2017/02/01 - 2017/02/02
1903位(同エリア5411件中)
まりも母さん
LCCで行く ちょこっと奈良旅行 レトロを探して1日目
http://4travel.jp/travelogue/11217376
続きです。
成田から春秋航空利用で奈良までやってきて、奈良市内を散策・レトロな建物を見て、興福寺も見学。
そして 今回の旅行の最大の目的は「奈良ホテルに泊まる」です。
クラシックホテルに泊まって 建物を 中からもじっくり楽しむのです。
この旅行記は、奈良ホテル1泊の詳細をまとめたものにします。
- 旅行の満足度
- 4.5
- ホテル
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- JRローカル 私鉄 徒歩
PR
-
興福寺を出て 奈良公園の脇を抜け 徒歩で 終に あこがれの“奈良ホテル”にやって来ました。
奈良公園側の表門からゆるい坂道をあがると 建物エントランスが見えてきます。 -
奈良ホテル 明治42年(1909)辰野金吾・片岡安 設計
国賓や皇族が宿泊する 西の迎賓館としてで建てられました
建設費用は35万円(鹿鳴館の倍の額)
「建物新築に際しては、古建築との調和を保持すべし」との県議会決議に従い
和洋折衷様式の意匠で辰野片岡設計事務所が設計しました。
屋根の上には 寺院の屋根に見られる鴟尾(しび)を置き、寺社の多い奈良の景観に合わせた、外観となっています。
辰野金吾にしては珍しい 和のイメージが強い建物です。 -
エントランスの車寄せ部分の天井は、格天井。
入り口前には、ドアマンに当たる方が待機していて 予約してある旨を告げると
荷物を持って中へ案内してくれます。
ついでに 入り口前での写真を頼むと 他のお客様がいらっしゃらないうちに とベストポジションから縦・横、と何枚も撮ってくれました。 -
ダンナがカウンターでチェックインの間 ロビーを眺めます。
赤い鳥居のある暖炉(現在は使われていません)数々の絵画作品、見どころいっぱいありそうです。 -
ロビーの拭き抜けの格天井がいいですねぇ。
2階の回廊の手すりも 寺院っぽい意匠です。 -
そして、ロビー正面から2階へ続く大階段。
ここは、奈良ホテル一番のビューポイントです。
同じクラシックホテルの“箱根宮ノ下 富士屋ホテル”と どうしても比べて見てしまいます。
富士屋ホテルが、彫刻いっぱいの内装だったのに対すると 奈良ホテルはそういった装飾はほとんど無く よりシックな雰囲気です。 -
チェックインを済ませてお部屋に案内してもらいます。
今回 なるべく古いお部屋で、しかも改装の手が入っていない部屋 が 希望なので
絶対本館に泊まるつもりでした。
サイトの画像を調べると 本館デラックスツインのお部屋には 室内の壁などが改装されているものもあるようでした。
一番 創業時の雰囲気が残っていそうなのが 部屋数も多いスタンダードツインでした。
ちょっと狭そうだけど。
広くても 変に新しい新館のツインは絶対嫌だったので スタンダードツインを予約しました。
部屋はかなり狭いです。
迎賓館として作った割りには 小さな部屋が多いなぁと思うのです。
まぁ 出来た当初は 室内にバスルームはなかったので
もうちょっとは広かったでしょう。 -
天井は格天井をデザインした感じになっています。
照明は 創業時からのものではなさそうですが それでも結構古そうでした。 -
暖炉の上には絵が飾ってあります。
額縁が不思議です。細い竹で出来ています。 -
暖炉が残っているお部屋でした。
つまり 本館の中でもあまり改装されずに昔の面影が残っている方のお部屋だという事です。
暖炉は大正3年(1914)京都での大正天皇即位式典にあわせて廃止され
スチーム暖房のセントラルヒーティングに変えられました。
それ以降は マントルピースは単なる「飾り」となっています。
煙突はすでに撤去されていますので ここで火を燃やす事はできません。
上部の木製の部分ですが 引き戸になっていて開きました。
と、言っても奥行きもあまりないので 何かが入れられると言うほどのスペースでもなかったですね。 -
現在 客室の暖房は エアコンもありますが 現役で使われているのがこちらのラジエーター式のスチーム暖房。
金属のラジエーターはレリーフまでついているなかなか美しいものです。
