2015/09/09 - 2015/09/09
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Yoheiさん
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北海道旧212市町村を自転車で走破することを目標に、未走破の町を少しずつつないでいく旅。今回は十勝帯広空港をスタートし、狩勝峠を越えて富良野へ。その後、美瑛、旭川を経由し、石狩川沿いに空知地方を南下して美唄を目指す。十勝の広大な畑、富良野の花畑、狩勝峠の山越え、神居古潭の秘境、深川の黄金色の稲作地帯、日本一の直線道路など、海沿いとは違う北海道内陸の風景を楽しみながら走破自治体を増やしていく4日間の自転車旅。
狩勝峠越えの北海道内陸自転車旅 帯広から富良野・旭川経由で美唄へ(1/4) https://4travel.jp/travelogue/12078248
狩勝峠越えの北海道内陸自転車旅 帯広から富良野・旭川経由で美唄へ(2/4) https://4travel.jp/travelogue/12078249
狩勝峠越えの北海道内陸自転車旅 帯広から富良野・旭川経由で美唄へ(3/4) https://4travel.jp/travelogue/12078251
狩勝峠越えの北海道内陸自転車旅 帯広から富良野・旭川経由で美唄へ(4/4) https://4travel.jp/travelogue/12078253
- 旅行の満足度
- 5.0
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最終日の行程は、旭川を出発して美唄まで約80km。午前8時前にホテルを出て、自転車にまたがった。旭川の朝もまた寒い。空は一面どんよりしている。台風18号が南から近づいているらしく、札幌方面でも夕方から天気が崩れる予報だ。今日は基本的に南へ向かって走るので、こちらから雨雲へ近づいていくことになる。雨雲のスピードがこれ以上上がらないことを願いながらのツーリングになりそうだ。
旭川グランドホテル 宿・ホテル
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宿泊した旭川グランドホテル。
旭川グランドホテル 宿・ホテル
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今日は旭川から深川、滝川、砂川、奈井江と南下し、その空白を一気に埋めていく。町と町との距離が比較的短いこの区間は、完全走破を進めるにはなかなか"おいしい地域"でもある。
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旭川市街から国道12号方面へ向かい、深川を目指す。30分ほど走ると住宅街も途切れ、徐々に緑が濃くなってきた。ふと横を見ると、国道と並行するように細い舗装路が伸びている。どう見てもサイクリングロードなのだが、どこから入ればよいのか分からない。しばらく入口を探し、ようやくアクセスできる小道を発見した。「神居古潭まで9.3km」の案内標識、その横には熊出没注意の看板。それも二枚。ここまで念を押されると、誰もいない道へ入っていくのが少し不安になる。
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神居古潭サイクリングロードは旧鉄道線跡を利用した道らしく、線形が非常になだらかで走りやすい。木々に囲まれた細い舗装路が延々続き、平日の朝ということもあって他に利用者の姿はない。基本的には石狩川と国道12号の間を走っているようで、車の多い国道から一本外れただけなのに周囲は驚くほど静かだった。
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これまで北海道を自転車で走るときは海岸線を選ぶことが多かったが、今回の旅ではまだ一度も海を見ていない。十勝平野から始まり、十勝川、狩勝峠、富良野盆地を抜け、最後は石狩川沿い。北海道を代表する大きな川をつなぐような旅になった。
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海沿いの道なら大きなアップダウンは少ない反面、とにかく風との戦いになりやすい。追い風なら天国、向かい風なら同じ平坦路でも一気に地獄になる。その点、内陸には坂が多いものの、登った分だけ必ず下りが待っている。狩勝峠を越えたことで、山越えに対する苦手意識も少し薄れた気がする。
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快適に走っているうち、あっという間に神居古潭へ着いた。
神居古潭 自然・景勝地
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こちら岸と神居古潭を隔てる石狩川には、周囲の深い緑から浮き上がって見えるほど真っ白な吊橋が架かっている。神居大橋という橋で、川面からはかなり高さがある。橋の入口には自転車通行禁止の看板があるので、赤い自転車を脇に止めて歩いて渡ってみる。
神居古潭 自然・景勝地
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「一度に100人以上渡らないでください」という注意書きがあり、そんな人数がここへ同時に来るのかという疑問より先に、橋そのものが少し心配になってくる。
神居古潭 自然・景勝地
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恐る恐る対岸へ渡ると、そこに残っていたのは旧神居古潭駅。ホームも駅名標もそのまま残り、その奥には黒い蒸気機関車が3両並んでいた。
