
2024/09/23 - 2024/09/30
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bunkichiさん
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ド素人ながらアールヌーヴォー様式を中心にこれまでヨーロッパ各地の建築めりをしてきましたが、今回はマジャール文化が溶け込んだ独特の建築が拝みたいとハンガリー、ドイツをウロウロしてみました。
最初に訪ねたブダペストは、前年訪ねたプラハ同様にバロック、新古典、ネオ・ルネサンス、ネオ・ゴシック、アール・ヌーヴォーなど多様な様式の建造物が建ち並び、建築好きにはたまらない都市です。
アールヌーヴォー建築に関しては、今も約1,000ほど残る、世界一アールヌーヴォー建築数が多い都市です。
有名建築を廻るだけでも大変なので、せめて「ハンガリーのガウディ」とも云われているレヒネル・エデンの建築だけでもとウロウロしてみました。
ちなみにレヒネル・エデン(1845~1914)は、元々は新古典主義の建築家で成功していたにもかかわらず、50歳を過ぎた頃から大きく転身し、素朴で粗いマジャールのモチーフとフランスの繊細な造形を融合させた、ハンガリーアールヌーヴォー建築の先駆者と云われる人物です。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
さて、どう廻るか.....
今回の旅行にあたり、事前に『BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI (ブダペストアールヌーボー建築)』のWebサイトを手に入れたものの数が多すぎます。
https://www.szecessziosmagazin.com/budapestmap.php
「世紀転換期のマジャール建築』によれば、ブダペストには、989棟のアールヌーヴォー 建築があり、建築数圧倒的ナンバー1都市だそうです。
とりあえず、ハンガリーのガウディとも云われているレヒネル・エデンの建築を廻り始てみました。
(ちなみにこの像はシンドバッドの物語の作家、ギュラ・クルディで、建築とは全く関係がありません) -
「地質学研究所(現:ハンガリー地質学・地球物理学研究所」【1897-1899】
スタジアム「プシュカーシュ・フェレンツ・シュタディオン」のすぐ近くにあり、ハンガリー最古の科学研究機関でもあります。
まるで『お伽話の宮殿』の様な外観ですが、《レヒネルのブダペスト三部作》の一つです。国立地質学研究所 建造物
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もともと歴史主義の建築家であったレヒネルですが、西ヨーロッパ各国から学んだ建築様式をベースに、ハンガリーの民芸やハンガリー人のルーツであるアジアの建築など、様々な要素を融合し、新しい『ハンガリー様式』を追求し、造り上げます。
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それが単にバラバラな寄せ集めに終わらなかったのは、当時流行していたアールヌーヴォー意匠を取り入れ、匠に融合させた事に他なりません。
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ファサードの漆喰仕上げの壁には、レンガの帯がツタの様に縁取られていす。
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当時の最新自然科学研究機関として建設された証なのか、ファサード上部には、古代生物の化石モチーフの装飾が施されていました。
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ジョルナイ工房の美しい模様の屋根瓦の上には、地球を支えている像が鎮座してました。
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(この他の建物外部装飾)
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=14&cim=stefania-ut-14&cimtxt=Stef%C3%A1nia%20%C3%BAt%2014 -
「トーネット・ハーズ 」【1888-89】
ブダペスト中心の繁華街ヴァーツィ通りに建つ、レヒネルの初期建築です。
この頃は、ヨーロッパの歴史主義様式に基づき、ゴシック風、ルネサンス風の意匠が施されています。 -
しかしながら、この頃から壁面の青いタイルには植物文様が施されています。
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2階バルコニーに繋がる鉄製のエントランスフレームには、錬鉄による繊細な植物モチーフの装飾が施され、新しい建設材料の組み合わせを行ってます。