奈良ホテルの宿泊者レビューを読んでいて「オイルヒーターが・・・」と書いている方が居ました。
これ オイルヒーターじゃないんだなぁ。
スチーム暖房知らないんだろう。
多分 若い方なんでしょうね。デロンギのオイルヒーターみたいな形状だから。
私なんて むしろ デロンギのオイルヒーター出た時 アメリカの古いビルのスチーム暖房みたいでかっこいい と思ったのですがね。 -
窓の外には松の木とその向こうには大乗院庭園。
窓は木製の古い上げ下げ窓で ガラスも手吹きガラスが残っています。 -
木枠の古い上げ下げ窓 いいですねぇ。
もちろん開ける事も可能です。
しかし・・・長い年月で 傾いたりもあるのでしょう 隙間が開いています。
この窓だけだったら 隙間風ヒューヒューで寒くて居られませんけど
ちゃんと外側には もう一枚サッシの窓がはめられています。
外から見ると サッシが丸見えではありますが これは仕方ない事で。
まぁ室内側には古い窓がそのまま残されているだけで 良し というものです。 -
入り口脇には小さなバスルーム。本当に狭い浴室です。
創業当時は多分 部屋にバスルームは無かったのです。
ホテルの歴史では、
>昭和31年(1956)各部屋に専用バス設備工事開始、と なっています。
さほど広くない部屋にバスルームをなんとか作ったので こんなに狭いのでしょう。
でも、当時はまだ共同浴場がホテル内には別にあったようです。
>昭和45年(1970)3月 本館共同浴場、共同トイレを改造し客室22室増設。
ともあります。
同年3月には大阪万博が開催され 客室も更に必要になり 共同浴場は無くなってしまいました。 -
まだ外は明るいので 荷物を置き ホテル内をちょっと探索しつつ“ならまち”へ出かけてみようと思います。
廊下は すべて 赤い絨毯敷き。
部屋の狭さに比べると、幅も広くゆったりしています。
部屋に案内してくれた女性に「廊下はかなり広いのですね?」と言った所
「迎賓館として建てられているからだと思います」との答えでした。
通常のホテルの客室の廊下より ずっと広いのは
廊下部分は パブリックスペースで、たくさんの人が利用する場 という意識なのかもしれません。 -
廊下のあちこちに消火器が設置されています。
ガラス戸の中に消火器。
上にはつるはしが置かれています。
このつるはしは?
客室は普通 お客様が居ても居なくても鍵が掛けられているでしょうから
緊急時は ドアを壊せるように と置いてあるのでしょうかね?
そういえば アメリカの古いホテルとかで 廊下に斧が置いてあるのを見たことがあるように思います。 -
廊下の窓から見えるのは若草山。
数日前の1月28日に山焼きが行われたばかりなので
山は草のこげた黒い状態。 -
玄関ロビーの大階段の他に 客室廊下には いくつか階段があります。
大階段ほどの幅はありませんが
同じような擬宝珠のある 木製の手すりがある階段です。 -
2階の窓から“荒池”方面を見ます。
赤い手すりとテーブル&チェアがあるのは ティーラウンジのテラス部分。
寒いから誰も座っていませんね。 -
大階段の上 2階の回廊部分です。
拭き抜けの天井からは 寺社の釣燈籠をイメージした和風のシャンデリア。
見ごたえのある空間です。 -
階段を上がった 2階の“荒池”側にはソファーが置かれています。
古い造りの家具は 屏風のような柄の入った部分と織柄の生地で出来ていて
特別あつらえらしい 雅な雰囲気のものでした。 -
広い 大階段を登り降りして 外出やダイニングルームへ。
本館宿泊で味わえる いにしえの時を感じるすばらしい瞬間ですよ。 -
“ならまち”へ向かうのに 外に出てホテルの建物を眺めます。
鴟尾(しび)の乗った屋根は 奈良っぽいと思います。
鴟尾は 日本では 飛鳥時代から作られていたようです。
奈良・平安時代に多く用いられ その後、鯱(しゃちほこ)に変化していきますから
古い時代の建物が多い 奈良には「鴟尾」だなぁ~と思うのです。
近年 この屋根の上の鴟尾は 新しく造りなおされたものと交換されています。
創建当時からの鴟尾は 新館入り口や正面玄関前の屋外に数点飾られています。 -
ホテル南側の“旧大乗院庭園”側の階段を下りるとこんなものが。
ダンナが 「ほら~お母さんの好きなやつがあるよ~」と。
