五台山と牧野植物園

2025/03/14 - 2025/03/16

なんとなく雨の降りそうな空だ。
絵金蔵とか、北川村の「モネの庭」に足を伸ばすという選択肢もあったが、空模様が怪しいので、高知市内を回ることにしよう。
五台山で竹林寺と牧野植物園。
その後は龍馬の生まれたまち記念館だ。

エリア 高知市(高知)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 旅行の手配内容: 個別手配

滞在しているドーミーイン高知からはりまや橋を目指すと、途中に「東洋電化中央公園」がある。元々は高知市中央公園だったが、市内の東洋電化がネーミングライツを買い取り昨年からこの名前になった。
その一画に、立志社跡の碑がある。
立志社は、板垣退助が設立した政治結社。高知の士族や農民たちが参加し、国会の開設や言論の自由を求め、自由民権運動の中心的な役割を果たした。
「自由は土佐の山間より出づ」の石碑には、土佐人の気概と誇りがこもっている。

立志社跡の碑 名所・史跡

ほどなく、札幌時計台、オランダ坂とともに「日本三大がっかり名所」に数えられるはりまや橋。

はりまや橋 名所・史跡

坊さんかんざし買うを見たとよさこい節に歌われるお馬さんと竹林寺の僧純信の恋愛。純信が買ったかんざしの代金は寺の金を遣い込んだもの。
ふたりは駆け落ちしたが捕らえられ、お馬さんは別の男と結婚することになり、純信は僧籍をはく奪され、讃岐で幽閉されるなどするうち、行方知らずとなった。

はりまや橋 名所・史跡

はりまや橋の駅前からの大通りを挟んだ反対側に南国土佐を後にしての歌碑。
この歌の元となったのが、土佐鯨部隊と呼ばれた高知出身の兵士たちに歌い継がれた歌だ。この部隊は中国大陸に派遣され、一度も内地の土を踏むことなく7年にわたり戦い続けた。単なる流行歌と受け止めていたが、その裏には切実な戦争の悲しみが隠れていたのだ。

南国土佐を後にしての歌碑 名所・史跡

はりまや橋のバス停から一日乗り放題の「My遊バス」で五台山を目指す。

はりまや橋停留場 (はりまや橋駅) 駅

五台山公園に昇ったら、ここにも南国土佐を後にしての歌碑があった。
それほど県民に愛されているんだ。

五台山公園 自然・景勝地

ライオン宰相と呼ばれた高知出身の総理大臣浜口雄幸の銅像があった。
昭和初頭の関東大震災不況と世界大恐慌の中で、経済立て直しに尽力する中、東京駅ホームで狙撃された浜口雄幸は、命はとりとめたものの、長期の療養を余儀なくされた。
しかし、浜口政権に対する野党政友会からの攻撃は激しく、浜口は病をおしての国会出席を余儀なくされる。
よろめきながら、かつ傷口から膿を出しながらの、答弁の無理がたたり、狙撃されてから９か月後に惜しまれながら死去した。

濱口雄幸像 名所・史跡

五台山の頂上には木製の展望台があった。

五台山公園 自然・景勝地

曇りがちの天気でちょっと見づらいけど、近景に流れる鏡川、遠景の四国山地の間に高知の町が広がっている。
中央には高知城とそこからつながる大手筋や帯屋町の商店街がある。

五台山公園 自然・景勝地

五台山公園から土塀沿いの階段を下りていくと、四国八十八か所三十一番霊場の竹林寺。

竹林寺 寺・神社・教会

そもそもこの山を五台山と呼ぶのは、竹林寺の山号に由来する。
中国仏教の聖地であり、文殊菩薩の浄土とされる五台山に倣おうとして行基が開山したのがこの寺なのだ。

竹林寺 寺・神社・教会

したがって、この寺のご本尊も、中国山西省の五台山と同じ文殊菩薩である。

竹林寺 寺・神社・教会

文殊菩薩の弟子である善財童子は、悟りを深め旅に出る。
53人の善知識を訪ね歩き、最後に普賢菩薩のもとで悟りを開く。
この53人という数に合わせ東海道五十三次が定められたという。
文殊菩薩と普賢菩薩は、仏教ではいつも次いで扱われる知恵を司る仏ペアである。

