ガウディの世界遺産・グエル公園　～ガウディとグエルのブルジョア向き庭園住宅計画の夢の跡～

2015/08/06 - 2015/08/13

バルセロナ市内を見下ろす市内北側の山の手にあるグエル公園はガウディの世界遺産の一つになっていますが、もともとここは公園としてつくられたものではなかったのです。

パトロンだったグエル氏がガウディに発注したのはブルジョワ階級向けの庭園住宅。

でも、当時は交通の便が悪く住宅としての人気が全く無く、誰も買い手が付かず、完成したのはグエルとガウディの自ら住む住宅だけで２人の夢はあえなく砕け散ってしまいました。

市民戦争で計画が頓挫した後、市が買い取り今の公園になったという経緯があります。
童話に出てくるお菓子の家のような建物や今はバルセロナのシンボルになったモザイクタイルを張ったトカゲのモニュメントがあって不思議な雰囲気を味わうことのできる公園でした。

エリア バルセロナ(スペイン)

• 旅行の満足度: 4.5
• 観光: 4.5
• 交通: 3.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 15万円 - 20万円
• 交通手段: 鉄道 徒歩
• 航空会社: カタール航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

バルセロナの中心部から少し外れた北の山の手にあるグエル公園
最寄りの地下鉄３号線の Lesseps駅からは歩いて２０分ほどの距離にあります。
この坂を登って行って途中何か所か階段やエスカレーターを使って一気に上ります。

いつも混み合っているガウディの世界遺産。

グエル公園も例外ではありませんので、朝一番の８時半の開門と同時に入ろうと８時１５分前に到着。
途中まで矢印表示があったのにいつのまにか矢印が無くなり、入口がわからず山の上まで上ってしまいました。

ガイドブックや雑誌でよく見るとげとげした柱列が見えてきました。

この先に裏口がありました。
裏口の到着は８時５分前

すでに開いていてスタッフはいるもののチケットのチェックがありません。

混雑するものと思い、日本でウェブサイトから８時の予約をしてきたのですが、オフィシャルな情報では８時開門と出ていますが、実際には７時３０分から開いていて８時までの入場は無料となっているようです。
裏口から入ったのでいきなり上の広場に
人影はまばら

バルセロナのガウディやモンタネール関連の施設や美術館は、ここ１，２年で軒並み入館料が高騰して、昨年まで無料だったグエル公園も今は７ユーロ（約1000円）かかるようになりました。

特にガウディ関連は高いので、主だったところを見るだけで入館料だけで1万円〜2万円は優にかかってしまうので、朝一番で来れば無料で見れるのは財布にやさしいことですね。

