2016/09/25 - 2016/09/25
640位(同エリア5391件中)
k.sさん
初恋のときめきを覚えていますか?
巻8-1500 (坂上郎女 − さかのうえのいらつめ)
夏の野の
繁みに咲ける
姫百合の
知らえぬ恋は
苦しきものを
技巧に走らず、素直に溢れんばかりの思いを表現している。恋心を姫百合に譬えたところなどは、洒落ていて、少女がちょっと背伸びをし、薄化粧をしたかのように感じる。驚くことに、これは郎女老年の頃の歌だといわれている。年老いて、なおこの歌を詠む感性を持ち続ける!そこに人間の”業”を感じるのは、私一人だけだろうか?
坂上郎女(さかのうえのいらつめ)は、大伴旅人の異母妹で、家持からみれば叔母にあたる。13歳頃に穂積(ほづみ)皇子に嫁ぐが、霊亀元年(715)に死別。穂積(ほづみ)皇子の死後は,藤原麻呂に愛された。のち異母兄である大伴宿奈麻呂(すくなまろ)と結婚。そして、宿奈麻呂の死後、旅人を追って大宰府に下向した。帰京後は佐保邸に留まり、一家の刀自として、大伴氏を支えた。恐らく家持の母代りになっていたとも推測される。亡くなったのは、西暦750年頃。
歌のうまさと華麗な恋愛遍歴から、美貌の持ち主だと確信していたが、身分の高い貴族の娘なら、2〜3回の結婚は当時普通に行われていたとのことで、私の美貌説は脆くも崩れた。しかし、私の坂上郎女に対する気持ちは変わらない。大好きな歌人の一人である。
今回歩いた道程は、スタートを東大寺・転害門とし、1972年に奈良市が定めた「歴史の道」を選び、ゴールを平城宮跡に近い「法華寺」とした。具体的には、東大寺・転害門〜般若寺〜奈良豆比古神社〜法蓮佐保山〜興福院〜不退寺〜法華寺となる。恐らく坂上郎女も行き来したであろう道である。
"Welcome to Nara"の地図を片手に、正午頃から歩き出し、5時5分前に法華寺に着いた。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 私鉄 徒歩
PR
-
東向商店街
いつもながら、食い意地が張っております。まずは、腹ごしらえと、東向商店街入口の「風神」を訪ねたのですが、30分待ちです。
30分待ちは厳しいので、別な店をと思案すると、イタリア料理店の「PIANO」を思いつきました。東向商店街のはずれにありますが、風神からは、歩いて2〜3分です。 -
東向商店街
-
イタリア料理店 PIANO
トラットリア・ピアノ グルメ・レストラン
-
イタリア料理店 PIANO
今回はパスタを選びましたが、全てのパスタ単品に前菜が付くとのことで、出されたのが写真のものです。
高級店でよくする、料理の説明をしていただきましたが、料理の説明を聞いてもないのにされるのは、あまり好きではありません。 -
イタリア料理店 PIANO
選んだパスタは、定番のトマト味のものです。 -
イタリア料理店 PIANO
食後のコーヒーセットも奮発をして付けました。今回はテラミスが付き、アイスコーヒーを選びました。
パスタ 1380円、コーヒーセット 500円、計1880円です。
食べ終わったあと、しまった!と思わず声を出しそうになりました。この店の自慢は、パスタではなく、ピザだったのです。パンチの効いたピザを食べ逃しました。 -
東大寺 転害門
機嫌を直して、転害門からスタートです。
スタートを何故「転害門」に決めたかというと、坂上郎女がどこに住んでいたのか、はっきりしたことは分からないが、当時の高級住宅地に住んでいたことは間違いない。愛称の「坂上郎女」は、”坂の上の邸宅に住んでいるお嬢さん”という意味であるからだ。
当時の大宮人の住宅は、今でいえば東の奈良坂と西の関西本線との間の丘陵地帯にあった。南北でいえば、佐保路の北方に起伏している低い山が佐保山だが、その南山麓一帯とのこと。
転害門は佐保路の東の外れ、北上すれば、奈良坂にでる位置にある。東大寺 寺・神社・教会
-
東大寺 転害門
門の下を潜ることはできないが、門の横を通れるようになっていて、写真に写っている東側の道にでることができる。 -
東大寺 転害門付近
最初のT字路だが、北の方向に歩きだした。例によって、人の流れは南。(東大寺の大仏殿へお参りするようである) -
東大寺 転害門〜般若寺
「歴史の道」の道標。 -
東大寺 転害門〜般若寺
-
東大寺 転害門〜般若寺
廃屋を見つけた。人が住まなくなって何年経つのだろうか? -
東大寺 転害門〜般若寺
石で作られた「歴史の道」の道標もあります。 -
東大寺 転害門〜般若寺
