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2023年5月17日(水)の午後、淀川管内河川レンジャー主催の神矢樋門救急排水ポンプ見学会に参加した。救急排水ポンプとは救急排水機場に設置されるポンプで、内水域の水位が降雨や下水排水により上昇した場合、外水域に排水し内水域の水位を下げるための排水ポンプ。<br /><br />通常内水域の水は外水域(河川など)に流れ出しているが、大雨などで河川の水位が上がると、そのままでは内水域に逆流することになるので樋門を閉じて逆流を防ぐ。しかし、その後も雨が降り続くと内水域の水位も上がり、住宅地や田畑が浸水してしまうことになる。この時に使われるのが救急排水ポンプ。樋門を閉めたまま内水域の水を河川に排水することで、水位の上昇を抑える。<br /><br />救急排水機場はその救急排水ポンプが設置された施設。機動的かつ効率的な排水作業を行うことを目的に、救急内水対策事業に基づき設置された排水施設。救急内水対策事業は1989年に国土交通省が定めたもので、比較的小規模な可搬式ポンプを導入し、内水を発生させる洪水に備えポンプの運搬、設置を行うことによって、地域ごとに機動的かつ効率的な内水排除を行い、内水被害を軽減し地域の振興に資することを目的としている。<br /><br />神矢樋門は木津川の下流、京田辺市と城陽市の間に架かる近鉄京都線木津川橋梁の少し上流の左岸(京田辺市側)にある樋門。樋門(ひもん)とは内水の排水のために堤防を横切って設けられる水路。同じ目的で造られるものには水門と呼ばれるものもあるが、水門は通水断面が大きく無蓋であるのに対し、樋門は通水断面が小さく暗渠構造となっている。<br /><br />神矢樋門は京田辺市南西部の防賀川、馬坂川流域の水を排水するために1984年に造られたもの。神矢はこの地域の名前だが、字には残っておらず、近くに紙屋や神谷が付く字が残っている。樋門は通常は開門されており、防賀川、馬坂川流域の水を木津川に流している。<br /><br />この樋門には両サイドに救急排水機場がある。木津川下流側の防賀川放水路左岸にあるのが国土交通省のもので、反対側の上流右岸にあるのが京田辺市と綴喜西部土地改良区のもので、共に1987年に設置された。綴喜西部土地改良区は1952年に設立されたもので、木津川左岸、京田辺市から八幡市の850haの帯状の土地を農地、住宅地に開発できるようにしている。<br /><br />毎年梅雨前のこの時期には年に一回の点検運転が実施されており、普段は開けられている樋門のゲートが閉じられ、両サイドの排水ポンプが点検稼働される。京田辺市に越して来て20数年が建つが、毎年実施されてるなんて知らなかった。よく散歩で通る樋門なのに・・・<br /><br />今回はたまたま市民掲示板で見学会のチラシを見て参加させて戴くことにした。主催の淀川管内河川レンジャーとは、2004年に国土交通省近畿地方整備局淀川河川事務所によって運営開始された個人及び団体のこと。民と行政が一緒になって川の管理や整備を行うため、住民と行政との間に立って、行政が責任を持たなければならないこと以外で、危険を伴わない河川管理上の役割を担う。<br /><br />この見学会は知らなかったが、このところ毎年実施しているイベントのようで、山城大橋のたもとにある京田辺市の中部住民センターに集合後、木津川左岸の木津川サイクリングロード(京都八幡木津自転車道線)に上がり、約2㎞歩いて神矢樋門へ。そして放水点検を見学したり、樋門の説明を受け、再び中部住民センターまで戻る。<br /><br />お昼の12時半前、中部住民センターに集合。参加者は10名。まずは河川レンジャーの方の簡単な説明を受ける(下の写真1)。12時半頃出発、50分ほど掛けて神矢樋門へ。我々はいつも散歩で歩いている道だが、土手の草花などの説明をしてくださるので嬉しい。<br /><br />クズ(葛)とアレチウリ(荒地瓜)、コメツブウマゴヤシ(米粒馬肥)とコメツブツメクサ(米粒詰草)の話とか、クララ(苦参)は根を噛むとクラクラすることから名付けられたとか、一部の地方では絶滅のおそれのある野生生物を示すレッドリストに載っているとか。勉強になりました。<br /><br />あと、堤防の外側(木津川沿い)にはモグラやキツネも住んでおり、穴を掘るので問題になっているとか。京田辺に越して来て20年以上経つが見たことないなあって話してたのだが、帰り道、同じ堤防を戻る時に河川敷を見てたら、いた!なんと写真も撮れた(下の写真2)。いや~、びっくりぽんでした。<br /><br />話は戻って1時20分頃、神矢樋門に到着。点検放流は1時半からと云うことで、雑談しながら待つ。樋門には関係者らしき人が多いが、見学者らしき人も多い。私らも普通に散歩で通ってるところなので、別に誰でも見られる。私らも来年以降、覚えてたら普通に見に来ようかな?<br /><br />さて、1時半を過ぎて、まずは木津川下流側の国土交通省の救急排水機場から点検稼働開始。4本あるポンプをまず1本ずつ確認していくようだが、最初のポンプ(1号機)でいきなりトラブル。排水機場側のパイプの起点で派手な水漏れ。あれあれ、そんなことで緊急時大丈夫やろか・・・<br /><br />10分ちょっと経って、ようやく2本目のポンプ(2号機)が最初に無事稼働。結構な量の水が排水されていく。4台のポンプがフル稼働すれば毎秒4トンの排水能力があるらしい。1本毎秒1トンってことね。<br /><br />1時50分頃、土地改良区の3台のポンプも一斉に稼働。こちらは問題なく稼働。排水能力は毎秒2トン弱らしい。同じ時期に2つの排水機場は造られているが、構造が全く違うのが面白い。国土交通省側のポンプ、1機目のポンプの修理が終わって、2時過ぎに2号機を止めて、放流開始。無事稼働(下の写真3)。しかし、続く3号機はまた水漏れ・・・<br /><br />2時10分過ぎ、見学会メンバーには樋門内部で、係員の方が説明してくださる。一番印象に残った話は2013年9月16日の台風18号による増水時の話。2昼夜泊まり込みで対応したのだが、人員削減で2人しか係員がおらず、本来2人で行かねばならない確認作業が1人でしか行けず困ったとのこと。確かに1人は操作や連絡で樋門に残らなあかんし、1人での確認は流されても分からんしな・・・<br /><br />あと、その時の話でもう一つ覚えてるのは、国交省と土地改良区で放水基準が違うと云う話。国交省は住宅地の浸水を防ぐことが主目的なのだが、土地改良区は農地の浸水を防ぐことが主目的で、放水開始のタイミングが合わないそうだ。いや、それから10年、問題解決してないような説明でええんかい・・・ 我が家にも関係する話なんやけど・・・<br /><br />2時25分頃、国土交通省の3号機、水漏れは多少あるが無事稼働(下の写真4)。そして2時半前、4台のポンプフル稼働。さらに、いったんストップしていた土地改良区の3基のポンプもフル稼働して最大出力での運転。樋門で貯めていた水がどんどん減っていくのが分かる。<br />https://www.facebook.com/media/set/?set=a.9589830341086904&amp;type=1&amp;l=223fe1adec<br /><br />2時45分頃、まだ放流は続いているが、見学会終了。来た道を中部住民センターに戻る。<br /><br /><br />以上

