従来あった宝物館の老朽化に伴い、2001年に新しく博物館として建設されたものである。平等院ではテンプルミュージアム(造語)...
続きを読むという概念で位置付けているようだが、鳳翔館の内容が素晴らしいだけに今一つなネーミングなのが惜しい気がする。同館は回遊式庭園の一部に組み込まれ、平等院の景観に配慮する形で建物全体の大半が地下に配置されており、入口は地階、出口は1階となっている。平等院は1052年(平安時代後期)に栄華を極めた藤原氏が現世の極楽浄土を再現した建物であるが、博物館地階入口のプロムナードにも別世界に引き込まれる感じにさせられる。地下の展示室には国宝である梵鐘一口、木造雲中供養菩薩29駆、鳳凰一対、壁画8幅等を始めとした遺産がゆったり展示されており、真近に鑑賞することが出来るのがすばらしい。とくに鳳凰堂中堂の長押上の壁を飾るいろんな楽器を携え、飛雲に乗った雲中供養菩薩にはいかにも平安時代の特色を感じさせられる。地上一階にはレストスペース、レファレンススペース、映像展示が行われている他、ミュージアムショップがあり買い物客でにぎわっていた。拝観順路的にはこの後に鳳凰堂の内部拝観(別途有料)へとつながるわけだが、同館において予め見所を事前に学習していることになる。平等院創建当時の童歌で「極楽いぶかしくば宇治のみ寺をうやまえ(極楽を信じられなくなったらこの寺を拝むといい)」と歌われたそうだが平安時代の人々の極楽というものの考え方の片鱗に触れられたひと時だった。
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投稿日:2014/11/11