2023/09/25 - 2023/09/25
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kimi shinさん
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星野山 無量寿寺 中院を後にして北に1~2分程歩くと東照宮中院通りの交差点に至ります。
住宅が立ち並んだ交差点の角に墓石や地蔵、石塔が無造作に置かれた一画があります。
素通りしそうな目立たない場所ですが、そこが南院遺跡になります。
ここの斜め向かいには仙波東照宮も鎮座します。
- 旅行の満足度
- 2.5
- 観光
- 2.5
- 交通
- 2.5
- 同行者
- カップル・夫婦(シニア)
- 交通手段
- 新幹線 JRローカル 徒歩
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-
川越の街にあって宅地にされることなく、墓じまいされた墓石の一時保管場所なのかと思い込み一度は通り過ぎ、目の前の仙波東照宮に足を運ぶも、看板も掲げられており気になって再び戻ってみました。
-
民家なら余裕で二軒は建てられる広い空き地に、ひと際存在感のある石碑が立っている。
碑には「閻魔堂記念」とあり喜多院僧の揮毫によるもので昭和4年に寄進された碑。
道路際には塔婆が立てられており、そこには南院の文字と歴代和尚の文字が見える。
ここは平安時代初期に建立された喜多院と中院とともに、寺勢を誇っていた南院が鎮座していた一角で、神仏分離により破却され、境内の一部を保存し南院にあった墓石や地蔵をここに集め遺跡として残されたもの。
遺跡と云っても礎石らしいものが残されている訳でもなく、何気に通っていてもただの一時置場にしか見えない遺跡である。
そして左側をよく見ると手毬歌の「あんたがとどこさ」の発祥の地が川越である旨の解説と下の2枚の解説が立てられていた。 -
ひとつは「天台宗星野山無量寿寺 多聞院南刹 南院遺跡 明治2年神仏分離勅令以、廃仏毀釈之乱由廃絶」と彫られた木札。
手作り感満載の手彫りのもので川越愛に満ちている。 -
そしてもう一枚が「武蔵国川越仙波喜多院東照宮中院之図。
そこには中院(左下)・東照宮(その右上)・喜多院(中央)が俯瞰図で描かれ、東照宮の随神門の真向かいに南院の山門、現在の遺跡周辺には塔頭寺院や坊らしき姿が描かれている。
以下はそこに書かれていた解説。
「天台宗星野山無量寿寺は中院(仏地院)・北院(喜多院)・南院(多聞院)の三院があり、中院が関東天台の総代でした。
北院の院代天界僧正は徳川の庇護のもと北院を喜多院と改称し家康の法会を行い寛永十年(1633)中院を現在の地に移築、仙波東照宮を建立しました。
南院は多聞院という名刹でしたが、明治二年神仏分離勅令と廃仏毀釈に遭遇し遺跡のみとなっている」
また、大正時代に出版された「三芳野名勝図会」から中院・北院・南院の姿を探して見たが、ここに掲げられている俯瞰図が一番よくできていた。
しかし2001年に作られ、南院の姿を留めた俯瞰図も退色により読み取りにくくなっていた。
小江戸川越として観光客で賑わう町の歴史を伝えるこうしたものは自治体でできるんじゃないだろうか。 -
目の前の仙波東照宮。
かつて南院の伽藍が広がっていた道路右手は今は宅地化され、面影は残っていない。
廃仏毀釈以降現在まで、南院遺跡として残されているが、この先いつまで宅地化されず遺跡として残されるものか疑問が残る。
日々散歩していると店舗が突然整地され、以前そこになにがあったか記憶すらないことが多い。
人の記憶は簡単にクリアされていくだけに、この一角がなくなると南院も記憶から消去されていくんだろうなぁ。
南院遺跡
所在地 / 埼玉県川越市小仙波町5-12
中院から南院遺跡 / 北へ徒歩1~2分程
南院遺跡から北を眺めると、左前方に大きな仙波東照宮入口の立て看板が見えています。
徳川家康をお祀りする神社で、全国に100社以上あると言われ、日光東照宮、久能山東照宮に次いで仙波東照宮を含め日本三大東照宮(諸説あり)の一つに数えられることもあります。 -
「重要文化財 建造物
仙波東照宮
徳川家康を祀る東照宮は、家康の没後その遺骸を久能山から日光に移葬した元和三年(1617) 三月、喜多院に四日間とう留して供養したので、天海僧正が寛永十年(1633)一月この地に創建した。
その後寛永十五年(1638)正月の川越大火で延焼したが、 堀田加賀守正盛を造営奉行とし、同年六月起工、同十七年完成した。
当初から独立した社格をもたず、喜多院の一隅に造営されたもので、日光久能山東照宮とともに三大東照宮といわれている。
