清流四万十へ

2025/03/13 - 2025/03/14

『最後の清流』とも呼ばれる四万十川。
高知龍馬空港から高知市に出て、昼食を摂ってからあしずり5号で四万十市の中村にむかい一泊。
翌日午前中に四万十川の遊覧船を楽しんだ後、高知市に戻った。
高知・中村間の鉄道は片道115キロ。往復チケットならジパング倶楽部で3割引きとなるだろうとみどりの窓口に買いに行ったら、途中の窪川まではJR四国だが、窪川から中村は「土佐くろしお鉄道中村線」という第三セクターなのでジパング倶楽部の対象にならないとのことだった。

エリア 中村・四万十川周辺(高知)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 5.0
• 交通: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 高速・路線バス JR特急
• 旅行の手配内容: 個別手配

富士山がきれいに見えるとなぜか得した気分になる。

高知龍馬空港到着。

高知空港（高知龍馬空港） 空港

空港の貨物カートに積まれたJAL CARGOの輸送用コンテナ。
トルコ桔梗が航空便で出荷されるようだ。
高知の特産品のひとつで、この花のシェアは高知県が全国の25％程度を占めている。

高知空港（高知龍馬空港） 空港

今日は四万十市にはいるが、鉄道との接続の関係で高知市内で2時間ほど時間ができた。
食事をするなら、駅に行くよりはりまや橋周辺だろう。

ひろめ市場 グルメ・レストラン

帯屋町を通ってひろめ市場にやってきた。

神 ひろめ店 グルメ・レストラン

ちょうど昼時とあって観光客も多い。

やいろ亭 グルメ・レストラン

ひろめ市場の名前は、土佐藩の家老を務めた深尾弘人（ふかお ひろめ）に由来している。
彼の屋敷があった場所にこの市場ができたのだ。

ひろめ市場 グルメ・レストラン

やいろ亭はひろめ市場を代表する居酒屋メニューの繁盛店で、地元客にも人気。
名物料理は、もちろんかつおのたたき（塩・ポン酢）、その他魚介料理が揃っている。

やいろ亭 グルメ・レストラン

高知といえば、軍鶏料理が有名、
龍馬も軍鶏鍋が好きだったという言い伝えがある。
「寺田屋事件」の夜、龍馬は近くにあった「鶏屋」という店で軍鶏鍋を食べようとしていたといわれている。

ひろめ市場 グルメ・レストラン

「屋台と餃子とビールは高知の文化です。」と力強いメッセージを掲げているのは、高知を代表する餃子の安兵衛のひろめ市場店。
安兵衛の餃子の特徴は、一口サイズでカリッとした皮。テント張りの屋台の本店は、夕方になると人が集まり、いつも満席らしい。

ひろめで安兵衛 グルメ・レストラン

ランチに選んだのは鍋焼きラーメン。

ひろめ市場 グルメ・レストラン

本来は高知市より西に行ったところにある須崎市のご当地グルメだ。

ひろめ市場 グルメ・レストラン

戦後まもない頃に、須崎市で誕生したと言われている。
ラーメンを土鍋で煮込むという、全国的にも珍しいスタイル。
土鍋で煮込むことで、スープが冷めにくく、アツアツの状態で食べられるのが最大の魅力。

