下野・古河・下館の遺跡とお祭りハシゴ旅(一日目前半)~下野市は立派に整備された国分寺跡・薬師寺跡と大小の古墳群が狭い範囲に集中して残る稀有な街。グリムの里の石橋地区も新しい顔として売り出し中です~
2016/12/03 - 2016/12/03
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たびたびさん
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今回の二日間の旅は、古河提灯竿もみまつりと筑西市新治の小栗判官まつりが目的なんですが、その間を縫って、例によって近場の街歩きをします。
一日目の古河提灯竿もみまつりは夜だし、そういう意味では余裕がある。基本、一日を使って、下野国の中心部を回ってみることにしました。関東というか、関八州は、総じていうと、江戸時代は将軍のおひざ元として区別のない扱いを受けていました。大宝律令から続く国の枠組から離れて、小大名や旗本に領地が細かく分割されて、それも国替えが頻繁に行われる。ですから、これでは国という意識が薄れるのは当然のことでしょう。下野国の栃木県も同じで、一番大きかったのは宇都宮藩だと思いますが、幕末の戸田家でも7万7000石にしか過ぎません。
関東の人同士が群馬県はどうとか、千葉県はどうとか言い合って盛り上がったりしますが、私の理解では県民性が醸成されたのは、だいたいが江戸時代の幕藩体制の中。お互いに行き来がなくて、共同して幕府にたてついたりしないように仕向けられていたからなんですね。関東ではそのようなことは必要ないので、地方ではっきりしているような県民性の土壌は育たなかったわけです。
ちょっと前置きが長くなりましたが、下野国のことです。ですから、下野国の中心がどこといってもあんまり知られてはいない。今回も、その場所を調べるのに少し手間がかかってしまいました。東北本線の駅で言うと小金井駅とか自治医大駅の周辺。辺りは広域合併して下野市となっていますが、これがまた漠とした名前ですよね。しかし、中身で言うと下野国分寺や下野薬師寺の大寺の跡は想像をはるかに超えて立派に整備されいるし、古墳群も多い。古代に興味がある人にとってはパラダイスのようなエリアでした。またまた新発見の多い旅。今回もテンションが上がりまくるたびたびです。
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自治医大駅に到着して、ここからはレンタサイクルで出発です。
今日は青空が広がる快晴。最高の天気になりました。 -
西へと向かって、まずは蔓巻公園を目指します。
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川沿いの土手の道を進むと
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左手には蔓巻公園の美しい雑木林が続いていて、それが見どころかと思ったら、
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その先にあるのはゴルフ場のようにきれいに刈り込まれた芝生の広場。
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イチオシ
その端に展望所もありまして。
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はるかに遠くの山々が望めるし、なかなかのロケーション。
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とてもよく整備された公園でした。これは幸先がいいようです。
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そこから、今度は下野国分寺の方面に向かったのですが、その途中に国分寺という寺。もうしかしてこれも下野国分寺と関係しているんでしょうか。
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そういう例もよくあるので、ちょっと入ってみると、それらしいお堂に
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こっちはずんぐりした石のお墓。結局関係しているのか、いないのか。よく分かりませんでしたが、気になるお寺ではありました。
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で、この辺りは、古墳がとっても多いんですね。これから向かう下野国分寺への途中にもポツポツあるので、それもできるだけ回ってみます。
畠の向こうに何となく見えてきたのは、山王塚でしょう。何の標識も建っていないし、分かりにくいかもしれませんが、こうして遠くから見るとこんもり盛った土に林のように木が生えていてまあまあそれと分かります。 -
全長72mの前方後円墳ですが、近くでみてもそんな感じはしない。形はかなり崩れていると思います。
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イチオシ
続いては丸塚古墳。山王塚古墳の裏手です。
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山王塚古墳には標識も何もなかったので、ここも期待していませんでしたが、ここは詳しい説明板があるし、周囲も比較的きれいに整備されています。二段の円墳で直径58m。
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見上げると紅葉が見事。
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石室の入口も見えて、古墳の雰囲気がしっかり感じられます。
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周辺の古墳群の地図もここで確認できました。でも、目印がないので、実際は難しいんですけどね。
