都府楼跡に行き、大伴旅人や山上憶良が吸ったであろう、同じ空気を胸一杯に吸い込もう！<br /><br />ところで、旅人、憶良は、どのような人であっただろうか？旅人は、自尊心の高い、エリート貴族で、憶良は後ろ盾を持たない、叩き上げの努力の人？育ちの違う二人は仲が悪かったのではないだろうか？二人に共通するのは、老齢で、都を遠く離れた九州が任地だったことと、老齢にも拘らず、1300年歌い継がれる秀歌をその時期に世に出したことだ。<br /><br />時は、728年（神亀5年）、旅人は、大宰帥（だざいのそち）として筑紫に赴任した。60歳を過ぎた旅人にとって、大宰帥（だざいのそち）は名誉ある役職であるものの、その赴任は本意ではなかった。その上、着任して間もなく同行の妻を亡くした。<br /><br />一方、憶良は、726年（神亀3年）筑前守に任ぜられ、既に九州に下向していた。年齢は旅人より上だったという。<br /><br />今回紹介する歌は2首。旅人のこよなく酒を愛する歌、その根底に人生の悲哀を歎く、うめき声が聞かれるが...。そして、もう1首は、茶目っ気たっぷりな憶良の一面を示す、ユーモア溢れる、これもお酒が関係する歌。<br /><br />都府楼跡に行く前に、博多の街を散策した。観光案内所でいただいた地図に”博多・天神の魅力を満喫する　入門コース”が載っていたので、そのコースを参考にさせていただき、JR博多駅から西鉄福岡（天神）駅に向かった。昼食は天神で博多ラーメン。そして、本来の目的地・都府楼跡を目指して、電車に乗った。<br /><br />都府楼散策後は、博多埠頭まで退き帰した。「万葉ロマン」の最後を飾る「志賀島漁民秘話」では、博多埠頭から志賀島に渡ろうと考えているので、博多埠頭を先に見ておきたかったのだ。<br />

万葉ロマン　都府楼 (福岡県)

44いいね！

2016/08/08 - 2016/08/09

107位(同エリア1007件中)

#街歩き

エリア

太宰府(福岡)

旅行の満足度: 4.0

同行者: 一人旅

交通手段: 私鉄徒歩ジェットスター

旅行の手配内容: 個別手配

博多駅　筑紫口

本日のスタートはここから。
博多駅　筑紫口　駅前風景
博多駅　筑紫口と博多口を結ぶ通路
博多駅　観光案内所

筑紫口と博多口を結ぶ通路にある。困ったときは、遠慮なく問い合わせをしよう。丁寧に答えていただける！

昨日、ここで無料の地図をいただき、そこに載っていた”博多・天神の魅力を満喫する　入門コース”を参考にし、本日午前中の計画を立てた。
博多駅　博多口
博多駅　博多口　駅前風景

ここから、博多千年門〜承天寺〜櫛田神社へと歩いていった。
承天寺通り
博多千年門

平成26年3月に完成した、幅・高さともに約8ｍある木造の門。かつてこの地にあった「辻堂口門」がモデルとのこと。
承天寺　仏殿

仁治3年（1242年）に聖一国師が開山した禅寺。うどん、そば、饅頭、博多織、山笠の発祥の地としても有名。
承天寺　境内

承天寺

しばしお庭を拝見する。
承天寺〜櫛田神社への途中
承天寺〜櫛田神社への途中
櫛田神社　鳥居

一礼して、参道に進む。
櫛田神社　参道
櫛田神社

「お櫛田さん」の呼び名で親しまれている博多の総鎮守。「博多祇園山笠」の追い山のスタート地点でもある。
櫛田神社
櫛田神社　拝殿
櫛田神社〜西鉄福岡（天神）駅への途中

博多川端商店街〜水鏡（すいきょう）天満宮〜旧福岡県公会堂貴賓館〜天神中央公園を経て、西鉄福岡（天神）駅に向かいます。

写真は博多川端商店街です。
博多川端商店街

飾りつけがえらい派手ですね。私はこういうのを見るとワクワクする方です。

水鏡天満宮への途中
水鏡天満宮

この神社の名前の由来は、大宰府に左遷された菅原道真（天神様）が自分の姿を川面に映したことから。
水鏡天満宮
水鏡天満宮
旧福岡県公会堂貴賓館

明治43年建設され、現在は国の重要文化財。入館料は、大人240円。
天神中央公園
西鉄福岡（天神）駅

やっと天神駅に着きました！楽しい昼食タイムです。利用させていただいた「まち歩きマップ」に、”元祖赤のれん　節ちゃんラーメン　天神本店”が紹介され、その”節ちゃんラーメン”の言葉の響きが気に入りました。掲載されていた写真のレトロな店構えも私好み！店はこの近くです。