ひろめ市場 グルメ・レストラン

鶏がらベースの醤油味スープと、少し硬めのストレート麺が特徴。
具材は、ちくわやネギ、生卵を落とすのが定番。特に、ちくわを入れるのが須崎流。

ひろめ市場 グルメ・レストラン

やいろ亭と並ぶカツオのタタキの評判店が明神丸。

明神丸 ひろめ市場店 グルメ・レストラン

店頭で藁焼きの実演をしていることから観光客に人気で、やいろ亭が地元のリピーターが多いのに対し、観光客に人気の店だ。

明神丸 ひろめ市場店 グルメ・レストラン

特にインバウンド客は大喜びだ。

明神丸 ひろめ市場店 グルメ・レストラン

塩味のタタキがこの店のおすすめらしい。
高知に来たらばこれを食べなくちゃ。

明神丸 ひろめ市場店 グルメ・レストラン

ひろめ市場の隣。高知城の堀端に高知県立高知城歴史博物館。
おしゃれな外観だ。

高知城歴史博物館 美術館・博物館

さてさて、駅に向かおう。
駅前広場には、武市半平太、坂本龍馬、中岡慎太郎の三偉人像。

高知駅前停留場 駅

さらに駅前の観光案内所にも坂本龍馬。

高知観光情報発信館 とさてらす 名所・史跡

高知から中村駅までは4枚つづりの回数券を買うと得だと、みどりの窓口のアドバイス。
よしそれで行こう。

高知駅 駅

3時半を回って中村駅着。
中村は「土佐の小京都」と呼ばれている。
五摂家のひとつで摂政・関白を務める家柄の一条家は、応仁の乱の混乱から逃れ、自家の荘園のあったここ中村に本拠をうつした。
年を経て、豊臣秀吉による四国攻めが迫る中、京都に戻った。
この経緯から中村には公家文化の香りが根付いている。

中村駅 駅

ステイするのはホテルサンリバー四万十。

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

駅から少し外れるが、シンプルで気分のいいビジネスホテル。

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

IT化も進んでおり、

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

チェックインチェックアウトは自分で手続きする方式。

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

このホテルと広い駐車場を共有しているのは、「物産館サンリバー四万十」という特産品を並べた店。
同じ敷地内にファミリーマートもあり、ワンストップで買い物も終了する。

物産館サンリバー四万十 お土産屋・直売所・特産品

物産館サンリバー四万十に入ってみよう。

物産館サンリバー四万十 お土産屋・直売所・特産品

さすが高知だ、ゆず商品がいろいろ並んでいる。
ゆずぽん酢、ゆずドレッシング、ゆずこしょう、ゆず飴、ゆず茶。
加えてゆずを使ったお菓子類。
ゆずのパウダーや調味料。

物産館サンリバー四万十 お土産屋・直売所・特産品

夕食をとろうと街に出た。駅まで10分ほど歩き、停まっていたバスに乗り込む。
足摺岬まで行くバスだ。
発車まで時間があったのでドライバーとおしゃべり。
30代だが、友達はみな都会に出てゆき、この辺りにはほとんど残っていないという。
街の中心部でバスを降りる。
高知県の総合庁舎の前にあったのは「四万十川の水」というモニュメントらしい。

幸徳秋水の墓 名所・史跡

予約していた居酒屋は「喜八」

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

入り口に今日のおすすめメニューが掲げられていた。
刺身の種類も多いし、天ぷらやなべ物からお茶漬けまでそろっている。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

ぐるなびの居酒屋百名店に名を連ねている店だ。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

近くの土佐清水は四国を代表する海産物の水揚げ港。
冷蔵ケースの中には大ぶりの魚が並んでいる。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

さてどうするか。
やはり、新鮮な刺身だろう。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

刺身の盛り合わせのつもりで、いくつかの魚を頼んだら、
ところが別オーダーと受け止められたらしく、刺身の盛り合わせの他に、いくつかの単品の刺身を作り始めてしまった。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

最初は川海苔の天ぷら。
磯の香りが口いっぱいに広がり、サクサクとした衣の食感がたまらない

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

刺身の盛り合わせは、カツオと鯛。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

こちらはハガツオの刺身。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

イカの刺身。
オーダーを間違えたせいで、刺身のオンパレードだ。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

おっとっと、そんなに食べられないよ。
カウンターの上は刺身だらけ。
刺身の準備を途中でストップしてもらった。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

意外だったのはさきイカの天ぷら。
生れてはじめて食べるのだが、さきイカと思えないふくよかな味わいでしっかりイカの味を保っている。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

