和歌山市直川にある役行者ゆかりの霊場「墓の谷」の参道の入り口に位置するのが、通称「直川の観音さん」と呼ばれる「本恵寺(ほん...
続きを読むえいじ)」です。山門には立派な仁王さんがいて、参詣者を怖い顔で出迎えてくれます。
この寺は、今から1,300年あまり前の大宝時代に役行者が開いたと言われ、本堂の千手千眼の観音像は役行者自身の作であると伝えられています。また、延暦23年(804年)には当時の桓武天皇が勅使を遣わして読経したとの記録も残されており、格式の高い「勅願寺(天皇が祈願を行う寺)」でもあります。
さらに、墓の谷行者堂でのご祈祷はここの住職が行っていて、墓の谷の社務所のような役割も担っていただいています。
この寺は、もともとは背後にある大福山の中の「弁天の窟」と呼ばれる場所にあり、真言密教の霊場であったそうですが、由良の興国寺の開祖である法燈国師の霊夢に基づいて正安元年(1299年)に現在地へ移されて禅宗となり、江戸時代に入って天和3年(1683年)に新宮城主であった水野源重が日蓮宗に改宗し、現在の「大福山 本恵寺」という名前になったと伝えられています。
寛文元年(1661年)、愛娘の白髪に悩んだ大岡六太夫という紀州藩士が、本尊の観音様に祈願をしたところたちまち黒髪に戻った、という伝承があり、近年まで「直川まつり」の日の参詣者にはこれを記念した「白髪餅」というお餅が配られていたそうです。髪にお悩みの方はここを参詣するのがいいかもしれません。
閉じる
投稿日:2015/09/30