なお、まち歩きマップの「入門コース」の本来のゴールは、大濠公園です。ついては、歩くのを半分で終えてしまったことになりました。
西鉄福岡（天神）駅〜節ちゃんラーメンへの途中
地図を見る

元祖赤のれん　節ちゃんラーメン　天神本店

何人か店の外で順番待ちです！

元祖赤のれん節ちゃんラーメン天神本店グルメ・レストラン
元祖赤のれん　節ちゃんラーメン　天神本店

定食を選び注文しました。ラーメン、ミニチャーハンと餃子3個がついて、なんと750円です。勿論、税込みです！安い！

味は、一口食べて、「美味しい！」。でも、二口目で、「...？」となってしまいました。コクが少し足りないかな？でも、値段と量を考えると、文句なしに合格点をあげられると思う。

元祖赤のれん　節ちゃんラーメン　天神本店

定食に付いているミニチャーハン。
西鉄福岡（天神）駅

お腹もふくれたことだし、さて都府楼跡へ行きますか。

運賃表を見ると、都府楼前駅までは、340円で、各駅停車の電車しか選べないようです。時間はたっぷりとあるので、まあ、ぼちぼち行きましょうか。
西鉄福岡（天神）駅　電車案内板
都府楼前駅
都府楼前駅

駅の近くに地図があったので、場所を再確認。
都府楼前駅〜都府楼跡への途中
都府楼前駅〜都府楼跡への途中
都府楼前駅〜都府楼跡への途中

朱雀大橋。橋の欄干が赤く塗られていたので、何かあると思っていました。この橋を渡ります。
朱雀大橋の近くの案内板
朱雀門礎石

大きさが2.42ｍ x 1.82ｍ、厚さが1.3ｍで重さが約7.5ｔ。大きいというのは理解できるのですが、礎石から逆算して、建物の大きさを想像するのは、素人には無理なのでは？

都府楼跡への途中

正面に都府楼跡が見えてきました。
地図を見る

都府楼跡

「都府楼」の名前の由来は、大宰府を唐名「都督府」というところから、大宰府政庁の建物を「都府楼」というようになったとのこと。都府楼は、奈良・平安時代を通じ、わが国の西の守りを司り、また外国との交渉の窓口だった。当時は朱の柱に瓦が連なる豪壮な建物が建ち並んでいたそうだが、天慶３年(940)に藤原純友の乱で焼失し、今ではそれをしのばせる立派な礎石が残っているだけ。現在は一般に開放され、公園になっている。