串カツも旨かった。ネギがとろりとしていて最高。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

カウンターで隣り合わせたのは、東京の渋谷区から来たという夫婦。
レンタカーで回っているが、この店にはホテルの自転車を借りてきたという。
そんな手があったのか。

居酒屋 喜八 グルメ・レストラン

翌朝の朝食はホテルのメインダイニング。

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

この時間帯はまだ利用客は少ないようだ。

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

「ワンコイン朝食バイキング 500円」
最近では珍しい廉価な値付けだ。
「四万十市で採れた新鮮野菜」とあり、地元の食材がアピールポイントと見える。

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

土佐清水市の漁港で水揚げされた「清水さば」は高品質なゴマサバでブランドとなっている。
一本釣りの漁法で、魚にストレスを与えず、鮮度を保つ努力をしている。

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

こちらは、鯖と並ぶこの土地の名物「わら焼き鯖のたたき」。
500円で焼き鯖も鰹のタタキも食べ放題というのはありがたい。

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

ダイニングの入り口には子どもの文字で、おすすめ食材のアピールポイントが掲げられていた。
子どもを持つビジネスマンはじんわりするんだろうな。

ホテルサンリバー四万十 宿・ホテル

四万十観光は「幡多広域観光協議会」という社団法人が主催しているチャータータクシーを利用した。
沈下橋散策と屋形船乗船を含んだ2時間半のコースだ。

四万十トンボ自然公園 公園・植物園

8時半にホテルに迎えに来てくれたタクシーが最初に連れて行ってくれたのは四万十川の右岸の河川敷にひろがる1,000万本の菜の花畑。
ああ、春だなあ。

四万十トンボ自然公園 公園・植物園

四万十川の屋形船はいくつかの会社が運営している。
幡多広域観光協議会は不公平にならないよう、順番に運営会社を割り当てているようで、我々の予約が入っているのは「さこや」という屋形船。

さこや遊覧船 乗り物

レビューをチェックすると2つの沈下橋をくぐる唯一の屋形船とある。
この時間帯の乗客はわれわれ夫婦だけだ。

さこや遊覧船 乗り物

さこやがあるのは佐田沈下橋のすぐ上流。
出航してすぐ佐田沈下橋の下をくぐる。
橋の上をセダンが走っていた。

佐田沈下橋 名所・史跡

この舟の船頭はともかくおしゃべり。
思い込みが激しく、上から目線の解説にやや辟易した。

佐田沈下橋 名所・史跡

曇りがちで、もう少し日射しが欲しいところ。
光の具合で川の色も変わるだろう。
ともあれ、波静かで揺れが少ないことはありがたい。

三里の沈下橋 名所・史跡

四万十川の沈下橋は本流だけで22橋あるそうだが、今回くぐるのは２橋。
ふたつめが三里の沈下橋だ。
歩行者が橋を渡っていた。

三里の沈下橋 名所・史跡

風がやむと瀞の水面が鏡となって空や山を映し出す。
穏やかだ。

さこや遊覧船 乗り物

日本中の川が護岸工事のためコンクリートだらけになっている中、自然の堤は心安らぐ。

さこや遊覧船 乗り物

屋形舟は予定下船時刻をだいぶ回って終了。
待機していたタクシーは、さこやは時間がルーズと不平を漏らす。
途中でタクシーを下車し佐田沈下橋を歩く。

佐田沈下橋 名所・史跡

山中の見晴らしエリアから四万十川を見下ろすと、三里の沈下橋がみえた。

三里の沈下橋 名所・史跡

三里の沈下橋は、観光客が比較的少なく、地元の人々の生活道路として使われている。
そのため、静かで穏やかな時間が流れており、四万十川の自然をじっくりと感じることができる。

三里の沈下橋 名所・史跡

実際に三里の沈下橋で降りて橋を渡る。

三里の沈下橋 名所・史跡

風もないので不安感はないが、風雨の強い時期に橋を渡るには勇気が要りそうだ。

三里の沈下橋 名所・史跡

タクシーはわれわれが渡り切るのを橋の向こうで待っていてくれる。
高知に向かうあしずり８号は11:13中村駅発だ。
駅に急がねば。

三里の沈下橋 名所・史跡

川からずいぶん上がった丘の上にあった洪水注意の電柱表示。
大きな台風が来ると、こんなところまで水位が上がるんだ。
新鮮なオドロキ。

四万十川 自然・景勝地

よし、時間前に中村駅に到着した。
駅前ロータリーには川遊びする少年のストリートアート。
足許には四万十川に遊ぶ鮎だろうか、太平洋を泳ぎ回る鯵だろうか。
懐かしい夏の一日のスナップが飾られていた。