神居古潭 自然・景勝地
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車両は29638、C57、D51。北海道各地で開拓時代のSLが保存されているのを何度か見てきたが、山の中に巨大な蒸気機関車が3両まとめて並んでいる光景は初めてだった。
神居古潭 自然・景勝地
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29638は大正時代から活躍した貨物用の9600形、C57 201は「貴婦人」の愛称で知られる旅客用C57形の最終番号機、D51 6は貨物列車の代名詞ともいえるデゴイチの初期型で、「ナメクジ型」と呼ばれる車両。単に古いSLが3両置かれているのではなく、性格の異なる代表的な蒸気機関車が並んでいると思うと、なかなか豪華な展示だった。
神居古潭 自然・景勝地
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緑色の木造駅舎も保存されており、中へ入って休憩することもできる。かつて列車が行き交った場所が、今ではハイキングやサイクリングの途中で立ち寄る場所になっている。「旭川サイクリングコース」の案内もあるのだが、自転車では神居大橋を渡れない。いったいどういうルートでこちら側まで来るのだろう。
神居古潭 自然・景勝地
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旭川方面から空知平野に向かってゆっくりと流れる石狩川。
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再び自転車へ戻り、山間部を抜けると深川市に入った。カントリーサインに描かれているのは稲穂とリンゴ。深川は「ライスランドふかがわ」と呼ばれるほどの米どころで、稲穂はその象徴。リンゴも市を代表する農産物の一つらしい。
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市境を越えたあたりから国道の両側は水田ばかりになった。道路の向こうまで四角く区切られた田んぼが続き、その中に農家や倉庫の赤や青の屋根が点々としている。稲穂は黄色く色づき始めており、一面黄金色というところまではいかないものの、収穫が近いことは一目で分かる。十勝の大規模な畑とも、富良野の花畑とも違う、空知らしい田園風景だった。
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ちょうど午前10時、道の駅ライスランドふかがわへ到着。水分を補給し、この先に備える。
道の駅 ライスランドふかがわ 道の駅
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ところが道の駅を出て数分、後輪から妙な感触が伝わってきた。明らかにおかしい。自転車を止めてタイヤを回して確認すると、トレッドの中央にホチキスの芯のような短い金属片が斜めに刺さっていた。パンクである。やれやれ、と自転車をひっくり返し、後輪を外してチューブ交換を始める。10分ほどで作業完了。今回の旅で初めてのパンクだった。
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問題は、これで持ってきたスペアチューブを使い切ってしまったこと。交換するまでは何とも思っていなかったのに、「もう予備がない」と思った途端に急に不安になる。だったら最初からもう一本持ってこいという話なのだが。滝川までは残り15km程度。ホームセンターへたどり着くまで何事も起きないことを願いながら走る。
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しばらくして滝川市へ。カントリーサインに描かれているのはグライダー。滝川にはグライダー専用飛行場の滝川スカイパークがあり、町の象徴になっている。この辺りまで来ると自治体の面積も比較的小さく、しばらく走ればすぐ次の町へ入る。旧212市町村完全走破にはありがたい地域だ。
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そして滝川から美唄にかけての国道12号は、日本一長い直線道路として知られている。直線区間は29.2km。ここから今日の終着地点である美唄市まで、この一本道を自転車で走ることになる。
実際に走り始めると、本当に道路が曲がらない。前を見ると、道がそのまま地平線へ向かって吸い込まれている。左右には相変わらず水田。ペダルは確実に回しているのに、景色がなかなか近づいてこない。不思議な感覚になる。
私が現在暮らすシンガポールでは、こんなのどかな景色を毎日見ることはまずない。広い空の下に田んぼが続き、その中をただ自転車で走る。この時間と空気をできるだけ頭に焼き付けておきたい。 -
滝川の道の駅へ着くと、どこからか旨そうな匂いが漂ってきた。匂いにつられて豚串を一本購入。室蘭の「焼き鳥」も豚肉を使うが、こちらは正直に「豚串」と名乗っている。こういう分かりやすい肉の串焼きは、自転車で走っている途中に食べるとうまい。
道の駅 たきかわ 道の駅
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相変わらず、あたり一面の稲作風景。
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さらにアクロスプラザという複合商業施設にあるホーマックへ寄り、替えのチューブを購入。バッグの中にスペアチューブが一本戻っただけで、不思議なくらい安心する。
