水郷と伊能忠敬の町、佐原を歩く

2023/08/03 - 2023/08/03

千葉県佐原市といえば、古くから水郷の町として栄え、小野川沿いには小江戸と呼ばれる町並みが残っています。
また、江戸時代に測量を元に日本地図を作った伊能忠敬が入婿した伊能家のあった場所で、忠敬関係の施設や旧跡が点在します。
わりと狭いエリアに見どころが集中しているので、電車で来て徒歩で観光するのに良い町です。

エリア 香取・佐原(千葉)

• 旅行の満足度: 4.0
• 観光: 4.0
• 交通: 4.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: JRローカル 徒歩

ＪＲ成田線佐原駅南口から南へ少し行くとある水郷佐原観光協会観光案内所。

水郷佐原観光協会　観光案内所 お土産屋・直売所・特産品

観光案内所には様々な観光地図などが置かれているので、これらをもらってから歩くのがお勧めです。

水郷佐原観光協会　観光案内所 お土産屋・直売所・特産品

観光案内所からさらに３００ｍほど南に向かうとある佐原公園には伊能忠敬銅像があります。
説明板によると、大正８年（１９１９）に建てられたもので、伊能忠敬の測量中の姿を描いています。
後から出てきますが、佐原市内には伊能忠敬像は他にもいくつか存在します。

伊能忠敬銅像 名所・史跡

佐原公園の隣にあるのが諏訪神社。
説明板によると、天慶の乱で功績のあった大神惟季という人がこの地の領主に任ぜられ、領内鎮護の神として信濃国諏訪大社より勧請しました。

諏訪神社 寺・神社・教会

一の鳥居から本殿に向かうには１２８段の石段を登らなければなりません。

諏訪神社 寺・神社・教会

石段の上に現れる社殿。

諏訪神社 寺・神社・教会

社殿脇に神輿蔵があり、中に立派な神輿が見えました。
毎年１０月に行われる佐原の大祭は「関東の三大山車祭り」に数えられる大きな祭りです。

諏訪神社 寺・神社・教会

諏訪神社の南約３００ｍのところにある法界寺。
説明板によると、天正１１年（１５８３）の開創と伝えられています。

法界寺 寺・神社・教会

法界寺本殿。
徳川家との由来が深く「葵」が寺紋として使われており、本堂の位牌壇には、歴代将軍家の位牌が祀られています。

法界寺 寺・神社・教会

境内には「三代将軍徳川家光公　尊前灯籠」なるものもありました。

法界寺 寺・神社・教会

法界寺から少し南東方向に約１km、市街地からやや離れた場所にある観福寺。
開基は寛平２年（８９０）、日本厄除三大師のひとつです。
見どころが多く、穴場のスポットです。

観福寺 寺・神社・教会

山麓の森に囲まれたお寺です。

観福寺 寺・神社・教会

観福寺本堂。

観福寺 寺・神社・教会

本堂以外にも興味が湧く建造物が多くありました。
こちらは不動堂。

観福寺 寺・神社・教会

観音堂。

観福寺 寺・神社・教会

毘沙門堂。

観福寺 寺・神社・教会

鐘楼。

観福寺 寺・神社・教会

伊能忠敬を輩出した伊能家の菩提寺ということで、墓地には伊能忠敬のお墓もありました。

観福寺 寺・神社・教会

観福寺から一転、市の観光の中心部へ向かいます。
その途中にあった八坂神社。

八坂神社 寺・神社・教会

八坂神社社殿。
八坂神社の祭礼である夏祭りは、１０台の山車が曳き廻されるもので、国の重要無形民俗文化財に指定されています。

八坂神社 寺・神社・教会

八坂神社の隣にある水郷佐原山車会館。
佐原の大祭で使われている豪華絢爛な山車のほか、お囃子で使われる太鼓や笛、大人形などを展示しています。
入館料４００円。

水郷佐原山車会館 美術館・博物館

八坂神社からやや南西に向かうとある佐原三菱館(佐原街並み交流館)。
街の案内所や休憩所として活用されています。

佐原三菱館 (佐原街並み交流館) 名所・史跡

隣にある赤レンガの古そうな建物も交流館の一部です。
旧川崎銀行佐原支店の建物として大正３年（１９１４）に清水建設の前身清水組によって建てられました。
屋根は木骨・銅版葺で、一部にドーム形式を用いた明治洋風レンガ建築です。
内部は吹き抜けになっており２階周囲に回廊があります。