事前に分かっていれば予約しなかったのに残念！

こちらは正面入り口にある受付棟

門を挟んで向かい合って建つ門番小屋
おとぎの国のお菓子の家のようなかわいさ

ここは内部に入ることができました。

このパネルの写真はバルセロナ周辺のガウディの作品
今は存在しないものも混じっています。

2階の窓から見える隣の受付棟

尖塔の先には白い十字架？

よく見ると十字の形ではではありませんが、でも、十字架なんです。

ドラゴンのいる正面階段。
１０時を過ぎるころには、ここは人であふれかえり、ツーショット写真を撮る人で行列になります。

柱廊の下には広場に降った雨をためる貯水池となっていて、ドラゴンの口と蛇の口はその放水口になっています。

真ん中で顔を出しているのは蛇
その後ろにはカタルーニャの紋章が。

口から水が流れていますが、グエルは園内から湧き出た水を「SARVA]という名前を付けて商品化したとか。

おなじみの割れたタイルを貼ったドラゴン
グエル公園の一番人気の場所ですね。

門番小屋の上に載っているキノコは煙突です。

階段から振り返ると左右に建物を配した正面入り口が見えます。

ドリース式の柱廊は市場として計画されていた空間です。

柱廊の天井に注目してみましょう。

割れタイルのモザイクの中には太陽やメドォーサなどが色彩豊かに表現されています。

これを担当したのはガウディの弟子　ジュジョル

円柱を背にするこの二人。
スナップショットではなく撮影中といった感じですね。

視線をあちこち移さないと大事なものを見落としそうですね。
どこを見ても絵になるものを発見します。

広場をぐるりと取り囲む形で配された波打つベンチ

破砕タイルでモザイクのデザインの入ったベンチ

人間工学に基づいたデザインになっているとか

少し人が増えてきました。
中国のツアーバスの団体のようです。

とんがりキノコは煙突です。
白いうろこ状のでっぱりはよく見るとコーヒーカップを逆さにしたもの

ガウディの煙突はカサ・ミラやグエル邸・グエル別邸でも見ましたが、ユニークな形をしています。

高台なのでバルセロナの街並みが良く見えます。
遠くにサグラダファミリアも見えていますね。

グエル公園は今でこそ公園の名称がついていますが、１９００年に工事が着手されたときは全く別な目的で建設が始まりました。

事業主の実業家グエルは、バルセロナの町を眼下に見下ろすこの高台に、英国式の庭園住宅を造ろうとしたのです。

メインエントランスにParkと英語で表示しているのはその名残

仕事を依頼したのは当時面倒を見ていたガウディでした。

ガウディはその頃がまさに円熟期、１４年の歳月をかけて工事を行います。

ガウディはこの庭園都市の中に集合住宅に必要なあらゆる設備を考案し、６０区画の住宅を計画しました。

入口ゲートにレセプションと守衛小屋を造り、高架道路や広場にい続く正面階段、広場の下には市場として計画した多目的ホール、さらにその下には貯水池

今でいえばまさにブルジョア向けの高級住宅ですね。

でも、グエルとガウディの斬新すぎた発想と自然の中で暮らすという価値観は、当時人たちには受け入れられなかったようです。

しかも、今でさえあまり交通の便の良くないこの土地は、当時は人気がなかったようですね。

ガウディ自身は１９０６年に、今はガウディの家博物館として公開されている住宅に居を移し、現場の中に住みながら工事を進めていきました。

インフラの整備は整ったものの、最終的に住宅としての建物が完成したのはガウディの家とグエルの家２棟だけだったようで、グエル氏のしをきっけけにして工事は中断され２人のの夢はあえなく散ってしまいました。

そしてここがユネスコの世界遺産に認定されたのは、今から約３０年前の１９８４年のこと。

工事が中断されてから７０年後に世界遺産になっているのですね。

ここ数年で一気にバルセロナのガウディ関連の観光地の入場料が高額になったため、無料だったグエル公園に世界中から観光客が集中した時期があったようです。

それにより公園周辺はひどい交通渋滞になり、近隣住人の生活に支障をきたすようになったそうです。

市はそのために２０１３年１０月からグエル公園も有料にしたそうです。

それでもガウディ関連の世界遺産の中では、７ユーロと半値以下のため訪れる観光客が多いため、３０分ごとに４００人までと入場制限をしています。

だからすんなり入るためには事前予約は必須なんですね。

でも公園すべてが有料ゾーンではなく外周は無料のエリアもあります。

尖頭のてっぺんに十字架のあるこの建物。
先ほど話題になったガウディの家です。
これは別な旅行記で詳しく紹介します。

裏口の門扉のアイアン

こちらの円形モザイクにはグエルの文字が

スペインを代表する画家のサルバドーレ・ダリ。
彼がこの建物を見て何と言ったのか・・・・？

あの斬新な現代アートの巨匠目にも、この門衛小屋と向かいの受付棟は「砂糖をまぶしたタルト菓子のようだ」そう映ったようです。

こちらの円形モザイクにはPark
グエルとガウディのプロジェクトの起源が英国式庭園都市に影響を受けたものであることの証

裏口から入場したので正面入り口を見たのは一旦退場後の最後になりました。

ハチの目のように波打ったアイアンの窓格子

上下つなげてパークグエル。
これでグエル公園の紹介は終わりますが、公園自体の見どころは有料ゾーンにあるため、事前に予約して、人であふれかえる日中でなく比較的すいている朝早い時間の見学をお勧めします。

この旅行記へのコメント （2）

• ぷぷよしさん 2015/10/01 01:58:06

  朝早い訪問がGood!

  兄さん、おじゃましますm(_ _)m
  
  グエル公園、チケットチェックが無くてアレでしたけれど、
  朝早い時間だけあって、トカゲの周りに人が居ない写真を撮ることができてよかったじゃないですか。
  
  私が行った時は、押すな押すなの大盛況で、とかげと私、の写真を撮ることが出来ませんでした。
  
  グエル公園、今も生活するにはちょっと不便ですよね。
  お金持ちは、何かと坂の上に住みたがると思いませんか？
  もちろん庶民の私の家は、坂の上ではありません（笑）
  
  
  ぷぷよし＠スペインはまた行きたい場所の１つ
  

  ぬいぬいさん からの返信 2015/10/08 13:42:56

  レスをすっかり忘れてました

  ぷぷちゃん　　こんにちは
  
  レスが遅くなってごめんなさい。
  念願のスペイン
  そして念願のガウディ
  すっかり堪能してきました。
  
  それにしてもバルセロナの拝観料何とかならないのかな
  あんなに高くては、何でもかんでも見に行こうとは思えないよね。
  
  そして日中の混雑ぶりを考えると、やっぱり落ち着いてじっくり見るには、絶対に朝一しかない。
  
  グエル公園も朝一だったのであのドラゴンも一人占め状態で独占できました。
  
  ユーロがもう少し安くなればもう一度今度はグラナダからモロッコに抜ける旅をしたいな
  最近そう思ってます。