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また少し移動して、愛宕塚古墳は、全長約78mの前方後円墳。国道沿いに愛宕神社の鳥居があって、そこを入った奥になります。
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愛宕神社はこの古墳を後背地のようにして建てられたものですね。
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神社の後ろから
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古墳の上に登ると円墳部分から方墳部分が二段になっているのが分かります。神社を建てるのに古墳を少し削ったのではないかと思いますが、なんとか無事でよかったです。
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さらに進んで、これはふれあいショップ国分。
地元の農家が持ち寄った農産物を販売する施設です。お客さんがけっこうやってきて賑わっていますよ。でかい白菜が目立っていましたが、いちごやイモ類豆など、種類も豊富。 -
私は小豆を買いまして、自宅でぜんざいを作ることにしました。
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イチオシ
そして、これが下野国分寺跡。
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広い平地を進むと、南門から金堂など一直線の配置を示す構造がとても分かりやすい。
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全体の発掘調査が完了したからだと思いますが、
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埋め戻す部分は埋め戻して、公園のようにきれいに整備されていますね。
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簡単な位置図もありましたが、下野国府跡は川向こうになります。今だと栃木市になるんですよね。今日はそこまでは行きませんが。
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ここは国分寺の中心だった金堂。四角い礎石は珍しいような気もしますが、堂々たる基礎構造。
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奈良の大仏殿を想起させるような建物ですね。
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一方で、荒々しい礎石がむき出しになっている場所はこの塔跡の周辺とか限られているので、古代の迫力と言う意味では少し物足りなさもなくはないかもしれません。
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これも涼しげな林の中にきれいに整備されている。いずれにしても、ここまで整備が行き届いた国分寺跡はなかなかないように思います。知りませんでしたが、栃木県、素晴らしいじゃないですか。
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ほど近くにある天平の丘公園の入口に建つのは民俗資料館夜明け前。
駐車場から少し上ったところです。 -
大きな民家を移築して保存した建物ですが、入口の土間には昔の農作業の道具や農家の生活道具などが並べてありました。
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ただ、それも建物の一部と言うべき。見どころはあくまで巨大な家屋そのものだと思います。
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この天平の丘公園は、下野国分寺や古墳群の集まるエリアに整備された広大な公園。
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これだけ広いとなかなか管理の手が回らないのではないかと思いましたが、遊歩道や庭園木などは手入れがよく行き届いていて荒れた感じが全くない。さっきの国分寺跡の管理もすごかったですが、こっちもちゃんとしてますねえ。感心、感心。桜の季節もここならお花見にはちょうどよさそうでした。
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また少し移動して、これは下野市立しもつけ風土記の丘資料館。
聞くと、元々は県の施設だったようですね。 -
その分、展示されている古墳の発掘品などはかなりのレベル。
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埴輪も単純な円筒形のものだけでなくて、
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イチオシ
人物や
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馬もあるし、それも立派で目を見張るくらい大きなもの。なお、薬師寺の瓦とかもありましたが、それは薬師寺歴史館の方がいいと思います。
ただ、ちょっと思ったのは、この一帯は古墳群とその後の国分寺、国分尼寺が同じ場所にあるということ。古墳と国分寺は直接の関係はないし、偶然、同じエリアになっただけだと思いますが、見る側にとっては、とっても便利。このエリアは、けっこう珍しいし、貴重な場所となっているのではないかと思います。 -
下野国分尼寺跡も同じエリア。四角い公園のような敷地が下野国分尼寺跡でした。
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イチオシ
国分寺跡を見てから来ると規模が二回り以上小さいので少し寂しく感じてしまうかもしれませんが、傍らに薄墨桜が植えられたりして、それなりに眺めはいいと思います。
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ここから、再び古墳群です。
