宝塔(高さ40メートル)として室町時代・後期となる1547年(天文16年)に建立の「大毘廬遮那法界体性塔(通称:大塔)」が1952年(昭和27年)に国宝に指定、江戸時代・後期となる1827年(文政10年)に建立の「大伝法堂(本堂)」および根來一山の総門として江戸時代・末期となる1850年(嘉永3年)に建立の「大門」がそれぞれ2019年(令和元年)に国の重要文化財に指定されるなど歴史のある見どころの多い寺院となっています。
今回は、和歌山市在住の方の案内で『根來寺』に立ち寄りましたが、限られた滞在時間内で広大な『根來寺』境内を見学して廻ることが難しかったためメインの「大伝法堂」・「大塔」・「大師堂」のみのエリアに絞り参拝して廻り、「覚鑁」上人および「羽柴秀吉」軍の紀州攻めにまつわる歴史を学び楽しむことができました。
機会があれば、今回立ち寄ることのできなかった「大門」・「覚鑁」上人が埋葬されている「奥の院」などのエリアも散策してみたいと思います・・・
- 施設の満足度
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4.5
- 利用した際の同行者:
- その他
- アクセス:
- 3.0
- 最寄り駅となるJR和歌山線・岩出駅からタクシーで10分程度です。
- 人混みの少なさ:
- 4.0
- 平日の午前中に参拝しましたが、参拝する方は他にいませんでした。
- バリアフリー:
- 2.5
- 根來一山の広大な敷地は高低差があります。
- 見ごたえ:
- 4.5
- 広大な境内には、国宝・重要文化財などの建造物が多い歴史のある寺院です。
クチコミ投稿日:2022/04/10
いいね!:3票
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