箱根旧街道を歩く　箱根湯本（三枚橋）から箱根関所まで

2025/11/15 - 2025/11/15

　暑さが落ち着いたら一度歩きたいの考えていた旧東海道の箱根超え。週末と雨が重なり延び延びになっていましたが、11月になってようやく晴れたので相方と二人で歩きました。

　箱根旧街道は、箱根峠を境に小田原側を東坂、三島側を西坂と言い、それぞれ四里あり合わせて通称「箱根八里」と言われる難所。その中で歩きたいのは東坂。石畳が残っている道だけ歩くという選択もありますが、今回は箱根湯本駅近くの三枚橋から箱根関所まで歩くことにしました。

　参考　箱根旧街道（石畳）コース　神奈川県
　　　　https://www.pref.kanagawa.jp/documents/76337/55.pdf
　　　　東海道　箱根八里散策地図
　　　　https://www.hakone-hachiri.jp/img/wp-img/190326map.pdf

エリア 芦之湯・大平台・宮城野(神奈川)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• グルメ: 4.0
• 交通: 4.0

• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 高速・路線バス 私鉄 徒歩

小田原駅には7時30分着。

小田原駅 駅

まず腹ごしらえ。小田原ラスカにあるトレタッテでモーニング。スクランブルプレートと相方はピザトーストセット。

トレタッテ グルメ・レストラン

箱根登山バス　小田原駅8時05分発箱根町港行きに乗車。

箱根登山バス 乗り物

三枚橋バス停下車。ここで準備し、

箱根登山バス 乗り物

8時39分、三枚橋から出発。

旧東海道（県道732号）を歩いてゆきます。歩道がなく、車、バスも通るので注意しながら。この通り沿いにも温泉旅館が立ち並び、箱根の温泉宿の裾野の広さを改めて感じます。

まだ日は当たっていませんが、紅葉もそろそろ見頃でしょうか。

脇道に猿沢の石畳。

旧東海道石畳 名所・史跡

江戸幕府は延宝八年（1680）箱根旧街道に石を敷き、

旧東海道石畳 名所・史跡

この先から255ｍはその面影が残っています。

旧東海道石畳 名所・史跡

県道に戻ってすぐ、階段を下りたところにある箱根観音を参拝。

箱根観音 (大慈悲山福寿院) 寺・神社・教会

戻って歩き出すとすぐ「観音坂」。山の色づきに心が和む。

地名が葛原で現在もクズの葉が生い茂っている「葛原坂」に差し掛かると、紅葉が一層綺麗。須雲川自然探勝歩道を横目にさらに上る。

箱根大天狗山神社は立ち寄る時間はないので、ここで失礼します。
この辺りの急な坂道は難所の一つ。馬に乗った女性がこの付近で落馬し亡くなった事から「女転し坂」と言われています。

箱根大天狗山神社 寺・神社・教会

程なく「割石坂」。曽我五郎が富士の裾野に仇討ちに向かう時、腰の刀の切れ味を試そうと路傍の巨石を真っ二つに切り割ったところと伝えられているそうです。

割石坂 名所・史跡

坂の名の由来になっている逸話が意外と面白く、江戸時代に思いを馳せながら登る。

旧東海道沿いの紅葉も見事な色づき。

大澤坂石畳は整備工事のため2026年2月27日まで通行止め。残念！

大澤坂石畳 名所・史跡

畑宿に入ると畑宿本陣跡と旧茗荷屋庭園跡。畑宿は江戸時代中期に宿場として栄えた集落。畑宿の名主茗荷屋畑右衛門の庭は、山間から流れる水を利用して滝を落とし、池には鯉を遊ばせた立派な庭園で、当時の旅人たちの評判になったそうです。

畑宿本陣茗荷屋跡 名所・史跡

標柱がある場所を曲がると、

畑宿一里塚。畑宿の一里塚は江戸日本橋から数えて23里目に当たるもので、明治以降一部が削られるなど江戸時代の姿は失われてしまいましたが、発掘調査と文献調査の結果を基に復元整備を行い箱根町の中では唯一往時の様子を現代に伝えるものです。

箱根旧街道 畑宿一里塚 名所・史跡

ここからはしばらく石畳。やはり石畳を歩くと、俄然旧東海道を歩いているという気分になります。

西海子坂 名所・史跡

この二町あまりの登りの坂道は「西海子坂（さいかちざか）」。かつて付近に西海子の木があったためその名がついたそうです。
しばらくすると、県道732号に出る。

西海子坂 名所・史跡

箱根旧道七曲りは上り勾配10.1％。振り返ると七曲りのS字カーブ、奥に箱根新道（国道1号）が見える。

橿木坂 名所・史跡

紅葉は美しい。

橿木坂 名所・史跡

七曲りの途中から旧東海道は直登。江戸時代、東海道一の難所された箱根八里において、多くの旅人が苦しんだのがこの「橿木坂（かしのきざか）」。歌も残っており
『橿の木の　さかをこゆればくるしくて　どんぐりほどの　涙こぼるる』