佐原三菱館 (佐原街並み交流館) 名所・史跡

いよいよ佐原観光の中心地、小野川沿いに出ます。

小野川沿いの歴史的町並み 名所・史跡

小野川沿いに歴史的な建造物が立ち並ぶ町並みが５００mほど続きます。

小野川沿いの歴史的町並み 名所・史跡

川沿いには柳が植えられ、いかにも古そうな古民家や商店が並びます。

小野川沿いの歴史的町並み 名所・史跡

川には観光の舟が行き来します。

小野川沿いの歴史的町並み 名所・史跡

同じような写真をついつい撮ってしまうスポットです。

小野川沿いの歴史的町並み 名所・史跡

小野川に架かる忠敬橋。
工事中だったので味気ありませんでしたが、親柱の上の象限儀の彫刻が素敵でした。

忠敬橋 名所・史跡

忠敬橋の袂にある中村屋商店。
説明板によると、江戸時代末期に建てられたと伝えられる建物です。

中村屋商店 名所・史跡

店舗兼住宅は安政２年（１８５５）の建築です。
明治７年（１８７４）頃より代々荒物・雑貨・畳を商ってきており、今の雑貨などを販売しています。

中村屋商店 名所・史跡

３階建ての土蔵は明治２５年（１８９２）の大火後の建築です。

中村屋商店 名所・史跡

こちらも忠敬橋のすぐ近くにある正文堂書店
説明板によると、正文堂書店は、明治１３年（１８８０）の建築で桟瓦葺で切妻造りの木造２階建て土蔵造です。
少なくとも本屋としては営業してなさそうでした。

正文堂書店 名所・史跡

正文堂の２軒隣くらいにあるのが福新呉服店。
説明板によると、福新呉服店は、文化元年（１８０４）の創業で７代目の老舗です。

福新呉服店 名所・史跡

広い間口から店内を覗くと、柱時計をはじめ、懐かしい景色をみることができます。
こんな店が現役であることが嬉しいです。

福新呉服店 名所・史跡

福新呉服店の前に道を少し西へ向かうと「いなえ」があります。
明治時代に建てられた商家を改修し、甘味喫茶・ギャラリー・セレクトショップを集めた複合施設です。

いなえ お土産屋・直売所・特産品

甘味喫茶、ギャラリー、お土産店を展開しています。
特に甘味喫茶は古民家のレトロな雰囲気の中で映えるスイーツを食べれるとあって、女性にささることでしょう。

いなえ お土産屋・直売所・特産品

小野川沿いに戻って、川沿い南へ進むとすぐあるのが小江戸さわら舟めぐりの受付所。
発着所から小野川を北へ１１００mほど上り、そこから折り返す約３０分の舟旅が味わえます。
乗船料は１３００円です。

