2009/12/17 - 2009/12/18
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世界攻略者さん
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ネパール・アンナプルナで最もミーハーな場所 - それはプーンヒル。この有名なヒマラヤ展望ポイントには、毎朝日の出を見ようと、たくさんの人がやってくる。にぎやかな、そして少々浮ついたプーンヒルの朝をご紹介します。
**情報は2009年12月のもの。1ルピー=1.2円で計算。
最速のアンナプルナ シリーズ:
①アンナプルナ・ベースキャンプの一日 (A.B.C.)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10444950/
②みんなのプーンヒル (ゴレパニ) <==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10445604/
③新時代のジョムソン街道 その1 (バス、ジープ)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10445981/
④新時代のジョムソン街道 その2 (ムクティナート)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10448794/
⑤あのジグザグの先にあるもの (カグベニ)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10449248/
⑥ムスタン 各駅トレック (トゥクチェ、マルファ他)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10451421/
⑦ダウラギリ・アイスフォール - はじめての遭難 (ラルジュン)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10570147/
⑧自転車 vs トレッカーの巻 (カロパニ、ガサ)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10570153/
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[もくじ]
概要
アクセス
ゴレパニ
スーパービュー・ロッジ
プーンヒル
ゴレパニの朝
まとめ -
[概要]
プーンヒルは、おそらくアンナプルナで最も訪問者の多い展望ポイントでしょう。そこからは、アンナプルナ・サウス、マチャプチャレ、ダウラギリ他、たくさんのヒマラヤの山が見渡せます。ポカラから二日のこの人気ビューポイントを詳しく紹介していきます。
[アクセス]
プーンヒルのあるゴレパニ(写真)は、峠のような場所にある交通の要所です。タトパニ、ナヤプルなどの道路のある町から二日。チョムロン、ガンドルックなどの村からだと、タダパニ経由で二日で来れます。ほとんどの人は、ポカラからバスで一時間半のナヤプルまで行き、そこから歩き始めます。ビレタンティ-ティルケドゥンガと通って二日でゴレパニに到着です。 -
[ゴレパニ]
A.B.C.から二日かけてゴレパニ(2750m)に到着しました(チョムロン泊)。この村には、トレッカー向け、地元民向けの宿がたくさんあります。ゴレパニとは馬の水桶の意味で、馬の休憩ポイントとして知られていました。理由は知りませんが、この村の建物は屋根や壁が青い家ばかりです。
村のメイン通りには、売店や土産物屋が並び、英語のペーパーバックから使い捨てカメラまで手に入ります。すぐそばにプーンヒルがあるおかげで、ちょっとした観光地なのです。売店の中には、良心的な値段で売る所があり、ロッジで120ルピーはする500mlコーラが、80ルピーほどで購入できます。ロッジとは、内外価格差があるようです。 -
[スーパービュー・ロッジ]
ゴレパニの宿の中で、密かに人気を集めるのがスーパービュー・ロッジ。この宿は、その名が示すように、ダウラギリやアンナプルナがよく見える眺めのいい場所に建っています。私は、このロッジに隠れファンが多いもう一つの理由は、その今にも壊れそうなぼろい造りにある気がしています。
普通、山小屋は頑丈そうな石造りの壁でできているのですが、このロッジの石壁は一階部分にあるだけです。外観から察するに、ある時二階建てに改造し、その後一階ダイニングを拡張し、さらに三階を増築したように見受けられます。(写真) -
中に入ると、きしむ床、低い天井、総ベニヤ板作りの内装、付け足したような階段、など手作り感が満載です。柱の数が足りないのか、一階のダイニングには、天井を支えるつっかえ棒がたくさん立っています。このような本来の山小屋が持つ危なっかしさを、人々は無意識のうちに求めていたのかもしれません。
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遅い時間に到着すると、宿はたくさんの客で賑わっていました。ダイニングでは、ドラム缶ストーブを囲んで、ガイドやポーターたちがくつろいでいます(写真)。周りのテーブルでは、育ちのよさそうな中国人の若者や、中華系タイ人、白人のトレッカーなど、それぞれグループを作っておしゃべりを楽しんでいます。各テーブルでは途切れることなく会話が続き、居酒屋にいるような騒がしさです。
オフシーズンのトレッキングでは、このようなにぎやかなロッジに泊まることはまずありません。この雰囲気の中での食事は、ファミレスに1人でいるようなものです。 -
すぐに食事を終え、二階の部屋に戻ります。私の泊まる部屋にはひとつ特徴があり、一階のストーブの煙突が部屋の隅を通過しているのです。夜でも14度と暖かいのはこのせいです。これは同時に、部屋がダイニングの真上にあるということを意味しています。薄い床板を通して、一階の喧騒がダイレクトに聞こえてきます。中国人やタイ人が話好きなのはご存知の通りです。しかも声がでかい。