琵琶塚古墳は、国の史跡に指定された前方後円墳。古墳時代後期の6世紀初頭に造られたもので、全長125m。 -
イチオシ
次に回る摩利支天塚古墳とほぼ並んだ位置にあります。形はなだらかなひょうたんのよう。保存の立場からすると本当はあり得ないんでしょうが、そのひょうたんに植えられた人口林が立派に育って、けっこう美しい眺めとなっています。際まで畑が迫っている分、古墳の境目もよく分かります。
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こちらは摩利支天塚古墳。確かに、さっきの琵琶塚古墳とセットになったような位置にあって、ともに国の史跡となっています。こちらの全長117mは少し琵琶塚古墳より小さいですが、造られたのは古墳時代中期の5世紀末とこちらの方が少し先になります。
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ここが正面でしょうか。
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なんと、こちらの方には古墳の上に神社が建てられていて、
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参道が思い切り古墳を縦断しています。
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かなり景観を損ねているのが残念といえば残念ですが、致命的なことにはなっていないので、良しとするしかないでしょう。
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最後は飯塚35号墳というのですが、これも飯塚古墳群の一つ。ほかにもこのクラスの古墳はたくさんあったようですが、それぞれが小さな古墳だったのでほとんど掘り返されてしまって、残っているこの古墳は貴重なもの。
ただ、ここも説明によれば前方後円墳だったということで、その姿はちょっと想像できないくらい無残な姿となっていて、土が少し盛られているなと言うくらい。ただ、ここの発掘品はしもつけ風土記の丘資料館にも展示されていて、それはとても見事でした。 -
ここで、下野市の国分寺地区は終了。昼飯は麺屋 穂華。自治医大駅周辺だと圧倒的な人気を誇るラーメン屋さんです。
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醤油味のラーメンとこれも評判の餃子をいただきました。極まった味がウリと言うラーメンは確かにそんな感じがしなくはないし、餃子もニンニクとかがきいてボリュームもある。だけど、それ以上ではないような。がんばってはいるんですが、正直言えばローカルの域は出ていないような気はします。
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今度は南河内地区にある下野薬師寺跡に向かいます。
と、途中で見つけたのはブーランジェリー リールというかわいらしいお店。 -
自治医大前駅周辺の市街地からも離れているし、殺風景な場所なのですが、車でやってくるお客さんが絶えない感じ。
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店内は美しいパンが並んだまるで夢の国。
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そういえば、栃木には、那須パンがある。そうした文化を受け継ぐ正統派のお店なのではないかと思います。
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これはチョココロネ。うまいです。
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この下野薬師寺歴史館は、下野薬師寺跡の隣りにある資料館。まずは、ここに寄ってみます。
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ところで、下野薬師寺は天武天皇から持統天皇の時代に創建された寺で、奈良の東大寺、筑紫の観世音寺と並ぶ三戒壇の一つ。単に地方の一寺院という範疇を越えています。後に、比叡山でも戒壇が認められたことで廃れていった経緯や道鏡がここに左遷されたことなども、そうだったけなあとちょっと意表を突かれた感じ。とても興味深く拝見しました。
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発掘資料としては、年代別の瓦の展示がお勧め。
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文様によって年代順に整理されていて、とても美しいです。
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施設によっては、瓦の文様は撮影禁止になったりすることもあるんですが、ここは大丈夫でした。
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また、屋上からは下野薬師寺跡が展望できるので、これもお見逃しなく。向こうに見えているのが下野薬師寺跡です。
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下野薬師寺跡に移動すると、周囲を盛り土と植え込みで囲った広大な土地。ただ、これでも当時の境内の一部のよう。
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回廊跡と
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廻廊建物の一部復元がありましたが、
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イチオシ
これから想像するに、まだまだ大きな規模であったことは明らか。
国分寺かそれ以上の立派な伽藍だったことが十分うかがわれました。
これで、下野市の古代遺跡チェックは終了です。 -
自治医大前駅近くに戻って、ちょっとスイーツチェック。