橿木坂 名所・史跡

涙はこぼれませんが、確かにこの辺りが一番苦しく、急階段が続く。休み、休み登り、

橿木坂 名所・史跡

登りきってもまた階段。相方は思わず声を上げるが、まあゆっくり登りましょう。

橿木坂 名所・史跡

見晴茶屋直下にベンチがあり一休み。5分ほど休んで出発。

「猿滑坂（さるすべりざか）」をのぼります。

猿滑坂 名所・史跡

『新編相模国風土記稿』には「殊に危険、猿猴といえども、たやすく登り得ず、よりて名とす」と難所らしい坂の名の由来が書かれています。

猿滑坂 名所・史跡

県道732号を歩道橋で横断。この辺りの紅葉もピークで綺麗ですね。

猿滑坂 名所・史跡

ゆるやかな「追込坂」を上りきると、箱根旧街道休憩所（資料館）。

箱根旧街道資料館 美術館・博物館

横には有名な甘酒茶屋。12時07分着。ここで休憩しましょう。土曜日ということもあり大変賑わっています。

甘酒茶屋 グルメ・レストラン

注文したのは甘酒×2、力餅のいそべと黒胡麻きなこ餅。餅はもう少し柔らかい方が好みですが美味しい。甘酒は麹のやさしい甘さが疲れた体に染みます。

甘酒茶屋 グルメ・レストラン

しかも甘酒茶屋の周りの紅葉が素晴らしく、

甘酒茶屋 グルメ・レストラン

この鮮やかさ。甘酒をすすりつつ見る紅葉もいいですね。

甘酒茶屋 グルメ・レストラン

12時47分出発。甘酒茶屋、駐車場の裏の道を進みます。
この辺りは関所破りを試みた「玉」という女性が捕まった場所であることから「於玉坂」と呼ばれています。

県道を超えると、看板があり再び石畳の道。「白水坂（しろみずざか）」と呼ばれています。秀吉の小田原攻めで、北条方が双子山中腹から石を落とし撃退したことから、城を見ずに引き返したということで「城見ず坂」になったそうです。

旧東海道石畳 名所・史跡

道幅も広く箱根旧街道ではこのあたりが一番風情があります。
さらに上ると「天ヶ石坂」。道の右に坂名の由来となった天蓋石と呼ばれる8尺(2.4m)四方の巨石があります。

旧東海道石畳 名所・史跡

箱根旧街道の最高地点を超え、下り始めると「権現坂」。小田原から箱根路をのぼる旅人が一息つくのがこの場所です。

権現坂 名所・史跡

さらに下っていくと「史跡　箱根旧街道」の石柱。

権現坂 名所・史跡

墓地と興福院の間を下り、ようやく芦ノ湖畔に。

興福院の紅葉も見事でした。
芦ノ湖沿いに国道1号を歩く。雲が多く富士山は見えず。

興福院 寺・神社・教会

箱根旧街道杉並木へ。

箱根旧街道杉並木 名所・史跡

1618年(元和4）幕命によって川越城主・松平正綱が植林したと伝えられています。樹齢約370年くらいたっており、立派な杉が立ち並ぶ。趣がありいい雰囲気です。

箱根旧街道杉並木 名所・史跡

14時04分、ゴールの箱根関所に到着。お疲れ様でした。

箱根関所 名所・史跡

ここまで来たので関所を観光。足軽番所。昼間は足軽が控えていたり、夜は足軽が寝ていた場所です。建物内には足軽のための部屋や休息所、不審な武士などを留め置く「揚屋（あがりや）」などがあります。

箱根関所 名所・史跡

階段を上り、遠見番所へ。

箱根関所 名所・史跡

ここからは芦ノ湖が一望。足軽が昼夜を問わず交代で、芦ノ湖や街道沿いを見張っていた場所。

芦ノ湖 自然・景勝地

向かい側にある大番所・上番休息所。勝手板の間（右上）、面番所（左下）。部屋の前の縁側では、「出女」の取調べが行われていました。面番所の鴨居には槍や刀が掛けられていました。
さて今回行きたかったところは全て行けたので帰りましょう。

箱根関所 名所・史跡

箱根関所跡バス停から伊豆箱根バスに乗車。14時55分発。

伊豆箱根鉄道バス 乗り物

小田原駅に戻り、無事帰路に就きました。

　一度は歩いてみたいと思っていた箱根旧街道。今回歩いたコースをアプリで確認すると三枚橋は標高89ｍで箱根旧街道の最高点は805ｍなので、ハイキングというよりは低山に登るくらいはあります。ですがテレビ等で紹介される箱根の表舞台とは違った箱根を見ることができたのは収穫。そして坂の名の由来になった逸話が切ないものからユニークなものまであり意外と面白かったです。紅葉も楽しめたのは今の時期ならでは。疲れましたが楽しい1日になりました。

小田原駅 駅