大宰府政庁跡名所・史跡
都府楼跡の説明板
都府楼跡

公園を一周します。紹介しようと思っている歌を心の中で歌いながら。
都府楼跡
都府楼跡

巻3-338　（大伴旅人）

験（しるし）なき
ものを思はずは
一杯（ひとつき）の
濁れる酒を
飲むべくあるらし
都府楼跡

大伴旅人の歌は1首だけと考えていたが、下記の歌も味わっていただきたい。

巻5-793

世間（よのなか）は
空（むな）しきものと
知る時し
いよよますます
悲しかりけり

妻を亡くした時に詠った歌だが、ぼっかりと空いた心の空洞から呻き声が聞こえてくるようだ。

酒の歌にも深い悲しみが見え隠れしている。人の世は無常である。
都府楼跡
都府楼跡
都府楼跡

巻3-337　（山上憶良）

憶良らは
今は罷（まか）らむ
子泣くらむ
それその母も
吾（わ）を待つらむそ

人を食った歌である。宴会から退出する時、「子供が待っているんです。それにほら、妻も待っているんですよ」と言ったら、皆唖然とするだろう。

でも、こういう歌を詠える人は素敵だと思いませんか？ユーモアは心を和ませてくれます。

都府楼跡
都府楼跡

1首増えるのも、2首増えるのも同じでしょう。もう1首紹介します。

最初に大伴旅人と山上憶良は仲が悪かったのでは？と書きましたが、それには理由があって、恐らく下記の歌は憶良に向けられた歌ではないか、と考えているからです。

巻3-345　（大伴旅人）

あな醜(みにく)
賢（さか）しらをすと
酒飲まぬ人を
よく見ば
猿にかも似む

頭でっかちで、酒を飲まない人は醜い！よく見ると、その顔は猿に似ているではないか！

歌としては、どちらかというと下品。ただし、歌のリズムは侮ることはできません。並々ならぬ習練の賜物です。
都府楼跡
大宰府展示館

月曜日が休館日で、残念ですが、中に入れませんでした。
旧福岡県公会堂貴賓館付近

天神に戻って来ました。博多埠頭を目指します。
天神〜博多埠頭への途中

この土居通りを北上すれば、博多埠頭に出るはずです。
天神〜博多埠頭への途中
天神〜博多埠頭への途中

博多ポートタワーの姿が見えました。このタワーの前が博多埠頭です。
博多埠頭の案内板
志賀島への乗船口

博多埠頭

停船している船が志賀島へ行くのかどうか分かりませんが、大きさは同じようなものでしょう、と参考に写真を撮りました。
博多埠頭待合室
博多埠頭待合室

正面が切符売り場です。
博多ふ頭第一ターミナル

博多埠頭を確認したことだし、バスに乗ってホテルに帰ることにします。

ところで、万葉集ゆかりの地を巡り、その地で生まれた万葉歌を紹介するのに、当初は2〜3年で十分と考えていましたが、今回の「万葉ロマン　都府楼」で道半ばといったところです。それを考えると、最低でもあと2年は必要。つまり、スタートから4年です...。

乗りかかった舟です。頑張なきゃ！

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#街歩き

この旅行記へのコメント（6）

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pacorinさん 2022/03/23 19:40:49

世の中は空しきものと知る時し・・・

k.s.さん、こんばんは

先日はフォローいただきありがとうございました。万葉ロマンシリーズにお邪魔しています。旅人の歌は妻を亡くした喪失感をうたったものだそうですが、なんだか今の世の中の出来事に対しても通じるような、共感できる気持ちだなぁと思いました。

高尚な万葉ロマンに対し、南京のスワンボート事件はお恥ずかしい出来事でした(ﾉ)･ω･(ヾ)　だけど、今となっては平和な出来事だったなぁと思います。

pacorin

k.sさんからの返信 2022/03/23 22:24:34

RE: 世の中は空しきものと知る時し・・・

pacorinさん、こんばんは。

万葉ロマンは高尚ではありません。昔の「田植え歌」と同じだと思っています。土の匂いがし、人々が声に出して謡い、語り継がれた歌です。

私と万葉集を結び付けたのが、犬養孝氏の「万葉の人びと」テープ10本です。60歳になり、
万葉集にはまりました。活字を見たいという欲望を抑え、１年間１日も欠かさず、テープ10本を繰り返し聞きました。

犬養孝氏は抑揚をつけ、万葉歌を”謡ってくれました。まさに至福の時でした。

ところで、南京のスワンボート事件は、主役がpacorinさんだから様になるのです。マイナス・イメージはありませんよ。安心して下さい。

k.sより

> k.s.さん、こんばんは
>
> 先日はフォローいただきありがとうございました。万葉ロマンシリーズにお邪魔しています。旅人の歌は妻を亡くした喪失感をうたったものだそうですが、なんだか今の世の中の出来事に対しても通じるような、共感できる気持ちだなぁと思いました。
>
> 高尚な万葉ロマンに対し、南京のスワンボート事件はお恥ずかしい出来事でした(ﾉ)･ω･(ヾ)　だけど、今となっては平和な出来事だったなぁと思います。
>
> pacorin

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ろこままさん 2016/11/03 22:48:44

お久しぶりです

k.sさん、お久しぶりです。
お元気にお過ごしでしょうか。

九州旅行を拝見させていただきました。

夫の実家が熊本で、北九州は青春時代を過ごした地です。
わたしも地震以来、熊本へお手伝いに通い、秋からやっと遊べるようなりました。

４０年ぶりのお友達との再会は、素敵な時間となったでしょうね。
女性の場合は。。。「わぁ〜、変わらないね〜」が常套句ですが。。。
実際は。。。変わってるんですけどね。。。しかも。。。かなり。。。ふふふ。。。

でも、同級生って、一瞬で時間が戻っちゃって、ブランクを飛び越しちゃうんですよね。
大阪での再会も楽しみですね。

万葉集も、ウイットに富んだものや皮肉っぽいものもあるんですね。
k.sさんの解説付きで、わたしにもわかり、面白く拝読させていただきました。

乗りかかった船。。。達成できますように。。。

。。ろこまま。。

k.sさんからの返信 2016/11/04 23:28:48

RE: お久しぶりです

ろこままさんへ

お久し振りです。

マレー鉄道に乗らないと落ち着かないので、年末年始をマレーシアで過ごすことにし、今計画を練っているところです。旅行の計画を立てることも一つの楽しみで、インターネットで口コミを見て、気に入ったレストランをエクセルの表に入れていく作業を楽しみながらしています。