信号機のある交差点にでますが、右に行けば柳生、左に行けば般若寺の交差点にでます。 -
東大寺 転害門〜般若寺
般若寺に向かっています。
正面に木々がこんもりと繁った低い山がありますが、般若寺はその中にあります。 -
東大寺 転害門〜般若寺
左手に東大寺・大仏殿が見えます。 -
東大寺 転害門〜般若寺
興福寺の五重塔もその姿を一部覗かせています。 -
東大寺 転害門〜般若寺
般若寺の交差点。 -
東大寺 転害門〜般若寺
交差点の角にコンビ二があったので、お茶を買いました。9月も終わろうとしているのに、暑くて堪りません。気温は30度を超えています。 -
東大寺 転害門〜般若寺
道路を渡り、家の手前の坂道を上ります。 -
東大寺 転害門〜般若寺
-
般若寺楼門
般若寺は、今が盛りのコスモスの”花の寺”としても有名なのですが、今回は先を急ぎます。般若寺 寺・神社・教会
-
般若寺〜奈良豆比古神社
-
奈良豆比古神社(ならつひこじんじゃ)
能楽の源流である「猿楽」がこの神社で発達したとのこと。初めて訪れるので、お参りをさせていただきます。奈良豆比古神社 寺・神社・教会
-
奈良豆比古神社(ならつひこじんじゃ)
本殿前に「翁舞」が奉じられる舞台が設けられており、その周りを社務所や寄合所が取り囲む、不思議な作りになっています。
「翁舞」は、国指定重要無形民俗文化財で、毎年10月8日の「秋祭宵宮」の夜に篝火の中で舞われるとのこと。 -
奈良豆比古神社(ならつひこじんじゃ)
本殿は、一間社の春日造が三殿並んでいる。ご祭神は、施基親王(志貴皇子)、平城津彦神(ならつひこのかみ)、春日王。中央に産土の神・平城津彦神、向かって右側に志貴皇子、左側に春日王(志貴皇子の子)が祀られている。 -
奈良豆比古神社(ならつひこじんじゃ)
-
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
奈良豆比古神社から法蓮佐保山へ行くのに、手間取った。道標を頼りにして歩いているのに、それらしき道標がないのである。
地元の人に道を尋ねると、この道標がある道を選べばよいことが分かった。 -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
-
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
途中にあった道標。
途中でも道標があるのは有難いが、曲がり角には必ず設置して欲しいものだ。 -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
さてまた困りました。どちらを行けばよいのでしょうか?
佐保山の南山麓の方に行きたいので、上り坂の道を選びました。 -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
手前に奈保町の街並みが見え、遠方のは高の原の住宅地。右の木々が繁り、こんもりとした山の中に元明天皇陵がある。元明天皇陵に隠れて見えないが、その山の向こう側は木津(京都)だ。
ここから見ると、なんと京都の近いことだろう! -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
黒髪橋。 -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
黒髪橋。 -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
黒髪橋の上から見下ろした風景。下を走る道路まではかなりの高さがあります! -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
黒髪橋から南を望む。写真中央に鴻池グランドの一部がちらっと見えているのですが、分かりますか? -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
黒髪山 音楽ホール。 -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
既にここが「法蓮佐保山」であるとのこと。 -
奈良豆比古神社〜法蓮佐保山
黒髪山神社。奈良豆比古神社の末社。 -
法蓮佐保山
旧奈良ドリームランドを見下ろせる道を南に下っていますが、写真正面は、恐らく青山住宅だと思います。 -
法蓮佐保山
やっと下り坂になりました。この道を真っ直ぐ下れば、佐保路に出ます。
