【乗るだけ】12月20日に事業を廃止する金剛バスに乗ってみた

2023/11/03 - 2023/11/03

大阪府富田林市と南河内郡で営業している金剛自動車（金剛バス）というバス事業者が2023年12月20日を最終営業日として、路線バスのすべての路線を廃止することになりました。深刻な運転手不足とコロナ営業による大幅な減収による赤字転落、さらには2024年問題による労働問題の制約による乗務員不足が拍車をかけ減便が避けられず収支の悪化が避けられないこと、車両の入れ替えもできない、などが要因とのことです。この事象を契機に、バス路線の減便や廃止のニュースが多数報道されるようになりました。ということで、どんなところを走る路線バスなのか、廃止前に乗ってみることにしました。

エリア 富田林・羽曳野(大阪)

• 旅行の満足度: 3.0
• 観光: 1.0
• ショッピング: 5.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 1万円未満
• 交通手段: 高速・路線バス 私鉄
• 旅行の手配内容: 個別手配

金剛バスのメインターミナルは富田林。富田林駅は近鉄長野線にあります。ことため、旅のスタートは、近鉄南大阪線の「大阪阿部野橋駅」になります。大阪難波、上本町と並ぶ近鉄の中心駅ですが、狭軌路線の南大阪線のためか、特急の本数も少ないのでなんとなく地味。しかし、外に出れば、天王寺駅で、あべのハルカス（近鉄が経営）の目の前なので、いつでも混雑している印象。

大阪阿部野橋駅 駅

実は近鉄の駅の中で最大の利用者を誇るのがここ、大阪阿部橋駅。関西以外の方の多くは、大阪阿倍野橋駅と天王寺駅が直結していることを知らないのではないでしょうか。

大阪阿部野橋駅 駅

近鉄といえば特急。吉野行の特急が発着。南大阪線は狭軌なので、他の路線の車両よりも少し小さく見えますね。

近鉄特急「スタンダードタイプ」 乗り物

11時4分発の準急河内長野行に乗車。目的地の富田林は、長野線という支線の駅ですが、日中は1時間あたり4本の準急が直通します。

大阪阿部野橋駅 駅

ということで、準急河内長野行に乗車。乗換なしなのでらくらく。

近鉄南大阪線 乗り物

同じ編成の中で、比較的新しい車両は「河内長野」の表示。

近鉄南大阪線 乗り物

少し古い車両は「長野の表示」。統一しないところが近鉄らしさかも。「準急河内長野行、長野行が発車します」といったアナウンスもある模様、

近鉄南大阪線 乗り物

大阪阿部野橋を出たあと、河内松原、藤井寺とその先は各駅に停車し、約20分で古市に到着。一部特急と急行以下の全列車が停車する古市は近鉄南大阪線の主要駅の一つ。

古市駅 駅

古市発着の列車も多数で、普通列車の大多数は当駅を境に分割。古市駅を境に利用状況か大きく異なり、ホームの有効長の関係で、増結・解放も多数実施される駅。ここからは支線の長野線になりますか、直通の準急なので乗換なし。

古市駅 駅

古市から長野線に入り、11時32分、富田林駅に到着しました。

富田林駅 駅

大阪阿部野橋から28分、大阪のベッドタウンという印象。

富田林駅 駅

ちなみに近鉄長野線は、ここから単線になります。富田林から先5つの駅があり、終点、河内長野では南海高野線と接続。もともとは、大阪と南河内、高野山参詣客当て込み開業した路線とのこと。

近鉄長野線 乗り物

富田林駅南口。パーフェクトリバティ（PL）教団の本庁がある街として有名（教団よりも清原、清原、小早川、立浪、片岡、宮本。。。を育てた野球部が有名ですが、今はいじめ問題などもあり休部中）。毎年8月1日に行われるPL花火開催時は大混雑するとか。駅南側（区の駅舎と反対側）近くには大阪芸術大学もあります。

富田林駅 駅

駅南口の奥の方には金剛バスの案内所兼定期券販売所がありました。

富田林駅 駅

駅南口のロータリーには金剛バスがいっぱい。他の会社の路線はありません。バスは扉は空いていますが、出発時刻間際までは運転手さんは乗っていません。

富田林駅 駅

駅ロータリーのバス乗り場に堂々と掲示されている金剛バスの路線図。路線数は30もあるとのこと。ちなみに土日祝は、大阪府最高峰1125メートルの金剛山（水越峠）に向かうバスも運行されています。