はいはい、こういうの すぐ釣られます。
水路のあるトンネルですね。
入り口は煉瓦積み。
ネット検索してみると 隧道ヲタの方とかいらっしゃいますからね 判りましたよ。
“荒池余水吐”(奈良ホテル煉瓦橋)と言うものだそう。
余水吐(よすいばき)って何?と更に調べると 余分な水を放流する為の設備の事らしいです。
グーグルマップで見て 荒池から放出された水はどこに流れるのかな?と思いましたが
どうも、このように 見えているのは一部分だけで この先は暗渠となっている為
はっきり水の行く先はわかりませんでしたね。
ちなみに この“奈良ホテル煉瓦橋”は
明治42年(1909)頃作られたものらしく
ホテル開業と同じ頃なので ホテルの建設工事の時に共に作られた荒池の放水設備なのでしょうね。 -
ホテル敷地内にはチャペル。
これは“聖ラファエル教会”平成9年(1997)
ウエディング用に作られたチャペルです。
チャペルの先にはホテル裏門。
ここから出て この後“ならまち”の町歩きを少し楽しみました。(その様子は、前の旅行記 内に)
LCCで行く ちょこっと奈良旅行 レトロを探して1日目
http://4travel.jp/travelogue/11217376 -
すっかりあたりも暗くなった頃 ホテルへ戻って来ました。
玄関へ続く 道の外灯も行灯のような和テイストの照明。 -
夕暮れの奈良ホテル外観。
奈良に前回来たのは学生時代。
その時 奈良ホテルの建物を見て「かっこいいなぁ~今度は ここに泊まりに来よう」と思いました。
それから何十年・・・でも それ以来 奈良には来ていないので「今度は」と言うのはちゃんと果たした訳です。
クラシックホテルが大好きで 旅行記に記した場所でも
横浜ニューグランド、宮ノ下富士屋ホテル、軽井沢万平ホテルと記載済みです。
日光金谷ホテルは 旅行記を書くようになってから行っていないのですが 回数的には一番泊まった事が多いホテル。
今回の奈良ホテルで 有名所は制覇できて うれしいです。
「クラシックホテルの仲間たち」というくくりでは、あと東京駅の東京ステーションホテルがありますが 改装後 めちゃ高級になってしまいましたね。
しかも 外観は戻ったのに 客室は妙にきれい過ぎて 古い面影が あまり無いってのも私的にはおもろない~~。 -
バー「ザ・バー」の入り口
バータイムは18時~で それまでは ティーラウンジとして使われているようです。
ダンナと食後に来ようね と話したのですが・・・。 -
一旦部屋に戻って 一応着替えます。
ダイニングでフレンチの夕食なのでね。
観光地のホテルだからドレスコードはありませんが 大人のマナーとしてね。
(前に、日光金谷ホテルで、リゾートホテルだから、ドレスコードは無いけど 子供のピコピコサンダルには参ったと言う話を裏話で聞きましたよ)
部屋に戻りつつ 館内に沢山飾られている絵画も鑑賞していきます。
池田寒山 「片岡山の飢人に施衣」
日本書紀にある聖徳太子の飢人伝説を描いたもの。
ホテルには「美術品&調度品めぐり」のパンフレットがあります。(翌日 館内ツアーの際に頂きました) -
ダイニングルームの入り口。雪洞型のランプも素敵です。
-
ダイニングルーム入り口右には、「菊の間」
ウエディングの貸切りや宴会に使ったりするお部屋だそう。
入り口ドアの上のガラスも 菊の花の模様ガラスでした。 -
夕食は6時半に予約して メインダイニング「三笠」で。
この日は 宿泊客の少ない日だったようで
食事のお客は全員ダイニングルームの脇にあるテラス席の方に案内されていました。
その方が 四方をお客さんに囲まれないし
厨房からも離れていて 静かだと思います。 -
席に案内されてから 広いダイニングルームの方を。
こちらのテーブルは 今日は使われていませんでしたが テーブルセッティングはちゃんとされていました(宿泊客でなくてもレストランとして使う事もできます)
高い格天井やシャンデリアもやはり和テイスト。
左の角にはスタインウェイのグランドピアノ。 -
今日は、まず、白ワインで。
(飲みかけではないです。注がれたばかり。量もお上品です)
ワインは グラスで1400円~サービス料と消費税もかかるので、1杯1700円弱~って事です。
あ、ビールもありますね。ビールだと1000円位からかな。 -