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=05&cim=vaci-u-11a&cimtxt=V%C3%A1ci%20utca%2011/a -
「聖ラ-スロ教会」【1894-99】
ブダペスト中心から地下鉄・トラムで約30分程の郊外にあるカトリック教会です。
「レヒネルの独立した前近代建築」の一部としてユネスコ世界遺産候補リストに掲載されているらしいのですが、ほとんど誰もいませんでした。 -
建物外観のいたる所が細かな装飾で施されていることが分かります。
『使用材料: 赤い大理石、67種類の模様付きレンガ、色付き釉薬屋根瓦、ジョルナイ工房で作られた花崗岩の建物装飾』
【Szent László-templom (Kőbánya)】Wikipediaより -
レヒネルの最初の案は、ハンガリー人の遠い故地である東方の文化への憧れから、イスタンブールにビザンツ帝国時代に建てられたアヤソフィア大聖堂をモデルにした(中央に大ドーム 横から半ドームが支える)構想だったそうです。
しかし、市の建築局の要望により、ゴシック様式でつくられることになりました。 -
(色付き釉薬屋根瓦)
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(見事な壁の装飾①)
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(見事な壁の装飾②)
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ありがたいことに、ここは誰に止められることなく、普通に内部に入れます。
1階入口、ロビーの床は見事なタイルが貼られていました。 -
教会内の装飾には、特別な驚きは最初ありませんでしたが.....
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内側の主祭壇もすべてジョルナイ陶器で作られています。
w(°o°)w!! -
(カラフルなジョルナイ陶器)
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=10&cim=szent-laszlo-t-25&cimtxt=Szent%20L%C3%A1szl%C3%B3%20t%C3%A9r%2025 -
「ブダペスト工芸美術館」【1893-96】
ここは《レヒネルのブダペスト三部作》の一つですが、残念ながら2017年9月4日より改修工事のためズーと閉館してます。
再開予定は、ホームページを見ても、全く分かりません.....
<(T◇T)>
うっかり来てしまった人を慰めるためか、わざわざ外観の絵を描いたシートで覆ってます。工芸美術館 博物館・美術館・ギャラリー
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緑と黄色の対比が強烈なジョルナイ工房のドームと屋根だけは辛うじて拝む事は出来ます。
でもそれだけです。
入口周辺のジョルナイ製セラミックの装飾は勿論のこと、ここの設計者、レヒネルの像すらシートの内です。 -
せめて重たい望遠レンズを持参すれば、もう少し面白いものが拝めたかも知れませんが、体力もありません。
(_ _,)/~~
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=09&cim=ulloi-ut-33-37&cimtxt=%C3%9Cll%C5%91i%20%C3%BAt%2033-37 -
「郵便貯金局(現在はハンガリー財務省の一部)」【1899-1901】
《レヒネルのブダペスト三部作》の最後を飾る、最もユニークな建築と云われ、ブダペスト中心街の北東部にあります。郵便貯金局 現代・近代建築
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外壁には花、草木、虫といった自然物をモチーフにした装飾が見られ、建物の正面には、ハンガリー刺繍の典型的な花の装飾が施されています。
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小さくて分かりにくいですが、柱には一直線に並んで登るミツバチ、柱の頂部にはハチの巣がタイルで装飾されています。
巣に向かって登っているハチの装飾は、勤勉と貯蓄の象徴として表現されたものです。 -
他にもアールヌーヴォー特有のアイアンワークの装飾が随所で見ることができました。
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残念ながら、現在は国庫が置かれているので、建物の中には全く入れません。
(ロビー入口の職員さんが許してくれません)
ヽ(ー_ー )ノ マイッタ! -
ジョルナイ工房の緑と黄色模様の屋根は、下からは殆ど見る事ができないとの話を聞いてましたが、全くその通りでした。<(T◇T)>!