社の規模は表門(随身門)・鳥居・拝幣殿・中門(平唐門)・瑞垣・本殿からなっている。
本殿の前には歴代城主奉献の石灯籠がある。
なお拝殿には岩佐又兵衛勝以筆の三十六歌仙額と幣殿には岩槻城主阿部対馬守重次が奉納した十二聡の絵額がある。」
社殿全体が高く盛られ、境内からは石段を上ると社殿が建てられています。
拝殿の右手に緩やかな坂があり喜多院へ続きます。 -
随神門。
朱塗りの八脚門で左右の間に随神は安置されていなかった。 -
門左の解説は以下。
「重要文化財 建造物
東照宮随神門・石鳥居
境内入口にある随神門は、朱塗八脚門・切妻造でとち葺形銅板葺である。
八脚門とは三間・二間の間で、門柱四本の前後に各一本ずつの控柱を持っている屋根付き門の事である。
以前には後水尾天皇の御染筆なる「東照大権現」の額が掲げられていた。
記録によるとこの勅額は寛永十年(1633)十二月二十四日とある事から東照宮の創始の時期を知るひとつの資料となっている。
石鳥居は寛永十五年(1638)9月に造営奉行の堀田正盛が奉納したもので、柱に「東照大権現御宝前、寛永十五年(1638)九月十七日堀田加賀守従四位下藤原正盛」の銘文が刻まれており、様式は明神鳥居である。」 -
解説にある石の明神鳥居と拝殿に続く。
この日は境内右の社務所で工事が行われ、人の出入りも多く、人が写り込まないタイミングまで随分待たされた。 -
寛永十五年(1638)と銘が彫られた柱と拝殿に続く石段。
-
拝殿に続く石段。
拝殿前に葵の紋が入った扉がありますが、この日は固く閉じられていました。
この扉が開けられるのは日曜日の9:00~16:00まで、間近で拝観するにはその曜日を狙って訪れる必要があります。
しかし、社殿外周を取り囲む透塀の周囲は、歩道があり周回できるので全景は見ることができます。 -
拝殿正面。
「重要 文化財 建造物 東照宮拝殿・幣殿
拝殿は桁行三間(5.36m)、梁間(3.64m)で、単層入母屋造、正面は向拝一間(1.82m)あって鋼板葺であでる。
幣殿は桁行二間 梁間一間で背面は入母屋造り、前面は拝殿に接続し、同じく鋼板本葺である。
内部も朱塗で美しく、正面に後水尾天皇の御染筆なる東照大権現の額が懸けてある。
記録によると寛永十年(1633)十二月二十四日とあって、東照宮創建当時に下賜された貴重なものとされている。
川越城主であった柳沢吉保や秋元但馬守喬朝の頃に大修復があったと伝えているが、松平大和守の弘化四年(1847)にも修復が行われたという。」 -
拝殿域、本殿域には歴代の川越城主より寄進された26基の石灯籠が立ち並んでおり、このうち拝殿域の左右に23基が配置されています。
参道右に立派な角を持つ龍の後ろ姿があり、その先に一対の狛犬の姿が見えます。 -
素朴な外観の狛犬ですが、顔の表情や鬣の表現などディテールに拘りを感じる。
豆柴ほどの大きさでしかありませんが、斜めから見た姿は、互いに見つめ合う可愛い印象ながら、目を離すと飛びかからんばかりの勢いを感じます。 -
拝殿正面の鷹の透かし彫りと左右の木鼻には麒麟が施されている。
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拝殿から本殿の眺め。
鬱蒼とした杜の木陰に包まれた朱塗りの社殿、陽が差し込むと朱は鮮やかに輝いて見える。 -
幣殿・拝殿を後方から眺める。
いたるところに塗装の剥がれや退色が見られ、塗りの修復が迫っているようだ。 -
本殿と唐門全景、以下は解説より。
「東照宮本殿・瑞垣・唐門 (国指定 建造物)
東照宮本殿は、三間社流造・銅瓦葺・極彩色で、寛永十七年(1640)に再建された。
本殿内に安置されている円形厨子の中には、天海が彫作した冑を着け槍を右手に持ち、駿馬に騎っている家康公の木像が祀られている。
本殿の周囲に巡らす瑞垣は、本瓦葺で透し塀。
中央正面の唐門は、一間一戸の平唐門で銅瓦葺である。」
本殿も拝殿・幣殿同様に塗りの修復が迫っているようだ。 -
昨年川越市政100周年に併せ本殿が特別公開され、解説にある「冑を着け槍を持って、駿馬に騎っている家康公の木像」のご神体が初めて公開されたという。
初めての特別公開は諦めるとして、仙波東照宮をもう一歩近くで見るなら是非とも日曜日に訪れたい。
参拝当日は社務所の工事もあり御朱印も頂けず少し残念だった。 -
社殿から女坂を下り、厳島神社が鎮座する葵庭園を経て喜多院に向かう。
仙波東照宮
創建 / 元和三年(1617)
祭神 / 東照大権現
所在地 / 埼玉県川越市小仙波町1-21-1
南院遺跡から仙波東照宮 / 北へ徒歩1分程
訪問日 / 2023/9/25
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