竹林寺 寺・神社・教会

竹林寺には高知県唯一の五重塔がある。

竹林寺 寺・神社・教会

八十八か所の札所には、必ず本堂とともに大師堂がある。
訪れた巡礼は、その両方にお参りし、蠟燭を灯し真言を唱える。
竹林寺の大師堂には「なで五鈷杵（ごこしょ）」と「御手綱」が置かれていた。
五鈷杵は、独鈷杵、三鈷杵などと同様、密教で使われる法具。
御手綱は弘法大師とのつながりの象徴。五鈷杵を撫で、御手綱をつかむことで大師様とつながっている自分を感じ取ることができる仕掛けだ。

竹林寺 寺・神社・教会

竹林寺を開いた行基が、本尊の文殊菩薩を彫った桜の木の余りを土に埋めたところ根付き花を咲かせたとして「根桜」と呼ばれるようになったとの伝説。
その根桜の傍らにあった地蔵菩薩。秋に孫が生まれるので安産を祈願を念入りに。

竹林寺 寺・神社・教会

日吉神社の前に、苔むして歴史を感じさせる子連れの狛犬。
阿形の雌は安産を願い、吽形の雄は子育てを司る。
これは阿形だね。

竹林寺 寺・神社・教会

納経所の横から外に出ると、そこは県立の牧野植物園の中門がある。
文化勲章も受章した牧野富太郎は高知県出身だ。

牧野植物園 公園・植物園

中門から入って少し下ると温室がある。

牧野植物園 公園・植物園

この植物園には3000種を超える植物が集められている。

牧野植物園 公園・植物園

ここは蘭のコーナー。
目立つのは白い胡蝶蘭。
黄色いのはシンビジウム系ラン
他にもピンク色のオンシジウム系。
蘭に詳しいひとが見ると面白いのだろうな。

牧野植物園 公園・植物園

バニラの鞘。
触るとはじけそうだ。

牧野植物園 公園・植物園

屋外を歩いて行くと牧野富太郎の銅像。
右手に持っているのは何だろう？
巨大なキノコのようにも見えるが・・・。

牧野植物園 公園・植物園

展望台から眺めると五台山の植生が続いている。
日本植物学の父牧野富太郎博士は、子どもの頃からこの五台山で植物を採集して、植物学者としての第一歩を踏み出したと言われている。

牧野植物園 公園・植物園

牧野富太郎をモデルにしたドラマ『らんまん』がNHK連続テレビ小説として放送された。その中でも紹介されていたのが「スエコザサ」。

牧野植物園 公園・植物園

昭和のはじめ、富太郎博士が仙台で発見し、妻の寿衛子の名をつけた。
花を贈るのではなく、植物に名を刻むというプレゼントの形は、シーボルトがアジサイに妻のお滝さんの名前「オタクサ」を付けたケースと同様、一般人には真似られないパターンだ。

牧野植物園 公園・植物園

東京・練馬の住居にあった牧野富太郎の書斎は、膨大な量の書籍や資料で埋め尽くされており、友人たちから「マキノの部屋は狸の巣だ」と噂されるほどだった。
それらの資料はこの牧野植物園に寄贈され、博士の書斎として再現されている。

牧野植物園 公園・植物園

足の踏み場がないくらい資料があふれていたにもかかわらず、富太郎はどこに何があるかはっきり認識していたといわれている。

牧野植物園 公園・植物園

出口の手前の桜は満開だった。
今年の初桜は2025年3月中旬だ。

牧野植物園 公園・植物園

こちらはツバキ科の常緑樹ヒサカキ。
小さくて白い壺状の花がたくさん咲いており、可憐で控えめな印象を与える。

牧野植物園 公園・植物園

牧野植物園を出るころには、あいにくの雨が降り始めてきた。
My遊バスで帯屋町に戻ってきた。
東洋電化中央公園に隣接した、5019 PREMIUM FACTORY。

5019 PREMIUM FACTORY グルメ・レストラン

若い女性たちがやっているハンバーガーの店だ。
せっかくグルメで、バナナマンの日村さんも立ち寄っている店だ
これはテリヤキチーズバーガー。

5019 PREMIUM FACTORY グルメ・レストラン

アボカドのスライスがたっぷり入ったアボカドバーガー。

5019 PREMIUM FACTORY グルメ・レストラン

一旦ホテルに戻り、雨が止むのを待ってから、ひとりで龍馬の記念館を見に来た。
幸いMy遊バスは乗り放題。上町一丁目までやってきた。歩道には舵輪の中に龍馬の写真。傍らにはベンチが備えられている。
ベンチの背もたれには坂本家の家紋である「組み合い角に桔梗紋」。