小江戸さわら舟めぐり 乗り物

風情ある発着場。

小江戸さわら舟めぐり 乗り物

舟めぐりの船。
小さいのですぐ満席になります。
舟が手漕ぎでなくモーターだったのが少し残念。

小江戸さわら舟めぐり 乗り物

舟めぐりの発着場の前にある伊能忠敬旧宅。
伊能忠敬が１７歳から５０歳まで３０年余りを過ごした家で、国の史跡に指定されています。
入館料は無料です。

伊能忠敬旧宅 名所・史跡

醸造業などを営んでいた伊能家の土蔵造りの店舗のほか、炊事場、書院、土蔵が残っています。
それぞれ良い状態で残っており、見ごたえがあります。

伊能忠敬旧宅 名所・史跡

庭には忠敬像があります。

伊能忠敬旧宅 名所・史跡

忠敬旧宅の前に架かる樋橋。
説明板によると、樋橋は江戸時代初期、佐原村の灌漑用水を東岸から西岸へ送るため、木製の大きな樋をつくり小野川に架けられたものです。

樋橋 名所・史跡

大樋から水がジャージャーと流れ落ちていたので「ジャージャー橋」とも呼ばれました。
昔の役目を終え、今の橋は観光用につくられたもので、３０分ごとに落水させています。
「残したい日本の音風景１００選」に選出されています。

樋橋 名所・史跡

忠敬旧宅から樋橋を渡って反対岸にあるのが伊能忠敬記念館。
５０歳を過ぎてから、日本全国を測量して歩き、日本最初の実測日本地図を作り上げた伊藤忠敬の人生を年代順に追い、伊能図をあますことなく紹介しています。
やはり一番の見どころは地図、
１８２１年完成の「大日本沿海輿地全図」のほか、測量ごとに作った地図や名勝地を描いたものなど、多くの種類があります。
文久元年（１８６１）に来日したイギリスの測量隊が伊能図を見て驚き、必要がないといって測量を中止したという、胸のすくようなエピソードを持つ地図を是非実際に見てほしいと思います。
入館料５００円。

伊能忠敬記念館 美術館・博物館

祈念館の裏にも伊能忠敬像がありました。

伊能忠敬記念館 美術館・博物館

忠敬が測量に使った象限儀もありました。

伊能忠敬記念館 美術館・博物館

今度は記念館から小野川沿いを北に向かい、川沿いにあるさわら町屋館。
説明板によると、２０１９年にオープンした香取市の観光休憩施設です。
小野川沿いに位置し、伝統的建造物に倣った意匠で建築された町屋風建物です。

さわら町屋館 名所・史跡

２階建ての内部を見学するのも面白いものでした。
浴衣のレンタルも行っているらしく、訪問時の８月にはレンタルするお客さんでとても賑わっていました。

さわら町屋館 名所・史跡

町屋館の隣が町並み観光中央案内処。
小野川沿いにある観光案内所かつ休憩所です。

町並み観光中央案内処 名所・史跡

説明板によると、建物は「金利」という商家だったもの。
天保２年（１８３１）に金田利兵衛が創業して、奈良漬を製造していました。
店舗は切妻平入２階建て、明治後期の建築で裏に昭和初期の平屋部分を増築しています。

町並み観光中央案内処 名所・史跡

佐原は酒の醸造業が盛んということで、ウィンドーに日本酒が並んでいるのが印象的でした。

町並み観光中央案内処 名所・史跡

小野川沿いをずっと北上して、ＪＲの線路近くにある開運橋。
ここまで来ると川沿いも江戸情緒から現代のものへと変わっています。

開運橋 名所・史跡

欄干の上に飾られた鯉のオブジェが印象的です。
この鯉を触ると開運するという噂もあります。

開運橋 名所・史跡

街歩きとしては開運橋で終わっても良かったのですが、少し広大な景色も見たかったので、ここから北東へ８００mほど行った先にある道の駅水郷さわらを終着点にしました。
舟運で栄えた商都・交易都市佐原の利根川入江にあります。

道の駅 水の郷さわら 道の駅

地域特産品の直売所やフードコートがあります。

道の駅 水の郷さわら 道の駅

道の駅の裏手には観光船やボートの発着所があり、裏手の景色は絶景でした。
ほぼ遮るもののない広々とした視界に、入江とその先の利根川の景色が広がっていました。


佐原は川沿いの情緒ある町並みが素晴らしく、伊能忠敬の生涯を辿れるスポットも楽しい、想像以上に観光を楽しめる街でした。
もっとメジャーになっても良い場所です。

道の駅 水の郷さわら 道の駅