家内も誘ったのですが、「東南アジア？！、一人で行ってらっしゃい」と興味をまったく示しません。それならば、私好みの旅行にしてみせる、と飛行機、ホテルをとりあえず押さえました。13日間の旅行！美味しいものも食べたいな、と呟いてみると、家内から、「お小遣いをあげる」とカンパをせしめました。13日間の内、6泊が美食の街として売り出しているイポーです。1月中旬には旅行記を投稿しますので、遊びに来て下さい。

食べもののことを書いたので、先程拝読させていただいた、ろこままさんの北海道の旅行記の印象も書いておきます。いつもながらの風景写真の上手さは相変わらずですが、その食欲に大食漢の私もタジタジになりました！ちと食べ過ぎだな、と思いましたが、元気な証拠です。美味しいものを一杯食べて、その味を記憶に残してください。その楽しい思い出の蓄積が人生を豊かにしてくれます。

最後に、私の「万葉ロマン」ですが、何とか折り返し点を無事通過したので、あと何年掛るか分かりませんが、最後まで完走できそうです。焦らず、気長に、そして丁寧に仕上げるつもりです。

急に寒くなりました。風邪など引かないよう体に気をつけて下さい。

k.sより

> k.sさん、お久しぶりです。
> お元気にお過ごしでしょうか。
>
> 九州旅行を拝見させていただきました。
>
> 夫の実家が熊本で、北九州は青春時代を過ごした地です。
> わたしも地震以来、熊本へお手伝いに通い、秋からやっと遊べるようなりました。
>
> ４０年ぶりのお友達との再会は、素敵な時間となったでしょうね。
> 女性の場合は。。。「わぁ〜、変わらないね〜」が常套句ですが。。。
> 実際は。。。変わってるんですけどね。。。しかも。。。かなり。。。ふふふ。。。
>
> でも、同級生って、一瞬で時間が戻っちゃって、ブランクを飛び越しちゃうんですよね。
> 大阪での再会も楽しみですね。
>
> 万葉集も、ウイットに富んだものや皮肉っぽいものもあるんですね。
> k.sさんの解説付きで、わたしにもわかり、面白く拝読させていただきました。
>
> 乗りかかった船。。。達成できますように。。。
>
> 。。ろこまま。。
>
>
>
>

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ふわっくまさん 2016/09/23 12:46:34

万葉ロマン〜☆・・

k.sさん、こんにちは。
万葉ロマンの言葉の響きがステキ〜と前にも書き込みしましたが、ほんと日本人が和む風景を眺めさせていただきました。
途中の節ちゃんラーメンもお得な定食で満腹になられて、地元‘食’もいいですね〜！

最低でもあと２年〜スタートから４年を費やされているそうですが、おっしゃる通り「乗りかかった舟」と是非ゆっくり達成に向けてご検討下さい・・
また海外のご旅行も、併せて楽しみに拝見させて頂きます。
　　　　　　　　　　　　　　ふわっくま

k.sさんからの返信 2016/09/24 01:06:25

RE: 万葉ロマン〜☆・・

ふわっくまさんへ

今晩は。投票有難うございました。訪問して1ヶ月半が経ちましたが、何とか投稿できて、ほっとしております。

ところで、年末年始のマレーシアへの貧乏旅行ですが、マレーシア航空を希望したところ、航空運賃だけで、7.5万ですって！話しが全く違う！13泊15日を薦められているので、ホテル代を入れると”貧乏旅行”と真逆の旅行になってしまいます！

ここから粘りますので、仮に私が年末年始にマレーシアへ旅行にいっていましたら、拍手喝采ものです！（シンガポール航空とベトナム航空で計画を練り直しです！）

夜も遅くなってきました。目がとろんとなってきましたので、お休みなさい。

k.sより

> k.sさん、こんにちは。
> 万葉ロマンの言葉の響きがステキ〜と前にも書き込みしましたが、ほんと日本人が和む風景を眺めさせていただきました。
> 途中の節ちゃんラーメンもお得な定食で満腹になられて、地元‘食’もいいですね〜！
>
> 最低でもあと２年〜スタートから４年を費やされているそうですが、おっしゃる通り「乗りかかった舟」と是非ゆっくり達成に向けてご検討下さい・・
> また海外のご旅行も、併せて楽しみに拝見させて頂きます。
> 　　　　　　　　　　　　　　ふわっくま

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