屋根が拝みたい方は、「聖イシュトヴァーン大聖堂」の展望台に登った方が無難です。 -
「聖イシュトヴァーン大聖堂」の展望台から撮った写真を見ると、様々な動物がシンボル的に配されいることが分かります。
同時代に活躍したガウディの住宅屋上にも伝説をモチーフにした彫像を配していましたが、見る限り、リヒネルの方がより具象的で、ハンガリー(マジャール)の土着風土を感じさせる彫像が並んでます。
『BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI(ハンガリー語)』
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=05&cim=hold-u-4&cimtxt=Hold%20utca%204 -
「シペキ邸」(現在はハンガリー国立視覚障害協会の本部)【1905-07】
郊外の閑静な住宅地に建つ、レヒネルの後期の作風を代表する建物の一つです。 -
なんともフワフワしたお菓子のような、あるいは妖精が住んでいるような外観です。
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実はこの建物は、2014年より大修復が行われ、今のような姿に蘇ったそうです。
修復以前には、建築後100年以上経過していたので、このファサードの漆喰も台無しになっていたそうです。 -
内部も見事に修復されているらしいのですが、残念ながら外見のみ見学でした。
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=14&cim=hermina-ut-47&cimtxt=Hermina%20%C3%BAt%2047 -
「パーメスアパート(Vermes ház)」【1911】
エルジェーベト橋に程近いイラ-ニ通りに建つ、レヒネルの晩年の建物です。
前年訪れたオットー・ワーグナーの「ウィーン郵便貯金局」を思い出させる、リベット留めの石板外装の建物です。 -
ただ違うのは、オットー・ワグナーの郵便貯金局には、もはやアール・ヌーヴォー特有の曲線的装飾ではなく、機械美を追求した装飾に変わっていたのに対し、まだバルコニーの手摺りには植物モチーフのアイアンワークを設けるなど、アール・ヌーヴォーの意匠がまだ多く残されています。
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このドアの内側には、グレーとダークグリーンのジョルナイ タイルで覆われいるのですが、暗証番号がわからないと開けられません。(_ _,)/
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=05&cim=iranyi-u-15&cimtxt=Ir%C3%A1nyi%20utca%2015 -
(1F店舗入口の装飾)
レヒネルは「郵便貯金局」以降ブダペストの公共建築のコンペではことごとく締め出されてしまいました。しかしレヒネルの手法は若い建築家に引き継がれます。
せっかくですので、『レヒネル流』を引き継いだ建築家の建物も廻ってみました。 -
マロニヤイ邸【1905-07】ライタ・ベーラ
リヒネル・シューレ一番の優等生と云われているのがライタ・ベーラ(1873-1920)です。
この建物はライタがリヒネル事務所から独立後に設計した作家マロニヤイの別荘です。現在はルーマニア文化センター?(Román Kulturális Intézet)として利用されています。 -
「イギリスの住宅建築のオープンな内部レイアウトとハンガリーの民俗建築に由来するデザインを組み合わせ」の建築だそうです。
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=14&cim=izso-u-5&cimtxt=Izs%C3%B3%20utca%205 -
「ロージャヴォルギ ハウス(Rózsavölgyi-ház)」【1911-1912】ライタ・ベーラ
ブダペスト中心部ベーチ通りに建てられたこの建物は、今でこそなんら違和感ない複合ビルです。
しかし当時は、店舗・オフィス・住居部分が明確に分かれる外観の建物は、時代を先取りし過ぎて、周囲の建物とあまりにも異なっていることから物議を醸もしたそうです。 -
建築様式で見ると、アールヌーヴォー風の装飾はなく、アールデコを通り越して、モダン建築を彷彿させる建物です。
しかしながらメインのコーニスには、まだマジャール民芸調の装飾を見つけることができる事から『レヒネル流』の伝承を感じます。 -
(1階入口とその上部)
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=05&cim=szervita-t-5&cimtxt=Szervita%20t%C3%A9r%205 -
「アーケード バザール」【1908-09】ヴァーゴー兄弟(兄ラースロー弟ヨージェフ)
早くからレヒネル事務所にいたヴァーゴー兄弟が手がけた商業・住居複合ビルです。