最初は、「オマール海老と帆立貝柱のサラダ仕立て」
リースみたいに 野菜とシーフードが丸く並べてあります。
お皿は真っ白なもので、これは全ての料理がそうでした。 -
スープは「本日のスープ」って事で コンソメとチャウダーから選びます。
2人ともチャウダーにしましたが、具沢山って感じではなかったかな。
チャウダーってアメリカ料理だからあまり洗練された感じではなく
具がごっそり~な野暮な料理の部類だと思うので フレンチにあわせたチャウダーはお上品でございました。
ダンナは「うちのあさりのチャウダーの方がおいしい」だって。
すごい具沢山で作っちゃうからね。そりゃ~ありがとうよ。 -
今回チョイスしたのは「高円」というコース。
次の魚料理は 「魚のポワレ 海老添え 赤ワインソース」
えーと魚は・・・鰆だったと思う。
魚に赤ワインソースは 初めてかも。おいしかったです。 -
メインは「国産牛フィレ肉のステーキ 鴨フォアグラ添え マデラソース」
四角いのはポテトで、オレンジの円筒形っぽいのはニンジンだったと思う。
お肉やわらかくておいしかった~。
パンも頂いて超お腹いっぱいに・・・。
フレンチって 割と量が少なくて ゆっくり食べるからまぁお腹も膨れる感じであるけど
今日は メインの時点で満腹でしたよ。
と 言うのは 先週 ダンナが風邪引いて熱出して寝込み
見事に私にもうつって 2人ともここ1週間位は 食欲があまり無く消化のよいもの少しづつって感じで 胃が縮まっていたのかも~?
絶好調の体調とか、大人の男性にはやはり少なめかもね。 -
口直しのシャーベット(ソルベ)はライム風味。
-
デザートはケーキとフルーツ。
さっきまで 満腹~とか言いつつ これは別腹で。
デザートと一緒に コーヒーか紅茶・・・ですが
今回は 事前にカフェインレスの飲み物が提供できるか問い合わせしてありました。
回答は、ハーブティー2種類とカフェインレスコーヒーが用意できるという事で。
カフェインを夕方以降にとると 寝られなくなる私は もちろんそちらをお願いしました。
カフェインレスなんてオーダーする人少ないのかな?
「カフェインレスのコーヒーで」と言うと、「あ、問い合わせのお客様?」って感じがちょっとしました。
最近は 技術の進歩で インスタントコーヒー程度の味にはなっています。(そりゃ~もちろん普通のコーヒーの方がおいしいと思う)私的には、充分うれしかったです。
が、やはり満腹の上に甘いものがのっかり もう何も入らない状態に・・・
食後のバーはご勘弁くだせぇ~ と胃袋が言いました・・・。とほほ。 -
ダイニングルームの壁にも美術品が飾られています。
横山大観と川合玉堂の団扇画もあったようです(見てない~)
宿泊外国人のお土産用に製作した団扇の原画だって。 -
2日目の朝です。
朝食もメインダイニング「三笠」で。
昨日と同様、今朝もテラス席へ案内されます。 -
でも 朝は絶対テラス席!
なぜなら 窓から国宝の興福寺五重塔が見えるからです。
古都の景色を眺めながらの優雅な朝食。 -
奈良ホテルの朝食は洋定食と和定食。
和定食は 茶粥も選べます。
奈良の郷土料理で いにしえの時代から親しまれてきた茶粥。
めっちゃ悩みましたよ~。
奈良ホテルの茶粥なんて 泊まらないと食べられませんからね。
(たしか、朝食は宿泊者のみです)
でも・・・クラシックホテルに泊まるなら シェフの作るふわふわオムレツとか食べたいじゃないですか。
で、結局 茶粥は後でお寺で本格的なのを食べられるはずだから と 洋定食にしました。
まずは、ジュースを選び次がシリアル。コーンフレーク、オートミール、グラノーラから選べます。
自宅でも毎日グラノーラは食べているけど、グラノーラで。 -
サラダは、季節のものが。
-
たまご料理は
ダンナはベーコンと目玉焼きを両面焼きで。
パンは、シナモントーストにしていました。 -
私は、フレンチトーストとオムレツにハム。
パンは他にトーストとホットケーキがあり
たまご料理は ゆでたまご、スクランブル、ポーチドエッグ、パセリオムレツも。
卵料理の種類は多いですね。さすがです。 -
粉雪のような砂糖のかかったフレンチトーストにメイプルシロップもたっぷり。
普段はこんな あま~い朝食は食べませんから今日は特別です。
ゆっくり、味わっておいしく頂きました。
やっぱ 私は 洋風のメニューでよかったなぁ。 -