中村駅 駅

高知に戻ってきた。
鰹や鯖の刺身やタタキばかり食べてきたので、洋食が食べたくなった。
はりまや町にある青い扉が印象的なこの店は、フランス語でクジラのしっぽを意味する「クー・ドゥ・バレーヌ」。

はりまや横丁 グルメ・レストラン

シェフが鉄板を使って創作料理を提供してくれる。

はりまや横丁 グルメ・レストラン

熱々の野菜スープ。

はりまや横丁 グルメ・レストラン

サラダは郊外の春野町でシェフの両親が自家栽培している野菜を活かしたもの。

はりまや横丁 グルメ・レストラン

ぼくのメインはアマダイのムニエル。
バルサミコのソースで味を引き締めている。

はりまや横丁 グルメ・レストラン

妻は鉄板焼きハンバーグランチ。
合い挽き肉と生の千切り玉ねぎを鉄板で焼き上げたもの。

はりまや横丁 グルメ・レストラン

日曜市の開かれる大手筋にあるオーテピアは図書館や科学館が入った複合文化施設。
素敵な図書館だ。中高生が勉強に励んでいた。
波木の木立の先に高知城がそびえたっていた。

オーテピア 名所・史跡

オーテピアの正面には高知県立高知追手前高等学校。

オーテピア 名所・史跡

オーテピアにあった寺田寅彦像。
夏目漱石の門下生として愛された高知出身の物理学者で、随筆家としても知られている。
台座に刻まれた彼の口癖「ねえ君、不思議だと思いませんか」は、身近な出来事の中にこそ科学的な真理が隠されていると考え、科学する心を育てようとした彼の哲学を示している。

オーテピア 名所・史跡

大手筋のらーめん チョンマゲの角を帯屋町の方に曲がれば今夜の宿ドーミーイン高知だ。

らーめん チョンマゲ 高知本店 グルメ・レストラン

チェックインして驚いた。
ダブルベッドはいいとしてとんでもなく狭い部屋。
こんなところでは息が詰まると、ホテル替えを含め検討。
広めのツインの部屋が空いているということで、追加料金を払って部屋を移動。

天然温泉 紺碧の湯 ドーミーイン高知 宿・ホテル

やれやれ、ひと風呂浴びて疲れを癒やそう。

天然温泉 紺碧の湯 ドーミーイン高知 宿・ホテル

「かもん亭」はひと月前の予約開始と同時に満席となってしまう地元の人気店。
ここも事前に予約していた。

かもん亭 グルメ・レストラン

突き出しに出されたのは鹿肉のパテ。
グラスに入れられた柑橘系のソースに浸しながら食べる。
突き出しが鹿とは驚きだ。

かもん亭 グルメ・レストラン

カウンターの上には大皿のおばんざい。
大根とベーコンの煮物だ。

かもん亭 グルメ・レストラン

壁にかかったおしながきを見ると、見慣れぬ料理が。
「ヤケドの一夜干し」ってなんだ？

かもん亭 グルメ・レストラン

出てきたのは「やけど」と呼ばれる深海魚。
釣り上げると皮が爛れることからこの名がついた。
分類学的には「ハダカイワシ」にあたるらしい。
味はししゃもに近い。

かもん亭 グルメ・レストラン

とうもろこしのかき揚げ。
玉ねぎ や 青ねぎ、にんじんの細切り なども含まれている。

かもん亭 グルメ・レストラン

続いて牛すじ煮込み。焼いたニンニクの芽が添えられている。

かもん亭 グルメ・レストラン

どの料理も工夫に溢れ、安くて美味くて量も充分。それと知らず頼みすぎて余らせてしまった。

かもん亭 グルメ・レストラン

ここは高知のオジサンオバサンの聖地だな。

かもん亭 グルメ・レストラン