京田辺 神矢樋門救急排水ポンプ見学会(Kamiya Drainage Pump,Kyotanabe,Kyoto,Japan)

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2023/05/17 - 2023/05/17

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ちふゆ

ちふゆさん

2023年5月17日(水)の午後、淀川管内河川レンジャー主催の神矢樋門救急排水ポンプ見学会に参加した。救急排水ポンプとは救急排水機場に設置されるポンプで、内水域の水位が降雨や下水排水により上昇した場合、外水域に排水し内水域の水位を下げるための排水ポンプ。

通常内水域の水は外水域(河川など)に流れ出しているが、大雨などで河川の水位が上がると、そのままでは内水域に逆流することになるので樋門を閉じて逆流を防ぐ。しかし、その後も雨が降り続くと内水域の水位も上がり、住宅地や田畑が浸水してしまうことになる。この時に使われるのが救急排水ポンプ。樋門を閉めたまま内水域の水を河川に排水することで、水位の上昇を抑える。

救急排水機場はその救急排水ポンプが設置された施設。機動的かつ効率的な排水作業を行うことを目的に、救急内水対策事業に基づき設置された排水施設。救急内水対策事業は1989年に国土交通省が定めたもので、比較的小規模な可搬式ポンプを導入し、内水を発生させる洪水に備えポンプの運搬、設置を行うことによって、地域ごとに機動的かつ効率的な内水排除を行い、内水被害を軽減し地域の振興に資することを目的としている。

神矢樋門は木津川の下流、京田辺市と城陽市の間に架かる近鉄京都線木津川橋梁の少し上流の左岸(京田辺市側)にある樋門。樋門(ひもん)とは内水の排水のために堤防を横切って設けられる水路。同じ目的で造られるものには水門と呼ばれるものもあるが、水門は通水断面が大きく無蓋であるのに対し、樋門は通水断面が小さく暗渠構造となっている。

神矢樋門は京田辺市南西部の防賀川、馬坂川流域の水を排水するために1984年に造られたもの。神矢はこの地域の名前だが、字には残っておらず、近くに紙屋や神谷が付く字が残っている。樋門は通常は開門されており、防賀川、馬坂川流域の水を木津川に流している。

この樋門には両サイドに救急排水機場がある。木津川下流側の防賀川放水路左岸にあるのが国土交通省のもので、反対側の上流右岸にあるのが京田辺市と綴喜西部土地改良区のもので、共に1987年に設置された。綴喜西部土地改良区は1952年に設立されたもので、木津川左岸、京田辺市から八幡市の850haの帯状の土地を農地、住宅地に開発できるようにしている。