またもや 寄り道しながら部屋へ戻ります。
2階拭き抜け上にあるスチームラジエーターは色がゴールド。
レリーフの美しさも際立つ感じです。
暖房は 客室には エアコンも併用されていますが 廊下やロビーはスチーム暖房だけです。
午前1時~5時はボイラーを休止して点検を行い 朝6時に運転が再開される時
カンカンという大きな音が鳴るのは特性であり どうしようもないそうです。
寒い朝 気温が低いと より 大きな音がしてしまうそうです。
たしかに 寝ていたら起きてしまう位の大きな音で結構驚きます。
ハンマーで鉄パイプを叩いているのかと思った程です。
それでも 私は、クラシックなスチーム暖房のラジエーターはインテリアの一部だとも思うのでそんな「騒音」もかわいく感じます。
ホテルでは 防火の観点からも永続使用の所存との事で 耐震工事や改装が行われても このスチーム暖房は残されると思います。 -
客室のドアにつけられた避難経路図。
これを見ると、本館2階客室部分の配置がどうなっているのか判ります。
特に部屋の配置図とかって サイトに公開されていないし グルグル歩いても どうなっているのか判らない時もあるので
これが一番判り易い図かも。
小さな部屋が多いですよね。
建物も古いので 夜遅い時間に隣と前の部屋に中国人らしい宿泊客が戻ってきて
子供の声とか結構良く聞こえました。
外国人の方は ダイニングルームでは見かけなかったのは 食事代が高いからでしょうね。 -
9時半から ロビーに集合して館内ツアーが行われます。
時間の少し前にロビーに行き 担当の方が来るのを待ちます。
それまで あたりを自主的に見学。
まだ、誰も使っていないティーラウンジ。
パブリックスペースのロビーに続いてあります。 -
ガラス窓の外 軒下にもテラス席があります。
冬で 外の席を使う人も少ないでしょうが ちゃんとテーブルひとつひとつにお花も飾られていました。 -
昨日 チェックインした時は大勢のお客さんがくつろいでいたロビー。
今は 誰も居なくて写真も撮り放題。
やっぱり 空いている時はいいですね。 -
このお部屋の照明は 丸いグローブのランプでした。
和風の意匠ですが 灯りの上には金色の鷹らしい飾りがついています。 -
ここにも かつて使われていた暖炉が残っています。
部屋にあった暖炉と同じような上に和風のキャビネットのついたものでした。
こちらは 火は入らないものの薪がディスプレイされていました。 -
ホテルの方が来てツアー開始。
ホテルの歴史から案内が始まりました。
今日は 私たちの他 もう1組のご夫婦の4人だけのツアー。
およそ30分 館内を案内して下さいます。
ロビーの大きなホールクロックは 古いものではなく平成2年(1990)今の天皇陛下の即位の年に設置された「平成の大時計」
15分ごとに音が鳴ります。
即位の儀式の為に滞在された両陛下が 楽しんでいられた音色だそうです。 -
ロビー「桜の間」には アップライトピアノがあります。
これは 大正11年(1922)アインシュタイン博士が滞在された際に弾いた事があるピアノだそうです。
GHQに接収された頃 行方不明になってしまったものが2009年に発見され ホテルに里帰りしたそうです。
普段は触る事はできません。たまに演奏会が行われ そんなときは ロビーもバーとなり
カクテルを飲みながら このクラシックなピアノの音色を聞く事ができるそうです。 -
見つかったピアノは 残っていた写真の画像と合致する事や この彫刻が決め手になったそうです。
当時 奈良ホテルは 鉄道省直営で このピアノは特注品だったという事で
脇の彫刻には 鉄道省のマークでもある 動輪がデザインされているという事です。 -
そして 今は奈良ホテルの象徴的な品のひとつである 焼き物の擬宝珠。
奈良の伝統工芸 赤肌焼製で 大塩正人窯製作の品です。
建設当初は 真鍮製の擬宝珠がついていましたが 戦時中の金属供出に出されてしまい
代用品として作られた陶器製なのです。
昭和19年(1944)製 -
フロントカウンター正面にある暖炉。
上に鳥居が組み合わさったとてもユニークなマントルピース。
和洋折衷の奈良ホテルを象徴する辰野金吾の設計思想が凝縮されている と言われるものです。