しばらくすると、中国人グループが部屋に戻り、少しだけ静かになりました。さすがに共有スペースで騒ぐのはまずいと感じたのでしょう。その静寂もつかの間、私の斜め前の部屋に集まった彼らは、再びおしゃべりを続けます。さらにパワーアップしたピッチの高い声が、薄い壁板を通って私の耳にやってきます。 -
耐えかねて、一階のダイニングに戻りました。ストーブ近くに席をみつけ、ネパール人の輪に混ぜてもらいます。ダルバートを食べる彼らを羨ましそうに見ていると、一人の男性が話しかけてきました。
「あなたがチョムロンから一日で来た人ですよね。厨房で話題ですよ」
これをきっかけに、世間話が始まりました。彼は山岳ガイドで、隣に座る裕福そうなタイ人女性グループを率いています。ゴレパニの後、タイ人の1人はA.B.C.に、2人はガンドルックに、1人はポカラに戻るそうです。「そうなると、ガイドも三人要りますよね」と私が尋ねると、「もちろんそうですよ」と頷きます。金持ちの考えることはよくわかりません。 -
[プーンヒル]
ゴレパニに来た観光客のほとんどは、翌朝プーンヒルに登ります。ここで日の出を見るのが定番とされているので、それに異論を挟む人はいません。
プーンヒル(3190m)はゴレパニのすぐ裏にある丘で、そこからの眺め良さで知られています。頂上には展望台があり、今日ゴレパニに来る途中、その位置を確認できました(写真)。
ガイドブックによると約450メートルの登りで、所要時間が45分から1時間。ただ登るだけではつまらない、と考えた私は何分で登れるかに挑戦してみることにしました。目標タイムは半分の22分です。 -
翌朝、早起きした宿泊客が次々と宿を出て行きます。日の出の時刻は6時40-50分と聞いていたので、私は6時頃、出発することにしました。暗闇の中、ロッジ前の道をスタート。ここから頂上までは石段の一本道です。見上げると、丘の上に向かってサーチライトの粒がジグザグを描いて進んでいきます。最初からハイペースで歩き、すぐに中国人グループ、中間地点でタイ人グループを捕らえました。結局、一度も止まることなく、30人ほど抜いて頂上の展望台に到着。気になる時間は21分とまずまずのタイム。朝のジョギング後のような、すがすがしさを感じます。
頂上には、すでに30人以上の観光客が震えながら日の出を待っていました。オフシーズンでさえ60人もいることが、プーンヒルの人気を物語っています。ピークシーズンには200人は集まるという話です。 -
6:55AM、山の向こうから日が射してきました。太陽は主要なピークが並ぶアンナプルナ方向(北東)ではなく、名もない山の上から昇ります(写真)。ここは、朝日そのものではなく、朝日が当たる雪山を見るための日の出スポットなのです。
そういう意味では、最も朝日が当たるのは、大きな南壁を持つダウラギリなのですが、なぜかみんな一番近いアンナプルナの方ばかり注目しています。今日は、ダウラギリ方面が少し曇っているのが原因かもしれません。 -
ここには、人の流れを追ってゴレパニから一緒に登ってくる暇な野良犬がいます。この犬はチベタン マスティフの一種だと思いますが、アンナプルナのいたるところで見かけます。本当に野良犬かどうかは知りませんが、たいてい特定の村を中心に活動しています。A.B.C.にもチョムロンにも、姿形そっくりの犬がいました。多様な民族が住むアンナプルナですが、こと犬に限って言えば、チベタン マスティフの1人勝ちです。
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改めて、プーンヒルからの景色を見てみます。やはり中心は一番大きく見えるアンナプルナ・サウス(7219m)。その両脇には、旗持ち露払いのようにアンナプルナI(左、7647m/8091m)とヒウンチュリ(右、6441m)を従えます。
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そこから少し離れて右手側にマチャプチャレ(写真右端、6997m)。左側にニルギリ・サウス(6839m)。北側を向くと、ダウラギリ(8167m)の複数のピークが見えます。
タダパニからゴレパニに来る途中に、同じような展望ポイントがあります。そこから見える山は、プーンヒルと同じです。どちらで見ても大差ないと思っていたのですが、ひとつ大きな違いを見つけました。プーンヒルからアンナプルナのピークを眺めると、ニルギリからマチャプチャレまで一直線に並んで見えるのです。このスカイラインの見事さは、両方見て初めて気がつきます。
**写真: 7時半過ぎ、朝日のラインが現れました。 -
プーンヒルには立派な展望台があります。そこからの眺めは下の地面とあまり変わりません。手前に人がいないので山の写真を撮るには便利です。ダウラギリ(写真)の方を眺めると、ジョムソンやムスタンへと続く谷筋が確認できます。西側を振り向くと、細い道がベニに向かって伸びているのがわかります。
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この展望台、当たり前のようにここにありますが、ほんの数年前に建てられたもののようです。昔の写真を見ると、かつては高さ2メートルほどチンケな高台でした。
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山は一通り見たので、展望台から他の観光客の様子を観察してみます。どのグループも例外なく、見ていて恥ずかしいほどのはしゃぎっぷりです。人を代え、ポーズを代え、延々とみんなで写真を撮っています。アンナプルナを背景にジャンプするのが特に人気です。