毎年梅雨前のこの時期には年に一回の点検運転が実施されており、普段は開けられている樋門のゲートが閉じられ、両サイドの排水ポンプが点検稼働される。京田辺市に越して来て20数年が建つが、毎年実施されてるなんて知らなかった。よく散歩で通る樋門なのに・・・

今回はたまたま市民掲示板で見学会のチラシを見て参加させて戴くことにした。主催の淀川管内河川レンジャーとは、2004年に国土交通省近畿地方整備局淀川河川事務所によって運営開始された個人及び団体のこと。民と行政が一緒になって川の管理や整備を行うため、住民と行政との間に立って、行政が責任を持たなければならないこと以外で、危険を伴わない河川管理上の役割を担う。

この見学会は知らなかったが、このところ毎年実施しているイベントのようで、山城大橋のたもとにある京田辺市の中部住民センターに集合後、木津川左岸の木津川サイクリングロード(京都八幡木津自転車道線)に上がり、約2㎞歩いて神矢樋門へ。そして放水点検を見学したり、樋門の説明を受け、再び中部住民センターまで戻る。

お昼の12時半前、中部住民センターに集合。参加者は10名。まずは河川レンジャーの方の簡単な説明を受ける(下の写真1)。12時半頃出発、50分ほど掛けて神矢樋門へ。我々はいつも散歩で歩いている道だが、土手の草花などの説明をしてくださるので嬉しい。

クズ(葛)とアレチウリ(荒地瓜)、コメツブウマゴヤシ(米粒馬肥)とコメツブツメクサ(米粒詰草)の話とか、クララ(苦参)は根を噛むとクラクラすることから名付けられたとか、一部の地方では絶滅のおそれのある野生生物を示すレッドリストに載っているとか。勉強になりました。

あと、堤防の外側(木津川沿い)にはモグラやキツネも住んでおり、穴を掘るので問題になっているとか。京田辺に越して来て20年以上経つが見たことないなあって話してたのだが、帰り道、同じ堤防を戻る時に河川敷を見てたら、いた!なんと写真も撮れた(下の写真2)。いや~、びっくりぽんでした。

話は戻って1時20分頃、神矢樋門に到着。点検放流は1時半からと云うことで、雑談しながら待つ。樋門には関係者らしき人が多いが、見学者らしき人も多い。私らも普通に散歩で通ってるところなので、別に誰でも見られる。私らも来年以降、覚えてたら普通に見に来ようかな?

さて、1時半を過ぎて、まずは木津川下流側の国土交通省の救急排水機場から点検稼働開始。4本あるポンプをまず1本ずつ確認していくようだが、最初のポンプ(1号機)でいきなりトラブル。排水機場側のパイプの起点で派手な水漏れ。あれあれ、そんなことで緊急時大丈夫やろか・・・

10分ちょっと経って、ようやく2本目のポンプ(2号機)が最初に無事稼働。結構な量の水が排水されていく。4台のポンプがフル稼働すれば毎秒4トンの排水能力があるらしい。1本毎秒1トンってことね。

1時50分頃、土地改良区の3台のポンプも一斉に稼働。こちらは問題なく稼働。排水能力は毎秒2トン弱らしい。同じ時期に2つの排水機場は造られているが、構造が全く違うのが面白い。国土交通省側のポンプ、1機目のポンプの修理が終わって、2時過ぎに2号機を止めて、放流開始。無事稼働(下の写真3)。しかし、続く3号機はまた水漏れ・・・

2時10分過ぎ、見学会メンバーには樋門内部で、係員の方が説明してくださる。一番印象に残った話は2013年9月16日の台風18号による増水時の話。2昼夜泊まり込みで対応したのだが、人員削減で2人しか係員がおらず、本来2人で行かねばならない確認作業が1人でしか行けず困ったとのこと。確かに1人は操作や連絡で樋門に残らなあかんし、1人での確認は流されても分からんしな・・・

あと、その時の話でもう一つ覚えてるのは、国交省と土地改良区で放水基準が違うと云う話。国交省は住宅地の浸水を防ぐことが主目的なのだが、土地改良区は農地の浸水を防ぐことが主目的で、放水開始のタイミングが合わないそうだ。いや、それから10年、問題解決してないような説明でええんかい・・・ 我が家にも関係する話なんやけど・・・

2時25分頃、国土交通省の3号機、水漏れは多少あるが無事稼働(下の写真4)。そして2時半前、4台のポンプフル稼働。さらに、いったんストップしていた土地改良区の3基のポンプもフル稼働して最大出力での運転。樋門で貯めていた水がどんどん減っていくのが分かる。
https://www.facebook.com/media/set/?set=a.9589830341086904&type=1&l=223fe1adec

2時45分頃、まだ放流は続いているが、見学会終了。来た道を中部住民センターに戻る。


以上

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  • 写真1 河川レンジャーの方の説明

    写真1 河川レンジャーの方の説明

  • 写真2 河川敷を歩くキツネ

    写真2 河川敷を歩くキツネ

  • 写真3 国土交通省1号ポンプ稼働

    写真3 国土交通省1号ポンプ稼働

  • 写真4 国土交通省3号ポンプ稼働

    写真4 国土交通省3号ポンプ稼働

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