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滝川市中心部へ入るころ、ふと空を見上げると2機のグライダーが飛んでいた。細長い翼を広げ、ほとんど音も立てずに青空を滑っている。「これこれ!」とばかりに自転車を止めてカメラを構える。カントリーサインに描かれているものを実際に町で見ると、ちょっと得した気分になる。
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一方、中心部の商店街は昼時だというのにシャッターを下ろした店が目立つ。郊外には大型商業施設が並んでいるが、中心市街地は静かで、滝川でも空洞化が進んでいるように見えた。
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滝川駅前。
滝川駅 駅
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空知川にかかる新空知大橋を渡り、ほどなく砂川市へ。カントリーサインに描かれているのは、ヨットとピラミッド。ヨットは砂川オアシスパーク、ピラミッドは北海道子どもの国の施設を表しているらしい。ちなみに空知川は日本の支川の中では最も延長が長い川でもある。この先で石狩川と合流し、石狩湾へと注ぐ。
相変わらず日本一の直線道路の途中なので、町境を越えても景色はそれほど変わらない。 -
さらに南へひたすら走る。気づけば45分ほど経ち、今度は奈井江町に入った。カントリーサインに描かれているのは、特産のメロンと町の木ナナカマド。
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道の駅「ハウスヤルビ奈井江」で休憩する。昔からこの名前を見聞きするたびに「ハウスヤルビって何だ?」と思っていたのだが、館内の説明によるとフィンランドのハウスヤルビという町に由来するらしい。奈井江町との姉妹都市交流から付けられた名称とのこと。道の駅には国道12号の歴史や日本一の直線道路についての展示もあり、今まさに走ってきた道の長さを改めて実感する。
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再び国道12号へ。長かった直線道路もいよいよ終盤となり、ほどなく今回の旅の終着地、美唄市へ入った。カントリーサインに描かれているマガンが、こちらへ「お疲れさん」と手招きしているように見える。美唄駅まで残り10kmを切った。
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ところが駅へ向かって走っていると、道路脇に「カレーラーメン」の文字を発見した。カレーラーメンといえば室蘭のご当地グルメである。先ほどの豚串といい、何かと今日は室蘭の食べ物に共通点があるなと思いながら店の暖簾を確認すると、そこには「味の大王」の文字。まさか美唄で味の大王に出会えるとは。
懐かしい友人に偶然出会ったような気分になり、いそいそと自転車を止める。外観はバラックのようで、お世辞にもきれいとは言えない。しかし、こういう店ほど妙にうまそうな雰囲気がある。営業時間は11時から15時までとかなり短い。なぜなのかは分からない。
出てきたカレーラーメンを一口食べる。メチャクチャうまい。昼時だというのに客は自分以外にいなかったが、美唄へ来ることがあればまた寄りたいと思った。 -
店を出て数分走ると、美唄駅へ到着。これで4日間の自転車走行は終了である。荷物を外し、ホイールを外して、自転車を輪行袋へ収める。十勝帯広空港で袋から出した自転車を、今度は美唄駅で再び袋へ戻す。輪行袋に収まった自転車をホームへ運び、スーパーカムイを待つ。
美唄駅 駅
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今回の旅は、自分にとって初めての「海を見ない北海道自転車旅」になった。山が多いというだけで何となく敬遠していた内陸部だったが、実際に走ってみれば、十勝の広大な畑、狩勝峠、富良野の花畑、美瑛の丘、旭川、神居古潭、深川の水田、そして空知を貫く国道12号と、海岸線とは全く違う景色が次々に現れた。何より、狩勝峠を自転車で越えられたことが大きな自信になった。
美唄駅 駅
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今回新たに踏破したのは、ピンク色で着色した、帯広市、芽室町、清水町、新得町、南富良野町、富良野市、中富良野町、上富良野町、美瑛町、旭川市、深川市、滝川市、砂川市、奈井江町の14市町村(黄緑色の美唄市は以前の月形ツーリングで走破済みなので、今回の新規には含まれない)。スタート時点の75市町村から、これで89市町村を走破。旧212市町村の42.0%まで来た。
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まだまだ先は長い。しかも走破済みの市町村が増えるほど、残った町だけを効率よくつなぐルート作りは難しくなっていく。飛行機や鉄道を使った輪行もうまく組み合わせながら、一つずつ地図の空白を埋めていきたい。また来年の夏も、北海道を走りに来られるだろうか。
総走行距離 85.374km
最高時速 51.7km/h
平均時速 21.2km/h
総走行時間 4時間00分27秒
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4.0
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