今回歩いた道では、雰囲気がそれっぽく、坂上郎女はこのあたりに住んでいたのでは?と思うのですが...。但し、学者が特定できない、というのですから、まあ、雰囲気だけを味わってください。 -
法蓮佐保山
奈良市街が一望できます。 -
法蓮佐保山
-
法蓮佐保山
-
法蓮佐保山
坂上郎女の歌をもう1首紹介します。
巻4-527
来むと言ふも
来ぬ時あるを
来じと言ふを
来むとは待たじ
来じと言ふものを
早口言葉のようですが、意味は3〜4回繰り返して詠ってみると、自然と理解できると思います。不実な愛人をなじっていますが、相手は藤原麻呂です。詠われたのが、恋愛進行中か、それとも破局した後か。それによって味わい方も多少違ってくると思います。仮に、恋愛進行中だったら、怖いですね〜。 -
興福院 (こんぶいん)
佐保路の尼寺。拝観には予約が必要。興福院 寺・神社・教会
-
興福院〜不退寺
多少のくねりはありますが、佐保路と平行な道を歩いてゆきます。 -
興福院〜不退寺
-
興福院〜不退寺
-
興福院〜不退寺
-
興福院〜不退寺
-
興福院〜不退寺
不退寺はもう少しです! -
興福院〜不退寺
-
興福院〜不退寺
この箇所を北に向かうと不退寺で、南を選ぶと関西本線の踏み切りを渡り、佐保路にでます。
カメラの調子が悪くなっているし、もう少しなので、先を急ぎます。 -
興福院〜不退寺
不退寺近くの関西本線の踏み切り。 -
法華寺
到着したのが、5時5分前で、拝観は5時までです。いくらなんでも5分で拝観できないので、拝観は次回にします。
今回は大宮人がかつて歩いたであろう道を歩いてみましたが、奈良もけっこう起伏に富んだ土地だな、と認識を新たにしました。法華寺 寺・神社・教会
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (2)
-
- ryujiさん 2016/10/02 12:00:19
- 小生の永遠の恋人!
- k.sさん、こんにちは。
見たよ、みたよ、ミタヨ、坂上郎女の旅行記。
旅行記坂上郎女のプロローグ、興味深く拝読しました。この和歌(うた)って彼女の晩年の作でしたか。 ずっと少女の坂上郎女を和歌に重ね合わせて思いきたのですよ。小生の最も大好きな和歌の1つです、ちょっとイメージが損なわれたなぁ〜。 でもいい〜んです、小生がこの年になってもこの思い(片恋)はよ〜く解ります。(思春期に味わったほろ苦い体験)
k.sさん、坂上郎女を旅行記に取り上げて頂きありがとう。これは大変生意気な発言です、小生嬉しさが余りのことでお許しを。 貴方と思いを同じとしたと言う事でご理解して頂ければ幸いです。
ryuji
- k.sさん からの返信 2016/10/02 16:29:32
- RE: 小生の永遠の恋人!
- ryujiさんへ
お久し振りです。お元気そうでなによりです。
ryujiさんも坂上郎女の熱烈なファンであることを知り、私も嬉しいです。
私も坂上郎女は、歌がうまく、別嬪さんであると確信していた時期があるのですが、そうでもないよ、と否定的な文章を読んだときは、ショックでした。
しかし、”姫百合”の歌は、輝いています。この1首をもって、全面的に坂上郎女を支持する。それ程素晴らしい歌だと思います。
「万葉ロマン」で挫けそうになった時に、メールをいただきます。その度に励まされ、ここまで続けることができました。有難うございます。今後も見守っていただけたら、幸いです。
k.sより
> k.sさん、こんにちは。
>
> 見たよ、みたよ、ミタヨ、坂上郎女の旅行記。
>
> 旅行記坂上郎女のプロローグ、興味深く拝読しました。この和歌(うた)って彼女の晩年の作でしたか。 ずっと少女の坂上郎女を和歌に重ね合わせて思いきたのですよ。小生の最も大好きな和歌の1つです、ちょっとイメージが損なわれたなぁ〜。 でもいい〜んです、小生がこの年になってもこの思い(片恋)はよ〜く解ります。(思春期に味わったほろ苦い体験)
>
> k.sさん、坂上郎女を旅行記に取り上げて頂きありがとう。これは大変生意気な発言です、小生嬉しさが余りのことでお許しを。 貴方と思いを同じとしたと言う事でご理解して頂ければ幸いです。
> ryuji
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったスポット
もっと見る
この旅行で行ったグルメ・レストラン
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
2
56