このスリールは、新しく開発された風の住宅地の中。周囲を緑に覆われた一軒家のきれいな洋菓子屋さんです。 -
品数もそれなりに多いですが、
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私は例によってシュークリームをいただきました。真っ白なクリームは生クリームを主体にしたタイプですね。あっさりしているだけでなく、深い味わいがかなりいい感じ。プロの技といった感じがビンビン伝わってきました。
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もう一つは、コニファーズ。
一般住宅みたいなお店ですが、クリスマスみたいな飾りつけをしていてそれが目印でしょう。 -
店内は奥にケーキのショーケースが置かれたシンプルな雰囲気。自分の趣味でお店を始めたのかなあと言うような気さくな女将さんが応対してくれました。
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チーズケーキをいただきましたが、家庭的な味わい。余計なことをしていないのがいいと思います。
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自治医大前駅から石橋駅に移動しました。下野市は広域合併した市ですが、それは国分寺町、南河内町と石橋町の三つ。旧国分寺町は下野国分寺跡があったエリアですし、旧南河内町は下野薬師寺跡があったエリア。旧石橋町には目立った遺跡はありませんが、ここはまたちょっと変わっていてグリムの街として売出し中なんです。
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イチオシ
その象徴の一つが、この石橋駅西口のカラクリ時計。
関西で言うところのシュっとした形も美しいですが、白い地にモスグリーンの配色もとても美しい。
で、中央のモニュメントはブレーメンの音楽隊。たぶん、時間になるとこれも動くんでしょうが、止まっていてもそれなりに見応えはあるでしょう。駅から市街に行くのにはこの時計の脇を抜けていくことになるので、それも市民には身近でいい存在になっているのではないかと思います。 -
駅から下野市テーマ館へ。古墳の出土品を見ようかと思って訪ねたのですが、様子がおかしい。あれっと思ったら、ここは「こどもの広場いしばし」という学童保育みたいな施設に変わっていました。今の時代、子育て支援などは社会の優先事項。こうした決断には拍手を送りたいと思います。
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改めて、グリムの森とグリムの館へ。
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今の時期だとここのイルミネーションが目玉なんですが、まだ日が暮れていなかったので、それは見れません。
それでも木々や花壇に隠れるように小さなお城が建っていたり、グリム童話の中に入り込んでしまったような雰囲気はちゃんと感じられる。よくできている森だと思います。 -
噴水も
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チェックして、
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これがグリムの館。
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下野市はドイツのディーツヘルツタールと姉妹都市提携を結んでいて、その関係で、ここがグリム童話のテーマ館となっているのだそうです。
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館内の展示は限られていると言えば限られているのですが、
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ヘンゼルとグレーテルや赤ずきんに、白雪姫など、
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誰でも知っている物語に関する展示なので、
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イチオシ
一つ一つを見ても何か想像が広がっていく。
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意外に楽しめる内容だと思います。
さて、もうこれで時間一杯。そろそろ古河の提灯竿もみまつりが気になります。なんといっても、今日のメインはそっちの方。急いで古河駅の方に向かうことにします。
では、では。。
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この旅行記へのコメント (2)
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- 義臣さん 2017/07/11 10:07:04
- 嬉しい
- 国分寺付近をこれまで丁寧に回られて
この地区のフアンとしても嬉しいことです。
30年ほど前はまるで遺跡がありますが。だけの地域でした
国分尼寺だけ、、それらしい形に、古代瓦も発掘跡らしくちらばていました
薬師寺さんも探しました。あの頃を思うと夢のようです。
春の桜祭りの賑やかな事 施設も充実して、、付近の田舎らしさも変わってきました。
長々とのコメント失礼しました、
義臣
- たびたびさん からの返信 2017/07/12 11:18:59
- RE: 嬉しい
- 自治医大駅から自転車で回りましたが、それなりに離れているし、一般向けの観光地としては限界があるのでしょう。下野市というのも、隣りの小山市に比べると認知度がかなり下がるし、これもマイナス。しかし、栃木県として誇れるスポットであることは、県内でももっと知られていいのではないかと思います。この旅行記もそうしたところに少し貢献できていたとしたら、いいですけどね。
たびたび
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