坂本龍馬誕生の地 名所・史跡

ベンチに面して「坂本龍馬先生誕生v比」の碑が立っていた。

坂本龍馬誕生の地 名所・史跡

電車通りから一本裏に入ると、道に水路が走っている。

高知市立龍馬の生まれたまち記念館 美術館・博物館

この水路の水は旧幕時代は浄水として使われていた。
食器や野菜を洗うな、ゴミや汚いものを流すな、水路にものを漬けっぱなしにしてはならない。こんなお触れが出ていた。
この界隈には細工町とか紺屋町の地名も残っている。
上水道にとどまらず、下流では染物業、醸造業、製紙業などの産業用水にも活用されたのだろう。

高知市立龍馬の生まれたまち記念館 美術館・博物館

下級武士と郷士と町人や職人も住んでいたそんな一画が龍馬が生まれ育った町だ。
「高知市立龍馬の生まれたまち記念館」がここにある。

高知市立龍馬の生まれたまち記念館 美術館・博物館

入り口で出迎えてくれるのは、いつもおなじみの袴に拳銃を挟み込んだ龍馬像。

高知市立龍馬の生まれたまち記念館 美術館・博物館

この記念館は、地域のコミュニティセンターと展示施設が同居しているという珍しいパターンの複合施設。

高知市立龍馬の生まれたまち記念館 美術館・博物館

姉の乙女や、同じ町内に生まれた幼馴染で海援隊の仲間になる近藤長次郎などの銅像があった。

高知市立龍馬の生まれたまち記念館 美術館・博物館

前後左右の壁面をスクリーンとした「バーチャル４面シアター」などで展示の工夫を凝らしている。

高知市立龍馬の生まれたまち記念館 美術館・博物館

さて夕食。
「炭火焼鳥居酒屋 こっこ亭」の人気が高いので、開店と同時に訪れたが、今日は予約で満員と断られた。
そこで道を挟んで斜め前にある「焼鳥せいわ」へ。

焼鳥せいわ グルメ・レストラン

家族でやっているらしい年季の入った渋い店。
案外いいんじゃない。

焼鳥せいわ グルメ・レストラン

お品書きも昔ながらだ。

焼鳥せいわ グルメ・レストラン

とりあえず焼き鳥盛り合わせ。

焼鳥せいわ グルメ・レストラン

土佐ジローの手羽先。
高知に来たからには土佐ジローは必食アイテムだ。

焼鳥せいわ グルメ・レストラン

なんこつつくね焼。
卵黄に着けながら楽しむ。

焼鳥せいわ グルメ・レストラン

豚バラ串。
高知の焼き鳥は鶏肉がメインだが、豚や牛、さらにはクジラといった多彩な食材が使われることもある。

焼鳥せいわ グルメ・レストラン

ホテルに戻って、シメはドーミーインの夜泣きそば。

天然温泉 紺碧の湯 ドーミーイン高知 宿・ホテル

風呂に浸かって明日は帰宅する。

天然温泉 紺碧の湯 ドーミーイン高知 宿・ホテル

日曜に帰る日程にしたのは、久しぶりに日曜市を覗いてみたかったから。
残念ながら細かい雨に祟られた。
若いころ、一升瓶に入った手作りのゆず果汁を買って帰ってことがあったなあ。

日曜市 市場・商店街

おお、はしまきがあった。
お好み焼きを薄く伸ばして焼き、割り箸にくるっと巻いた屋台グルメ。
目玉焼きがどーんと乗ったタイプとか、マヨネーズ＋海苔＋錦糸卵をトッピングした豪華版とか、ソースと青のりの王道スタイルとか。
手前のバットには 錦糸卵と刻み海苔 がどっさり用意されている。

日曜市 市場・商店街

値札には「土佐文旦」「ハヤシ文旦」「今が旬！」と書かれている。
春を感じさせる柑橘類なんだ。

日曜市 市場・商店街

花屋の屋台も春を感じさせてくれる。

日曜市 市場・商店街

あったあった、100％のゆず果汁だ。
一升瓶は4500円。
安いのか高いのかわからん。

日曜市 市場・商店街

徳谷トマトは高知市の「徳谷地区」で栽培されるフルーツトマト。
台風で海水をかぶった畑でできたトマトが高い糖度と酸味が際立っていたことから、
評判となり、ブランド価値が生まれた。

日曜市 市場・商店街

生産者により品質の違いがあり、特に「No.52 栄田さん」のトマトが最高品質ということから、お土産として購入。

日曜市 市場・商店街

雨の日曜市を早めに切り上げ、ホテルをチェックアウト。
はりまや橋のバス停から空港リムジンで帰宅の途に就く。

はりまや橋商店街 市場・商店街