Astoria駅にほど近いドーハニー通りの一角にありますが、注意深く探さないと見落としてしまいます。 -
外観は、これもまたオットー・ワーグナーの「ウィーン郵便貯金局」を思い出させる、リベット留めの石板外装です。
但し、角張った平面と滑らかな曲面を組み合わせた不思議な外観です。 -
1階、2階がおもちゃ屋ということで、外壁に可愛らしいジョルナイ工房のタイル装飾が施されています。
だいぶ劣化しているので心配です。
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=07&cim=dohany-u-22&cimtxt=Doh%C3%A1ny%20utca%2022 -
「エルジェーベト女子学校」【1899-1902】バウムガルテン
この学校はテレキ・ブランカ高等学校(Teleki Blanka High School)と校名が変更され、セーチェーニ温泉がある市民公園の裏手?道路に沿いにあります。
設計者のバウムガルテンは、アールヌーヴォー建築を約300設計し、その大部分が学校だったそうです。
また「郵便貯金局」をレヒネルと共同設計した建築家でもあります。 -
建物上部には「郵便貯金局」で見た民俗模様である花のモザイク装飾がズーッと続いてました。
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=14&cim=hermina-ut-9&cimtxt=Hermina%20%C3%BAt%209 -
「盲人学校」【1899-1904?】バウムガルテン
エルジェーベト女子学校のすぐ隣に建つ、ほぼ同時期に建設された学校校舎です。 -
こちらの建物も隣の「エルジェーベト女子学校」同様に窓を囲むレンガの帯装飾が施されています。
こちらの方が「郵便貯金局」の装飾に似ています。 -
窓を囲むレンガの帯が不思議とホノボノ感を漂わせてました。
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=14&cim=ajtosi-durer-sor-39&cimtxt=Ajt%C3%B3si%20D%C3%BCrer%20sor%20%2039 -
「クルーシー自邸」【1899】クルーシー
クルーシ は、バロックからアールヌーヴォー、アールデコまでこなす建築家で、レヒネルの影響を強く受けたひとりです。
この建物は第二次世界大戦中に爆撃を受け、メインファサードは簡素化された折衷的スタイルに変わってしまいましたが、1998年から始まった修復工事により、1904年に撮影された写真に基づき、今の美しい化粧漆喰が施された建物に修復されました。 -
ファサードのさまざまな形の窓の両側には孔雀、ライオンの頭、広がる植物の蔓が描かれ、切妻壁には絵画、彫刻が施されています。
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入口は勿論のこと外柵にもアールヌーヴォーのアイアンワーク装飾で溢れていました。
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=07&cim=varosligeti-fasor-47&cimtxt=%20V%C3%A1rosligeti%20fasor%2047 -
ルンバッハ通りシナゴーグ【1872】オットー・ワグナー
この旅行記にも何度も名前が出てきたオーストリアのアールヌーヴォー建築家「オットー・ワグナー」の設計したシナゴーグにも寄ってみました。
フェルスターの建築事務所に勤務していた若き頃、最初に実現したもので、まだアールヌーヴォー建築を手がける前のものですが、なかなか見所がありました。 -
ホールは、上の八角形のランタン塔にあるステンドグラスの窓と、8つの柱間のそれぞれにある大きな円形の窓から射し込む光で満たされていました。
w(°o°)w おおっ!! -
(美しすぎる天井)
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(聖櫃を囲むあざやかな花柄の窓)
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(2階の女性専用八角形のギャラリー)
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内部は壁に色とりどりの細長いモザイク模様が施されていました。
あー良いものを見させてもらった。
ハンガリーのアールヌーヴォー建築めぐりの旅はまだまだ続きます。
ヘ(^o^)ノ
参考URL:【BUDAPEST SZECESSZIÓS ÉPÜLETEI】
https://www.szecessziosmagazin.com/budapesthely.php?kerulet=07&cim=rumbach-s-u-11-13&cimtxt=Rumbach%20Sebesty%C3%A9n%20utca%2011-13
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