考えてみれば、このアンナプルナは、ヒマラヤでは最も敷居の低いトレッキング・エリアと言えます。観光地ポカラからのアクセスがよく、高度もそれなりで、ロッジの設備も安定しています。エベレスト方面のトレッカーがやる気満々な人が多いのに対し、こちらは様々な人がいます。これまでも、タイト・ジーンズで登るシンガポールのOL、幼児をガイドに背負わせて登るシングルマザー、運動不足のため途中でギブアップする大学生、サンダルで山を下るアメリカ人、大人数で来てロッジ街の部屋を占領してしまう韓国人ツアー、などいろんなトレッカーをを見てきました。Everyone's invited. 誰が来ても楽しめるみんなのアンナプルナ。この行楽地のような賑わいも、多種多様な登山客も、決してマイナスではありません。
** 写真: アンナプルナの案内パンフレット。プーンヒルでジャンプ! -
7:30AM、そんなことを考えていると、ポカラからジョムソンへ向かうプロペラ機が目の前を通過していきました。ダウラギリに飛び込むよう進み、タトパニ上空で角度を変え、ヒマラヤの谷間をジョムソンに向かって飛んでいきます。
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日の出から30分ほど経つと、観光客は少しずつ山から下りていきます。八時半まで残る人はほとんどいません。強い日差しに照らされたヒマラヤは、それだけで魅力的ですが、それを期待してプーンヒルに来る人は少数派です。彼らも予定があるので、早めに切り上げて朝食をとらなければなりません。時に、観光登山は大きな矛盾をはらんでいます。
プーンヒルには臨時の売店があり、お茶やスナック菓子を販売しています。その店員たちも客がいなくなると、店を閉め、ゴミを草むらに隠し、9時前にはゴレパニに帰っていきます(写真)。 -
9:00AM、1人残された私も山を下りることにしました。さよならプーンヒル。歩き始めると、なぜか例の犬が現れて、私と一緒に下山しました。
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[ゴレパニの朝]
ロッジに着くと、タイ人グループは、すでに食事を終え、出発するところでした。もう宿には誰もいません。 -
10:00AM、 遅い朝飯を注文します。私は(自称)山の料理研究家なので、日々、変わったメニューを注文しては、調理の様子を観察しています。
厨房にいて気づいたのですが、ここのかまどはちょっと変わった形をしています。テーブルのような板に穴をあけ、ガスレンジのように使用するのです。ゴレパニのような、(本物の)ガスレンジと竈の両方ある村では、炒め物などはフライパンを使いガスレンジで、煮込みや蒸し料理、お湯を沸かしたりする時は竈、と使い分けされています。
かまどの隣のタンクはバックボイラー。かまどの中を通って暖められた水は皿洗いや、ロッジによってはシャワーに使用されます。 -
注文したチャウメンができあがりました。景色のいい外のテラスでいただくことにします。ここのチャウメン(焼きそば)は、普通のチャウメンとは少し違います。野菜、鶏肉を炒めたフライパンに、スパゲティ麺を入れ、トマトペーストを混ぜて作ります。調理中、「これ、スパゲティですよね」と訊くと、「うちはチャウメン用の麺持ってないのよ」と正直な返事が返ってきました。私としては、あまりおいしくないネパール風チャウメンの値段で、スパゲティを食べられるのは大歓迎です。どうもこの宿では、スパゲティとチャウメンとの分岐点はチーズがあるかないかの差のような気がします。
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このスパゲティ風チャウメン。鶏肉とトマトペーストの存在感が強いため、チキンライスの味がします。特にチキンは身がしまっていておいしい。こりゃうまい、とガツガツ食べていると、鶏が3羽、テーブルに向かって歩いてきました。ということは...。このロッジが鶏肉用の地鶏を育てているかどうかはわかりませんが、ゴレパニでは道端を鶏が自由に歩き回っています。こういう何気ない驚きに山歩きの幸せを感じます。
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[まとめ]
朝食を終え、タトパニに向け出発します。展望台から見たジョムソン街道が次の目的地です。修学旅行気分の若者も、私のようなソロトレッカーも、野良犬も、地鶏も、みんなが楽しめるアンナプルナの村々。スピードにこだわった旅は、まだまだ続きます。
**写真: ゴレパニの小学校。電気がもったいないので外で授業。
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[リンク集]
==ネパール・トレッキング==
最速のアンナプルナ 全8作 (2009年秋)
http://4travel.jp/travelogue/10444950
エベレスト・トレッキングのすすめ 全10作 (2011年春)
http://4travel.jp/travelogue/10581163
ポカラ・ザ・トレック 全4作 (2013年春)
http://4travel.jp/travelogue/10759203
トレッキング装備購入ガイド 全2作
http://4travel.jp/travelogue/10571988
==ネパール旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&level1=1&level2=771&level3=&sort=when
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when&view_mode=list
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&sort=when&view_mode=list
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