今は 見た目上 薪が燃えているような なんちゃって火の変わりライト付きの偽木が入っています。(一見、あれ?ここだけは薪を燃やしているのかな?と思っちゃいます)
そして、左上には、観光日本の宣伝ポスターとして使われた、上松松園の「花嫁」の絵が。 -
これは フロントカウンターの奥です。
古めかしい金庫は 鍵のみで ダイヤルの無いもの。
鍵を紛失したらもう絶対開かない と ホテルの人が言ってましたよ。
上にかかっている時計は 鉄道の時計だそう。鉄道省直営だった時代を偲ばせる品。現役なのも良いですね。 -
フロントカウンター内に下がっている2つの照明器具も釣灯篭のようなデザイン。
しかも 良く見ると 大仏、奈良の風景などがスカシ柄で入っているのでした。
こんな所まで凝っています。 -
ダイニングルーム入り口左側にある大倉陶園製の食器は
昭和10年(1935)溥儀皇帝来館の際に新調したものだそう。 -
テラスのような縁側には赤い欄干。
これは 建築当初は赤ではなかったそうです。
建物も白い壁に柱の木部が見える真壁であり ごく普通の日本建築の壁ですが
接収時代 木部が見える壁はアメリカ人には 未完成の汚れたイメージであったらしく
木も壁も全部ペンキで真っ白に塗られそうになったと 話して下さいました。
そういえば ハーフティンバーという様式は アメリカにはあまり無いですし(もっと時代の古い北ヨーロッパに多いスタイルですから)田舎っぽく野暮とか思われたのでしょうかね?
これは 日本建築の特徴的なものであるとしつこく説明し 欄干は赤に塗る事で なんとかペンキべた塗りされるのは勘弁してもらったそうですよ。 -
新館に来ました。
大阪万博に向けて 大規模な拡張を計画したものの 古都保存法の区域内にあったことから新館建設計画は一旦中止となり
この建物が出来たのは昭和59年(1983)でした。
平成27年(2015)には更に新館の改装も行われ
新しい宴会場や日本料理店も5階に移転し こちらの部分は大型ホテルの宴会場、と言った雰囲気で本館とは全くイメージも異なります。 -
新館のロビーに飾られた賓客用の食器やグラス。
とても薄いガラスに植物柄の彫られたグラスは あまりの薄さにホテルの人も触るのに緊張するそうです。 -
奈良ホテルでかつて 鉄道員直営時代に使われていたカトラリー類。
他に ジョサイア・コンドル設計の長崎ホテル(1898~1908)で使われていたカトラリーが奈良ホテルで継承されて居た事が 平成25年(2013)に判ったと それらも展示されていました。
そのカトラリーがディナーで使える宿泊プランもあります。
長崎ホテルも奈良ホテルもイニシアルはNです。
(長崎ホテルから譲られたピッチャーはNの文字入りでしたが そんな事とは知らずに長年使われていたそうです)
長崎ホテルの閉館翌年が奈良ホテルの開業です。
洋式ホテルのよしみで「使って下さい」とかだったのでしょうか?? -
チェックアウトを済ませ 荷物は少ないけど預かってもらい 奈良の町歩きに出かけます。
自分達の泊まった部屋はあそこかな?と外から眺めます。 -
奈良ホテルは本館の耐震工事の為 3月から一部客室をクローズして順次工事を進めていくそうです。
工事完了までは2年半の予定。
当初は本館の客室全てをクローズして・・・という計画であったそうですが
分割工事になった為 全く泊まれない と言うことはないそうです。
工事中の特別プラン(多分やや割安)もあるみたいです。
私は この工事の前に泊まりに来たかった と いうのもありましたね。
本館の外観はさほど変わる事は無いでしょうが、
館内ツアーの時、「部屋を少し広くするなど」の予定もあるような事を聞いたので、
今回泊まったような最も多い、小さなツインルームは2部屋を合体させて1ルームなんて改装もあるかもしれませんね。
どちらにしろ、なにかしら手が加わる訳で・・・。
創業当時の面影の色濃く残る小さいながら、良い雰囲気の客室がなるべく変わらず残される事を願います。 -
旧大乗院庭園を見ながら歩きます。
-
最後に荒池の脇を通りつつ 振り返って高台にある奈良ホテルの姿を眺めます。
この後は 奈良市内のレトロ建築を見る町歩きです。
この続きは
LCCで行く ちょこっと奈良旅行 レトロを探して2日目午前
へ続きます。
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