金剛バス (路線バス) 乗り物

12月20日て事業を廃止する旨の告知。廃止後の対応は、各自治体での協議を依頼と書いてあります。ちなみに路線の8割は近鉄バスと南海バスが代替路線を走らすことになりました。

金剛バス (路線バス) 乗り物

実は金剛バスのどの路線に乗るかは決めていなかったので、時間の良さそうな路線を探します。

金剛バス (路線バス) 乗り物

2000年～2009年くらいまでに製造された車両が多いです。

金剛バス (路線バス) 乗り物

乗るバスは決めたのですが、時間があるので、バスを観察。金剛バスの伝統で、ふそう＋西日本車体という仕様が続いたとのこと。

金剛バス (路線バス) 乗り物

西日本車体撤退後は、ふそうの車両を導入しているようです。

金剛バス (路線バス) 乗り物

11時50分発の「さくら坂循環」という路線があり、このバスに乗ることにしました。この路線は、富田林駅から河南町役場を経由してさくら坂（団地）で循環して、富田林駅に戻るルートです。

富田林駅 駅

最初の停留所である「堺筋」。富田林市は重要文化財である興正寺別院を中心に門前四週周に七筋八町の碁盤目状の町割りを整備したそうで、その一つかと。

興正寺別院 寺・神社・教会

バス車内。主要路線だけあって結構混雑していました。

金剛バス (路線バス) 乗り物

河南町に入るとかなりのどかな雰囲気になります。ちなみに河南町の産業は農業が大きな比重を占めています。作物はナスやきゅうり、鑑賞用樹が中心です。収穫後の訪問なので、なにもないです。

富田林駅から25分くらいでさくら坂一丁目に到着。ここが循環バスの中間地点。2005年から造成されたニュータウンで、庭付き一戸建ての家が多数。桜並木あるようで、河内町のシンボルタウンかもしれません。

なんだかんだで、富田林市に戻ってきました。通称「PLタワー」と呼ばれる大平和祈念塔（正式名称は「超宗派万国戦争犠牲者慰霊大平和祈念塔」）が見えてきました。

超宗派万国戦争犠牲者慰霊大平和祈念塔 名所・史跡

富田林駅を出発して約50分、再び富田林駅に到着。事業廃止前に金剛バスに乗ることができました。ちなみに金剛バスはPiTaPaやICOCAなど交通系ICカードは利用できず現金のみ。
後で知ったことですが、この路線は金剛バスの主要路線の一つで、本数は減るものの、近鉄バスが引き継ぐとのことです。

富田林駅 駅

金剛バスは、大阪府内の路線バス会社としては数少ない大手私鉄傘下ではない独立系のバス会社。以前はストライキが頻発したそうですが、現在は、運転手さんをすべて契約社員にしたことでストライキはなくなったとのこと。一方で、深刻な乗務員不足に悩み、事業を廃止することにしたとのこと。大手に属さないことやストライキを回避するための施策が、結局、事業廃止に至ったのかな、とも思いました。かなりの路線は南海バスと近鉄バスが引き継ぐそうですが、住民サービスの低下は避けられませんね。

金剛バス (路線バス) 乗り物

再び、近鉄長野線の富田林駅。河内長野まで出て、南海高野線で帰るのも悪くはないのですが、13時頃までには梅田に行きたかったので、素直に往路と同じルートで帰ることにしました。

富田林駅 駅

古市方面のホー厶から河内長野方面のホームを見る。

富田林駅 駅

北口には金剛バスは乗り入れておらず、近鉄バス（八尾営業所）か、南海高野線北野田駅方面やPL本庁方面に運行されています。

富田林駅 駅

12時47分、大阪阿部野橋行準急が到着。先頭2両はシリーズ21の6820系でした。ちなみに6820系は2両編成2本しかないレアな車両です。

近鉄長野線 乗り物

12時54分、古市で区間急行と待ち合わせ。もちろん、速達電車なので乗換。

古市駅 駅

2021年7月のダイヤ改正で、概ね10時～15時台の急行が区間急行に格下げされました。とはいえ、停車駅として増えたのは高田市からの手前であり、古市の次は終点、大阪阿部野橋で、急行と変わりません。「区間急行」っていう種別はハヤイのか遅いのかわかりませんね。京阪なら準急よりも下の種別。近鉄にはかつて「区間快速急行」なんてのもあったし、阪神には今でも「区間特急」もある。

近鉄南大阪線 乗り物

13時12分、大阪阿部野橋に到着。区間急行からは多数のお客さんが降りていきました。これにて終了。
お読みいただきまして、ありがとうございました。

大阪阿部野橋駅 駅